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2005年10月27日 (木)

消費者の射幸心をあおる機動戦士

ペプシおまけのガンダムは「懸賞品」…公取委が注意(読売新聞)

 清涼飲料水「ペプシツイスト」などのおまけをめぐり、同飲料水を製造・販売しているサントリー(大阪市)が公正取引委員会から、景品表示法違反の疑いがあると注意を受けていたことが、25日わかった。

 中が見えない袋に入った人気アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクター模型は、消費者の射幸心をあおる「懸賞品」に当たると判断された。


(中略)

 公取委などによると、模型の中には、めったに入手できない「レアもの」もあり、全種類を集めようとして大量に商品を購入し、飲料のみをインターネットなどで販売するコレクターもいた。全種類そろった模型は、ネットオークションで10万円前後で売買されているという。


 月金の朝8時から、フジテレビ系列で「とくダネ」という高視聴率ワイドショー番組が放映されています。「とくダネタイムズ」のコーナーで、笠井アナが「北九州市小倉北区」を「おぐら北区」と読み間違えるなど、メインの小倉智昭キャスターの影響力が非常に大きいため、隣の佐々木恭子アナが必死でブレーキ役を務めている番組なのですが、昨日、その冒頭で採り上げられていた話題がこれです。

 こういう、多種多様なオマケを用意して子供たちに集めさせるのが目的の、食玩の走りみたいな菓子類って、グリコのキャラメルをはじめ、昔からあったんじゃないのかと思いますけどねぇ。過去にはロッテが「ビックリマンチョコ」で、公正取引委員会に同様の注意をされた模様です。おまけの「ビックリマンシール」だけ抜いて、菓子をゴミ箱に捨てる子供たちの行動が社会問題になったりもしましたよね。
 ただ、オリジナルのキャラクターを一から立ち上げて、あれほどまでの人気ブランドに仕立て上げたロッテの力量は大したものです。そりゃ、20年後に千葉マリーンズも日本一になりますよ。

 たしか「ビックリマンシール」って、「貼られたら貼りかえせ」を合言葉に大人たちが売り出したはずだったんですが、子供たちはシールとしての役割を無視して、もっぱら「カード」としてコレクションや交換の対象としていました。私も、そんな周囲の様子を横目に切手収集をしていましたので、郵便切手に託された本来の使命を無視していた点では同罪なんですが。

 もう少し時代をさかのぼれば、人気漫画のキャラクターをかたどった「キン肉マン消しゴム」、略して「キン消し」も流行しました。あの正体、実は消しゴムでも何でもなかったんですよね。ノートに書いた文字に、ステカセキングの頭をこすり付けたら、紙が余計に黒く汚れたもんです。おそらく、「消しゴム」という文房具であると称して、親御さんたちへのエクスキューズを図ったのではないかと思われます。

 ペプシコーラに機動戦士ガンダムのキャラをかたどったおまけをつけて売り出し始めたのは2年前からとのことですが、サントリーは、過去に「スターウォーズ」のボトルキャップも作っていましたし、かなり以前からペプシを食玩的な展開で売り出してきました。なので、今回の公取委の動きには「なんでまた今ごろ……」といった感が拭えません。それだけ審査に時間や手間がかかる、ということだとも考えられます。

 そもそも、中に何が入っているのかわからず、開けるまでの間のワクワク感を楽しむのが、「グリコ」以来連綿と続いている「おまけ精神」じゃないのかと思いますが、そのあたりの素朴な気持ちを忘れてしまった可哀想な大人たちが、札びらチラつかせて乱暴に「箱買い」をして去っていく、という不動のシステムが、ここ数年で構築されつつあります。それによって、一部のマニアを熱狂させる人気キャラ版権の買いとりに成功し、勝ち馬に乗ることのできた食品会社が、この先も引きつづき勝ちつづけるという、面白くもなんともないルールが生まれてしまいました。

