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2006年8月10日 (木)

迷惑駐輪だけじゃない! … 容赦なきチャリンコ取り締まりが始まった

 先週の土曜日、板橋の花火大会がありましたけどねぇ。 人ごみが苦手で、一緒に行く相手も特におらぬ私は、仕事先からサッサと家路についておりました。

 ドン  ドドン

 遠くで花火の炸裂する音を聞きながら。 身体全体で感じながら。

 
 すると前方に、なにやらペチャクチャ話しこみ、2人乗りでノロノロと自転車を走らせている、若い男女のつがいを発見。

 男は、会話に夢中なのか、単に脚力が無いのか、自転車を左右にふらつかせながらペダルを漕いでいます。 そして、後部座席の女は、可愛らしい浴衣姿。 「ちょっと花火見えるね。ここからでも」とかなんとか言っておるようです。

 

 くっそー!!  キサマら、ジャマじゃあぁぁあぁ!!

 チンタラ走っとんな! 危なかろうが、タコ!
 

 ちっくしょーー!   うらやましい。  楽しそう。

 

>>> 自転車2人乗り許さない 警告無視の高校生を書類送致へ
 仙台南署は8日、道交法違反の疑いで、自転車を2人乗りした宮城県仙台市太白区の高校1年の女子生徒(15)を任意で事情聴取した。署員の警告を聞き入れないで乗り続けたのは悪質と判断、同容疑で仙台家裁に異例の書類送致する。
 調べでは、同日午後3時50分ごろ、太白区中田町の市道で、同級生の柴田町の女子生徒(16)と自転車を2人乗りした疑い。
 パトカーでパトロール中の署員が、対向してきた2人乗りの自転車を見つけた。マイクで2度警告したが、無視したため、Uターンして自転車を止め、近くの交番で事情を聴いた。2人は「まさか追いかけてくるとは思わなかった」と話したという。
 南署は「県内で自転車の事故が増えている。マナー違反の自転車は、今後も厳しく取り締まる」と話している。(河北新報) - 8月9日

 

 私が自転車の2人乗りを許せなかったのは、単なるジェラシー。 愛に飢えていることが原因ですが、客観的に見ても、2人乗りは、れっきとした法律違反ですよね。

 そのへんは、明確にしておく必要があります。 人気バンド「ゆず」のデビュー曲「夏色」に、キミをチャリンコの後ろに乗っけて、坂道を下りて、どうのこうの、という歌詞がありますが、それは爽やかな違法行為です。

 曲調の爽やかさで、煙に巻いているだけで、拠って立つ世界観としては「盗んだバイク」の尾崎ユタカと同系列といえるでしょう。 ファンの皆さん、ごめんなさい。 でも本当のことなんです。

 どうしても、自転車の後ろに愛しの彼女を乗せたきゃ、私有地でやってください。
 

 ……と、こんなことを私が書けば、単なるやっかみにしか見えませんよね。 ま、実際、やっかみなんですけど。
 

 クルマの免許を取るときには、教習所で叩きこまれますが、自転車だって「車両(軽車両)」に該当します。 なので、公道を走れば道路交通法の適用を受けます。

 おそらく、2人乗りで自転車を漕いで「青春」していた女子高生には、警察官から「赤キップ」が切られたのでしょう。
 

 じつを申しますと、チャリンコでの交通違反のほうが、クルマでの交通違反よりも扱いが厳しくならざるをえません。

 というのは、自転車には運転免許制度が無いからです。

 警察官に交通違反行為を目撃されて、口頭での注意で済めばいいですが、キップを切られてしまう場合が問題です。

 自転車での交通違反に「青キップ(反則金=行政罰)はありません。 自転車に免許が無い以上、違反点数の引きようがないですし。

 自転車の2人乗りには「黄色キップ(警告)か、いきなり裁判所のお世話になる「赤キップ(罰金)が切られることになります。 この扱いは、制度上しかたのないことなのかもしれません。

 

◆ 道路交通法 第57条(乗車又は積載の制限等)
2 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。

◆ 道路交通法 第121条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。
  7.第57条(乗車又は積載の制限等)第2項(※中略)の規定に基づく公安委員会の定めに違反した者

 
 

 ……ということなんですが、自転車に、どんな状態なら何人乗って構わないのか、各都道府県の公安委員会によって、規定のしかたがビミョーに違うようなんです。 なので、個別に見ていく必要があります。

 
 

◆ 宮城県 道路交通規則 第11条
2 法第57条第2項の規定による軽車両の乗車人員(※中略)は、次の各号の定めるところによる。

 (1) 乗車人員は、二輪又は三輪の自転車(以下「自転車」という。)にあっては運転者以外の者を(※中略)乗車させてはならない。ただし、自転車に乗車する場合において、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

