金築誠志(かねつき・せいし)
最高裁判事 在任期間
2009年1月26日 ~ 2015年3月31日
エピソード |
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家族・親戚・知人ともに法律家はおらず、法学を志したのは「つぶしが利きそうだったから」と語る。東京大学法学部の在学中に司法試験合格。
裁判官になったのは、司法修習時代の教官の影響だったという。最初、裁判官は堅苦しく、自分にはできそうもないと思っていたが、担当教官が非常にザックバランな人で、イメージと違っていたのが印象に残った。
企業問題にかかわる裁判を担当する東京地裁の商事部(民事8部)など、花形部署を歴任。最高裁調査官、東京地裁の裁判長、最高裁人事局長、大阪高裁長官と、輝かしい経歴を重ねる。
しかし、その柔和な笑顔からは、とんがったエリートの雰囲気は感じられない。
刑事と民事「両方ともできる」と評判の裁判官で、周囲の信頼も厚いという。
「裁判官は、まじめに考え、総合的に判断する力を備えていれば、いろんなタイプがいていい」と考えている。
オウム真理教の解散請求裁判(後述)を担当した際は、現場に足を運んだ。「非常に厳重な警備が付いていた」山梨県の旧上九一色村の教団施設を視察し、サリンの生成を認定して教団の解散を命じた。と振り返る。
プライベートの横顔 |
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安くておいしい「B級グルメ」を好むそう。また、草花が好きで、自宅官舎の庭や道端に咲く雑草の観察も、「安くておいしいB級グルメ」になぞらえる。
最高裁判事 就任のあいさつ |
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憲法判断など、法令の解釈が使命となるが、今、社会や経済の変化が激しい。世の中の動きから遊離した判断をしないよう気を付けながら、安定と変化のバランスを取るのが重要だ。
裁判員制度について |
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長い間、裁判所は国民にとって近寄りがたい場所だったが、国民と裁判所のかかわり方が変わるという意味で意義深い。
国民と裁判所の距離をこれ以上なく縮める画期的な改革。今後は身近で利用しやすい裁判所を目指すことが重要。
今後、裁判員の選任手続きなども具体化するだけに、国民が参加しやすい方法の研究などを進めたい。
2001年、福岡地検の検事が捜査情報を漏らした問題 (最高裁の人事局長としてコメント) |
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「国民から様々な疑念を向けられ、重い教訓を受け取った。検察庁との関係も襟を正しながら、信頼を回復していきたい。裁判所内部での情報伝達方法としては、必要最小限しか伝えないのが当然と思っていたので、コピーをするとは思いもよらなかった」
金築判事の おもな個別意見 |
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特になし。
そのほかの判断 (金築判事が裁判長として関与・小法廷で全員一致の意見) |
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2009年7月17日 New!
栃木「足利事件」で、冤罪が確実になって釈放された元受刑者の弁護団が、再審請求の即時抗告審(東京高裁)で、担当の矢村宏裁判長ら裁判官3名の忌避(担当外し)を申し立て、矢村裁判長本人から簡易却下されたことに対し、不服を申し立てる特別抗告(最高裁)で、棄却を決定し、矢村裁判長らが担当を続行するを方針を支持。
なお、矢村裁判長らは、忌避却下の翌日に、「足利事件」裁判のやりなおしを決めている(再審開始決定)。
2009年7月13日 New!
警察署の敷地を囲む塀をよじ登って、上に立つ行為が、「建造物」侵入罪にあたるか争われた刑事裁判で、「高さが2.4メートルあり、外から内側を覗けない構造になっている塀は、『建造物』の一部を構成する」として、有罪判決を支持。
2009年6月18日
松本市(長野)でOLの焼かれた殺害遺体が発見され、その殺人・死体遺棄の犯人とされる男に、無期懲役を言いわたした判決を支持。
2009年4月23日
宇治市(京都)が発注した公共工事の談合をめぐる住民訴訟で、勝訴し、1億3千万円あまりを業者から市に返還させた住民側が、さらに弁護士費用を業者に請求した訴え → ○ (請求額1500万円のうち、900万円を認容)
<東京地裁時代>
1995年10月30日
オウム真理教(現:アーレフ)の解散請求裁判を担当。「犯行は反公共的で、宗教法人として保護を受けるべき団体とは言えない」として、解散命令。法人格が剥奪され、教団財産も清算された。
1988年4月18日
いわゆる「ピンクチラシ」を印刷した業者が、売春幇助の罪に問われるかが争われた刑事裁判。「違法な用途であること
が、一見して明らかな印刷物であっても、印刷業者に売春幇助の故意がなければ、刑事責任は問われない」との一般論を示し、それを前提に「被告人は、別件で
警視庁から2度の注意を受けており、今回も売春の客寄せのための違法チラシであることを知っていた」と認定。印刷業者に執行猶予つきの有罪判決を言い渡し
た。
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