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2008年2月19日 (火)

サイバンに飢えた男が、徳島より愛をこめて 【2月2・3週】

 きのうから、四国・徳島地裁で傍聴をしてるんですが…… お目当ての裁判官に、お目にかかれずじまいでですねぇ。

 それなら他を傍聴していれば済む話なのですが、なにせ裁判そのものの数が少ないのです。 今日の刑事事件は、地裁でゼロ。 簡易裁判所のみで、「審理」1件と「判決」2件。

 10時からあった審理は、キャッシュカードの窃盗など余罪が40件ぐらいある男の続審らしく、とりあえず追起訴ぶんの起訴状3件を朗読して、10分程度で終わりましたね。 ふと時計を見たら、時刻は案の定、10時10分でした。

 裁判が少ないということは、犯罪や揉め事も少ないということで、本来は喜ばしいことなのですが、なぜかナミダが止まらない。

 

 なぜ私は、徳島の平和を素直に喜べないのだろう。 情けない。 さらにナミダがあふれてきます。

 ナミダがこぼれないように、上を向いて歩きつつ、仕方がないので、近所の図書館に行ったら、なんと火曜日に休館!? 徳島というところは、どうしてこうも、私にイタズラばかりするのでしょう。

 

 今回、徳島まで来たのは……

 も、もしや、ムダ足!?

 あーあ、書いちゃった。 うすうす感づいてたコトを書いちゃった。

 まぁ、明日があるさ。

 それにしても、なにが悲しくて、昼の1時半にホテルに戻らなきゃいけないのだろうか。 生まれながらにして周りから浮いてる私でも、さすがに少し恥ずかしいわ。

 そうか! たまってる原稿を、もっともっと書き進めろってことか! なるほど! えらい事実に気づいてしまった!

 

 木曜日からは神戸地裁の傍聴をする予定でしたが、こんな調子だと、金曜の朝に早起きして、徳島へ再び舞い戻るかもしれません。 いや、舞い戻らざるをえまい!

 

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 これは、先週滞在していました、富山市内の様子ですね。

 すごくキレイでしょ、雪化粧した富山城。

 シャッターを押す私の右手指は、寒さで真っ赤でございました。

 小さい折りたたみ傘をさす私にめがけて、ほぼ真横から雪に打たれ、足元をすくわれるなか、なんとか裁判所までたどりついても……

 やはり「あれあれぇ? こんなもん?」ってことが続きました。

 裁判所より、図書館のほうが長居したなぁ~。(しみじみ)

 前回の「お言葉集」でご紹介した手崎政人裁判官ですが、実際に現地取材してみると、ちょっとイメージとは違いましたね。 どうやら、小さな事件の被告人にまでコンコンと諭すようなタイプではなさそう。

 

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 裁判員制度のマスコットキャラの、おもいっきり中心を外しているヘタクソ写真です。

 沖縄がシーサーなら、富山は雷鳥がモチーフ。

 徳島は…… そういえば、裁判所庁舎の表に出ていませんでしたねぇ。 明日、意識して探してみます。

 それにしても、沖縄に続く取材成果がなかなか出せませんねぇ。

 開廷表をチェックし、今日もお目当てを外したと気づくたびにロビーで慟哭し、毎晩のようにマクラをぬらし、そろそろナミダも枯れ果てそうですが、めげずにガンバです!

 仕方がないので、だいぶ前に観た裁判についてメモしておきますね。

 

■ とある覚せい剤使用事件 〔2月4日 東京地裁〕

 被告人は、曹洞宗の由緒ある寺院の三男。 僧籍ある身だが、修行に耐えられず脱走したこともあるという。やくざと知り合い、いったん覚せい剤の味を知るも、ふたたび寺に戻り、コンピュータの専門学校に通ったこともあった。しかし、これも長くは続かなかった模様。

 「調理師を目指す」ということで、また上京したが、本件犯行におよんでしまった。 再犯である。

 父親は元公務員の住職。 袈裟を羽織るなど、お坊さんとしての正装で情状証人として出廷。

 被告人は実の息子だが、弟子にした時点で親子の縁を切っているのだという。

 ゆったりとした口調で弁護人からの質問に答えるも、裁判システムが求めるような合理的で短い回答ではないため、裁判官から繰り返し注意を受けてしまう。

 

 弁護人「被告人、息子さんは、証人の課す修行が厳しくて出て行ったのではないですか」

 証人 「修行はすでに終えているのです!」

 弁護人「では、その後のお務めが苦痛だったのではありませんか」

 証人 「苦痛ではありません」

 弁護人「調理師になることには賛成してらっしゃいましたか」

 証人 「反対をしておりました」

 弁護人「ご家族みんな反対だったのですか」

 証人 「私のみ反対しておりました」

 弁護人「被告人の調理師学校の費用は、どなたが出したんですか」

 証人 「私が出しました」

 弁護人「お父さんが100万円出したのですか」

 証人 「そうです」

 

 つづいて、裁判官からの補充質問。

 裁判官「裁判所としてはですね、被告人、息子さんが二度と覚せい剤を使ったりしないよう、指導監督をしていただけるのか、そこが気になるのですが、いかがですか」

 証人 「裁判長は……、よくわかっておられないようですが、師匠の言うことは絶対なのです。 弟子にとって独裁者のようなものなのです」

 裁判官「もし、被告人が、証人の言うことを聞かないようなことがあれば、どうしますか」

 証人 「聞かなかったら、破門です」

 裁判官「そういうふうに二者択一を迫るところが、息子さんを追い詰めていったのではないですか」

 証人 「そんなことはありません。師匠と弟子とは、そういうものなのです」

 裁判官「被告人が東京にいるときの動向というのは、知っていましたか」

 証人 「私どもは、父と子という縁は切っているものです。出て行った後も、うちの者と連絡は取り合っていたようですが、学校に通っているかですとか……」

 裁判官「お父さんは、息子さんの動向は知らなかったのですか。 イエスかノーで」

 証人 「ノーです」

 裁判官「では、奥さんからある程度聞いて知っていたと、そういうふうに聞いておきますね」

 証人 「仏門に戻るということであれば、私は受け入れるつもりです」

 

 仏門の絶対的存在と、刑事法廷の主宰者…… まさに竜虎相打つという感じで、いずれも一歩も譲る気配が見られなかった。

 その迫力に押され、直後の被告人質問が完全に霞んでしまった。

 

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コメント

徳島での見事なスカ引きっぷりに、涙がこぼれおちそうでござる。 ぷははっ。


ところで覚せい剤事件で証人の住職さんは、なんか見えない敵と戦っているみたいで面白いっすね。

投稿: | 2008年2月22日 (金) 23:28

まぁ、取材の目的を果たせないのが「スカ」だとすると、すでに徳島で4回「スカ」を引いてますね。

さらに、水曜日に5回目を引きに行きます。くじも引かなきゃ当たらないので、なにごとも行動が大事でござるよね。

この歳になって思い知りました。

ま、富山・徳島だけでなく神戸でも「スカ」を引いたりしてるんですが、その代わりに東京では見られないような類の裁判を見ることができたり、思いがけぬ発見がございます。

投稿: みそしる | 2008年2月25日 (月) 19:02

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