私立大学が民事再生法を申請
>>> 萩国際大が民事再生法申請へ~定員割れ原因で初
民事再生法の適用を申請する萩国際大(20日、山口県萩市で、本社ヘリから) 大幅な定員割れで経営危機に陥っている山口県萩市の萩国際大を運営する学校法人萩学園(安部一成理事長)が民事再生法の適用を申請することが20日明らかになった。負債総額は三十数億円にのぼるとみられ、同日午後、理事会を開いて正式決定し、21日にも東京地裁に申請する。文部科学省によると、私立大を運営する学校法人が定員割れが原因で同法適用を申請するのは初めて。(読売新聞)
設立7年目の申請です。前身は萩女子短大。地方都市が「街おこし」の一環でつくった4年制大学ですが、市内のゴルフ場を買い取って「ゴルファー養成コース」を新設するなど、かなり大胆な手法で学生を集めようとしたのです。どうやら、なかなか集まらなかったようですね。
学生の側にしたら「なんでゴルファー目指して大学に通わにゃならんのか」と、あまり魅力や必要性を感じなかったということだったのかもしれません。
地に足の付いた対策を採れず、地元が浮き足立っているのも、学生が都会に出たがる消極的理由のひとつです。残念ながら、「国際」の2文字を出しておけば、世界的な広い視野を演出できた時代は、とっくに終わっていると思います。
萩国際大学は、2年後を目処に名称も変更し、福祉をベースにした教育環境づくりに励んでいくとのこと。ただ、この萩国際大学がたまたま全国で最初に法的支援を求めたということであって、「明日は我が身」と戦々恐々としている破綻予備軍の大学は各地に存在するものと思われます。少子化社会の副産物「大学全入時代」は、もうすぐそこです。
「すべり止めの利益を享受した」などとして、入学を辞退した合格者が前もって納めた入学金や授業料を返そうとしない私学を相手取った「ぼったくり訴訟」が、関西を中心にここ数年で増加しています。大学は、ひとりひとりの学生を社会に通用する人材に育成する役割も担っています。なのに、大学組織を延命させる金づるとしてしか学生を見ないのでは、裁判所に違法だと認定ても仕方がないでしょう。「授業料は講義の対価」……当たり前のことです。
10年前、金融機関や私立大学も倒産するということを、理屈では大学で勉強しましたが、本当に山一証券が破綻したときは衝撃でした。しかし、破綻すべきところが破綻せずに体裁を保っていただけだったのでしょうけれども。そういう意味ではゴマカシが効かない、本物だけが生き残る、厳しくも良い時代に入りはじめたのかもしれません。
ただ、多様性を無意味に愛する私は、マジメでマトモな大学ばっかりでもつまらないな、とも思っとるんですけど。 たとえば、会計士を目指す学生と、漁師になりたい学生と、フライトアテンダントに憧れる学生と、占い師を夢見る学生が交流し、同じ学食で談笑する風景というのも、なかなかステキかなと思いますし。……しかし、資本主義という現実は、そんな呑気な空想を許してはくれないのでしょう。
なお、私立大学が民事再生法を申請することは、これが初めてではなく、東北文化学園大(仙台市)に次いで2例目。この大学は、大学設置認可申請の虚偽記載から経営難に陥ったとのことです。
なるほど、一度失った信用を取り戻すのは、並大抵のことではありませんよね。ねぇ、信州大学法科大学院 首脳陣の方々。
……どさくさにまぎれて言ってみました。
【参考過去ログ】信州大学法科大学院の誤算
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