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2006年1月28日 (土)

疑わしきは「法曹三者の連携」

『裁判員制度では冤罪増える…』 埼玉弁護士会の冊子 地裁が配布認めず(東京新聞)

 一般の方300名が集まった「裁判員制度 全国フォーラムin埼玉」だそうです。裁判所が主催し、弁護士会が後援。建物の6階がそのフォーラムの会場だったのですが、1階入り口で、弁護士会が作成した冊子を配っていたようなのです。しかし、裁判所側に冊子の配布を止められたと。

 冊子の題名は疑わしきは被告人の利益に 裁判員となる市民のみなさんへ」。裁判員制度の導入で冤罪が増えることを懸念し「裁判員は、検察官の主張に疑問を感じる時は無罪の判断を」と訴えている。  
 弁護士会によると、昨年十一月中旬、会場内で冊子を配布することを地裁に打診したが「会場でこの内容の冊子を配られると、裁判所の意図が誤解される」という理由で断られたという。

 弁護士会が作成したという冊子の内容は、このブログで私がさんざん書いてきたことと重なるようです。

 「司法への市民参加」は結構だけれども、そういった普通の人の生活感覚・感情は、丸のまま裁判所に持ち込まれても、あんまり効果は期待できないのではないか、と考えています。一般の皆さんの感覚なり意見なりは、やはり、刑事司法ルールの文脈に乗せられた形で表明されていないと、法曹界に対して十分なインパクトを与えきれません。
 そして、主権者からの容赦ないインパクトに耐えてこそ、今まで検察官が几帳面につくりだしてきた、有罪率99%後半という『精密司法』が、本当に精密だったことが明らかとなるのであり、そこで初めて、わが国の捜査・訴追手法の優秀さが立証されるのです。

 なので、最低限の刑事司法ルールである「疑わしきは被告人の利益に」というスローガンを、あらためて一般に浸透させようとする埼玉弁護士会の試みは、とても有意義だと思います。

 ただ、それがいかに有意義であろうと、主催者からNGが出ているにもかかわらず、開きなおって確信犯的に冊子を撒く姿勢には賛同しにくいです。どうして、フォーラム会場前でそんな無茶な振る舞いをしなければならなかったのでしょう。弁護士会がフォーラムを後援している立場ならば、そのプログラム中に「疑わしきは……」についてのレクチャーを組み込むよう要請するなど、もっと真っ正面から切り込めたはずです。裁判員制度の実現には、裁判所・検察庁・弁護士会の連携が必要だったんじゃなかったのでしょうか。

 同弁護士会によると「会場でこの内容の冊子を配られると、裁判所の意図が誤解される」と言われたそうですが、本当にそれを額面通り受け取っていいものなんでしょうか。「公判前整理手続き」や「期日間整理手続き」など、裁判員制度を冤罪回避よりも「迅速化」の手段として活用しようとしている裁判所の意図が、しだいに見え始めている昨今。しかし、そうはいっても、さすがに「疑わしきは被告人の利益に」との理念に対して異論を出すとは思えません。

 裁判所が気に入らなかったのは、冊子の内容というより、おそらく配り方だと思われます。憲法の教科書にいう「内容中立規制」ってヤツです。

 地裁は「事実関係の認識で違っているところがある。弁護士会と話し合いたい」としている。

 ケンカは結構ですが、仲良くケンカしてくださいね。お願いします。

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2006年1月27日 (金)

高いところからすいません

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 たとえ、気に入らない裁判官であっても、開廷と閉廷の際には、起立と礼の儀式は欠かさないでいただきたいものです。

 別に裁判官個人を嫌っていてもいいんです。その立場に敬意を払うことが、背後にある司法システムを尊重することにつながります。

 小学校で学級崩壊が起きて授業が成立しなくなったり、全国の成人式で、わけわからんパッパラパーが出没するのも、その親たちが「立場を敬う」ということを教えていないからではないでしょうか。

