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2007年8月 2日 (木)

参院選の妨害犯は、正直すぎた

 総理大臣って、そんなにしがみついていたい地位なんですかねぇ? ようするに、国民から叩きまくられるサンドバッグ役じゃないですか。

 不思議です。 しこたま叩かれても、なお余りある旨味があるんでしょう。 いったい総理っていうのは、どんだけオイシイ汁を吸えちゃうんでしょうか。 チューチュー。

 さぁ、小沢さん。 司法試験に叩かれた挫折者から、今度は世論に叩かれる総理大臣まで登りつめられるかどうか、これからが正念場ですねぇ。

 「衆議院解散・総選挙」なんて気の早い話もありますけど、安倍さんが自分から解散を宣言するなんて、今の情勢ではありえないでしょうから、本筋としては、野党が不信任決議を突き付けることになるわけですよね。

 

◆ 日本国憲法 第69条
 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。


 野党が過半数を占める参議院でも、内閣不信任を出すことはもちろん可能ですが、その決議には、内閣に解散のプレッシャーをかけられるような憲法上の強制力はありません。

 本気で解散を迫るには、自公で絶対多数を占めている衆議院での不信任決議を可決する必要があるのです。 それを思うと、まだまだ一筋縄ではいかなさそうですね。

 大穴としては、前回の衆院選(2005/09/11)における議員定数の不均衡が争われている訴訟で、最高裁が「違憲無効」の判決を言い渡し、衆院議員に「全員失職・再選挙」を命じる……という、思いがけない方向からの総選挙スタートもいちおうありえます。

 ただ、そんな大胆で正しすぎる判決を言い渡す勇気など、今の最高裁は持ち合わせてません。 自公の皆さま、ご安心くださいませ。

 

>>> 選挙カー妨害で男逮捕=「うるさい」と窓たたく-札幌

 参院選立候補者の選挙カーの窓ガラスをたたくなどして、活動を妨害したとして、札幌中央署は12日、公選法違反(自由妨害)の現行犯で、札幌市中央区北一条西、自称グラフィックデザイナー(43)を逮捕した。今回の選挙での逮捕は全国初。
 調べによると容疑者は12日午後6時20分ごろ、札幌市中央区の自宅近くの路上で、運動中の比例代表に立候補した女性候補者の選挙カーに、「うるさいんだ、この野郎」などと怒鳴り、窓ガラスを手でたたくなどして、走行を妨害した。 (2007年7月12日 時事通信)


 うるさいものに「うるさい」と言える正直さを、いつも心に持っていたいものです。 なにかと周りの空気を読みすぎる私たちは、遠慮しすぎ、縮こまりすぎでもあるのです。

 闇を切り裂き珍走する改造バイクの群れに、ローン組ませてイルカの絵を買わせようと密室へ誘うキャッチセールスの女に、やたら浮気を疑ってくる彼女の小言に、ひとこと「うるっせぇ」と一喝できれば、もっと楽に生きられるのに。

 ああ、今日もストレスを溜め込んでしまったニッポン人。 溜め込みすぎて、そろそろストレスに利息が付きそう。

 

 黄色い帽子をかぶった学校帰りの小学1年生たちが、通りかかった選挙カーに向かって「うるさーい!」ってカジュアルに叫んでますよね。

 「うるさーい!」 「うるさいって言うおまえが、うるさーい!」 なかなか可愛らしいです。

 ただ、43歳の自称グラフィックデザイナー男が同じように叫んでも、逮捕されるんですね。

 なぜかというと、理由は簡単。 可愛くないからです。

 可愛さは、チカラなのです。



>>> 公選法違反:候補者ポスターに落書きの男、自由妨害容疑で逮捕--鎌倉 /神奈川

 13日午後10時ごろ、鎌倉市稲村ガ崎2の路上で、参院選の掲示板に張られた候補者ポスターに落書きした男を警戒中の鎌倉署員が発見し、公職選挙法違反(自由妨害)容疑で現行犯逮捕した。

