「帰化」は差別用語?
今日は4時でバイトが終わり、しかも派遣先が永田町の近くだったため、地下鉄で国会図書館まで行ってきました。そこで閉架から出してもらった本が「在日外国人と帰化制度」(新幹社)。
借りて帰ることができないので、その場でザッとしか読んでいないんですが、帰化をして日本国籍を取得した外国出身者へのアンケートによって、日本の帰化制度に関する問題点などを浮き彫りにする構成です。先日は、在日コリアンの方の公務就任について、けっこう辛口な文章を書きましたが、我が国で行われている帰化の手続き自体も、なかなかどうして。問題山積のようです。意地でも帰化をしたがらない在日コリアンの皆さんの気持ちが、少し分かるような気がしました。
とにかく、手続に必要とされている書類が何十種類もあるんですね。本人で手続をしても、平均10万円近くの費用がかかる模様。しかも、本人ひとりだと、法務省の職員が取る態度が横柄な場合があるというんですね。怪訝そうに「日本語わかりますか?」などと尋ねてみたり。日本国籍を得ようとする人間が日本語がまったくわからないわけがないということですが、それ以前に、もし日本語がわからなかったら、その質問にも答えられないでしょうに。最初から無意味な問いかけなんです。
そういうときに頼りになるのが行政書士の先生。ややこしい書類関係は全てこなしてくださいますし、法務省職員も手のひらを返したような応対をするそうです。しかし、その後に要求される報酬がピンキリときた。「帰化手続き無料相談」というのも、あるにはあるようですけど。
また、気になったのが「帰化」という言葉の意味ですね。「帰化」というのは、そもそも「未開の国の人が、文明国に帰順する」ということなんだそうです。それで、さきほど手元の国語辞典(集英社)で確認したところ、「もと、君主の徳に感化されて帰服する意」だとのこと。「帰順」「帰服」という言葉が聞き慣れないので、引き続き辞典でひいてみると、どちらも「抵抗をやめて服従すること」なんだそうです。いずれにせよ、「上から目線」の言葉みたいですね。
だからといって「上から目線の差別用語だから使うな!」なんて硬直したことを言う気もございませんが。そんな偉そうなことを口走る行為そのものが「上から目線」ですからね。
「帰化」のことを、中国や韓国・北朝鮮、台湾ではどう書き表しているのか、私は知りません。ただ、少なくとも、外国人を日本に「取り込む」という役所の発想を払拭できないうちは、また、帰化の条件として「日本人チックな氏名」を名乗ることを要求している間は、日本国籍を取得した外国人のことを、たとえば「朝鮮系日本人」「中国系日本人」と呼んだりできる日は、まだまだ遠い彼方のようです。東京に来て、外国人のあまりの多さにビックリしている私ですが、そのあたりは欧米に比べて懐が浅いところかもしれません。
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コメント
質問です。ある外国人がある国の国籍を取得するのはとても簡単だ、という例が知りたいです。
投稿: wowow | 2005年2月 3日 (木) 17:13
はじめまして。
あいにく私は、国籍変更の専門家ではございませんので、その質問に対して即答はいたしかねます。
ひょっとしたら、wowowさんは、質問という形で「国籍を取得するのが大変なのは、日本に限らず、どこでも当たり前じゃないか」と遠回しにおっしゃいたいのかも知れません。その通り、当たり前です。その国の国籍を持っている者を、その国の政府は責任を持って税金使って守らなければならないんですから。そのぶん、慎重に審査していく必要はあるのでしょう。
ただ、その必要性を差し引いても、日本への帰化には障壁が多かったりしないのか、ということです。
ちなみに、むしろ、日本生まれの在日コリアン(2世や3世)の帰化の場合は、手続に要する期間じたいは比較的短くて済むらしいのです。なぜなら、必要な書類がほとんど日本で揃えられるからだそうです。また、最近になって、「帰化の動機書」のようなものも、在日コリアンの帰化では省略できるようになったらしいとも聞きますし。
それより問題視すべきは、手続面よりも、もっと実質的な部分かもしれませんよね。日本という文化圏に、どこまで多様性を受け入れて尊重する態勢・気構えがあるのか、という点です。
誤解をまねいてしまう内容になっておりましたら、本当に失礼いたしました。
投稿: みそしる | 2005年2月 3日 (木) 23:56
今は「日本人チックな氏名」でなくてもよくなったんでなかったっけ?