 あ、描きかけてた「ロボ弁護士」のこと忘れてました。(笑)
 ……ま、いっか。

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2006年1月24日 (火)

ライブドア弁護団「最初の一手」

 皆さんご存じの通り、堀江前社長はじめ、ライブドア社の幹部4名が昨夜逮捕され、まもなく勾留手続きに切り替わります。「逮捕」から「勾留」と呼び名が変わっても、結局は東京拘置所の中に閉じこめていることには変わりありません。

 このニュースに対し、世論は「同情・がんばって派」と「爽快・ザマーミロ派」に、大きく二分されているようですね。私は、既存の価値観をひっかきまわすライブドアの勇気は大好きですし、何も価値を生み出さずに儲けようとするライブドアの姿勢は大嫌いです。

 氷点下の独居房で寝泊まり。広さは3畳といいますから、我が住まいの半分ということになります。この「ヒルズ貴族」たちの見事なまでの転落ぶりに「ザマーミロ派」はカタルシスを覚えるわけです。しかし、決して忘れてはならないのは、「逮捕・勾留は刑罰ではない」という厳然たる事実です。当たり前ですよね。判決が確定するまでは、彼らはあくまで「疑いを掛けられた者」にすぎません。東京地検に刑罰権があってたまるもんですか。

◆ 刑事訴訟法 第60条(勾留の要件)
 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一(※ひとつ)にあたるときは、これを勾留することができる。
  一  被告人が定まつた住居を有しないとき。
  二  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  三  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

 

 お分かりでしょうか。逮捕や勾留は、被疑者に対するオシオキではありません。以上の3つの条件にあてはまらなければ、身柄を拘束する必要なしとして、誰が何と言おうと釈放されるルールです。

 世間的には、逮捕・起訴・裁判がセットのように捉えられているかもしれません。しかし、あくまで無罪が推定されている身なのですから、本来は自由であるべきです。マスコミは犯人を決めつけなければ商売にならんのでしょうが、法律上は決めつけちゃマズいのです。

 あくまで、書類送検・在宅起訴が本来の姿で、逮捕は「証拠を隠すおそれ」「逃げるおそれ」などがある場合に、仕方なく行う例外的措置です。

 堀江さんは、六本木の家賃225万円の部屋にお住まいなのが明らかですし、すでに家宅捜索で物的証拠をゴッソリ持って行かれた後なので、罪証隠滅したくてもできない。どこかに逃げたくても、全国の子供からお年寄りにまで面が割れているのだから、逃亡しようがありません。勾留の要件は満たしませんね。

 とすれば、ライブドア弁護団が講ずるべき措置で、もっとも現実的なものとしてあがるのが「保釈請求」でしょう。保釈とは、被疑者が「取られたら痛いなぁ」と感じる額を裁判所が設定して、それを保証金として預かり、もし逃亡や証拠隠滅をしたら保証金を没収する、という条件で釈放する制度です。

 そのうち、裁判所が、堀江氏はじめ被疑者たちに要求する保釈保証金の額に注目が集まりそうです。いちおう「月収の3ヶ月ぶん」という結婚指輪の宣伝みたいな目安があるようですが、どうなりますやら。ちなみに、保釈保証金の日本記録は、住専事件がらみでの15億円とのこと。さて、ライブドアは日本一になれるのでしょうか。


(注)コメント欄でご指摘いただきましたが、まず保釈よりも先に「準抗告」で、逮捕・勾留に異議を申し立てることが考えられます。保釈は起訴された後(マスコミが「容疑者」から「被告」と言い換える頃)ですから、あと1ヶ月ぐらい先の話でしょうか。ウソを書いてすみませんでした。 ……でも、準抗告よりは保釈のほうが「現実的」なのは確かかも(見苦しいイイワケ)。



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2006年1月23日 (月)

明日、メルマガ復刊です!

