« 5月のオススメ本 | トップページ | 弁護士200人超の法律事務所 7月に誕生……! »

2005年5月24日 (火)

30分間の女児誘拐に、懲役4年6ヶ月の実刑

 北海道七飯町で昨年12月、小学生の女児=当時(8)=を車で連れ回したとして誘拐の罪に問われた元会社員の男(22)の判決公判で、函館地裁の園原敏彦裁判長は24日、懲役4年6月(求刑懲役6年)を言い渡した。

 園原裁判長は「奈良の幼女誘拐殺人事件によって社会不安が高まっていた中の犯行で、地域社会に与えた不安と衝撃は大きい」と述べた。

 判決などによると、男は昨年12月21日午後2時すぎ、七飯町の路上で下校途中の女児に「親せきのおじさんだよ」と声を掛けて乗用車に乗せ約30分間、町内を連れ回した。
 (夕刊フジ)

 この量刑を目にしたときは、思わず「重っ!」とつぶやいてしまいました。札幌テレビの報道によると、女の子を「包帯で後ろ手に縛っていた」ということで、彼女に恐怖のトラウマを抱え込ませかねない悪質な事件であることには違いありませんが、それにしても……。法定刑はどれぐらいだったっけ?と、刑法を読み返してみたんですが。

 
◆ 刑法 第224条(未成年者略取及び誘拐)
 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

 
 そうですよねぇ。5年以下ですよね。それで6年の求刑ということは……?

 2005年1月17日づけの函館新聞によりますと「事件の直前にも同町藤城で、別の小学校低学年の女児が、白い乗用車の男に声を掛けられており、同署は関連を調べるとともに、余罪について捜査している」ということです。この余罪も同容疑者によるものと認定されたんでしょうね。だとしたら「併合罪加重」ということで、最高刑に1.5倍できます。なので最高7年半の懲役まで科せることになるんですね。

 少なくとも、「声を掛け」ただけなら犯罪にはなりません(※これが仮に身代金目的なら予備段階でも罰せられますが)ので、それだけでは併合罪になりえませんよねぇ。最近、例の事件を受けて奈良県が『子どもへの悪意ある声かけ行為』に罰金刑を科す条例をつくるとかで話題になってますが、本件発生当時、すでにそういう条例が北海道にあったわけではないでしょう。

 おそらくは、裁判所は、同様の誘拐既遂が複数あったと認定したか、あるいは本件限りの単独だとしても、車中での逮捕・監禁という点を重く見たものと思われます。そのあたりをキッチリ報じてもらわないと、読者に誤解を与えてしまいますよ。夕刊フジさん。

|

« 5月のオススメ本 | トップページ | 弁護士200人超の法律事務所 7月に誕生……! »

18禁法律学」カテゴリの記事

コメント

どもども。再犯加重ってのは考えられないんですかね?
性犯罪の常習性を考慮すると再犯加重で基本法定刑の上限いっぱいまで科するのが妥当かなと。
綾瀬監禁事件Ⅱ(※)では判決(懲役3年執行猶予5年の目一杯)に対する批判がありましたからね。いづれの理由にしろ妥当だと思いますねぇ。
それにしても、マスコミって司法判断には批判が弱いような気がする。それおかしいだろって思うような判決結構あるのに、こんな感じでしたって終わる。靖国問題だって、集団的自衛権の問題だって、実は司法判断が傍論でも示せれば結構道筋はつくだろうし、後者は別にしろ前者は法的には判例に鑑みても合憲というのはキツイのかなぁと思っています。話がとんじゃいましたが、こんな個別事件をみても日本の司法乖離を感じます。裁判員制度はどうなるのかなぁ。
あ、遅れましたが、ブログがんばっていってください!法学関係のサイトはもっと増えてほしいです。一部の教授が持っているHPなんかは論文が掲載されているものもあって、ほんといい情報源になります。がんばってぇ~☆

※もう数十年にもなりますが、綾瀬では前にも女性をラチ監禁してレイプしまくってた事件があります。最終的に殺されてコンクリ詰めにされました。犯人は少年のため名前も明かされず数年後出所して別の事件を起こしました。「またか」という思いは、刑事司法制度の未熟さだけでなく、同じ土地で起きたという思いもあります。今回最高刑くらったとしても、10年ででてくるかと思うと、ほんとブチ切れそうになります。「また」起きるのでしょうね。

投稿: わーい | 2005年5月25日 (水) 05:31

 コメントありがとうございます。決めつけちゃマズいんでしょうが再犯加重も考えられますね。もちろん再犯ならば上限めいっぱい(当然実刑)という結論も、じゅうぶんアリだと思います。
 ただ、何も報じられてないので、再犯ではないという前提で考えて、「少し均衡を失してないか?」と感じたことを書いたわけです。逮捕は事件の翌月だということから考えると、30分ひとしきり連れ回した後、みずから女の子を逃がしたという事件ですから、これは。

 仮にこの事件が再犯・累犯の事案だったら、よけいにその事実を優先的に報じてもらいたいもんですけどね。
 ひょっとしたら、この裁判官には同じ歳ぐらいの娘さんがいらっしゃるのかもしれません。それが若干量刑に影響した、というのなら、人情としてはわかります。

 温かいお言葉ありがとうございます。最近、訪問者が減っていたので、モチベーションも下がり気味だったんです。よかったら、メルマガの「法治国家つまみぐい」も読んで下さいね(ひょっとして読者さんですか?)。


 綾瀬コンクリ事件の犯人による再犯も残念でしたよね。私も仕事で綾瀬や八潮に派遣されることがあるので、そのたびに頭に浮かびます。

投稿: みそしる | 2005年5月25日 (水) 10:20

※ コメント削除のご報告 ※

=== 以下の理由により、残念ですが、やむなくコメントを削除させていただきました ===

 

・ 匿名で出入り自由なネット空間に、住所や電話番号などの個人情報をさらすことは、トラブルの元です。 ご本人による書き込みかどうかも特定しかねますので、どうぞご遠慮くださいますよう、お願いします。

・ 当ブログのエントリの内容と直接関係のないことを書き込むこともご遠慮ください。お問い合わせ等につきましては、電子メールにて承ります。「プロフィール」からお入りください。

・ おそらく「10年前の公共事業が原因で、我が家の耐震強度が落ちたと思うので、奈良まで取材しに来なさい」というお話ではないかと思われますが、すべて電子メールにて承ります。

投稿: みそしる | 2008年4月 9日 (水) 18:12

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3002/4266050

この記事へのトラックバック一覧です: 30分間の女児誘拐に、懲役4年6ヶ月の実刑:

« 5月のオススメ本 | トップページ | 弁護士200人超の法律事務所 7月に誕生……! »