 ひょっとして、ガンダムの次は「北斗の拳」でしょうか……。それだったら、ちょっと欲しいけど。

 サントリーは、先月からおまけの入った袋を透明とし、客に向けて中身を明らかにしているので、射倖性は薄れているはずだと主張しています。ただ、今年のキャンペーンは、9月上旬からの3週間のみに限定されていたとのことで、全32種類を集めてみたい人々にとって、3週間というタイムリミットは短すぎますから、この「期間限定」という売り文句も外さなければならないでしょう。でなければ、ガンダムマニアたちの盛り上がりを鎮める要素にはなりえないと考えます。
 おまけの袋が透明であろうとなかろうと、おまけつき商品の販売期間が限られているのならば、いわば、業者によって「企画された希少価値」は、依然として残っている状態です。だったら、ネットオークションで全種類の揃ったセットが売り出された場合、落札価格が相変わらず不自然な形で釣り上がったままになろうことは容易に想像できます。

 ペプシ……、そりゃあ、王者コカコーラに追いつきたい気持ちはわかりますけども、ちょっと前みたいに、おまけで「ペプシマン」でも付けとけばいいじゃん。個人的には、各社の誇るオリジナルキャラを、もっと大事に育てていっていただきたいのですが。

 だいたいねぇ、どのおまけが入っているのか、中身がわかったらわかったで、おまけ目当ての客は、年齢性別問わず、菓子の売場を荒らすだけ荒らして、そのまんま平気な顔して帰っていくんですよ。あれはなんとかならんのかと、小売店の販売員のひとりとしては思います。

 最低限のマナーさえ守っていただければ、おまけの入った小袋や小箱の中身を思い描いて楽しむ気持ちなんか、時代とともに忘れ去られたって、それはそれで構わないんですよ。ちょっと寂しいけど。
 
 
◆ 不当景品類及び不当表示防止法 第2条(定義)
1 この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に附随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、公正取引委員会が指定するものをいう。

◆ 不当景品類及び不当表示防止法 第3条(景品類の制限及び禁止)
 公正取引委員会は、不当な顧客の誘引を防止するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。

1000円未満の商品に付けることが許される総付景品は、100円まで

◆ 懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和52年 公正取引委員会告示第3号)
1 この告示において「懸賞」とは、次に掲げる方法によつて景品類の提供の相手方又は提供する景品類の価額を定めることをいう。
 一 くじその他偶然性を利用して定める方法
 二 特定の行為の優劣又は正誤によつて定める方法
2 懸賞により提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の20倍の金額(当該金額が10万円を超える場合にあつては、10万円)を超えてはならない。
3 懸賞により提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の100分の2を超えてはならない。


 

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コメント

こんばんは。
懸賞品という言葉は出てきませんでしたが

懸賞による景品類の提供に関する事項の制限
昭和五十二年三月一日
公正取引委員会告示第三号

というのが出てきました。
http://hrsk.jftc.go.jp/dk/main.asp
からご覧になれると思います。

投稿: takafumi | 2005年10月27日 (木) 22:09

はじめまして。

私が探していたもの、そのものズバリの内容で、さっそく本文に反映させていただきました。ありがとうございました。
こういうやりとりがあると、ネットっていいなぁと思いますね。

投稿: みそしる | 2005年10月27日 (木) 22:59

最近、いっぱいいっぱい更新してくださっているのに、自分が修士論文その他に追い立てられすぎて、更新についていけてない。。。(。> <。)
でも、やっぱり、みそしるさんの記事選びとそのコメントは、ちょっと、笑えて、良い息抜きですわ☆
びっくりマンシール、本当に流行っていましたよね!同い年そこそこの小学生が、買ったそばからシールだけを抜き取り、中身のチョコレートを捨て去っていたのを、本当に悲しい気持ちで眺めていましたっけ。。。
中身捨てるくらいなら、頂戴よって。。。
その頃の自分の流行は、一回10円のじゃんけんゲーム。。。掛け声と、「ズコーッ」と「ヤッタネー」の音?声?に、今でも妙に反応してしまいます。。。

投稿: 月下美人☆ | 2005年10月28日 (金) 23:29

じゃん・けん・ぽん・やったね!……ってヤツですよね。懐かしいなぁ。月下さんって、ひょっとして私と同年代の方でしょうか。

お察しの通り、エントリのテーマ選びには細心の注意を払っています。それさえウマいこといけば、本文なんか、どげんだっちゃよかとです。(半分ホント)

修論、ガンバです! って、私に応援されなくても頑張るでしょうけど。家族法がテーマなんですよね。

投稿: みそしる | 2005年10月29日 (土) 23:57

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