最高裁判所判事 白木 勇 (しらき・ゆう)
亡き父と祖父は弁護士だったこともあり、自然と法曹界を志したという。
司法修習生の時に「一番落ち着いて生活できる」と、裁判官を選択した。「せっかちな性格なので、好ましいとも思ったんです」とも。
主に刑事裁判を担当し、オウム真理教の地下鉄サリン事件の控訴審を受け持ったほか、麻原彰晃(松本智津夫)死刑囚の裁判打ち切りを認める決定にかかわった。
2002年6月、水戸地裁所長時代には、サッカー日韓ワールドカップにおける鹿島スタジアムなどでのフーリガン襲撃・大量検挙の危険性に備えて、水戸地裁における刑事裁判の予定が3日間にわたって完全空白になったこともある。
記者から理由を尋ねられ、「裁判官が個別に判断したこと。地検の要望に答えた結果かどうかはわからない」とコメント。
「難しい事件をやっていると、寝ながら考えているようで、よく目が覚める」「きちんとしないと気が済まない」という几帳面さを語る一方、「若い頃から 裁判所きっての遊び人間です」と告白する一面も。麻雀・囲碁・野球などにも興じる。
最近は温泉めぐりも趣味だという。
◆ 「電車の中では、女性から離れて立つのがマナーです」 (東京高裁の判事時代に、痴漢の罪に問われた被告人に対する訓戒で。 拙著『裁判官の爆笑お言葉集』160ページ)
◆ 「これまで担当してきた裁判の判決書は、すべて手元に保存しています。 あの被告人はどうしているのか、と考えることもありますが、特別に印象深い裁判はありません。 どれも心して取り組んできましたから」 (水戸地裁の所長時代)
● 「現時点の最重要課題は、裁判員制度。しかし、国民サービスである民事部門も件数が増えているので十分に目配りしたい。私から方向づけはしない。誠心誠意、相談に乗り、助言する心掛けでやりたい」 (広島高裁の長官時代)
● 「裁判官は裁判員に遠慮しないことが大切。 裁判員と一緒にやるんだ、『同僚』なんだという気持ちを持てば、あとはなんとかなる」 (広島高裁の長官時代)