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2007年12月 2日 (日)

私が、裁判官よりもツッコミ入れたい人たち

 昨日は、「日本裁判官ネットワーク」の会合に招かれ、「『裁判官の爆笑お言葉集』をめぐって」というテーマで話をさせていただきましたが、途中で何を話せばいいのかわからなくなり、設定時間を大幅に残しての「ギブアップ」となってしまいました。

 そのぶんだけ、会場からの質疑をたっぷり頂戴したのですが、事前に覚悟していたほど、意外とキツいことは言われませんでした。(単に鈍感なだけかもしれませんが)

 それどころか「一貫して温かい」「よく勉強している」なんて、お褒めのお言葉をいただいてしまいましたよ。 ありがとうございます。

 いずれも、お言葉集のなかで発言を紹介させていただいた裁判官の方からのコメントです。

 また、日本裁判官ネットワークの刑事裁判官は、法廷での説諭に、それほど重きを置いていないという、興味深い事実もわかりました。 判決後のお言葉一発で感銘を与えるのでなく、もっと裁判全体をもって配慮しようということのようです。

 「気持ち」が大事なのだと。 そのご主旨はわかりますが、どんなに温かい気持ちを持っていても、他者からは「発言」や「態度」からしか、裁判官のお気持ちを感じ取ったり推測したりすることはできないのです。 そのへんの事情はおそらく、被告人にとっても同じでしょう。

 「採りあげているのは刑事裁判ばかりで、民事裁判での『お言葉』が少なすぎる」というご指摘や、「もっと印象的なお言葉を発しつづける裁判官は別にいる」というツッコミも。

……うーむ、次はどうしよう。 第2弾の方針に関して、修正の検討が必要かもしれません。

 「裁判官の言葉を脚色したりしてないのか」というご質問もありましたが、私が意図的に手を加えなければ興味が湧かないような言葉なら、初めから載せません。 ほかにも候補はたくさんあったのですから。

 書名にある「爆笑」の2文字には違和感がある、という感想は大勢を占めていましたね。 そりゃそうでしょう。 私自身が未だに納得できてませんし。 どうにか納得しようと努めてはいるつもりですが。

 幻冬舎社長の見城さんがおっしゃるには「顰蹙は買ってでもしろ」ということのようですから、世間から顰蹙を買う書名を付ける行為というのは、そのお言葉にかなうわけです。

 ただ、幻冬舎以外の人々まで巻き込んで、しかも何も釈明しないまま「名付けっぱなし」というのは止めてもらえないですかね。

……なるほど、これこそが顰蹙を買うということなのか。 なんだかメタな感じだ。

 会場には、弁護士さんも参加してらっしゃいましたが、その一部からの質問が気になりましたね。

 

 「民事裁判では、法廷より、和解の場での裁判官の言葉が、当事者にとって効果あるのだ」と、某弁護士。 その後に、革新系の政党がどうのこうのと付け加えてましたが。

 ただ、それで私にどうしろと? 和解室は非公開で、一般人の傍聴は許されませんよね。 単に「オマエが見られない場を、私は見られるのだよ、フフフ」といった、特権意識に基づく、マト外れな自慢話にしか聞こえません。

 それに、企業法務部に勤める友人の話によると、和解の場で妙なことを言い出したり、あからさまに面倒くさがったりする裁判官も、ちゃんと存在するとのこと。 だったら、和解だけが特別じゃないでしょう。

 別の方は、のらりくらりと同じコトを繰り返し述べる堂々めぐりで、何をおっしゃいたかったのか見えなかったんですけど、その断片を総合すると、おそらくは「ナガミネさんは裁判官をネタにして本を売っているが、いずれナガミネさんがネタにされるかもしれませんね」と、私に警告したかったようです。

 どうぞどうぞ。 そんな原稿を面白く書けるもんなら、そんな本の出版企画が通るんなら、いくらでも世に出していただけば結構です。 きっとガッポリ稼げますね。

 ただ、妙な意趣返しなど、そういうつまらない意図や発想は、読む側にも必ず伝わります。 あんまり世間を軽く見るのは、やめたほうがいいですよ。

 しかも、いずれの弁護士も、「あなたの本を買ってませんし、読んでません」と前置きしてのお言葉です。 それ、わざわざ言う必要あります?

 どうにか私に対して突き刺さることを言ってやりたいと、いろいろ涙ぐましく考えをめぐらしておられたのでしょうが……。

 いくら「30万部のベストセラー」と周りが持ち上げたところで、裏を返せば、日本の400人に1人がお買い上げくださった計算です。 買っても読んでもいない人が圧倒的多数なんですから。

 こないだも、ある弁護士さんから「こんな本が、なんで売れるんですかねぇ」という感想メールをもらったりしましたが、どうも私に対して突っかかってくる弁護士さんが散見されます。

 司法試験の競争で蹴落とした人間を、今まで能無しだとナメ続けてきたことの反動でしょう。 きっと。

 たまに「世間知らずの裁判官が多い」と主張するメディアはありますが、もしかしたら、バランスを喪失した「世間知らず」は、むしろ弁護士の方に多いのかもしれません。

 具体的な切り口は思いつきませんが、いつかは弁護士について書かなければならないようです。

 ただ、弁護士業界は一枚岩ではないので、まとめてネタにしたら無理が生じるでしょうね。 たとえば刑事弁護人と渉外弁護士では、やってる仕事がまるで別の業種といえるぐらい懸け離れてますし。

