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2008年5月19日 (月)

借金の取り立てと、音楽著作権

 ありがたいことに、今週は、雑誌掲載ラッシュでございます。

 ラッシュといっても2本ですが。

 本日発売の経済誌「週刊ダイヤモンド」は裁判特集。 54ページより、『爆笑!裁判官の非常識お言葉集』と銘打っての書き下ろしが掲載されています。

 いわば「爆笑お言葉集」の“外伝”という位置づけといえましょうか。

 逆に、裁判官のわかりやすい失言の少なさというのも痛感します。 だって、わざわざ半世紀以上前の「お言葉」まで掘り下げ、引っぱり出しましたから。

 

※ なお、54ページ最下段に、『「土地の売却には被告の許しがあった」という事実を証明するためです。』 などという記述がありますが、これでは意味不明です。

 ……『「土地の売却には原告が関与していなかった」という事実を証明するためです。』 と、各自で読み替えてくださいますようお願いいたします。(^^;;

 別に、ナガミネが寝不足で疲れていたというわけではありません。 ただ単にアホなだけです。

 

 また、木曜日発売の小学館「女性セブン」にて、地方のキャラクターが特集されるのですが、その企画のなかで、全国の検察庁で作られた「裁判員制度プロモーションキャラ」を採り上げていただくことになっています。

 片隅に、私のエラそうなコメントが寄せられているはずです。

 

 いずれも、コンビニでも売っているメジャー雑誌ですので、ぜひお買い求めくださいね!

 

 また、ありがたいことに、ある雑誌での「連載」のお話も頂戴しています。 詳しくは、全容が固まり次第、皆さんにお知らせいたしますね。

 ……その全容をこれから一両日中に考えて、答えを出さねばならんのですが。 う~む。

 



>>> 武富士に業務改善命令  金融庁、三和ファイナンスも処分

 金融庁は16日、消費者金融大手の武富士に対し、融資記録の管理や取り立てで法令違反があったとして、業務改善を命令した。

(中略)

 金融庁によると、松山市内にある武富士の支店の担当者が06年8月、借り手の自宅を訪れ、ドアを強くノックしたり、玄関前で「貸した金返せよ」といった文言が入った音楽を携帯電話で流した。

2008/05/16 19:41  【共同通信】


 

 借金取り立ての方法に問題があることは、今さら言うまでもないでしょうが、あらためて条文を確認しておきましょう。

 
 

◆ 貸金業法 第21条(取立て行為の規制)
 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。

  5.はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。

 

 

 しかし、気になりますねぇ。

 株式会社武富士は、お金を売ってる「¥(エン)ショップ」とのことですから、取り立ては当然に営利目的の行為。

 で、営利目的で市販の音楽を流すには、著作権者の許可が必要なはずですよ~。 著作権法38条の反対解釈です。

 

 

◆ 著作権法 第38条(営利を目的としない上演等)
 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

 

 

 日本音楽著作権協会(JASRAC)は、何をボサーッとしてるんですか? これまで、市販のCD流してたダンス教室を狙い打ちし、多額の著作権使用料を請求して潰してきたじゃないですか。

 ピアノやハーモニカでの生演奏で知られた、東京・石神井の某バーは、著作権法違反の容疑で刑事事件にまでなりました。 客としてJASRACの職員が紛れて生演奏を注文するという「おとり捜査」によって。

 私は、その裁判を最初から最後まで傍聴していました(といっても、初公判と判決公判の2回しかなかったんですが)が、執行猶予つきながら懲役刑を言いわたしていた裁判官は、あくまで「法律どおりに答えを出しただけ」。

 それで結構ですけど、なんだかなぁ~。

 ジャズとハーモニカが大好きな爺さんは、すっかり前科者。 「著作権を甘く見ていた」……という法廷での供述が悲しかったですよ。

 

 だから当然、武富士にも著作権使用料の請求書が行くんでしょうね? それともJASRACは「客」を選べる立場なんですか?

 きっちり、たっぷり割り増しで請求してくださいませ。 そして、そのお金はウルフルズのトータス松本さんら「借金大王」の権利を持つ、各クリエイターの皆さまのもとへ振り込むのも忘れずに。

 

 行け行けJASRAC!  日本の音楽文化を守るため!!

 JASRACが動けば動くほど、事態は変化していきます。

 使用料未払いのお店を職員が取り囲んで「ドロボー」と罵声をあびせるなど、貸金業者も顔負けの取り立て(※この点は、伝説の記事と名高い「週刊ダイヤモンド」2005年9月17日号 56ページにおいて詳しい)を行えば行うほど、「JASRAC管理楽曲」からみんなが次第に離れていくでしょうね。

 そのうち各自が草の根で、自作の音楽を演奏して楽しむようになっていきますように。 そうJASRACは夢みているのです。

 その夢が実現すれば、著作権使用料を吸い上げるあてを失ったJASRACは役割を終え、みんなの楽しげな笑顔を見届けながら、静かに潰れていくのです。

 なんと美しい自己犠牲の精神でしょうか。

 

■ JASRACがお店に対してやってきたこと (JASRACを考える。さま)

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とほほ権力」カテゴリの記事

コメント

なるほど、みそしるさんがJASRACを皮肉ると、このような流れになるのですね。参考になりました。

投稿: ある弁理士 | 2008年5月20日 (火) 12:53

>ある弁理士さま

 
 