投稿: 大丈夫? | 2005年2月 4日 (金) 12:08
そうなんですか。お教えいただきありがとうございました。
「呂比須ワグナー」氏や「弦念丸呈」氏の例から、てっきり創氏改名のようなものが、現在も連綿と続いているものだと思っていました。じゃあ、漢字圏の外国人は帰化後も氏名はそのままでいいということでしょうか?
投稿: みそしる | 2005年2月 4日 (金) 17:21
少し調べてみました。
国籍法
http://www.moj.go.jp/MINJI/kokusekiho.html
国籍法には名前に関する記述はなかったです。
行政書士さんのサイト
http://www.celloko.com/foreigner/kika4.html
自由に付けられる、しかし「人名には、常用漢字、人名用漢字、人名用漢字許容字体」のみ使える。
まあ、生まれつき日本人と同じ扱いですね。
最近だと国会議員になった「白眞勲」が韓国名そのまま帰化しています。
読みは日本語読みです。
ただし、役人の自由裁量権が大きかったらしく、昔は日本風にさせられたみたいです。
改名はないけど、創氏は現在でもあるのでは?
苗字の無い国も結構多いですし。
「呂比須」は好きで名付けただけでは?
投稿: 大丈夫? | 2005年2月 5日 (土) 09:03
どうもご親切にありがとうございました。本当に勉強になりました。少なくとも、日本風の名前を「要求」しているのではないということで、この点は皆様に訂正いたします。
帰化やその周辺事情については知らないことだらけですので、もっともっと資料にあたりながら、あの判決の背景について調べていかなければなりませんね。一層、身が引き締まる思いがしてまいりました。
これからも知ったかぶりで筆がすべることも多々あるでしょうが、よろしかったら遠慮なくご指摘お願いいたします。
投稿: みそしる | 2005年2月 5日 (土) 10:30
極端で、ちょっと複雑な例ですが興味深いので紹介です。
第75題 出生届を出さない親
http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuugodai
親に振り回される子供が不憫ですが、活動家にとっては日本人になること自体我慢ならないようです。
私の中国語の恩師は、奥さんが中国籍のままです。子供には日中共に通じる漢字を当てて、成人後にどちらかの国籍を選択させるようです。
移民国家でも他民族国家でもない国にしては、日本は外国人に優しい国だと思います。
投稿: 大丈夫? | 2005年2月 5日 (土) 11:44
>日本という文化圏に、どこまで多様性を受け入れて尊重する態勢・気構えがあるのか、という点です。
このような意見にはいつも戸惑います。多様性を受け入れることを目指している、というように感じられますので。特に日本には「他人と違う」ことを目的にするような人が多いんですよね。
結果として他人と違う、とか多様性を受け入れることになるというならわかるのですが、最初からそこを目指すという気持ちがわかりません。
投稿: wowow | 2005年2月 7日 (月) 21:04
wowowさん、いらっしゃいませ。
あなたのおっしゃっていることは、私の価値観が自分のそれと違う、というご指摘に終始しておられますので、本当は、こちらからコメントのしようがございません。
でも、ひとことだけ。多様性を受け入れることを目指すことと、他人と違うことを目的にすることは、別の話だと思います。
ちなみに私は、ガキの頃からずっと、周りから浮きつづけてまいりましたので、他人と違うことを自己目的にしたがる人の気持ちは、wowowさん同様、私にも分かりません。
投稿: みそしる | 2005年2月 7日 (月) 22:42
こんにちは。 「帰化」のキーワードでやってきました。
私はアメリカ在住で、帰化を検討中です。 アメリカの場合、帰化に際しては書類審査および面接、アメリカに関する簡単なテスト(http://www.horitsu.com/html/docs/100q_j.htmlに例があります)が課されています。 当然英語を話す必要もあるわけで、日本の係官が日本への帰化の際「日本語話せますか?」と聞くとしても、当たり前だとは思っても変だとは思いません。 費用や書類仕事の多さ、という点でも日本の帰化申請が特に厳しいとも言えない、というのが私の印象です。 申請者の国籍国の証明書類が必要なのは当然ですし。
「帰化」は英語では "Naturalization"ですが、これを「他国籍の人間は natural でないという意味で差別だ」という話は聞いたことがありません。 無意味なこじつけによる言葉狩りの一種なのではないでしょうか?