 半年前にテレビで共演させていただいた八代英輝弁護士は、私のおぼつかない発言を逐一フォローしてくださったり、本当に気配りのできる温かい賢者でした。

 「絵に描いたようなエリート肌で、イケすかねぇなぁ、渉外弁護士さんはよぉ」という漠然としたイメージを、完全にブチ壊されましたね。 今年の6月13日は。

 八代さんは「お言葉集」を2冊買ってくださったそうですが、だから褒めてるわけでは決してなく、ビジネスの論理で動ける人のほうが、モノの見方が客観的だし、決めつけた口調で独善的な物言いをしないし、話は噛み合う気がします。

 ビジネスに限らず、お金は、物事を継続していくための基本的な道具。 お金にばかり執着する人生も可哀想ですが、国家資格にあぐらをかいて金儲けを平気で軽んじる人も気の毒ですね。

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コメント

特権意識に凝り固まった人たちをまじめに相手にするのは、時間と労力の無駄かと・・・
馬鹿に何言っても効果ないですよ。
スルーするのが一番と思うです

「そんなことは充分分かっていて、ネタとしておいしいんだよ」というのでしたらすいません。

投稿: カレーうどん | 2007年12月 3日 (月) 07:46

>カレーうどんさま

 
はじめまして。よろしくお願いします。

そうなんです。「いいネタ」だと捉えているのかもしれません。たしかに「スルー」するのが都会の若者文化っぽいですが、あくまで次々善の策だと思います。

別に彼らの考え方を変えようなんて、みじんも思いません。もはや可塑性も枯れ果ててそうですし、ここに挙げた程度の発言内容なんか、特に気にならない方も多いのでしょう。私自身も、単にあきれただけですので、何の被害もありません。

ただ、実態を知りたいのです。ああいう弁護士から過去に救ってもらって、頭が上がらない人だっているのでしょうし。

世間的には、採算よりも使命感や美学を重視する人たちを、いわゆる「人権派弁護士」というかたちで十把一絡げにしがちですが、先日の出来事をきっかけに、ひょっとしたら、そういう人たちも一枚岩ではないんじゃなかろうか、という気にさせられました。

私のカンなので、当てにならない場合もしばしばですが。

多くの方にとって、調べる手間がかかったり、ムダだと思われることを、代わりに調べていくのも、私の仕事です。ただし、少しでも面白くなりそうなニオイがしない限り、いっさい動きませんけど。

企画の仮タイトルは、「人権派弁護士が、守るのは誰か?」で。

……うーむ、これだけ見ると、非常につまんなそう。

もちろん、法律系専門のところでなく、もっと総合的な出版社で企画を通していただくのを目指します。そうしないと、結果的に読者の裾野が広がっていかないと思うので。

いわば対極にある「渉外系」「ビジネス系」や、弁護士の都市偏在問題についても興味はありますが、とりあえず、このネタを温め始めることにします。

投稿: みそしる | 2007年12月 3日 (月) 20:44

弁護士だから・・・というか、たまたまその場には目立ちたがり屋で見栄っ張りの出来損ないが集まってしまっただけでは。
残念ながら、本業で雑多な事件抱えて必死なマトモに働いてる弁護士は、そういう場に参加するヒマなんてないように思います・・。
「お言葉集」読んでクスクス笑ってる弁護士もうちの事務所にはいますよ(^^)V

投稿: ぱらりん | 2007年12月 3日 (月) 23:13

>ぱらりんさま

はじめまして。

おっしゃるとおりかもしれません。ただ、出来損ないであれば、どれだけ出来ないのかも知りたいような、知りたくないような。

口が悪くて、イヤミは腹いっぱい言うけど、その仕事ぶりに救われ、心から感謝している人がたくさんいる弁護士である可能性も捨てきれないですし。それはそれで魅力的で、文句のつけようがありません。

「お言葉集」を楽しんでくださっている弁護士さんに、よろしくお伝えくださいませ。

ぱらりんさん、もしかして、パラリーガルの方……?

投稿: みそしる | 2007年12月 4日 (火) 00:46

はじめまして、いつもブログを読ませていただいています。

すごくおもしろい本でしたのに、読んでもいない方からそういうことを言われるのは心外ですね。
弁護士さんとのお付き合いは人よりも多い方ですが、色々な方向で「変った方」が多いのは事実だと思います。
ぶっちぎりで頭が切れる人や、底抜けに優しい人、人格破綻している人・・・標準・定型みたいなものがない気がします。

投稿: kazushi | 2008年1月19日 (土) 00:59

>kazushiさま

はじめまして。コメントをお寄せいただきありがとうございます。

もともと専門家に向けて書いた本ではありませんので、弁護士さんが「読むまでもない」と判断してくださっても当然だとは思っています。

お忙しいでしょうし、読まずに口だけ出すのも結構なのでしょう。

法曹の皆さんは、司法試験という高い関門をクリアした方々ですから、なんらかの共通項で括れるはずなんですけどね。弁護士という仕事を続けていくうちに、いろいろとキャラ分化していくのでしょうか。

新司法試験ですと、法律的素養という最低限の共通項を満たしていれば、さまざまなバックボーンを持つ人々が入り込む余地があると思います。

ただ、実際にどこまで多様性を受け入れる態勢を整えているのか、外野にはなかなか見えませんけれども。

投稿: みそしる | 2008年1月19日 (土) 17:33

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