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2006年12月20日 (水)

瞳を閉じて、検問を思うよ

>>> 平井堅、歌で酔わせた
 シンガー・ソングライターの平井堅(34)が19日、名古屋市南区のレインボーホールでコンサート「Ken’s Bar2006 Winter」を行い、15曲を熱唱。7000人のファンを独特のベルベットボイスで魅了した。

 同コンサートは、平井がリラックスした環境で音楽を聴いてほしいと、観客に酒類を含む飲み物を提供する“Barスタイル”が特徴。そのため、会場の周辺には愛知県警の警察車両が待機し、車での来場者に対し全車の検問をアナウンスするなど、物々しい雰囲気が漂った。

 そんな空気を感じさせない場内のステージにはツリーやバーカウンターが飾られ、クリスマスムードたっぷりの中、ナットキング・コールの「クリスマス・ソング」でオープニング。「毎年年末にKen’s Barやってますけど、今年は物議を醸してますね~。飲酒運転が社会問題になってますので、車を運転される方はお酒ではなく、僕の歌に酔っていただきたいです」とまずはメッセージ。さらに「今日は歌い納めなので、スイートで、ホーリーで、ピースフルな夜にしたいですね…愛知県警にもこの思いが届くように歌います」と続け、「今日は検問が待ってるぞ~!! 手羽先ボーイズ&ガールズ~」と締めると、会場からは大爆笑が起こった。(中日スポーツ)2006/12/20

 平井堅は、昔、福岡のローカル番組「ドォーモ」に、「片方ずつのイアフォン」のプロモーションか何かで出演していて、唄うんぬんよりも、しゃべりの抜群の面白さが強烈な印象として残っています。

 「すごいな。 オレも、もっと面白くなりたい」と思ったものですよ。

 「芸人・平井堅」として憧れていたのが、今や、押しも押されもせぬ一流アーティストですからね。 彼の曲は、私の「鼻歌レパートリー」の中にも、いくつもランクインさせていただいております。 1枚ですがアルバムCDも持っておりますし。

 あれだけ唄がベラボウに上手いシンガーソングライターって、日本に他にいます? 他には松山千春ぐらいですか? 知らんけど。

 

 県警が事前に検問を発表したせいか、地元のタクシー運転手は「今回は駐車場が空いてるね」と話し、車より電車で来る人が多かったという。(ニッカンスポーツ)

 
 ファンの方も面倒くさかったんでしょうね。 検問に巻きこまれるのが。

 平井のアニキと同様、愛知県警のパフォーマンスもなかなかです。 飲酒運転撲滅に臨む姿勢を手っ取り早くアピールするために、目立つところを取り締まっとこうというわけです。

 うーむ、わかりやすいですね。 いくら、今シーズンの愛知県管内の交通事故犠牲者数が全国ワーストで、危機感がつのっていたとしても。

 アルコール入り飲料の振る舞われるイベントに、自動車検問をかける必要があるのなら、観客席でビールが売られているプロ野球の試合には、真っ先に駆け付けなければならないでしょう。

 
 私は福岡にいた頃、受験勉強で小腹がすいて、原付に乗ってコンビニで焼肉弁当を買った帰り道に、検問に止められたことがあります。うっとうしい。

 いくら理論上は、止まろうが止まるまいが自由な「任意処分」だっていっても、実際に警察官からの呼び止めを無視すれば、かえってややこしいことになるのは目に見えています。 つまり、事実上の強制ってわけです。

 自動車検問は一般に、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」なる、警察官による職務質問の対象者を探す前提として行うものだ、というのが判例の立場です。

 ただ、検問を拒んで通り過ぎた事実が、そのまま「異常な挙動」とされて、職務質問の要件を満たしていると理屈づけることもできるんですから。 なにもこちらから、警官が声をかけやすい環境をつくりだすこともないわけですし。

 それ以前に、今回のような「アルコールが振る舞われるイベント」終了後を狙いすました検問だと、呼気検査の拒否に罰則がつく、いわば「強制検問」という運用に切り替わっている疑いが濃厚です。