 ただいま休刊中のメルマガですが、それでも私宛てに「相互紹介(相互広告)をしましょう」という、メルマガ発行者の方からの申し出を、しばしばメールでいただきます。そのたびに「そろそろメルマガを復刊させたいなぁ。でも、面白いモノを仕上げようとすると、どうしても時間が足りないし……」と、悶々とするわけです。

 どうすれば、ネタに困らないかを考えた末に、思いついたのが……!

 今までやってきたように、マスコミから流れるニュースについて、手を替え品を替えで解説を加えるのもいいけれども、30歳で偉そうに「高みの見物」もないもんですよね。やはり自分の目で耳で確かめたことを率直に書くのが、物書きの基本。なにより、そのほうが面白いし、楽しい。

 ということで、復刊に際して、内容を完全リニューアルさせることに決めました。今後は【裁判傍聴メルマガ】として方向性を切り替えてお送りします。近いうちに、タイトルを「東京地裁つまみぐい」に変更するよう、まぐまぐさんに申請しようかなと。

 さぁ、明日は早起きだ。9時に霞ヶ関の東京地裁! 間に合うか? 9時40分から、ある損害賠償訴訟の傍聴券をめぐり、さっそくパソコン抽選が行われます。 地球のみんな! オラにクジ運をわけてくれ!(2回目)

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 ワイドショーの裁判ニュースでのチョイ解説でおなじみ、板倉教授による刑法の解説本です。2色刷・イラストつきで親しみやすい見た目。ひとつの項目が見開き2ページで揃えられているので、文章も端的で、検索のしやすさもバツグンです。

 ただ、ポップなイラストに似つかわしくなく、刑法学の難解な専門用語が、そのまんま使われていることから、あまり一般向けではないような……。学者先生という立場上、おそらく、わかりやすさよりも正確さを優先させてのことでしょう。
 ご専門が法律以外で、かつ、抽象概念に強い方が、「刑法や犯罪について、体系的にザックリ知りたい」という場合ならば、真っ先に推薦したい良書です。

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2006年1月22日 (日)

登録商標になれなかった「草加せんべい」

草加せんべい、偽物許さず(朝日新聞)

 そんなブランドせんべいを食べるような身分でない私が、どうこう書く話ではないでしょうが、ま、あれこれ書いてみることにいたします。

 商標(ブランド)って、なかなか面白い世界です。日本では、文字や図形など、視覚的な目印のみしか許されませんが、国によっては、音やニオイなども立派な商標として通用したりします
 たしかに、ただよってきたニオイで、「あっ、あの店のポークカレー!」という認識をすることもあるでしょうが、そんなボンヤリしたものを法律で保護しようってんですから、ちょっと不思議な感覚です。国民の嗅覚が発達したワンワン王国ならありうるでしょうか。 なんだ、ワンワン王国って。

 ただ、創作した瞬間に発生する著作権などと違って、商標は、わざわざ特許庁に登録しないと権利を持てないことになっています。めでたく登録商標として認められれば、まぎらわしい商標を勝手に騙るニセモノに対して、差し止めや損害賠償を求める強力なチカラ(商標権)が備わるのですが……。

◆ 商標法 第3条(登録商標の要件)

1 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

 一  その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
 二  その商品又は役務について慣用されている商標
 三  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
 四  ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
 五  極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
 六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

 『草加』が、3号にいう「産地、販売地」に該当するのでしょう。埼玉県草加市ですね。そして『せんべい』が1号の「その商品の普通名称」にあたるということだと思われます。

 草加に住んでいるせんべい屋が、自分の商品を「草加せんべい」と名付けるのは、当たり前の発想で、このような一般名詞の組み合わせは、強力な商標権を認めるほどの保護に値しないという事情があるのかもしれません。
 それに、地域の名前が付いているなら、無条件に、その地元を代表する商品だという有利なイメージが付着するでしょうから、草加のせんべい屋なら誰だって「草加せんべい」を名乗りたいと願うはずです。だとしたら、一般名詞の組み合わせを、たった一業者のみに認めるのは、不公平感がぬぐいきれません。