  ア 16歳以上の運転者が、幼児(6歳未満の者をいう。)1人を幼児用座席に乗車させる場合
  イ 16歳以上の運転者が、4歳未満の者1人をひも等を使用して確実に背負っている場合
  ウ 道路法第48条の7に規定する自転車専用道路において、その乗車装置に応じた人員を乗車させる場合
  エ 他人の需要に応じ、有償で、自転車を使用して旅客を運送する事業に関し、当該事業に従事する者が、1人又は2人の者をその乗車装置に応じて乗車させる場合

 
 

 サドルに乗って漕いでいた彼女は、15歳だということでしたね。

 もし16歳以上だったなら、同規則11条2項1号に基づき、「後ろに乗ってるのは、あたしの娘です! 今年で5歳です!」と言い張って、後ろの女子高生が指をくわえながら「おかあちゃーん、おなかすいたー」と泣きわめく作戦を遂行して、なんとか切り抜けられる……わけねーやろ。

 

 大阪府では、昨年、自転車の交通違反者に7万2604枚の黄色キップを交付し、18枚の赤キップ(うち1人を逮捕)を切り、さらに書類送検に必要な用紙の書式を、より簡単なものに変えるなど、徹底したチャリンコ取り締まりをしたところ、自転車が絡む死亡事故が、年間62人から49人に減少したのだそうです。

 こうして一定の結果が出されている以上は、自転車の交通違反に対する取り締まりを徹底する動きは、ますます加速していくのでしょうか。

 

 自転車を利用する私たちが、勘違いしやすいのが、「自転車は歩道を走行しちゃダメ」ということでしょうかね。 違反すると、通行区分違反ということで、最高なんと懲役3ヶ月です。

 

◆ 道路交通法 第17条(通行区分)
1 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第47条第3項若しくは第48条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。

◆ 道路交通法 第119条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
 2の2.第17条(通行区分)第1項から第4項まで若しくは第6項(※中略)の規定の違反となるような行為をした者

 

◆ 道路交通法 第17条の2(軽車両の路側帯通行)
1 軽車両は、前条第1項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。
2 前項の場合において、軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。

◆ 道路交通法 第121条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。
 5.第17条の2(軽車両の路側帯通行)第2項(※中略)の規定の違反となるような行為をした者

 

 というわけですから、自転車で車道を走行していて、後ろからクラクションを鳴らされたとしても、「オマエのほうが間違っとんだよ」と、毅然とした態度をとって構わないことになっています。

 たしかに、すれ違いざまに自転車と接触して転んだお年寄りが、亡くなられた不幸な事故も過去にはあったり、自転車がスピードを上げて、歩行者の脇を突っ切るなどすれば、たしかに危ないのです。 「自転車は歩道を通るべからず」と定める、この条文の言わんとしているところは理解できます。

 とはいっても、クルマの交通量が尋常でなかったりで、自転車に車道や路側帯をチンタラ走られるほうが、どう考えたって危険きわまりないだろう、と思われる一帯は、たくさんありますけどねぇ。 地方都市でも駅前などは、数メートルの幅が確保されて、車道より1段上げられキレイに舗装された歩道が整備されています。

 昔のように、ガードレールで仕切られているだけの、人がすれ違うのもギリギリという歩道ばかりが一般的ではないんです。 17条の、こういう規定のしかたは、もはや実情に合わなくなってきているように思うのですが。

 なんとかしてくださいよ、国会さん。

 

 また、自転車に乗りながら、イアホンやヘッドホンを装着して音楽やラジオ等を聴いている人を見かけることがあります。おそらく「クルマを運転しながらカーステレオを聴いていいんだから、自転車を漕ぎつつ iPodを聴いても構わんだろう」という判断に立脚しているのでしょう。

 しかし、気をつけないと、道路交通法に基づいて各都道府県が定めた細則を根拠に、取り締まりを受けてしまうこともありえます。

 

◆ 道路交通法 第71条(運転者の遵守事項)
 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
  6.前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項

◆ 東京都 道路交通規則 第8条
 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
 3 高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホーン等を使用するときは、この限りでない。

 

 調べてみると、全国18都道県で、このような禁止規定があるようです。 でも、大阪府には見当たらないと。 本気で自転車事故を減らしたければ、大阪府も規則を改正して、同じような決まりを導入してもいいと思いますけどね。

 じつは私も、自転車を漕ぎながらラジオを聴いたりします。 そのこと自体は別に悪いことでもないんです。 条文をよく読んでいただければおわかりの通り、周りの音や警察官からの警告が聞こえないほどボリュームを一杯に上げて聴くことが、最高5万円の罰金が科される違法行為となります。