 このコンサート会場から出てくるクルマが、ことごとく「酒気帯び運転のおそれあり」と認定されるのであれば。

 

◆ 道路交通法 第67条(危険防止の措置)
1 警察官は、車両等の運転者が第64条(※無免許運転)、第65条第1項(※酒気帯び運転)、第66条(※過労運転)、第71条の4第3項から第6項まで又は第85条第5項若しくは第6項の規定に違反して車両等を運転していると認めるときは、当該車両等を停止させ、及び当該車両等の運転者に対し、第92条第1項の運転免許証又は第107条の2の国際運転免許証若しくは外国運転免許証の提示を求めることができる。
2  車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第65条第1項(※酒気帯び運転)の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。
(※以下略)

 

◆ 道路交通法 第119条(※罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
 八  第67条(危険防止の措置)第1項の規定による警察官の停止に従わなかつた者

◆ 道路交通法 第119条の2(※罰則)
 第67条(危険防止の措置)第2項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、30万円以下の罰金に処する。

 

 

 「なんだか、妙に赤っぽいイルミネーションだな」と思ってたら、その赤い光に照らされた制服警官の、前かがみになって早口で1台1台に声かけしている姿が見えるわけでしょ。

 せっかくアニキが「唄で酔わせて」くれたのに、その余韻も醒めるってもんですよ。

 いや、警察の無機質な検問ごときでは醒めたりしないぐらい、インパクトの強い余韻をお客さんに持ち帰ってもらうのが、プロのエンターテイナーなのかもしれませんが。 それも大変だな。

 ひょっとしたら、コンサートの中での「県警にもこの思いが届くように……」という発言によって、飲酒検問を通ることすら自らのイベントの一部として取り込もうとする意図があったのかもしれません。 なるほど。 平井堅、ニクいです。

 にしても、「ハイ、コレに息吹き込んでねぇ」……という、あまりにも投げやりで事務的な検問の流れ作業。 そんな「路上のベルトコンベア」の上に、ムリヤリ引きこまれる自分。 癪にさわるので、逆に思いっきり吸い込んでやって、公務の執行を妨害したくなります。 したくなるだけですが。

 そうして、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上のアルコール分が検出されたとき、つまり違法な運転が発覚した際に、はじめて免許証の提示義務が発生します。 シラフでまっとうに運転していたあなたが、警官に「免許証見せて」と命令されても、見せなきゃならない筋合いはありません。

 また、あくまで「提示」の義務があるだけで、「提出」、つまり手渡す必要はありません。 手に持って見せればオッケーです。

 「それでは、お仕事中のおまわりさんに申し訳ない」という、お上に優しいニッポン人のあなたは、両手を添えて「提出」し、「これからも、市民のために頑張ってください」と激励しながら、大人っぽくその場を後にするのも自由であります。

 人一倍、警官嫌いのあなたは、先方に求められる前から免許証を胸元に突き付けても、もちろん構いません。

 さらに「今夜は冷えるでしょう。これでも一杯やって暖まってくださいよ」と、ワンカップのお酒を警察官に差し入れするのも任意です。 それで、かえって酒気帯びの嫌疑がかけられたとしても、当方は一切関知いたしませんが。

 

 結局、「ケン’ズ バー」コンサートにクルマで来場した968台のうち、飲酒運転者はひとりもいなかったそうです。 さすがはアニキのファン。 心構えが違いますぜ。

 イベントで酒こそ飲んでいなくても、平井堅アニキの歌声に酔いしれ、あまりの心地いい余韻に浸るうち、帰り道の運転がおろそかになるお客さんだって、決して少なくなかったことでしょうね。

 ちょっとした接触事故すら起こしてしまうかもしれませんが、それはアニキご本人にとっては、むしろ歌手冥利に尽きるのかな。

 「平井酔い運転」は、法で取り締まれませんからね。

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