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2006年4月 4日 (火)

医師曰く「エイズ患者は早く死ね」

 神戸市長田区役所の医師で部長級の男性職員(57)が昨年11月、同区の市立中学校で生徒にエイズに関する講義をした際、「エイズになれば、自覚症状がないまま他人にうつす恐れがあるので、(患者は)早く死んでしまえばいい」などと発言していたことが分かった。
 市は31日、誤った発言で生徒に著しいショックを与えたとして、この職員を減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にしたと発表した。
 市によると、職員は昨年11月22日、エイズ問題の理解を促す出張授業で生徒約110人を前に講師を務めた際に発言した。(毎日新聞)2006年04月01日

 いやぁ、ショッキングです。 なにがショッキングかというと、「エイズの患者がいなくなれば、エイズは解決する」という考えの浅さにです。 だって、エイズが発症するまでに、何年もHIVウイルスが体内に潜伏するから怖いわけでしょう?

 あんまり、HIVをナメちゃいけないんじゃないですか。

 「自覚症状が無いまま他人にうつす恐れがある」……まぁ、残念な現実ですが、それはそうかもしれません。 ただ、そこからどうして「だから早く死ねよ」という結論に至るのか。その両者の間に、どういう論理の架橋をすれば意味が通じてくるんでしょうかね。

 また、その場にいた中学生は、どんな顔して聞けばよかったのか、さぞ戸惑ったでしょう。 心が痛みます。 こんな講演でも、終わったら拍手をする義務があるのかどうか考えたでしょう。

 あ、わかりました。 つまり、この医者は、「早く死ね」という発言の悪影響について自覚症状が無いまま、その悪影響を聞き手に伝染させようとしておるわけですね。
 

 ただ、関西では「死ね」という言葉も、ツッコミの一種にまで意味あいが希釈される場合もあるみたいですよね。 ……だとしたら、ひとりツッコミですか。

 

◆ エイズ予防法 第4条(医師の責務)
 医師は、エイズの予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力し、その予防に寄与するように努めなければならない。

 
 問題は、HIVキャリアの皆さんが、まだエイズの症状を自覚していない段階だけにはとどまりません。 検査によって陽性という結果が判明したらしたで、それで「自分は死ぬんだ」と自暴自棄になってしまい、不特定多数の相手を誘って性交渉に及んでしまう……という話だってありますよね。

 だからこそ、この脅威のウイルスに正面から挑んで、「不治の病であるエイズの治療法」あるいは「寿命が尽きるまでHIVを潜伏させたまま封じ込めておく方法」を、なんとしても確立することが最重要命題になるわけです。 ただ、エイズは感染症ですから、平行して「一般向けの広報」といった地道な活動も、「予防」のために必要となります。

 「なぜ感染するのか」 「どんな病気なのか」 「どうすれば広まらなくなるのか」……などについて、皆さんの理解を深めたり認識を改めたりする「ソフト面」での予防策です。

 特に、エイズという病気の場合は、性感染症という面だけをことさらに強調して「コンドームがどうのこうの」という話でお茶を濁すことなく、薬害エイズ問題についての説明もしっかり行われるべきであるのは、いまさらお医者様に言うまでもありませんね。

 「エイズ患者は、早く死ね」…… これも、エイズ予防法4条に定められた責務を彼なりにまっとうしようと努めた結果なのでしょうか。 極めてハードランディングな予防策ですけどね。

 なーんて。ウソです。 エイズ予防法は、とっくに廃止されているんですよ。1999年でしたっけ。 現行法はこっちです。


◆ 感染症予防法 第5条(医師等の責務)

 医師その他の医療関係者は、感染症の予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力し、その予防に寄与するよう努めるとともに、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。 

 

 それにしても、「区役所医師」って、何をする人なんですか?


((( 最近の とほほ失言集 )))

● 2006/03/23 杉浦正健 法務大臣
 参議院法務委員会で、近ごろの「変な裁判」の例として、小田急線の高架化事業について行政認可取り消しを命じた2001年の東京地裁判決(藤山雅行裁判長・上級審で取り消し)を挙げる。「そういう批判が国民の中にあるとの趣旨だった」と釈明。

● 2006/03/06 福井県議会 谷口忠応議員
 「警察による交通違反もみ消しは、立ち小便したようなもの。(退職しないよう)慰留すべきだった」と発言。 「法的に許されることではないが、同情すべきところがあったと思って発言した。失言だったかもしれない」と釈明。

