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2004年9月12日 (日)

語録の多い津野判事

 福井県カラ出張、非開示処分取り消し 最高裁 - asahi.com : 社会

 カラ出張最高裁判決  県、内部文書公開へ - 朝日・福井

 判決原文

 決済前の文書を「公文書」から除外していた福井県の公開条例(当時)を形式的に判断せずに、「県は外部に調査報告書を公表しているが、その基礎となった調査過程の取りまとめ文書もこれと同視し、開示の対象とすべきだ」として、「柔軟に(※asahi.comより)」対応した今回の逆転判決。裁判長の津野修判事、お見事でした。

 ちなみに津野氏は、大蔵省(現・財務省)キャリア官僚のご出身で、最高裁の裁判官に任命される以前は、1999年から3年半にわたり内閣法制局長官の職に就いておられた方です。つまり、行政府における「法令の総元締め」といった感じのポストを担ってらっしゃったんです。
 そして、7年前の内閣法制次長時代には、内閣提出法案を審査するプロセスが記載された資料が部外秘扱いだったことについて、インタヴューでこう答えておられます。


 ★1997年7月16日 産経新聞

「法案として世に出たものだけがすべてであり、その過程をオープンにすることがいいことなのかどうか」


 うーむ、今回の判決と絡めて考えてみると、なんだか意味ありげにも見えます。それとも私の単なる考え過ぎなのか…。

 津野判事は、長官時代に、国会の委員会で多くの質問を国会議員から受けてらっしゃいます。ほとんどは内閣法制局の公式見解として法令をどう解釈するのかについての質問なんですが、そこでの回答は、なかなか興味深いものがあるんです。しかし、なにぶん数が多くてですね、整理し切れません。ほとんどがネット検索で集めたものですので、原典にも当たらなければなりませんし、満を持しての公開にはもう少々時間が掛かりそうです。

 その代わりと言っては何ですが、津野判事の簡単なプロフィールと若干の語録を。


■津野 修   第二小法廷  (つの・おさむ) 【行政官出身】

愛媛県出身

1938年(昭和13年)10月20日生
2004年(平成16年) 2月26日(65歳) 最高裁判事 …在任6ヶ月
2008年(平成20年)10月19日 定年退官予定

>> 学歴

1961(昭36)23歳 国家公務員採用上級試験に合格

1961(昭36)23歳 司法試験に合格

1962(昭37)23歳 京都大学法学部を卒業

>> 職歴

1962(昭37)23歳 大蔵省に入省

1967(昭42)29歳 福岡県・行橋税務署長に就任

1978(昭53)40歳 内閣法制局参事官に就任

1985(昭60)47歳 大蔵省・福岡財務支局長に就任

1986(昭61)48歳 内閣法制局に戻る

1999(平11)61歳 内閣法制局長官に就任

2003(平15)65歳 弁護士登録(第一東京弁護士会 原・植松法律事務所)


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◆担当した判決 (第二小法廷の裁判長として)

2004/04/26
 最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は、2002年(平成14年)に新潟市の男性(48歳)から金品を奪って殺したとして、強盗殺人罪などに問われた元暴力団組員の2被告に対し、両被告の上告を棄却する決定を出した。1、2審の無期懲役が確定する。同小法廷は「両被告は量刑不当などを主張するだけで、上告理由に当たらない」と述べた。
 1、2審判決によると、両被告は02年1月、同居していた男性から現金約2万8000円とキャッシュカードを奪ったうえで、男性の首を絞めて窒息死させた。さらにカードで銀行口座から現金80万円を引き出すなどした。

◆気になる語録

1996/04/03・読売朝刊
 「(当時の大蔵省主計局からの転身だが)この仕事に誇りを持っている。予算は単年度限りだが、法律はずっとだから」

1997/08/15・読売朝刊
 「(1990年末、国連平和協力法案[のちの国連平和維持活動(PKO)協力法]が廃案になったことについて)政府が政策として国際貢献を積極的にやろうとする時、法制局も当然前向きに対応する。ただ、憲法や法律の規定、確立した解釈の範囲内で考えるのは当然だ」

2004/02/26 最高裁での記者会見
 「身の引き締まる思い」(時事通信)
 「裁判に求められるのは、公平公正に尽きる。労を惜しまず誠心誠意、職務を遂行したい」「現実の裁判とは少し違うが、法律の仕事をしてきた。行政の実情もある程度分かっているので、これらの経験を最高裁判事の仕事に生かしていきたい」(共同通信)
 「(司法改革について)裁判所が国民にとって使いやすくなる必要がある」(毎日新聞)


 


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