 というふうに考えてみると、「地域名+商品名」の商標登録は原則ダメ、とする特許庁の運用は、ある種合理的です。ただ、この商標法3条には、2項で例外が設けられているのです。これがよくわかりません。

2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

 たとえば「西陣織」や「夕張メロン」は、消費者がその名前を聞いたときに具体的なイメージが浮かぶので、一般名詞の組み合わせでも例外的に商標登録できるのだそうです。しかし、「草加せんべい」は、そこまでの知名度がないと。だから、文字単独での登録が認められてこなかったようなのです。

 でも、九州人の私、草加せんべいは、前から知っとったばい。

  1. 文字のみの登録商標
     西陣織、夕張メロン、前沢牛、佐賀牛、笹野彫,信州味噌,三輪素麺,佐賀海苔、宇都宮餃子,富士宮やきそば,中房温泉
  2. 図形やデザイン化された文字、または他の名称と組み合わせて使用する商標登録
     桐生織,大島紬,久米島紬,八重山上布,東京染小紋,加賀繍,京くみひも,有田焼,岩谷堂箪笥,駿河竹千筋細工,井波彫刻,名古屋仏壇,京仏壇,川辺仏壇,大館曲げわっぱ、幌加内そば,山形牛,仙台牛,浜名湖うなぎ,三ケ日みかん,宇治茶,壬生菜,伏見とうがらし,関あじ,関さば、稲庭うどん,仙台みそ,草加せんべい小田原蒲鉾,島原手延素麺,信州そば

 ……うーむ、全国的な知名度につき、(1)のグループのほうが(2)よりも高いと、本当に言い切れるでしょうか。

 そもそも、草加市内の、あるひとつのせんべい屋にだけ「草加せんべい」を名乗らせる、その狭い領域での不公平感だけで語られるべき時代ではないでしょう。最初に商標法が公布された当時に想定されていたであろう「近所のせんべい屋同士の対立」という問題をすでに超えているのです。
 記事中にもありますように、異国のせんべいまで、袋にデカデカと「草加せんべい」と書き始めているそうでして、そういう外部の者がブランドの信用にタダ乗りする不利益のほうが、はるかに深刻となっているのです。だから、「せんべい組合」として、地域が誇るブランドの法的保護に向け、一丸となって動いているのでしょう。

 4月に商標法が改正され、近隣都道府県レベルの知名度があれば、一般名詞のみの組み合わせでも登録を認める方向になるのだそうです。 別に「白い恋人」や「萩の月」のような、洗練されたフレーズばかりでなくてもいいじゃないですか。地元の特産品は特産品らしく、郷土の名前を冠に付ける。骨太で素晴らしいことだと思います。

◇ 商標法 第7条の2(地域団体商標)※2006年4月1日施行
1 事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(※中略)又はこれに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であつて、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第三条の規定(同条第一項第一号又は第二号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。
 一  地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
 二  地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
 三  地域の名称及び自己若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務の普通名称又はこれらを表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字並びに商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字であつて、普通に用いられる方法で表示するもののみからなる商標
2 前項において「地域の名称」とは、自己若しくはその構成員が商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている商品の産地若しくは役務の提供の場所その他これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域の名称又はその略称をいう。(※以下略)

 あー、せんべい食いたくなってきた。

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2006年1月21日 (土)

ついに見えたり! 裁判員制度の意義

裁判員制度の障害知りたい 最高裁、初の大規模調査(共同通信)

 だからぁ……、まだわかっていただけてないのでしょうか。つい3年前まで国民の司法参加に猛反対していた最高裁の皆さん。

 “障害”を知りたがってる場合じゃありません。裁判員制度を実施するにあたっての、明確な“メリット”さえ打ち出せば、多少の障害があっても参加しようと覚悟する国民はいるのです。

