私の知らない航空法の世界
日航は、大阪乗員部所属の機長(59)が、気管支ぜんそくで服薬していたことを会社に3年間報告せず、乗務を続けていたことを明らかにした。日航は機長の乗務を停止し、同日までに国土交通省に報告。同省は、薬物の影響で正常な運航ができない恐れがある場合の操縦を禁じた航空法に違反した疑いもあるとみて、行政処分を検討している。
日航によると、機長は2002年1月に気管支ぜんそくの診断を受けて以降、今年5月までに計30回通院し、症状が出た時には服薬もしていた。この間、運航乗務員に義務付けられた年2回の航空身体検査はパスしていたが、今月6日の検査で肺活量が基準値以下だったため医師が確認したところ、服薬を認めた。処方薬を確認したところ、眠気が出る恐れのある薬で、航空法に抵触する疑いがあるという。 (四国新聞) 2005/05/27
少し前のニュースですが、気になったので採り上げてみました。 ちなみに、航空法施行規則には、身体検査基準が法定されているんですが、そのひとつとして『活動性の呼吸器系疾患がないこと』という条件が、バッチリ書かれています。
同じころ全日空も、操縦士13人が乗務前に飲酒していたということで、処分を受けていましたが、薬の服用禁止と同じ条文で規制されているものだったんですね。航空法70条です。
◆ 航空法 第70条(酒精飲料等)
航空機乗組員は、酒精飲料又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行つてはならない。
◆ 航空法 第149条(所定の資格を有しないで航空業務を行う等の罪)
次の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
三 第70条の規定に違反して、その航空業務に従事した者
ただ、飲酒の件は、全日空の内部規則(乗務前12時間以内の飲酒禁止)に触れたということでの処分だったようです。法律上は、そこまで具体的な数字を出して禁止してはいない様子であります。
航空法の世界も、意外と面白そうですね。30年の歴史がある愛知県の「常滑納涼大花火大会」は、今年は航空法の規制がアダとなって開催が危ぶまれていたのだそうです。なぜなら、近くに中部国際空港ができたからです。
原則として滑走路の中心から半径4キロ以内では、最高到達点が150メートル以上になる花火を打ち上げることができず、国交省が航空機の飛行に影響を及ぼす恐れがないと認めた場合に限り、打ち上げが可能になるとのこと。
「常滑納涼大花火大会」の打ち上げ場所は、滑走路の中心から北東約3.5キロの地点。尺玉だと高さ375メートルに達するため、開催の是非の判断は国に委ねられました。そして先日、「航空機の運航に支障なし」として、ゴーサインが出たようです。よかったですね、常滑市。
◆ 航空法 第99条の2(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
何人も、航空交通管制圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。
◆ 航空法施行規則 第209条の3(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
1 法第99条の2第1項 の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。
一 ロケット、花火、ロックーンその他の物件を法第99条の2第1項 の空域(当該空域が管制圏である場合にあつては、地表又は水面から150メートル以上の高さの空域及び進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第56条第1項 の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域に限る。)に打ちあげること。
二 気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
三 模型航空機を第1号の空域で飛行させること。
四 航空機の集団飛行を第1号の空域で行うこと。
五 ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第1号の空域で行うこと。
2 法第99条の2第1項 ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名、住所及び連絡場所
二 当該行為を行う目的
三 当該行為の内容並びに当該行為を行う日時及び場所
四 その他参考となる事項
ちなみに「ロックーン」とは、気球にロケットをくくりつけて飛ばし、ある程度の高度を稼いでから発射させるという、創生期のロケット技術なのだそうです。 へぇー、ロックーン。
◆ 航空法 第56条(第一種空港等の特例)
1 国土交通大臣は、第一種空港及び政令で定める第二種空港について、延長進入表面、円錐表面又は外側水平表面を指定することができる。
2 延長進入表面は、進入表面を含む平面のうち、進入表面の外側底辺、進入表面の斜辺の外側上方への延長線及び当該底辺に平行な直線でその進入表面の内側底辺からの水平距離が15000メートルであるものにより囲まれる部分とする。
3 円錐表面は、水平表面の外縁に接続し、且つ、空港の標点を含む鉛直面との交線が水平面に対し外側上方へ50分の1以上で国土交通省令で定める勾配を有する円錐面であつて、その投影面が当該標点を中心として16500メートル以下で国土交通省令で定める長さの半径で水平に描いた円周で囲まれるもののうち、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要な部分とする。
4 外側水平表面は、前項の円錐面の上縁を含む水平面であつて、その投影面が空港の標点を中心として24000メートル以下で国土交通省令で定める長さの半径で水平に描いた円周で囲まれるもの(投影面が水平表面又は円錐表面の投影面と一致する部分を除く。)のうち、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要な部分とする。
……うーむ、この条文からどうやって、「滑走路の中心から半径4キロ」という、花火打ち上げ禁止区域を読み取ることができるのだろうか。くっそー、文系にはわからん。 どうせ……、オレなんか、分数の足し算のテストで0点とった伝説の持ち主さ。どうせ。
と思ってたら、56条は何の関係も無かったことが判明しました。 あぁよかった。あやうく数学コンプレックスが悪化して立ち直れなくなるところだった。
◆ 航空法 第2条(定義)
8 この法律において「水平表面」とは、飛行場の標点の垂直上方45メートルの点を含む水平面のうち、この点を中心として4000メートル以下で国土交通省令で定める長さの半径で描いた円周で囲まれた部分をいう。
それでも、ボンヤリとしか意味がわからん。それに『飛行場の標点』って、航空法の中で定義されてないんですけど。何なんだろう……。 まぁいいわ、飛行機を安全に飛ばしてくれさえすれば。
あぁ、ロケットとバルーンで、合わせて「ロックーン」か。ハイハイ、今わかりました。
なるほどねぇー、ロックーン。
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