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2007年3月 8日 (木)

ぬれぎぬという理不尽

>>> 強姦冤罪事件:男性が弁護士解任
 富山県警が強姦(ごうかん)、同未遂容疑で02年に逮捕した男性(39)が服役後に無実と分かった冤罪(えんざい)事件で、男性の依頼を受け再審公判に向け準備を進めていた3人の弁護士が6日、解任された。
 和醍(わだい)法律事務所の村田慎一郎弁護士によると、6日夕方に男性本人から電話で解任の連絡があったという。
(※中略)
 また、男性は今後の生活に頭を悩ませていたという。
 親類によると、男性と親類とは直接連絡が取れていない。県警によると、男性は、県警が直接謝罪した1月23日には、知人と一緒に県警本部を訪れていた。(毎日新聞)2007/03/07

 

 このブログでは、ご紹介するタイミングを逃していた出来事ですが、大変ひどい話ですよ。

 「いきなり再審をあきらめる」「連絡が取れない」というのは、とても心配な兆候です。 尋常でないほど気持ちが落ち込んでおられたり、ひどく自暴自棄になったりしているのではないでしょうか。 男性は誤認逮捕があってからというもの、家族にずっと見放されてきたそうでして。

 今から再審で無罪を勝ち取ろうにも、大変な道のりが待ちうけています。 なかなか将来に希望を抱きづらく、モチベーションが上がらないでしょうね。 すでに実刑判決を受けて服役を済ませているのですから。 「もう、遅っせぇよ!」と言いたくもなるでしょう。

 

◆ 日本国憲法 第40条(刑事補償請求権)
 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
 

◆ 刑事補償法 第4条(補償の内容)
1 抑留又は拘禁による補償においては、前条(※補償しなくていい場合の規定)及び次条第2項に規定する場合を除いては、その日数に応じて、1日1000円以上1万2500円以下の割合による額の補償金を交付する。懲役、禁錮若しくは拘留の執行又は拘置による補償においても、同様である。
2 裁判所は、前項の補償金の額を定めるには、拘束の種類及びその期間の長短、本人が受けた財産上の損失、得るはずであつた利益の喪失、精神上の苦痛及び身体上の損傷並びに警察、検察及び裁判の各機関の故意過失の有無その他一切の事情を考慮しなければならない。
(※以下略)

 

 再審無罪によって、事後的に国庫から刑事補償は支払われますが、残念ながら、失われた時間や人間関係を補償する制度を人類は持ちえていません。

 この男性、誤認逮捕の直後は犯行を自白していたようなのですが、取り調べ段階では一転して容疑を否認したため、捜査官が相当腹を立てていたようです。

 捜査官の立場からすれば「往生際が悪いやっちゃな」というところでしょうか。 明らかにやっているクセに否認や黙秘をつづける被疑者を数多く見てきて、うんざりしておられる方も多いのでしょう。

 その心中はお察ししますが、ただ、物証と違って供述調書というのは「事件の後で作る証拠」です。 本来は慎重の上にも慎重をかさねて作成されるべきものです。

 なのに、「質問に『はい』か『うん』以外は言うな」と命じて調書を作成したり、「今後は発言を覆さない」という念書を書かせてみたりと、密室でやりたい放題の取り調べが行われたようですね。

 そういうのって、強要の罪に該当しないんで…………  あぁ、そうね。 正当業務行為で違法性が無くなるんですか。 なるほどなるほど。言いすぎました。

 真犯人とされる男(鳥取在住)の逮捕によって冤罪が発覚し、警察や検察、法務大臣は謝罪しました(同時に取り調べ担当官を『おとがめなし』とすることも発表)が、裁判所はまだ無罪という判断をしていません。 真犯人とされる51歳の被告人については、第5回まで公判が進んでいるようです。 裁判長は藤田敏氏。

 できれば裁判所にも謝罪していただきたいところですが、それは叶わぬ夢でしょうか。

 

 2002年11月、ぬれぎぬであるレイプの罪で、どなたか知りませんが富山地裁高岡支部の裁判官から、懲役3年を言い渡された男性。 法壇に向かって「申し訳ありません」と頭を下げたときに、どっと涙があふれてきたといいます。

 懸命に刑務をまっとうされたのでしょう。 刑期は短縮され、2年1ヶ月後の出所となりました。

 正義の法律用語辞典では、冤罪について「判決の大量生産で、どうしてもできてしまう多少の不良品」と書きましたが、もちろん皮肉をたっぷり効かせた記述です。

 検察官の出してきた証拠が十分でないなら、裁判官はキッチリ無罪を言い渡さなければなりません。

 「精密司法」をいうなら、有罪率を100%に近づけるのではなく、「疑わしきは罰せず」という鉄則の適用を100%にしていただきたい。 精密さを発揮すべきは、本来そっちでしょう。

 別に無罪判決は悪でも失策でもありません。 それを「情況証拠」だとか「推論」だとかを積み重ねて有罪に導いてみせるのですから。 頭がよすぎるのも考え物です。

 今日3月8日は、いわゆる「東電OL殺人事件」(ゴビンダさん冤罪事件)の発生から、ちょうど10年という節目です。

 裁判所の前で配られていたビラをきっかけに、私は1月に「無実のゴビンダさんを支える会」の勉強会に参加する機会がありました。 事件現場となった部屋にも入ることができましたので、近いうちに、この東電OL事件についても書いてみようと思います。

 このブログも、ウケを狙ってるだけでは幅が広がりませんからね。 こういった重たくてたまらない出来事、でも決して目をそらしてはならない現実について、どういう書き方をすれば多くの皆さんに読んでもらえるのか、悩みどころです。

 

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