 「日本人にこびりつく“お上意識”を払拭し、ひとりひとりの国民が主権者として、統治に主体的に関与していかねば」というのが、裁判員制度導入の理由なんだそうです。要するに、裁判員制度が国民に支持されないのを、“お上意識”から脱しない国民の責任に転嫁しようとしているんですね。とんだ言いがかりです。
 なにが「統治主体意識」ですか。偉そうに。なんで主権者が裁判所に説教されにゃいかんのですか。

 おそらく、裁判員制度の意義について、最高裁もボンヤリとしか把握できてないのでしょう。だから、国民に対して「とにかく参加せぇよ。参加せにゃあ、主権者失格じゃ」と逆ギレしてごまかすしかないのです。

 意義も不明なモノに、誰が参加したがりますか。店の商品が売れないのを、客のせいにする店主がどこにいますか。ちゃんと、司法制度改革の目玉商品「裁判員制度」のメリットを説明してくださいよ。

■ 裁判員制度で、堂々と会社を休めます

 あの部長のニヤけた顔にガマンならなくなったら、ぜひ法廷へ! 裁判員法の後ろ盾があるので安心です。部長もお上には逆らえません。

 

■ 裁判員制度で、ブログのアクセスアップ!

 裁判員の仕事は貴重な体験。その感想や裏話を書き込めば、あなたのブログが注目を浴びること間違いなし! でも、守秘義務違反に気を付けて。

 

■ 裁判員制度は、お肌に張りと潤いを与えます

 自分の判断で、目の前にいる被告人の、今後の人生を左右してしまう……。その緊張感がカラダの内側から作用し、あのときの若々しさ、見違えるほどの美しさを取り戻します。

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 この年に「笑い飯」のふたりが見せてくれたネタは最高でした。彼らが2003年に惜しくも優勝を逃してしまったのは、本当に痛かったですね。観ている側は、「あの“民俗博物館”以上のネタを!」と、期待値のハードルが上がりっぱなしなので、最近の笑い飯は、ちょっと気の毒ではあります。

 ちなみに2月19日は「第4回R-1ぐらんぷり」です。フジテレビ系列で16:05から放送予定。

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2006年1月20日 (金)

「公平」には、2種類ある?

 たとえば、ここに1個のケーキがあるとします。

 切り分ける前の、円形のやつを想像していただければわかりやすいかと思います。おいしそうですね。

 太郎と次郎が、これからこのケーキを食べます。ふたりとも甘党で、特にこのケーキが大好きです。さぁ、2つに切り分けてください。双方が納得するように。


 太郎「えーと、半分、半分……。このへんやな」


 太郎は、何のためらいもなく、ケーキにナイフを通し入れました。しかし、そこにすかさず横からクレームが付きます。

 次郎「こっちのほうが、イチゴが1個多いじゃないか」


 そのクレームを受けて、太郎は、そのイチゴ1個を半分に切ります。

 次郎「オマエ、切り方ヘッタクソやな。絶対これ半分じゃなかろうが」

 太郎「やかましいわ。じゃあ、オマエがイチゴ切ってみろや」

 次郎「よし、ちょっと貸してみ」

 太郎「……あーあぁ、これじゃダメやろ」

 次郎「なんでや! どこが!?」

 太郎「ちょっと見てみぃ。赤々と熟してウマいとこが、こっちのほうが多い」

 次郎「だいたい、このケーキも、ちゃんと半分に切れとるかぁ? これ、中心からズレとらんか?」

 太郎「ズレとらんわ! よしんば仮にズレていたとしても、こっちの側に生クリームの乗っている量が若干偏っておるから、その偏りを事前に計算に入れたまでだ」

 次郎「ハイハイ、じゃあ、百歩譲って、生クリームはそれでいいとしようや。ただ、スポンジ部分が平等に切り分けられていない点を、どう説明してくれる?」

 太郎「……なら、こっちのスポンジ、ちょっと削るわ」

 次郎「はぁ?」

 太郎「それで、削ったカケラをこっちに移せば、文句なかろう」

 次郎「コラ、そんなとこに乗せんなよ。 もう…… あきれる。ザツな仕事やぜ、まったく」

 「公平」な切り分けを、目分量で済ませてお茶を濁そうとするから、こうやってモメるのです。彼らが戸棚の奥から、モノサシやハカリを引っぱり出してくるのは、時間の問題でしょう。

