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2006年11月29日 (水)

裁判所が認定した「サザエさん」

◆ 民事訴訟法 第179条(証明することを要しない事実)
 裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。

 「顕著な事実」とは、わざわざ当事者が証拠を提出して証明する必要がないほど、わかりきっている事実を意味します。裏を返せば、顕著な事実と認定されたことは、裁判所にとっての「当たり前」なのです。たとえば、

小売商業調整特別措置法違反被告事件
最高裁判所 昭和45年(あ)第23号
同47年11月22日大法廷判決

 近時の都市近郊のアパート、文化住宅、公団住宅等の急激な出現増加による人口密度の驚異的増加並びに戦後の副食の質量両面における需要の増大は、説明を要しない顕著な事実であり、

 

 まぁ、これはわかります。

 ところで、この「顕著な事実」がらみで、興味深いものを見つけてしまいましたので、ご紹介します。 著作権侵害行為への容赦なさから「日本のディズニー」とも恐れられる、長谷川町子ワールドの一件です。

 

著作物等使用差止、損害賠償請求事件
東京地方裁判所 昭和46年(ワ)第151号
昭和51年5月26日判決
原告 長谷川町子
被告 立川バス株式会社

 現に当裁判所に顕著な事実である漫画「サザエさん」の内容、すなわち次のとおりのものであつたと認められる。

 すなわち、漫画「サザエさん」には、その主役としてサザエさん、その弟のカツオ、妹のワカメ、夫のマスオ、父の波平、母のお舟等が登場し、サザエさんは平凡なサラリーマンの妻として、家事、育児あるいは近所付合いなどにおいて明るい性格を展開するものとして描かれており、またその他の登場人物にしてもその役割、容ぼう、姿態などからして各登場人物自体の性格が一貫した恒久的なものとして表現されており、更に特定の日の新聞に掲載された特定の四齣の漫画「サザエさん」はそれ自体として著作権を発生せしめる著作物とみられ得る。

 

 さすが裁判官。 勉強なさってますねぇ。 かなり正確に把握してらっしゃいます。

 なぜか「サザエさん」だけ「さん」付けなのが気になりますが、特に深い意味はないのでしょう。 カツオを2番目に持ってきて、彼が準主役級の存在であると認定しておられます。

 あ、肝心のタラちゃんだけが入ってませんけど。 これは長谷川サイドとしては納得いってるんですかね。 「お舟等」の「等」の中に入ってしまったのですか。 そんなタラオに幸多かれ。 あの歳からグレ始めないことを祈ります。

 「お舟」というのも、サザエさんワールドに漂うレトロ感が表現されていて素晴らしいです。

 あぁ、最近サザエさん見てないなぁ。 んがぐぐ。

 
 

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