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2006年8月 1日 (火)

新勢力! 歩く暴走族

【北の事件ファイル】
>>> バイクに乗らない「徒歩暴走族」
 札幌西署は今月、札幌市内の無職の少女(16)と女子高校生(15)を傷害の疑いで逮捕した。 2人は6月24日午後8時半ごろ、石狩支庁管内の女子中学生(13)と一緒に、同市内の友人宅で、顔見知りの同市西区の女子高校生(17)の顔を殴るけるなどして、12日間のケガをさせたという。
 2人は、派手な刺繍(ししゅう)が入った特攻服を着て、大声を出しながら街を闊歩(かっぽ)する「徒歩暴走族」のメンバー。 10代の少女が集まるグループにいる。  2006年07月27日(マイタウン朝日)

 ぬぉぉ! 歩く暴走族!!   すっげぇ、斬新です。

 街をふらふら練り歩いて、大声を張り上げながら、人や物に危害を加えるのでは、夜中の酔っぱらいと見分けが付きませんので、服装で区別するようにしたんですか。 賢いお嬢さん方です。

 彼女たちは、まさしく、やたら突起物の多い単車のシートから舞い降りた天使。 地球環境に優しい、エコな悪ガキたち。

 歩いているのに「暴走」とは、これいかに。 ……きっと、生きざまが暴走しているってことなんでしょうね。 

 

 徒歩暴走族とはそもそも、積雪のためバイクや車に乗ることができない冬場でも、暴走族が勢力を誇示するためにやり出した手法。 ただ、そのうち、バイクや車に乗らず、もっぱら歩くだけのグループも出始めた。 (同上)

 雪が積もったから、バイクに乗れませんだと?

 ……あのなぁ、 ドサンコなら、もっと根性見せろや。 除雪車でも改造すりゃ、吹雪の中だろうが問題なく走れるやろうもん。

 ふざけるんなら、もっと真面目にふざけてください。

 

 札幌市内には数団体。 狸小路や大通り周辺に現れる。運転免許証を取ることができない年齢の少年少女たちも参加してくるそうだ。 (同上)

 たぶん、運転免許を取れる年齢かどうかは、あんまり関係ないようにも思えます。 その気になれば、盗んだバイクにまたがって、走り出すこともできる。 それが、自由になれた気がした15の夜です。

 

 道は03年、暴走族の根絶に関する条例を制定した。 ただ徒歩暴走族は車両による暴走はしないので、この条例では摘発できないという。 (同上)

 
◆ 北海道暴走族の根絶等に関する条例 第2条 (定義)

 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 

  (1) 暴走族 暴走行為をすることを目的として結成された集団をいう。

  (2) 暴走行為 次に掲げる行為をいう。
    ア  道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第68条(※共同危険行為の禁止)の規定に違反する行為又は共同して2台以上の自動車等を連ねて通行させ、若しくは並進させる場合において、法第7条(※信号に従う義務)、第17条(※通行区分)、第22条第1項(※最高速度)、第55条第1項若しくは第2項(乗車に係る部分に限る。)(※乗車に関する方法)、第57条第1項(乗車に係る部分に限る。)(※乗車の制限等)若しくは第62条(※整備不良車両の運転禁止)の規定に違反して運転する行為(※以下略)

 

 ついつい、条例の中に「自動車等」「運転」と書き入れてしまったがために、徒歩暴走族をみすみす取り逃がす結果になってしまいました。 取り締まりの網をかいくぐって、スタスタと歩き去っていった彼ら。 たいしたものです。

 その悪知恵は、北海道のお偉いさんの想定を超えているんですね。

 どうしても、「徒歩暴走行為」を取り締まり、彼ら彼女らを逮捕・補導したいのだとしたら、以下の条文を適用できる可能性はありそうですが。

  

◆ 刑法 第208条の3(凶器準備集合及び結集)
1 2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、3年以下の懲役に処する。

 

 刑法には、こういう規定もあるんですけど、もし、徒歩暴走族が“手ぶら”で活動しているとなると、この凶器準備集合罪も無力です。

  

◆ 刑法 第106条(騒乱)
 多衆で集合して暴行又は脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
  1.首謀者は、1年以上10年以下の懲役又は禁錮に処する。
  2.他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
  3.付和随行した者は、10万円以下の罰金に処する。

  

 ますますマニアックな条文、騒乱罪です。

 一見するとイケそうなのですが、この刑法106条にいう「多衆」とは、「一地方における公共の平和、静謐を害するに足る暴行・脅迫をなすに適当な多人数」であるというのが判例です。

 もともとは、デモ行進とか、いろんな反対運動などがエスカレートしないようにするための規定ですからね。 「何百人」とか、そういうオーダーでの大騒ぎを想定している犯罪類型なのです。

 

◆ 暴力行為等処罰ニ関スル法律 第1条
 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法第二百八条(※暴行)、第二百二十二条(※脅迫)又ハ第二百六十一条(※器物損壊)ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

