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2006年12月14日 (木)

裁判員制度タウンミーティング「やらせ質問」の中身

>>> タウンミーティング:「官が筋書き」裏付け 最終報告書

■世論誘導

 TMで最も悪質なのが「やらせ質問」。計15回のやらせが判明したが、最多は司法制度改革の6回だった。メーンテーマの裁判員制度の導入で、こんなやり取りがあった。

 ▽質問者 「裁判員制度で専門的知識もない人間が、罪の有無や刑の内容まで判断するのは荷が重いし、負担と考えてしまう」

 ▽南野知恵子法相(当時) 「我々が持つ常識や人生観で裁くことに、大きな役割が見いだせるのではないか。直接裁判をご覧になれば、もっと身近に感じていただけると思う」

 法務省によると、やらせは内閣府タウンミーティング室の担当者が、同省に「あらかじめ質問を用意して発言を依頼するやり方がある」と助言。同省の出先機関の職員が知人ら計23人に質問を依頼したという。裁判員制度のほか「日本司法支援センターを利用したいが、無料で相談できるのか」などの質問もしてもらった。(毎日新聞 2006年12月14日 1時20分)

 

 法務省や最高裁は、庶民の「常識や人生観で裁く」陪審制に猛反対していたんじゃありませんか。 裁判員制度は、その妥協の産物です。

 これ、台本がヒドすぎますね。 セリフを作るなら、もうちょっと骨のあることを書きなさいよ。

 

 この回答には、もうワンクッション必要なんです。
 

 皆さんの常識や人生観をもって「物的証拠を見て」「証言を聞いて」「被告人の供述を聞いて」、

 そのうえで、検察官の主張が少しでも信じられないときは、無罪の評決をしてください。

 そのルールだけ守っていただければ結構です、と。

 本当は、常識だけで証人や被告人の話を吟味するのは、かなり危険なことのようなのですが、そのへんは、浜田寿美男氏「自白の心理学」や、高木光太郎氏「証言の心理学」を、ぜひご参照ください。

 

 いずれにせよ、常識や人生観で、いきなり「裁く」までいってしまうのはムチャです。 私たちは日常の世界で生きています。 その日常感覚で、非日常の現象である凶悪犯行を断罪することは許されません。

 それは単なる「お茶の間裁判」「居酒屋判決」です。 そんな雑談をもとに権力が発動されてはたまりません。

 誰かの直感や都合で動く世の中を、私たちは「人治国家」と呼びます。 歴史の上で、もう人治国家はこりごりだと、ノーセンキューと、人類は思い知っています。

 大げさな話を持ち出してきてすみませんが。

 

 やらせ質問の背景には、看護師出身で司法制度改革に必ずしも詳しくない南野参院議員が法相だったという事情もあった。ある法務省幹部は「あらかじめ綿密なシナリオを作っておく必要があった」と話し、南野氏が出席した5回のTMでは、質問順まで事前に決まっており、回答案も用意されていたという。(同)

 
 これ、南野前大臣は腹を立てて怒鳴ってもおかしくない場面のはずなんですよ。 「バカにすんな」と。

 でも、どこかのセーラー服を着た受験生のごとく、「回答案」を熟読しては、ときどき目を離したりして、ゴニョゴニョと暗唱している様子が目に浮かんでくるのは哀しいです。

 「南野さんは厚生労働大臣になってたら、もっと堂々と良い仕事ができたかも」との声があったのも確かなようです。 しかし、内閣の大臣と関係省庁の官僚は、馴れ合いを厳に慎むべき、一種の「緊張関係」にあるわけですから、出身業界の大臣にそのまま据えるのは、あんまりいただけません。

 小泉前首相の「改革路線」からは、むしろ門外漢の大臣のほうが思いきった改革ができるはず、という期待も働いたのかもしれません。

 それならなおのこと、与えられたことをこなすのも満足にできない、まるで司法浪人時代の私のような学習能力の低い人物に、一国家の大臣を務めていただくわけにはいかないのです。

 この「やらせ質問」は、たとえば国会の委員会質問で、官僚が作成した「想定問答集」を大臣が読み上げるのとはワケが違います。 相手方の質問からして、自分たちの都合のいい内容で作っておくのですから。

 少なくとも法務省は、国民の意見を吸い上げる気がなかっただけでなく、むしろ世の中をだましてまで、意見の吸い上げを積極的に拒むつもりだったことがわかりました。

 あとは、裁判員制度が実際に動き始めたときの、裁判所の心意気に注目ですね。

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