 ただ、大音量で聴いているかどうかは、傍目にはわかりませんよね。 なので、両耳に付けるタイプのイアホンを使用して自転車に乗っているときは、警察官の職務質問を受けたとしても文句は言えません。 なお、耳全体をふさぐような形状の、マジなヘッドホンだと、ほぼ間違いなくアウトでしょうね。

 安全のためにも、せめて耳は片側空けておきましょうね。

 

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コメント

2人乗りって、確かに危ないけれど、ほほえましい光景という気もします。
私はしませんけどね。体力がないから。女性の車の助手席に乗せてもらうほうが好きです。

私がよく通る歩道では、自転車が通っても良いとの標識が、うまいこと立っています。
それでも、歩行者が通っているときには、できるだけ譲るようにしています。

というのも、たいてい幼児さんか、児童さんか、生徒さんか、お年寄りで、動きが予測できないからです。

もっと言うと、できるだけ歩道を通らないようにして、一本離れた生活道路を通ります。
それはそれで迷惑行為かもしれませんけどね(^_^;)

イヤホンが違反になるかもしれないとは初耳です。困りました。音楽大好きですからねえ。できるだけ小さい音で聴いているつもりなのだけど。
片側のイヤホンなら大丈夫ですか。なるほど。参考にします。

ところで、自転車で違反しても、点数は減らされないんですね。私は、免許証を身分証としてしか使いませんから、あまり実感わきませんけども…。

いずれにしても、自転車での事故も多いみたいですから、取締り云々はともかくとして、安全運転を心がけたいと思います。

投稿: 絶坊主 | 2006年8月10日 (木) 23:16

毎度コメントありがとうございます。

そうなんです。クルマの運転免許を持っている人が、自転車で交通違反をしても、免許の点数には影響ありません。

でも、自転車の交通違反では、いきなり罰金の前科が付いてしまう場合もあります。どっちがいいかとなると、難しいところです。

 

このブログを、皆さんの生活に役立て、参考にしていただくのはありがたいですが、「片側のイアホンなら大丈夫」というのは、あくまで、私の個人的な見解ですからね。

偉そうなことを言えば、法令うんぬん以前に、安全で円滑な交通に貢献するマナーの問題だという認識です。

また、イアホンの禁止規定が「周囲のエンジン音や警告の声を聞こえるようにしておく」という趣旨なら、もし取り締まりを受けた場合でも、片側の耳を空けている状態が、警官に対する反論ネタのひとつには十分なりえます。

ただ、絶対ではありません。 たとえモノラルでも、非常識なほどの大音量で聴いていたらダメかもしれません。

万が一「オマエの言うとおり、モノラルのイアホンをしてたのに、捕まって罰金取られたぞ」と言う方がいらっしゃった場合、その被害に対して私は責任とれませんので悪しからず。

もちろん、「ごめんなさい」ぐらいは申し上げますけど。

 
なお、現在、愛知県(名古屋)に、自転車走行中のイアホン禁止規定は存在しません。ご安心を。 >絶坊主さん

投稿: みそしる | 2006年8月12日 (土) 00:08

私が書き込んだイヤホン云々の話は、脱法行為のようで、ちょっと不道徳でしたね。申し訳ありません。

仰るとおり、法令がどうであれ、周囲の方々に迷惑をかけないように努めなければなりませんね。
イヤホン禁止規定がないからといって安心しないで、この機会に自分の運転を見直してみます。

ところで、自転車に子どもを乗せることまで、道路交通法で定められているとは驚きました。生活感溢れてて好感を持ちました。
自分に子どもができたら、できるだけ早めに、自転車の乗り方を教えようと思いました。

投稿: 絶坊主 | 2006年8月12日 (土) 17:04

まぁ、歩道を自転車で通行するのも違法行為ということになっていますから、自転車では多かれ少なかれ、みんなが法的に怪しいことをやっていることになります。

だいたい、おまわりさんもパトロールと称して、チャリで歩道の上を疾走してらっしゃいますし。 どうなんでしょうかね。

自転車に乗りながら、私も知らないうちに、見たことも聞いたこともないような罪をおかしているかもしれません。

「あれも、これもダメかもしれない」と深刻に考えてビクビク萎縮するよりは、事故を起こさない、他人に迷惑をかけないなど、実際の配慮を怠らないほうが大切かと思います。

子どもの乗せ方の規定も、各都道府県によって、微妙に違うんですよ。本文で紹介した宮城県では、背負って乗せていい子どもは「4歳未満」になってますけど、東京はたしか「6歳未満」でした。

そんな差に、どこまで合理性があるのかわかりませんけどね。

投稿: みそしる | 2006年8月12日 (土) 22:56

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