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2006年4月17日 (月)

どのツラさげて来るのカナ?

足立修一(あだち・しゅういち)

昭和33(1958)年8月23日生まれ(47歳)

出身:兵庫県

広島弁護士会 所属
足立法律事務所

昭和58(1983)年 京都大学法学部卒
昭和63(1988)年 司法試験最終合格
平成3(1991)年 司法修習修了(43期)

((参考過去ログ))
最高裁ドタキャン弁護士 安田好弘さんの基礎知識(2006/03/24)

 

 明日は4月18日。 光市の母子殺害事件の上告審で、口頭弁論に弁護人2名が来なかったので、最高裁判所が「口頭弁論やりなおし」の期日として指定した日です。

 でもねぇ。 「準備不足」が理由で、前回出席しなかったそうですので、この1カ月かそこらで、裁判官たちの心証の悪さを逆転させて余りあるほどの準備を整えられるでしょうか。 どうせ来ないんでしょ?

 と思ってましたら、今日の夕方に会見し、「明日やっぱり来ようかな」だそうな。 そうスか。

 明日は、同じ時間帯に東京地裁で「ジャニーズJrストーカー女」の第2回公判が行われますし。 別に傍聴券が取れんでも惜しくは無いかな、というスタンスではおります。

 

◆ 刑事訴訟法 第289条(必要的弁護事件)
1 死刑、無期、もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁固に当たる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することができない。


 こちらが原則規定です。 厳重な法定刑が設定されている犯罪に関して裁判が行われる場合は、弁護人が就いていなければ、判決どころか裁判を始めることすらできないと。そういう手続きです。
 被告人の言い分が適切に聞き入れられないまま、裁判官や検察官といった、力を背景にしている人たちが寄ってたかって死刑などの重大決定をするようなことがあっちゃならん。 なので、被告人を守る専門家である弁護人を必ずつけましょう。 弁護人を雇う経済的余裕が被告人になければ、国で就けましょう、というわけです。

 なるほど、わかりますよね。 一般的・抽象的な議論としては。


◆ 刑事訴訟法 第341条
 被告人が陳述をせず、許可を受けないで退廷し、又は秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたときは、その陳述を聴かないで判決をすることができる。

 しかし、必要的弁護の裁判に弁護人がいなかった前回の口頭弁論。 ひとり孤独に法廷に立った最高検の検事さんは、「約束を守らない弁護人なんかほっといて、私どもの主張だけ聞いて結審してくださいよ」と、この341条の考え方を借りて、さきほど挙げました289条(必要的弁護)の例外を採用するよう主張しました。
 弁護人が欠かせない裁判で弁護人が法廷にいないという状況は、実質的には、被告人がいないのと似たようなものですよ、と。 特に、この上告審の口頭弁論には、もともと被告人は出てこないのだし、というわけです。

 しかし、最高裁の結論はそうではありませんでした。 いったん休廷し、5人の判事による審議の結果、「まぁ、検察の言うこともわかるけど、あと1回だけ待とうや」ということになったのです。

 せめてもの温情かもしれませんし、法の番人としての「余裕」を演出したかったのかもしれませんし。
 

◆ 弁護士職務基本規程 第46条 (刑事弁護の心構え)
 弁護士は、被疑者及び被告人の防御権が保障されていることにかんがみ、その権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努める。

 

 この「弁護人ドタキャン」騒動は、もはや、被告人の防御権がどうとか、弁護士倫理がどうとかいう問題を超えていると思います。

 神聖なる法廷をバカにした行為……? これでも言い足りません。 もっと肉感的なものです。

 被告人「フクダタカユキ」の身もフタもない露骨な私利私欲の毒牙にかかってしまった、本村さんの愛する奥さんとお子さん。 ふたりが最期に残した、傷と涙と無念さを、被告人による犯行の後ろから忍び寄って、再び平気で踏みにじったのです。 弁護士のクセに。

 じゃあ、そんな犠牲者の想いを捨て石にしてでも、クライアントたる被告人を守り抜こうとするのかと思えば、先月は、口頭弁論をすっぽかし、被告人をほったらかす始末。 この弁護人たちは、いったい何がやりたいわけ?  教えて! 偉いひと!