 

 行きつくところ、この法律が、一番適用しやすそうではありますね。 唯一の弱点は、カタカナ条文のため、読む気が失せることです。

 いずれにしても、「徒歩暴走行為」そのものを処罰することは難しそうな印象。 彼らの天下は当分の間、安泰なのでしょうか。

 
 

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 いわゆる「ポスト小泉」争いが本格化してくる、この時期だからこそ改めて考えておきたい。

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本日の乱暴者」カテゴリの記事

コメント

族だって 不況で単車が 買えません

そうじゃなかったですね。雪でしたね。

族だって 自然の脅威に びびります

いずれにしても、大声を出すわけだから、迷惑行為には違いないですね。

それから、警察庁のホームページには「暴力団の後ろ盾を得ているグループが多く」と書いてありますから、暴走族をきっかけに暴力団と関係するようになるかもしれません。単なる迷惑行為や暴力行為では済まないでしょうね。

ところで、「暴力行為等の処罰に関する法律」であれば、親を驚かせるに十分な罰金ですから、見せしめ…じゃなくて、一般予防も期待できると思いました。
親が金持ちだったり、子供の非行を諦めていたりしたら、あまり効果ないのだけど。

彼女たちが大声で歩く動機は何でしょう?
ムシャクシャするからでしょうか。大人に反抗したいからでしょうか。
青春はムシャクシャするものですからねえ。大人に反抗したくなるものですからねえ。

大人への犯行の態度として、「食料の供給を海外に依存するなんてシャラクセエ!」などと言って、農耕を始めたら偉いのになあ。
えっ? 「お前がやれよ」ですって?
それは失礼いたしました↓

いつも面白いニュースを見つけてこられますね。いつも驚かされます。
これからも楽しみにしております。

投稿: 絶坊主 | 2006年8月 3日 (木) 21:45

たぶん、親が「放任」しているから、子どもは歯止めを失って、こうなっちゃうのでしょう。

「子どもの意思を尊重して自由に」というと聞こえはいいですが、その親のホンネが「あきらめた」「かかわりたくない」「めんどくさい」ということだと、そういう空気を子どもは敏感に察知するのかもしれません。

ひとりでも、子どもの行動や考えに、しつこくコミットする大人が周囲にいたら、状況は少しでも変わるのかなぁ、と思います。

 

メジャーなニュースの中に埋もれた、全国各地のアンポンタンな事件は、本当にたくさんあります。 ブログのネタにするのが全然追いつかないほどで、私は、法律を絡めて書きやすいものから順に書いているだけです。

絶坊主さん、よかったら2,3個さしあげましょうか?(笑)

投稿: みそしる | 2006年8月 3日 (木) 23:32

なるほど。周囲の大人が、だらしなかったり、力不足だったり、子どもがしらける原因となっているかもしれませんね。
もちろん、それぞれ違う事情はあるでしょうし、親子の相性が悪い場合もあるのでしょう。

私は、地裁や簡裁で小さな刑事事件を見ますから、普段は大きなニュースと接するように心がけています。
だけど、このエントリーを読んで、これからは小さいニュースにも注目したい、と思うようになりました。

ネタは尽きないようですね。楽しみにしています。

法律に絡めて面白く書くとなると色々ご苦労もあるでしょう。私にはちょっと真似できません。新聞報道の情報量は少ないですからね。

私はやっぱり裁判傍聴が一番楽です。簡単に多くの情報が手に入りますからね。
ま、取材の方法としては卑怯だと思いますけども。捜査機関や弁護人が足を使って集めた情報をエアコンの効いた部屋でメモできるのですから。
しかも、誰も知らない事件ですから、文章がひどくても、ホームページの競争相手はいません。

とはいえ、読むだけだったら、いくらでも読んでみたいと思います(^^)

投稿: 絶坊主 | 2006年8月 4日 (金) 14:20

最近は、郵便局に「銀行強盗だ!」と叫んで押し入り、局員に「え?」と聞き返されてしまった、おマヌケな強盗がいたようです。

このニュース、なんとも刑法に絡めにくいので、お蔵入りになってしまいそうです。ちょっともったいないので、なんとかしたいですが。
 

裁判傍聴で、面白い公判を探すほうが大変だと思いますよ。運も左右しますからね。

絶坊主さんが伝えてくださる傍聴録を、これからも一読者として楽しみにしております。


自前でニュースを発掘するのは難しいです。

今日、「身に覚えありません」と痴漢容疑を堂々と否認した被告人の、第2回公判があったんです。

「問題の“チカン冤罪”を、この目で確かめてやるっ!」と、気合を入れて傍聴に臨んだのに、なんと今日は一転「間違いありません」と認めちゃいましたからね。被告人。

ガッカリしましたよ。 何の変哲もない普通の痴漢裁判になってしまいました。

「いや、でも、まだ何かあるんじゃないか?」と最後まで粘って観つづけましたが、「ムラムラしてやった」「申し訳ない」「反省している」という、いつもの調子で終わってしまいました。

