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2004年9月11日 (土)

オススメ本(2) 債権法をつかむ

 皆さんは、民法の入門書と聞いて、どの本を真っ先に思い付かれるでしょうか。内田貴先生の著書とおっしゃる方も少なくないかと思われますが、内田教授のご本には、親しみやすい見た目に反して、かなり高度な内容が紹介されています。分かりやすい記述を心がけておられるのは確かなんですが、入門書と呼ぶにはキツい印象がありますね。

スタートライン債権法
池田 真朗

発売日 2002/03
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素晴らしい入門書
非常に分かりやすいです。

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 池田教授は、司法試験委員として、また豊かにたくわえてらっしゃる「ヒゲ」でも有名な方ですが、本書は司法書士や公務員試験等の受験生の皆さんにも推薦できます。もちろん、法学部や法科大学院の1年生にも。また、日常的な法律問題の一問一答式ノウハウ本に、物足りなさとキリの無さを感じはじめた一般の方にも強くお勧めいたします。
 なぜ民法の解説を債権法から始めるのか、について、教授は「おもしろいから」という明快な回答をされています。そして、「おもしろさ」を優先してか、債権法の各論(521-724条)から総論(399-520条)へ、という若干変則的な構造となっています。
 また、ごく基本的な記述から高度な記述までを4段階にランク分けして、それぞれに印を配してありますので、各知識の対象レベルを一見して区別できるようにもしてある気の配りよう。つまり、初学者は、基本的とされている内容だけを拾い読みできる仕掛けです。余白も多いので、適宜、図を書き込みながら読み進めていくこともできます。

 なんといっても、出色は前半部分の「各論」の解説ですね。こういうのを「上手い文章」と呼ぶべきなんでしょう。民法について何らの予備知識が無くても、頭にスッと入ってくる感じがするのではないでしょうか。途中で話が脱線している箇所も多いんですが、どこからどこまでが脱線なのかが枠で囲ってありますので、何のジャマにもなりません。むしろ、法律を学ぶ者へぜひ伝えたいメッセージとして、「計算づくで入れてある脱線」であることが読みとれる形です。

 しかし、惜しむべきは後半の「債権総論」です。内容の抽象度が上がるにしたがって、各論でお見せになっていた歯切れの良さが、残念なことにパッタリと影を潜めてしまうのです。民法で最も説明の難しい分野のひとつなのは確かなんですが、説明が難しい分野だということは、理解するのも難しい分野だということではないでしょうか。「スタートライン」を名乗る以上は、もう少しページ数を増やしてでも平易な記述を貫いていただきたかったな、と思います。
 総論における解説の分かりやすさは、どうしても、各予備校本に軍配が上がるのではないでしょうか。予備校が、初学者への配慮を忘れたら、経営に直接跳ね返ってくるでしょうからね。分かりやすさの追求は死活命題だけに、さすがに余念がありませんよ。

破産から民法がみえる―民法の盲点と破産法入門
小林 秀之

発売日 2003/10
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 「スタートライン」や予備校本などで、債権法の基礎を大づかみにした後は、本書をお手に取られてみてはいかがでしょうか。本来は、民法の世界に相当程度慣れている読者に向けて、破産法の概説書として書かれているんでしょうけれども、破産の考え方を説明する前提として民法の予備知識にも丁寧に触れられています。非常に面白い本ですから、債権総論の予備校本や法律用語辞典などを傍らに置いてでも、一度目を通していただきたいんです。私の手元には、数年前の初版本しかないんですが、図解や具体例も豊富に採用されています。

 実を申しますと、債権総論での内容というのは、「債務者の誰かが弁済できない」という経済的ピンチに陥ったときにこそ、本領を発揮するものだったりします。ですから、破産という出来事を通して、債権法を真正面からだけでなく、下からも斜めからも立体的に観察していきたい意欲のある方には最適の本だと思っています。特に、これからの法科大学院時代には、今まで以上に法律相互間を「またぐ」「行き来する」視点が要求されるのは間違いのないところでしょう。
 また、せっかくの機会ですから、民法の担保物権(295-398条の22)にも並行して当たってみてくださいね。


 


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