定期点検で危険性を見ぬけたはず → 敗訴 → そんなら点検しねぇよ
>>>「奥入瀬落木訴訟への影響懸念」 林野庁、安全点検に不参加
青森県十和田市の奥入瀬渓流で2003年8月に起きた落木事故をめぐって、4月7日に出た東京地裁判決を受け、林野庁が急きょ安全点検パトロールへの参加を見送った。同庁が毎年点検に参加していたことをとらえ「危険性を認識していた」との地裁判断に対し、裁判闘争を重視した対応とみられている。関係者からは「本末転倒」「大人げない」との声が上がっている。
(※中略)落木被害に遭った女性(41)の弁護を担当した御器谷修弁護士は「林野庁の対応は非常識で許せない。国民の安全を第一に考える視点が欠落している。次に被害者が出たら、どう責任をとるのだろう」と憤っている。(河北新報) - 5月1日
((参考過去ログ))
注目の判決スケジュール 【4月第2週】
「もっと努力していれば、制限時間内に答えられたはず」
↓
[不合格]
↓
「もう2度とやるか! 試験と名のつくものは一生受けん!」
林野庁の態度は、まるで司法試験に7回失敗して、ヤケを起こしたときの私みたいです。 オトナげないですね。
青森・秋田・岩手の3県にまたがる「十和田八幡平」国立公園。 その中でも「奥入瀬(おいらせ)渓流」は、年間50万人が訪れる人気の観光スポットとして知られます。 そのような大切な観光資源について“安全点検パトロール”が実施されるのは、冬は積雪のため通行禁止ということもあってか、毎年、この大型連休直前の時期なのだそうです。
参加メンバーは、
- 林野庁の森林管理署
- 環境省
- 青森県
- 十和田市の教育委員会
どうして、各方面からお役人が集結してくるのか。 その原因は、責任関係の複雑さにあるようですね。
- 奥入瀬渓流周辺 … 林野庁の所有
- うち遊歩道部分 … 青森県が林野庁から借り受け
- うち特別保護地区 … 環境省
- うち重要文化財や天然記念物 … 地元の教育委員会
なので、行政機関が一堂に会する年1度のパトロールは、公園に関する各方面の情報を共有する上で重要な機会だといえます。
かといって、これらの保護地域について、法律は何と言っているかというと、国民に向けて「いじるな触るな近寄るな」の一辺倒なんですよね。
管理者による実地調査というのも「ちゃんと形状が維持されているかどうか」をみる目的でして、安全性の点検については、法律で義務づけられているわけではないようです。 少なくとも私は、そういった規定を見つけることはできませんでした。
この自主的な合同パトロール、今年は4月26日に行われることが決まっていたようなのです。 しかし、先の国家賠償訴訟での、1億4000万円支払い命令を受けて、林野庁がいきなりの「ドタキャン」。
仕方なく、当日に残りのメンバーで点検したわけですが、人通りの多い遊歩道の周辺に限っただけでも、倒木や落枝が13カ所で確認されたそうです。 中には、根元から折れ、道をふさいでいる倒木も。
どう見たって不可欠ですよ、この安全点検は。 しっかりやってもらわないと困ります。
いつもは、林野庁の指示に従って、青森県の職員が協力して倒木などを撤去するのですが、林野庁不在の今年は、自分たちの判断で、自力で動かせるものをすでに撤去してしまったのだそう。
また、青森県は、毎年5月の中旬から下旬にかけても、独自に「危険木調査」を行っているそうで、その姿勢には敬意を表します。 県は「危険木調査には、ぜひ林野庁にも同行してほしい」とコメントしているそうです。
「今度こそ来いよ、待ってるぞ」と。 まるで、最高裁のアノ弁論期日を見ているようです。 彼らが訴訟戦略(のつもり)で姿を現さなかったところも似てますし。
林野庁の担当者さん、あの判決で、東京地裁は「安全性を点検するな」と言ったわけではないんですよ。 「もっとしっかり点検してくれ」「点検結果を尊重してくれ」と行政にお願いしたのです。
まぁ、そんなことは知ったうえでドタキャンしたんでしょうけど。
そういえば、東京都心の「都立 林試の森公園」をめぐる行政訴訟で、7月に最高裁弁論が行われるそうです。 この「林試」とは、何を隠そう、林野庁の林業試験場の略。
かつて、この林試の森公園の敷地を拡張する計画が持ち上がったそうなのです。 それは結構なのですが、官舎のある周辺の国有地は見て見ぬフリしておきながら、先に民有地に立ち退きを求めてきたということで、怒った住民が司法に訴えました。 上告審の弁論があるということは、住民側の逆転勝訴の可能性も高まります。
ザ・林野庁…… なかなか人騒がせな存在みたいですね。覚えておきます。
◆ 自然公園法 第14条(特別保護地区)
1 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。