 場合によっては、ノギスやレーザー精密計測機器を用いて、「ケーキの半分こ」という客観的真実に迫ろうとします。これを「理数系・自然科学的アプローチ」と呼ぶことにしましょう。
 司法の世界でも、近年、DNA鑑定や音声鑑定、ポリグラフや各種監視カメラ、遺体の肌から指紋を採取する技術など、このアプローチに関する話題は花盛りです。


 では、一方で「文科系・社会科学的アプローチ」とは何でしょうか。われわれ文系の連中は、人間に着目します。いくら道具の性能が優秀でも、その道具を使う人間によって結果が変わりうる……、この現実に強い関心を示す傾向があるのです。面倒なので、あえてそう決めつけます。

 どんなに「客観的立場」を装いたいと思ったところで、どうしても人間は、意識的にせよ無意識にせよ、自分が得する方向に結果を動かしたがるクセが拭いきれないんですよね。
 そこで「自分勝手にトクしようとしたら、結果、ソンをするんだぜ」という仕組みを作りました。この発想が、法律というものの原点にあるんじゃないかと思うのです。ひょっとしたら、経済学・マーケットなどにも当てはまるかもしれません。
 

 この「ケーキを公平に切り分ける」という命題の場合、まず、

 「ひとりが切り分けて、もうひとりが好きなほうを選択する」

 ……こういう「手続法」を構築することが考えられます。もし、切り分け担当の人間が、「オレだけトクしたい」と考えて、明らかにいびつな切り方をしたならば、もうひとりが大きいほうのケーキを選ぶまでです。切り分け担当者は、結果として小さいほうを取らされてソンしますよね。

 この手続法は、一見よくできたシステムです。しかし、そんなシステムをかいくぐってでもトクをしたいと考える輩はいるものです。
 たとえば、ふたりのうち片方が、人一倍の腕力を持っていたりして、事実上の立場の差がある場合、もうひとりに対して有形無形の圧力をかけることによって、ゆがんだ切り分け方や選び方をさせて、ケーキを多くぶんどろうとするかもしれません。これでは、せっかくのシステムが台なしです。

 そこで、

 「相手から圧力をかけられたら、そのケーキナイフで腹を刺してよい」

 という決まりごとをつくりましょう。このペナルティを許すことによって、お互いのチカラの格差が埋まっていくことも期待され、再び手続法が機能し始めます。

 他方、ちゃんと平等に分けられたように見えても、実は片方のケーキの中に大量のイチゴや生クリームがビッシリ埋め込まれていたり、逆に中が空洞にされていたりという不正があってはたまりません。
 そのときは、ケーキの分け前につき利害関係のない第三者が、キッチリ不正を取り締まりましょう。同時に、その第三者がケーキを切り分けて、「太郎はこれ。次郎はこれ」と、どちらを取らせるかまで決めてしまう場合もありえます。

 そうなれば、その公正であるべき第三者に、太郎や次郎がひそかに「袖の下」として、イチゴを2~3個ワイロとして渡し、その見返りとして、分け前につき便宜を図ってもらおうと企む可能性もあります。それはそれで、別個に取り締まらにゃならんでしょう。

 いずれにせよ、決まりごとを増やす方向性でしか「公平」を保てない社会は、悲しく、そして貧しいものだと私は思いますけどね。





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インターネットウミウシ

 きのうの「TVチャンピオン」クイズ作家王選手権で優勝した田中健一さんは、司法浪人からクイズ作家に転身なさったのだとのこと。それで、ゴールデンタイムの番組にクイズを提供できるって、すごいよなぁ。