正直、時間がもったいなかったです。詳しくは、メールマガジンの次号で書こうと思います。

投稿: みそしる | 2006年8月 5日 (土) 00:57

北海道の冬をなめたらだめ。
バイクなんて走れん。
(突っ込みどころそこか。

投稿: nao | 2006年8月 7日 (月) 01:10

よくわかんないけど
その地方の条例つくればいいんじゃね?
そんな感じのタバコであったような気がするけど

投稿: fene | 2006年8月 7日 (月) 07:11

>naoさま

コメントありがとうございます。

私も北海道の冬はそれなりに大変かなぁと思いましたので、彼らに「改造除雪車」というものを提案してみました。

でも、族なら族らしく、「ハンパ」はやめてほしいですよね。雪が積もろうと、なだれが押し寄せようと、根性見せて愛車で爆走していただきたいですよ。

ワタ入りの特攻服を着込んでアイスバーンの上をずっこけたり、寒さでエンジンがかからないバイクを押して歩いたりしていれば、おまわりさんも、温かく見守ってお目こぼししてくれると思います。警察も鬼ではないでしょうから。
 

 
>feneさま

ご提案ありがとうございます。

おっしゃるとおり、ズバリ徒歩暴走行為をピンポイントに取り締まる条例をつくればいいのです。

しかし、そこに至るまでには数々の壁があるとも考えられます。

まず、「徒歩暴走行為」なるものを、言葉でどう定義するのか、という問題があります。「特攻服を着込んで、大声出しながら街の中を歩く行為」なら、さらに「特攻服」とは何なのかを定義しなければならないでしょう。

また、うまく定義しないと、普通の人が普通に散歩することまで処罰の対象になってしまいかねません。なので、条文の文言は慎重に検討する必要があります。

さらに、地方の条例で罰則を付ける場合には、法律での処罰とのバランスも考えなければいけません。詳しい話は割愛しますが、法律とのバランスを失すると、ヘタすれば条例が憲法違反として無効ともなりかねません。

とにかく、かなり面倒なのです。

もちろん、以上の技術的な点をクリアすることは、不可能ではないでしょう。

ただ、ガキどもの好き放題な振る舞いを、条例が後追いするような形になって、彼らとのいたちごっこに付き合わされるのはゴメンだ……、というのが、オトナたちのホンネなのかもしれませんけどね。

投稿: みそしる | 2006年8月 7日 (月) 22:32

なによりも「徒歩暴走族」という表現がひじょうに新鮮ですね。「暴徒」といえばスラム街の暴動のような「ああ、あんなのか」みんな馴染むのに。

最近は「暴走」する珍走団も少なくなった。法の目をかいくぐるため、スピード違反と信号無視は基本的にしない。
 そのかわり、極端な集団低速走行で交通を乱すか、青信号でも進まないとか。

「暴走」族は某漫画の影響などもあって「走り屋」としてカッコイイ人のイメージになっちゃったからね。

でも、暴走族が珍走団なら、徒歩暴走は○歩・・ですか?w
とてもニュースで連呼できませんねw

投稿: nana | 2006年8月 8日 (火) 07:34

>nanaさま

コメントありがとうございます。

低速走行・青信号でも進まないというのは、たしかに十分に交通を乱してくれる迷惑行為ですが、本人たちは何が楽しいんでしょうかね。

見とおしのいい公道で、みんなでスピードを出して爽快だ、というのは、気持ちはわかるんですけどね(やっちゃいかんけど)。

彼らも、もはや何が目的なのか、たしかなものが掴めなくなって、迷走しているんじゃないでしょうか。迷走族ですな。

 

そうです。 おっしゃるとおり、珍歩団の珍歩行為ですね!

あぁ、なんてハシタない。 交通事故の前に放送事故になってしまいそうです。

でも、「ちんほ」ならOKでしょうか?(笑)

投稿: みそしる | 2006年8月 9日 (水) 09:15

このエントリにつき、自己レスです。

みしっくさんのサイト( http://www.misick.org/ )で、暴力行為等処罰法よりも、北海道の迷惑防止条例の適用がふさわしい場面ではないか、というご指摘をいただきました。


◆ 北海道 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 第2条(粗暴行為(ぐれん隊行為)の禁止)
1 何人も、道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、次に掲げる行為をしてはならない。
  (1) 多数でうろつき、又はたむろして、通行人、入場者、乗客等の公衆に対し、いいがかりをつけ、すごむ等不安を覚えさせるような言動をすること。
(※以下略)

◆ 同条例 第11条(罰則)
1 第2条、第3条から第5条まで又は第7条から第9条の2までの規定のいずれかに違反した者は、10万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
2 常習として第2条から前条までの規定のいずれかに違反した者は、6月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

……たしかに、これが正解でしょうね。 みしっくさん、どうもありがとうございました。

投稿: みそしる | 2006年8月17日 (木) 05:42

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