● 2006/02/28 小坂憲次 文部科学大臣
 トリノ五輪フィギュアスケートの金メダリスト、荒川静香選手が文部科学省を訪問した際、「人の不幸を喜んじゃいけないけど、スルツカヤ選手がこけた時は喜びましたね」と発言。 後日「一部配慮に欠けた発言をしたことについては深く反省しており、荒川選手及びスルツカヤ選手に対しておわびを申し上げます」との談話を発表。

● 2005/10/18 日本経済新聞 関西版
 性的少数者の行うプライド・パレードを「ホモ祭り」と表現して、「ゲイジャパン・ニュース」など関係方面から苦情が殺到。 翌月、謝罪と訂正。

 

 ……微妙で難しいですね。もっと仲良くできないんですかね。

 「ゲイ」はセーフで「ホモ」はアウトなんですか? だったら、昔のとんねるずの「保毛尾田保毛男」や「ホモマン」のネタなんて、関係者全員で土下座と賠償もののような気もします。

 でも、保毛尾田さんは、男性を好きなことについて「あくまでウ・ワ・サ」とおっしゃってますので……、だからいいのか??

 

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 テレビのチャンネルをひねると、笑顔のカワイイお天気おねえさんが「このいいお天気も、残念ながら今日いっぱいなんです。明日からは下り坂に向かいます」と、元気に予報を伝えてくれました。そうかぁ、洗濯サボってたから、今日じゅうに済ませにゃいかんなぁ。ありがとう、お天気おねえさん。
 そんな私の感謝に応えて、彼女は「今日も元気に行ってらっしゃい!」と、送り出してくれました。ハイ、行ってきまーす。

 それにしても、「晴れ」イコール“いい天気”だと、誰が決めたんでしょう。「晴れのち曇り 所により一時雨」という予報をもって、すなわち“下り坂”だとも言い切れません。職業や趣味によっては、待望の「恵みの雨」だと捉える人もいるはずです。

 面白い新書ですよ。 そのうち、斎藤孝教授あたりが「仮説力」とか言い出しそうです。

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コメント

あくまで私見ですが、この医師は減給処分ではたりないと思います。行政機関の医師として、まず論外な知識不足(社会に有害なほどの過失)、人権への配慮が皆無(人格的レベルの問題すらある)。なので、クビにするのが正解と思います。

医学会の、感染症関連の学会や公衆衛生関連の学会なども、コメントを出して欲しいと思います。

投稿: yukky | 2006年4月 6日 (木) 10:12

コメントありがとうございます。

困りましたねぇ。あまりにもヒドいので、「本当に言ったのかなぁ」「毎日新聞さんが大げさに書きすぎてるんじゃないかな」とすら思えてきます。

ひょっとしたら、特定個人を名指しした暴言じゃないから、大したことないとも思っていそうです。

職を辞していただきたいものです。できれば医師免許も返上で。

投稿: みそしる | 2006年4月 7日 (金) 00:05

 みそしるさん初めまして、makikuniと申します。みそしるさんのブログおもしろくてためになります。さっそくブックマークさせて頂きました。
 「割り箸事件」のリンクをたどって参上して、この記事を見つけました。私は「元区役所医師」で、最近ある感染症に関する啓発活動のツールとしてブログを使い始めました。HIVに関する啓発活動にも従事しておりました。そんな私にとってこの記事は「嘘だと言って」状態です。4月1日付けの新聞記事だからといって四月馬鹿ネタではないんですよねぇ、う~ん。
>それにしても、「区役所医師」って、何をする人なんですか?
 みそしるさんのような人気サイトさんに初見参で宣伝のコメントして申し訳ないですが、私がブログで広報しているのも「区役所医師」時代の仕事です(現在は大学教員ですが)。医療・介護関係で働いてらっしゃる方には余り関係ない話題ですが、お暇でしたらどうぞお寄りください。

投稿: makikuni | 2006年4月17日 (月) 21:30

はじめまして。お医者さまに人気の「法治国家つまみぐい」管理人 みそしるでございます

まさか、区役所医師の経歴をおもちの方からコメントを頂戴できるとは。ネットって面白いですね。ありがとうございます。

makikuniさま はじめ、真面目に職責を果たしておられる方々にとっては、とんだトバッチリといいますか、迷惑な話ですよね。

先日、約1億円を横領したという元弁護士の裁判を観てまいりました。その被告人を弁護する弁護人もやりにくそうでしたし、「かつて同僚だった弁護士の信頼を失墜させて申し訳ない」という話もさんざん出てきていました。

この問題の医師も、どうにかして法廷に出てこないもんですかね。暴言吐こうが殊勝に振るまおうが、私が傍聴席で一語一句メモしてやるのに。

どうか、この逆境?にもめげず、地道な啓発活動が花開くことを、陰ながら応援しております。

投稿: みそしる | 2006年4月17日 (月) 23:08

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