 実際、田中さんが即興でつくったクイズも面白かったです。 これもすごいな、誰が名付けたんだか。インターネットウミウシ。(笑)

 どうすればなれるんだろう、クイズ作家。やっぱり「ウルトラクイズ優勝」という実績がモノをいう世界なのでしょうか。

 それでも、優勝時のコメントは「仕事ください」とのことでしたので、やっぱり生活が大変なんでしょうか。でも、どうせ苦労するなら、好きなことで苦労したいものです。

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 東京地裁の2つの食堂を比較したり、傍聴人の「ドレスコード」を図解したり……。近日中の裁判スケジュールを知る方法も公開! ここまで露骨に実用に徹した“裁判傍聴ガイド”があっただろうか。

 平日の昼間にもかかわらず、なぜか自由が利いてしまう、すべてのワケあり人間に捧ぐ。


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2006年1月16日 (月)

平成18年 六本木ヒルズの変

 ライブドア家宅捜索関連のニュース(Googleニュース)

 ホリエモンの まばたきの回数がますます増えてしまいそうな、衝撃的で、でもライブドアらしいニュースが飛び込んでまいりましたねぇ。

 おととし、ライブドアの関連会社が、ある出版社を株式交換(※買収したい企業の株主たちから株式をもらって、代わりに自社の株式をあげること。当座の現金が無くても企業買収が可能になる便利な制度で、1999年商法改正で日本に導入)によって傘下に入れたと発表されたのですが、実際には、その半年も前に、出版社の株主へ現金を渡しており、すでに「事実上の買収」が行われていたようなのです。

 とすれば、その買収した時期をズラし、事実と異なる内容を発表したことになります。

◆ 証券取引法 第158条(風説の流布、偽計、暴行、脅迫等の禁止)
 何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

◆ 証券取引法 第197条(罰則)
1 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 七 第157条、第158条、第159条第1項若しくは第2項(これらの規定を同条第4項及び第5項において準用する場合を含む。)又は同条第3項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

2 財産上の利益を得る目的で、前項第7号の罪を犯して有価証券等の相場を変動させ、又はくぎ付けし、固定し、若しくは安定させ、当該変動させ、又はくぎ付けし、固定し、若しくは安定させた相場により当該有価証券等に係る有価証券の売買その他の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等を行つた者は、5年以下の懲役及び3000万円以下の罰金に処する。

 

 たしか、産業廃棄物を勝手に山奥へ捨てる行為が、懲役5年以下 罰金1000万円以下ですから、そのような環境破壊に匹敵するほど重大な犯罪だと位置づけられているようです。

 この風説流布罪は、ただ単にウソの事実を世間に流しただけでは足りません。 158条をごらんください。たとえば株式は、ここにいう「有価証券」にあてはまるのですが、風説流布罪成立のためには、ウソ情報をアナウンスすることによって、そういう株式取引などで得をしよう、誰かを儲けさせようとする「目的」も必要なのです。これを「目的犯」といいます。

 ライブドア側が「ウソ」を発表したとき、ホリエモンたちに、そのような利益を得ようとする「目的」があったのかどうか、当時の心理状態を直接証明するのは極めて難しいことです。なので、物的証拠や証人などを集めて、客観的事実をもとに「目的」があったのかどうかを類推する作業が必要となるのです。おそらく、そのための家宅捜索なのだろうと思われます。

 ニュースによると「現金を渡していた」とは言ってますが、そのときに株券と引き替えにされたということは報じられていませんね。だとすれば、ライブドア側は、まだその出版社の新株主にはなっていなかった。簡単にいえば、「会社を“先払い”で買おうとした」ということになるのでしょうか……?

