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2006年1月28日 (土)

疑わしきは「法曹三者の連携」

『裁判員制度では冤罪増える…』 埼玉弁護士会の冊子 地裁が配布認めず(東京新聞)

 一般の方300名が集まった「裁判員制度 全国フォーラムin埼玉」だそうです。裁判所が主催し、弁護士会が後援。建物の6階がそのフォーラムの会場だったのですが、1階入り口で、弁護士会が作成した冊子を配っていたようなのです。しかし、裁判所側に冊子の配布を止められたと。

 冊子の題名は疑わしきは被告人の利益に 裁判員となる市民のみなさんへ」。裁判員制度の導入で冤罪が増えることを懸念し「裁判員は、検察官の主張に疑問を感じる時は無罪の判断を」と訴えている。  
 弁護士会によると、昨年十一月中旬、会場内で冊子を配布することを地裁に打診したが「会場でこの内容の冊子を配られると、裁判所の意図が誤解される」という理由で断られたという。

 弁護士会が作成したという冊子の内容は、このブログで私がさんざん書いてきたことと重なるようです。

 「司法への市民参加」は結構だけれども、そういった普通の人の生活感覚・感情は、丸のまま裁判所に持ち込まれても、あんまり効果は期待できないのではないか、と考えています。一般の皆さんの感覚なり意見なりは、やはり、刑事司法ルールの文脈に乗せられた形で表明されていないと、法曹界に対して十分なインパクトを与えきれません。
 そして、主権者からの容赦ないインパクトに耐えてこそ、今まで検察官が几帳面につくりだしてきた、有罪率99%後半という『精密司法』が、本当に精密だったことが明らかとなるのであり、そこで初めて、わが国の捜査・訴追手法の優秀さが立証されるのです。

 なので、最低限の刑事司法ルールである「疑わしきは被告人の利益に」というスローガンを、あらためて一般に浸透させようとする埼玉弁護士会の試みは、とても有意義だと思います。

 ただ、それがいかに有意義であろうと、主催者からNGが出ているにもかかわらず、開きなおって確信犯的に冊子を撒く姿勢には賛同しにくいです。どうして、フォーラム会場前でそんな無茶な振る舞いをしなければならなかったのでしょう。弁護士会がフォーラムを後援している立場ならば、そのプログラム中に「疑わしきは……」についてのレクチャーを組み込むよう要請するなど、もっと真っ正面から切り込めたはずです。裁判員制度の実現には、裁判所・検察庁・弁護士会の連携が必要だったんじゃなかったのでしょうか。

 同弁護士会によると「会場でこの内容の冊子を配られると、裁判所の意図が誤解される」と言われたそうですが、本当にそれを額面通り受け取っていいものなんでしょうか。「公判前整理手続き」や「期日間整理手続き」など、裁判員制度を冤罪回避よりも「迅速化」の手段として活用しようとしている裁判所の意図が、しだいに見え始めている昨今。しかし、そうはいっても、さすがに「疑わしきは被告人の利益に」との理念に対して異論を出すとは思えません。

 裁判所が気に入らなかったのは、冊子の内容というより、おそらく配り方だと思われます。憲法の教科書にいう「内容中立規制」ってヤツです。

 地裁は「事実関係の認識で違っているところがある。弁護士会と話し合いたい」としている。

 ケンカは結構ですが、仲良くケンカしてくださいね。お願いします。

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