 足立修一センセイ。 どうやら電子工学の分野で同姓同名の学者さんがいらっしゃるようですね。 その方の功績が輝かしすぎて、なんとも調査をつけにくいですが、交通規制や公共事業に関して、法律の専門雑誌に寄稿されてるようです。読んでませんけど。

 山口県の事件ですので、地元の広島から就いたのでしょうが、弁護人として1審や2審を担当していたのかどうかは不明です。 これだけの大事件ですから、弁護人として担当したならもっと名前が出ていてもいいかと思いますけどねぇ。

 奇しくも(?)、同志である安田弁護士と同じ出身地、兵庫県。

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コメント

今回の事件だけに限った事ではないのですが余りにも被害者側が無力だと感じ憤りを隠せません。基本的に勘違いが横行しています。マスコミ等の報道陣も仕事を離れたら皆同じ立場の人間です。これらを仕事で見るのではなく一人の人間として捉えるべきです。人間社会の基本は人を殺めたら自らの命で補う。この図式が基本です。何が少年の将来ですか!妻と僅か11ヶ月の余りにも幼い命を奪われた人の未来を奪っておいて平然と生き延びれる社会の構図。これがおかしいのです。その構図を作ったのは死刑反対、無期懲役などの愚作以外他に無い。

投稿: 藤本雅史 | 2006年4月18日 (火) 16:29

 こんにちは。ときどき楽しく拝見してます。
 
 ところで、ご指摘の判例は、「裁判所が弁護人出頭のために方策を尽くしたにも関わらず、『被告人が』弁護人の出頭を妨げるなどして公判審理ができない状態を生じさせ、その事態の解消がきわめて困難な場合には・・・」と言っています。被告人が弁護人の弁護を受ける権利を放棄したといえる場合を指しているのではないでしょうか。とすれば、今回のケースはこれに当たりませんよね。

 途中に挿入された「『元少年』被告人 勾留中書簡より抜粋」には一体何の意味があるのでしょうか。被告人の性格の悪辣さは制度の適正な運用とは無関係だと思います。
 

投稿: 原理原則 | 2006年4月18日 (火) 17:01

>藤本雅史さま

はじめまして。その憤りには、私も共感できるところが多分にございます。
私が学生時代から周囲の友人たちに言っているのは「少年法もいいけど、他人を殺しといて『保護』はなかろう」と。誤解を恐れずに書けば「人を殺す力を持ってれば一人前だ」と、そう考えております。

今日は、傍聴希望者が前回の倍近く集まっておりまして、傍聴券競争率「3倍」という過酷な現実の前に力尽きてしまいました。どうやら佐木隆三先生も落選なさった模様で残念そうでした。


>原理原則さま

コメントありがとうございます。
まず、最初のご指摘ですが、深く考えずに判例をコピー・ペーストした、完全なる私の間違いです。失礼いたしました。
3月14日の傍聴録を読み返しましたところ、検事は「341条類推」を主張しておられました。本文も訂正いたします。

「被告人の書簡」についての引用は、原理原則さまの目から見れば、唐突だったのかもしれません。適切な制度の運用について、なんらかの形で支える論拠として使えるわけではありませんからね。
しかし、論拠にならないものはすべて無関係なのでしょうか。

投稿: みそしる | 2006年4月18日 (火) 18:50

横レス失礼いたします
みっきともうしますいつも見させていただいてます<(_ _)>
論拠にならないものは全て無関係なのでしょうかとのお答えに疑問が湧いたので少々愚見を述べさせていただくと
あの友人への書簡の引用のおく位置が悪かったように思います。
あれでは見る人に悪印象のイメージ操作ととられてもしかたありません。
実際僕はそうとりました。
確かに引用してはいけないことではありませんが、せめて「だからといって」などの
引用後の微量のふぉろーがあればよかったかなと思います

投稿: みっき | 2006年4月19日 (水) 00:45

>みっき さま

はじめまして。

なるほど。印象操作ですか。そんなものを残しておくわけにはいきませんので、さきほど該当箇所を削除いたしました。

たしかに、だいぶスッキリしましたね。簡単に修正できるブログで助かりました。

腹が立つときほど、もっと冷静に書かなくてはいけませんね。そうでないと、かえって切れ味が悪くなることを学びました。反省です。


原理原則さん、みっきさん、ご指摘ありがとうございました。

投稿: みそしる | 2006年4月19日 (水) 01:37

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ライフワークの仕事のために本業をすっぽかしOK、とな…。 が、「死刑廃止」という信念のために犯罪被害者のご遺族、 また法廷を愚弄することが司法の常識になってもらっては困る、 と思いますので。やはり法手続きは、結果がどうあれ整然と。 どう見ても、前回のやり方は「..... [続きを読む]

受信: 2006年4月18日 (火) 22:52

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