 民法の原則では、売り手の「売りたい」という気持ちと、買い手の「買いたい」という気持ちが合致した瞬間、早々に売買契約が成立し、商品の所有権も買い手に移ってしまいます。商品を実際に手渡すことも、現金を払うことも契約成立・所有権移転のためには不要です。
 ただし、株式は、ちょっと例外的な扱いになっています。

◆ 会社法 第128条(※現行)
1 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。(以下略)

◆ 商法 第205条(※2004年当時)
1 株式を譲渡すには株券を交付することを要す

 つまり、ライブドア側が出版社の株主となるには、つまり、出版社の持ち主としての地位を引き継ぎ、買収が完了するには、株主に現金を渡しただけでは足りず、株券を彼らから譲り受けることが必要なのです。(もっとも、「われわれライブドアグループが新しい株主だ」と出版社側に主張するためには、株主名簿の書き換えも求められますが)

 だから、少なくとも法律上、まだ買収は終わっていなかった。これはライブドア側の反論のひとつとしては成り立ちそうです。ただ、相手方企業の株主に現金を渡しているということは、「これから、この会社を買うぜぇ。そこんとこヨロシク」というアピールには違いないでしょう。それが「事実上」というキーワードが示す意味だと考えられます。
 まさか、ライブドアが恵まれない株主に愛の手を差し伸べたわけではなかろうと思いますから。そもそも、タダであげたんなら贈与税かかるでしょうし。

 私は証券取引法やM&Aに関しては、まるっきり素人でして、以上に書いたことは、あくまで基礎的な法律論から導いた推測にすぎません。間違いがありましたら、遠慮なくご指摘ください。私まで「風説の流布」をしていたら困りますから。

 そもそも、水面下で実質的な買収が進んでいた事実をあえて隠すことによって、株式相場にはどんな影響が出てくるんでしょうか。ライブドアになにか得があるんでしょうか。なかなかイメージが持ちにくいところではあります。

 むしろ、ライブドア得意の忍法「株式分身の術」など、風説流布以外の要因が複合的にからむことによって株価が高騰したようにも思えます。なので、この強制捜査は、ヒルズ住人の虚業体質にメスを入れる点で歓迎したい一方、なんとなく違和感もあるんです。

 昨年騒がれた、ライブドア社によるニッポン放送株の大量取得ですが、あれも「法律上」と「事実上」の食い違いが争点でした。法の抜け道を見つけたければ、そういう「法律と現実のズレ」を意識的に観察していくのが基本中の基本です。

 株式をたくさん買い付けるときは、不平等な結果にならないよう、みんなに公開しながら行うことになっています。これを株式公開買い付け(TOB)と呼びます。ニッポン放送との主従関係を逆転させるために、証券取引法にのっとり、同社の株式をオープンに買い付けていた最中だったフジテレビ。
 しかし、ホリエモンはTOB期間中、朝ちょっと早起きして、午前9時より前に、東京証券取引所の時間外買い付けシステム(トストネット1)をコンピュータ上で行い、数百億円を注ぎ込んでニッポン放送株を大量取得しました。

 トストネットは、株主ひとりひとりと交渉して契約を結ぶわけではなく、公共の株式市場を介して行われる取り引きには違いありません。ただ、「時間外」にコソッと買い付けたという印象は否定できず、当時、世間の非難を浴びました。
 たしかに、法律上はギリギリセーフなのかもしれませんが、証券取引法の立法趣旨に反していた。つまり、このTOB制度をつくった人たちの「フェアで気持ちのいい資本主義社会を実現させたい」という願い・祈りに背く行為だったのではないでしょうか。
 



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2006年1月13日 (金)

あけましておめでとうございます

060112sexy2

 
 
 そうです。私は欲求不満です。

 1ヶ月近く更新を止めておいて、復帰早々ギリギリなネタを持ってくる、こんなブログですが、今年もよろしくお願いします。

 次回の4コマは、新シリーズ「ロボ弁護士」をお送りする予定です。現在、下書きだけ出来ております。

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