 県警捜査2課と同署の調べでは、男は同市稲村ガ崎4の会社員(59)。容疑者はポスターに黒色マジックで「何年前の写真だ」と落書きした疑い。調べに「もっと年をとっているのに、こんな写真が選挙で許されるのかと腹が立った」と供述しているという。(2007年7月15日 毎日新聞)


 黄色い帽子をかぶった学校帰りの小学1年生たちが、通学路の候補者ポスターを見つけては、せっせと鼻の穴に画びょうを刺してますよね。

 ただ、59歳の会社員が「このポスター、若づくりしすぎじゃ! きさまに恥じらいってモンは無いのか?」という正直な怒りをぶつけると、逮捕されるのです。

 理由は簡単です。 隠された真実を暴露したからです。 こりゃ国策逮捕ですな。

 ウソばかりの政治に腹を立てるのは、結構なことでしょう。 なにも、政治のウソは年金がらみだけじゃありません。 小さいことからコツコツと。 大切な心構えですよ。

 

◆ 公職選挙法 第225条(選挙の自由妨害罪)
 選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。

 

1.選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
 2.交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
 3.選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者若しくは当選人又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人を威迫したとき。

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コメント

久しぶりに覗いてみました。
いくら大穴でも「違憲無効」は、あり得ないんじゃないでしょうか。
統治原理に抜本的な変革が訪れない限り、
どうあがいても「違憲有効」止まりだと思います。
そしてそれは、裁判所の勇気の問題ではなくて、
日本型民主政の内在的な制約だと思います。

投稿: 匿名 | 2007年8月13日 (月) 16:24

>匿名さま


コメントをお寄せくださいまして、ありがとうございます。

たしかに、最高裁の「勇気」の問題だと表現したのは、あまりポイントを突いた適確な表現とはいえないかもしれません。

匿名さんが「あり得ない」と表現しておられるのは、過去・現在の最高裁における動向を観察した結果を指していらっしゃるのでしょうか。

最高裁の「政策」を観察した結果から「日本型民主政の内在的制約」が現に存在すると認められるため「違憲無効→再選挙はありえない」という結論を導かれることも、もちろん問題の一面を適確に言い当てておられると思います。

一方で、このエントリでは、そこまで深い話はしておらず、単に理論的に「憲法の平等原則違反→定数配分規定が無効→前回の当選も無効→再選挙」という話は「可能性としてはありえますよね」と言う話を「大穴」と表現しているにすぎません。

選挙を無効にするとして、一部無効か全部無効かは争いあるでしょうが、いずれにしても理論的におかしいとはいえないはずです。あるとすれば、きっと政策的配慮の問題でしょう。

「文明を持った地球外来生物が確認されていない→宇宙人はいない」とみるか、「地球に似た環境条件の惑星はたくさんあるみたい→宇宙人がいてもおかしくない」とみるかの違いです。これまたポイントを突いたたとえとは言いがたいですが。

一昨年でしたか、岐阜県の可児市議選につき、最高裁で違憲無効が確定し、再選挙になりました。行われた選挙が憲法違反のためにやり直しとなること自体は、決して無くはないようです。

ただ、あの選挙は電子投票マシンのエラーがひどくて、多くの有権者の選挙権が害されたという理由でした。

マシンエラーによる選挙権侵害と、議員定数不均衡による選挙権侵害との間に、どこまで明確な断絶があるのか、あるいは互いの権利侵害の程度は連続的なものなのか…… また、国政選挙と地方議会選挙を、どこまで明確に区別するかということも、同様に問題にもなりそうです。

ここまで来たら、各人の捉え方の問題になってしまいますね。なかなか難しく、スッキリしないお返事になってしまいましたが、ご容赦ください。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: みそしる | 2007年8月16日 (木) 11:02

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