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2006年4月19日 (水)

「ひ・み・つ」の検事さん

>>> 女性検事正、実年齢教えず「プライベートなこと」
 高松地検の川野辺充子検事正(60)が就任会見で年齢の公表を拒む一幕があり、杉浦正健法相は18日の閣議後会見で「世間では女性に年を聞くのはタブー。気持ちはよく分かる」と述べながら、「法務・検察幹部の年齢は公益性が高い情報。隠すことはない。オープンでいい」との認識を示した。
 12日の就任会見で記者から年齢と生年月日を聞かれた川野辺氏は「プライベートなことなので」「女性に年齢を聞くんですか。すごいですね」などと述べ、公表を拒んだ。法務省が発表した人事異動の資料でも、川野辺氏が公表に同意せず、当初は生年月日と出身大学が伏せられていた。一部記者の指摘後、これらの情報が記載された略歴が改めて配り直された。
 川野辺検事正は7日付で最高検検事から同地検検事正に就任した。過去に秋田地検検事正も務めており、二つの地検で検事正になったのは女性では初めて。(毎日新聞) - 2006年4月18日

 
 「検事正」なんて言われても、ピンと来ない方が大勢いらっしゃるかと思われますが、簡単に言えば、地検のトップです。 川野辺さんは、高松地方検察庁の、新しい「庁長」さんだと。
 

◆ 検察庁法 第9条(検事正)
1 各地方検察庁に検事正各1人を置き、1級の検事を以てこれに充てる。
2 検事正は、庁務を掌理し、且つ、その庁及びその庁の対応する裁判所の管轄区域内に在る区検察庁の職員を指揮監督する。

 

 「ねえねえ、いくつ? 歳?」

 『ちょっと、ダメだよ。 いきなり女に歳きくわけ?』

 
 ……何なんですか。 これは「就任会見」と銘打った合コンなのでしょうか。 楽しそうですね。

 だとすれば、隠されれば隠されるほど暴きたくなるし、ガードが堅ければ堅いほど燃えちゃう。 それが男ゴコロってもんです。

 結局、記者たちの「ジャーナリスト魂」に火をつけてしまい、あっさり60歳だとバレてしまいました。 年齢を黙秘して、せっかく「謎めいた存在」を演出したのに、かえって恥ずかしくないですかね。 これって。

 川野辺検事正は3月31日に60歳になったばかり。(朝日新聞

 いかがです? この、なんとも味わい深い書き方。

 忘れもしませんが、うちのおふくろが40歳の誕生日を迎える前日は、もう尋常でないほど機嫌が悪かったです。 口を開けばネガティブなことしか言わんし、夜にテレビ見てたら、出演してた若い女性タレントたちに対して、ブツブツ毒づきまくるし。 恐怖体験でした。

 記者の皆さんも、そんな女ゴコロに配慮して、もっと年齢の尋ね方を工夫しないと! 楽しく楽しくぅ。 合コンなんですから。

 まずは「好きな歌」や「好きな映画」などの話題をふって、そこから、検事正の大まかな年齢層を把握するのです。
 そしてすかさず「干支クイーズ! オレの干支、当ててみて?」「そうそう、ウサギ団! ぴょーん」などと、ダウンタウン松本さんのネタを借りながら、お互いの干支を言い合いつつ、どさくさにまぎれて川野辺さんが還暦であることを確定させる。

 

 川野辺さんも川野辺さんで、「プライベートなことなので」って断り方は堅すぎますよ。 なんかねぇ、検察官っぽいんですよ。

 事前に、公式資料にはご自分の年齢を載せないよう指示したっていうんですから、記者から年齢について質問が来る事ぐらい予想できたわけでしょ?

 だったら、たとえば「いくつに見えますか?」とか、笑顔で切りかえしておけばいいんですよ。 いかにも、油っこい中年オヤジたちがキャバクラで言ってそうなセリフですけど、女性が口にするなら、まだ許されるかな、と。

 そして、少し間を置いて「今年で還暦です」と静かに言っておけば、格好よろしいと思います。

 そこで記者団からのリアクションが、「おぉ!」となるか、「あー」となるか。 その辺は賭けでしょうけど。 いずれに転んでも、その現実は受け入れる必要があります。

 

【 初級編 】

─── 検事正、年齢がわからないのですが。

 川野辺 「あら、私がハタチに見えまして?」

 

【 中級編 】

─── 検事正、資料に年齢の記載がありませんが?

 川野辺 「空欄にしておきました。 あなたが思う年齢を書いてください」

 

【 上級編 】

─── 閣下、お歳は?

 川野辺 「10万60歳である。 ウヒヒフハハハハハハハ」

 

 なんだか「プライバシー」「個人情報」という言葉の意味が広がりすぎて、インフレを起こしているような印象の昨今ですよね。

 法務大臣のおっしゃるとおり、検察官という立場において、満年齢は「公的な情報」だと思います。 いつ定年退官の時期が来るのか知らせておく利益だって、少なからずあるでしょう。
 

◆ 検察庁法 第22条(定年)
 検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。

 

 ちょっといやらしい言い方かもしれませんけど、検察官は、相手のプライベート情報を握ることの威力や、握られることの意味を、誰よりも思い知っている人たちなのかもしれません。

 刑事裁判の冒頭陳述において、「身上経歴」と称して、無罪が推定されている被告人の出生地・学歴・職歴・前科前歴・家族構成・離婚歴などの情報をバンバン発表していくのは、他でもない検察官です。

 「氏名とともに生年月日とをセットで、被疑者個人を特定するのだよ。 もし、同姓同名の人間がいたら、ややこしいからね」

 それはそうかもしれません。 ただ、たとえば取り調べに先だって、相手の氏名や生年月日という「プライベートなこと」を一方的に把握している時点で、その関係性は、もはや対等ではなくなっているわけです。
 相手の個人情報は、自分たちが主導権を握るための道具。 そういった要素も2割3割方あるんじゃないですかね。 そのやり方がイケナイとは思いませんが、『年齢や出身大学を言いたがらない検事正』のルーツは、意外とその辺りにあるんじゃないかな、と。 考えすぎでしょうか。

 また、世間で人の評価は、多くの場合、年齢とセットになって語られるもののようですから、皆がその情報を知りたがるのは仕方がないと思います。
 「あの歳で もう?」とか「その歳で まだ?」だとか「年甲斐もなく」とか「もう少し先輩らしく」とか。個人的には、あんまり好きな言い回しではありませんけどね。
 

 この一件で、一躍 時の人となった、東京都出身で早稲田大学をご卒業の川野辺検事正。 初赴任となる香川の印象については、「瀬戸内海がきれいで、ゆったりした印象を受けている」と、コメントなさっているのことです。

 

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