3 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。(※中略)
一 前条第3項第1号から第6号まで、第8号、第9号、第12号及び第13号に掲げる行為(※工作物の新設や増築、木竹の伐採、鉱物の掘採、川や湖の水位改変や排水、広告物の設置、埋め立てや干拓、土地の開墾、設備の色彩変更、指定区域内の立ち入り)
二 木竹を損傷すること。
三 木竹を植栽すること。
四 家畜を放牧すること。
五 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
六 火入れ又はたき火をすること。
七 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
八 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
九 道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十 前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
◆ 自然公園法 第50条(実地調査)
1 環境大臣は国立公園若しくは国定公園の指定、公園計画の決定若しくは公園事業の執行又は国立公園の公園事業の決定に関し、(※中略)実地調査のため必要があるときは、それぞれ当該職員をして、他人の土地に立ち入らせ、標識を設置させ、測量させ、又は実地調査の障害となる木竹若しくは垣、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。ただし、道路法 その他他の法律に実地調査に関する規定があるときは、当該規定の定めるところによる。
◆ 文化財保護法 第55条(保存のための調査)
文化庁長官は、次の各号の一に該当する場合において、前条の報告によつてもなお重要文化財に関する状況を確認することができず、かつ、その確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当たる者を定め、その所在する場所に立ち入つてその現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき実地調査をさせることができる。
1.重要文化財に関し現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為につき許可の申請があつたとき。
2.重要文化財がき損しているとき又はその現状若しくは所在の場所につき変更があつたとき。
3.重要文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られる虞のあるとき。
4.特別の事情によりあらためて国宝又は重要文化財としての価値を鑑査する必要があるとき。
◆ 文化財保護法 第131条(保存のための調査)
文化庁長官は、次の各号のいずれかに該当する場合において、前条の報告によつてもなお史跡名勝天然記念物に関する状況を確認することができず、かつ、その確認のため他に方法がないと認めるときは、調査に当たる者を定め、その所在する土地又はその隣接地に立ち入つてその現状又は管理、復旧若しくは環境保全の状況につき実地調査及び土地の発掘、障害物の除却その他調査のため必要な措置をさせることができる。ただし、当該土地の所有者、占有者その他の関係者に対し、著しい損害を及ぼすおそれのある措置は、させてはならない。
1.史跡名勝天然記念物に関する現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可の申請があつたとき。
2.史跡名勝天然記念物がき損し、又は衰亡しているとき。
3.史跡名勝天然記念物が滅失し、き損し、衰亡し、又は盗み取られるおそれのあるとき。
4.特別の事情によりあらためて特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物としての価値を調査する必要があるとき。
◆ 文化財保護法 第184条(都道府県又は市の教育委員会が処理する事務)
次に掲げる文化庁長官の権限に属する事務の全部又は一部は、政令で定めるところにより、都道府県又は市の教育委員会が行うこととすることができる。
5.第54条(第86条及び第172条第5項で準用する場合を含む。)、第55条、第130条(第172条第5項で準用する場合を含む。)又は第131条の規定による調査又は調査のため必要な措置の施行
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