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2005年6月 5日 (日)

日本の医療ミス訴訟 初の1000件超え

 全国の地裁に昨年起こされた医療訴訟が初めて1000件を超えたことが、最高裁のまとめでわかった。訴訟件数はここ10年で2.3倍に増えた。最高裁は(1)医療を受ける側の意識が「専門家にお任せ」ではなくなってきた(2)審理の迅速化で訴訟という手段が使いやすくなった――などが原因ではないかとみている。

 昨年の提訴は1107件。95年には488件だったが、毎年増え続け、03年は998件に達していた。04年末現在審理中の事件は2138件で、同じく過去最高。

 判決や和解などで終了したのは1004件と前年からほぼ横ばいだった。原告側の請求が一部でも認められたのは39.5%。ここ10年、4割前後を推移しており、民事訴訟全体だと8割以上、証人調べをしたものに限っても7割前後なのと比べるとかなり低めになっている。 (朝日新聞)2005/06/03


 

 勝訴率4割前後というと、意外と低いなという感じも受けます。私たちが新聞等で目にするのは、患者側勝訴の判決ニュースがほとんどですからね。
 今から35年前、昭和45年の統計で、医療訴訟における原告側勝訴率は約11%にすぎませんでした。それが、5年後の昭和50年に一気に30%超えを果たしています。逆に言えば、ここ30年間、原告の請求が認容された率は、ほぼ横ばい状態なんですよね。
 医療訴訟の専門弁護士も増えて、訴訟追行のノウハウも相当に蓄積されているはずなのに、裁判所がなかなか勝たせてくれないのは、どこに原因があるのか。関連して、日本の弁護士が訴えられる「弁護ミス訴訟」は、どうなっているのか。私はそっちのほうに興味があります。

 本当は「勝訴率」という言い方はおかしいんですけどね。医療ミスで大切な人を失ったり障害を負ったりさせられた、それぞれの原告にとっては、抱えているその1件が全てなんですから。

 しかし、あえて司法統計としての「勝訴率」を問題にすれば、国や地方自治体が被告となる行政訴訟なんて、いまだに住民側の勝訴率は1桁台という有りさまです。もちろん、いろいろ理由はあります。ちょっと政治色の濃い団体による、提訴のための提訴というのも混じってますから。

 にしてもです。そんな事情を差し引いても、結論が明らかに偏りすぎています。

 私は「正義の法律用語辞典」の中で、行政訴訟のことを「出来レースの別称」と書きました。ここまで露骨に行政の肩を持ち、あらかじめ結論が見えるような裁判しかできないのはなぜか。「肥大化した行政に、司法権が取り込まれている」といった抽象的な批判もできるでしょうけど、そもそも、住民側の勝たせ方を裁判官たちがご存じないからではないか……と、私は勘ぐってしまうのです。失礼ながら。
 一昔前の司法試験には、選択必修として「行政法」科目が用意されてましたけれども、かなりマイナーな存在でした。ましてや、ここ数年は選択科目そのものが廃止されています。それもあって、挫折者の私(1999年まで破産法を選択)も含めて、行政法をほとんど勉強していない法曹が大多数なんですよね。

 今、法科大学院時代の法曹志願者たちは、なにかにつけ「質が低い」「粗製濫造」と叩かれたりしています。しかし、院で医療訴訟について考察し、新司法試験の必修科目として、集中して行政法を学習している彼らに、私は熱い期待を寄せておるのです。勝手ながら。

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