投稿: nori | 2005年2月 8日 (火) 08:26
はじめまして。よろしくお願いします。
そうなんですよね。wowowさんからも、最初にご指摘を受けたことですが、他の国で行われている帰化の実体と比較せずに、日本で行われている帰化行政についてうんぬんするのは早計でした。1冊だけ、それも斜め読みで読んだだけで書いたのは、うまくなかったと反省しています。
しかも、帰化について調べるために、よりによって最初に手に取った本に、ちょっとバイアスが効いていた可能性もありそうですし。もっと、キチンと読み直してみることにします。
"Naturalization"ですか…。仮に差別用語として攻撃しようと思えば、こちらのほうが攻撃しやすそうではありますね。情報をお寄せいただきありがとうございました。
投稿: みそしる | 2005年2月 8日 (火) 10:03
ははははははは。
他国の帰化手続きと日本の帰化手続きを比べて、日本より帰化手続きが面倒で厳しい国があったら、「日本はやさしい方だ」って言うんですか?
日本より面倒で厳しい国がないとなれば、「日本の帰化手続きは問題だ」ってなるんですか?
そんな相対的なことではなくて、 問題はその合理性・必要性ではないですか?
例えばこのサイト(http://www.lawyersjapan.com/bbkikajp.html)にこのような記述があります。
>実際には、まず初回の出頭で、必要書類の指示を受けてから少しずつ始めてゆくことになります。しかし、法務局では現在、必要書類の指示を「小刻み」にしか出さず、結局、かなり多く足を運ばねばなりません
>帰化申請で法務局へ行くのに、近所の区役所へ行くような感覚や服装で行かれるかたも多いのですが、その結果、審査官に悪印象を与えて、出頭の回数や収集書類を増加させる原因を作る場合があります。審査官は疑問に思った部分が多いほど、出頭回数を多く要求するのです。
これって、何のためなんですかね?
社会人の場合、法務局は仕事を休んで出向かないといけないわけですが、服装ひとつで審査官の心象悪くして何度も出頭させられるのではたまったものではないですが。
他国もこのような取り扱いなら、問題なしですか?
それとも、「これが日本の文化ってもんなんだから文句言うな!」ですか?
まあ、「これが日本の文化だ」というなら、それはそれで尊重したいと思いますが。
帰化という言葉に対しては、どうだっていいです。
ただ、帰化手続きはまるで、「日本人採用試験」みたいだなぁ、というのは思いますし、帰化した人達がブーブー言ってるのも結局そこだと思います。
「日本人であることの何がそんなにお偉いことなんだ?」ってね。
ちなみに、司法試験に合格すると法務局から声がかかるらしいです。「帰化しないか? 手続き簡単にするよ」ってね。「君こそ日本人にふさわしい」ってことなんでしょうけど、これもどうなんだろうなぁ?
投稿: ジュンク堂-ジュンコ | 2005年9月10日 (土) 09:49
貴重な情報、そしてご意見ありがとうございました。
ただ、しょっぱなから「ははははは」というのは、国籍や民族がどうであれ、軽く腹の立つごあいさつだな、とは思います。気を付けたほうがいいですよ。
日本の帰化行政は、いつか徹底的に調べてみたいテーマであると考えております。
投稿: みそしる | 2005年9月13日 (火) 09:44
幼少の頃、父が家族全員分の帰化をしてくれました。
仕事しながら普通にこなしてましたよ?
お金も大してかからなかったみたいだし。
嫌がらせみたいな事もなかったみたいだし。
寧ろ、韓国人が日本国籍を容易に取得できる事の方に戦慄を覚えた事があります。
投稿: もと韓国人 | 2011年10月 8日 (土) 16:32
どうもありがとうございます。
意外とあっさり日本国籍が認められる例もあるようですね。
一般には帰化があんまり簡単であってはいけないと思いますが、先の戦争によって日本に住むことになった外国人については、若干は基準が緩和されていいと思いますね。
でも、緩和策に恩恵を受ける外国人がいる一方で、その緩和策を悪用する外国人がいると思いますので、一筋縄ではいかない問題だろうと思います。
投稿: みそしる | 2011年10月 9日 (日) 20:36