コメントありがとうございます。 先日、食事やビールをご一緒しながら、少しJASRACの話も出ましたね。

でも、参考にしたら大ケガしますよ。(^^)

専門家の方に「参考になりました」と言われると、なにか変なこと書いたんじゃないかと、逆に怖いですし~。(^^;

この際「つまらん」と書いてもらったほうが、まだいいです。 (←ザ・ネガティブ)

JASRAC批判は、すでに世間で言い古されている感がありますので、たとえば「ネット・デジタル時代」にふさわしい著作権法制の提案など、もう少し建設的なことを書きたい気持ちもあるんです。

今回は、残念ながら実力がともないませんでした。 勉強します。

投稿: みそしる | 2008年5月20日 (火) 18:48

はじめまして。無職のくずと申します。

みそしるさんの書籍「裁判官の爆笑お言葉集」も読ませていただきました。おもしろかったです。
それと、週刊ダイヤモンドの記事の拝読しました。
54ページの事件を担当した裁判官は、現在水戸地家裁の某支部で支部長をしていらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。
ちなみに、ゴマキ弟の公判と元公安調査庁長官緒方威重氏の公判を担当している裁判長は、平成19年3月まで水戸地家裁にいらっしゃいました。

投稿: 無職のくず | 2008年5月23日 (金) 22:10

こんにちは。返事が遅れまして失礼しました。

お言葉集を面白いと言ってくださいまして、どうもありがとうございます。

ただ、あの本の面白さは、ほとんど裁判官の皆さんの手柄ですので、目下執筆中の第2弾では、私の書いた説明文が、裁判官のお言葉に負けない力を備えていくよう心がけています。

茨城にお住まいなのでしょうか。裁判官の名前は伏せておいても、わかる方にはわかるんですね。(^^; さすがです。

あの~、一時的に職がないからといって、あんまりご自分を卑下なさらないほうが。

……いや、くず湯の「くず」ならいいのですが。

投稿: みそしる | 2008年5月26日 (月) 11:07

みそしるさん、こんばんは。
ご無沙汰しております。
実は、私はみそしるさんと同年代なんですよね。しかも、裁判傍聴がもっぱら趣味兼勉強みたいになっている点も共通していますし。

> 茨城にお住まいなのでしょうか。
はい。そのとおりでございます。
> 裁判官の名前は伏せておいても、
> わかる方にはわかるんですね。(^^;
> さすがです。
わかりますよ。一度下妻にその裁判官を見に行ったことがありますが、何か被告の代理人弁護士を叱り付けていましたね。
事実、裁判官の人事情報も結構出ていますからね。
ちなみに、ストーカーやらかして逮捕・起訴されたS判事は、その判事の後任ですね。

> 一時的に職がないからといって、
> あんまりご自分を卑下なさらないほうが。
卑下していません。もともとは、2年前にTBSで放送されていた「弁護士のくず」からもらいました。あと、自分のつらい時代を忘れないようにという意味もありますが。もともと一匹狼的なヤセ浪人・田舎侍ですから。

投稿: 無職のくず | 2008年6月11日 (水) 22:22

>無職のくずさま


コメントありがとうございました。けっこう裁判官にお詳しいんですね。

お言葉を返すようですみませんけれども、私が裁判傍聴に行くのは、完全に仕事の一環であって、あいにく趣味の要素はありません。

もちろん、皆さんのプライベートでの傍聴も大歓迎ですが、「意外と面白い」「ハマってる」という言い回しならまだしも、「趣味」に挙げられると、ドン引きですね。少なくとも私は。

裁判は見世物やエンターテインメントではありませんから。

昨年、北尾トロさんと対談させていただいた際、私は「裁判傍聴って、基本的に悪趣味ですよね」と発言して、トロさんも同意してくださいました。

ちょっと今は手元にないですが、小学館の「SAPIO」2007.6.27号です。

他人の不幸を覗きみることを愛好しているという自覚があれば、裁判傍聴を「趣味」だと公言していただいても、私からは何も申し上げることはありません。

……それほど深い意味をこめて「趣味」とお書きになったのではないと思いますが、印象は決してよろしくありません。

裁判官のお言葉や、弁護人vs検察庁の攻防などを目当てに傍聴なさっているのかもしれませんが、記者証か何か付けてないかぎり、当事者の方には野次馬と区別つきませんから。 私もその点は事情が同じですが。

浪人中も、たしかに福岡高裁/地裁へ足を運ぶことはありましたが、忙しかったので年に1~2回程度のことです。

あくまで先の見えない受験準備のなか、気分転換する意味とか、教科書に書いてある手続きが実際どう動いているのかをチェックするぐらいの「将来の職場見学」という位置づけで、法廷を覗いてました。

あれから数年たち、別の意味で職場になってしまいましたけど。(^^)

裁判は、司法の現状や社会の矛盾、人間の哀しさなんかが映りこむ鏡ではないかと認識していますので、そこも見逃さないように傍聴するよう心がけています。

それに傍聴って、けっこう時間くいますよね。裁判を1件みるだけで1時間前後かかりますので、それで何件か傍聴して、特筆すべきことが起こらなければ、「この時間に原稿進めたかったな」と後悔することすらあります。

「ネタ探し」の場所としては、決して効率よくないですね。現在、裁判傍聴活動に依存しない司法ライターのあり方を模索しております。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: みそしる | 2008年6月12日 (木) 16:11

みそしるさん、こんにちは。

> 私が裁判傍聴に行くのは、
> 完全に仕事の一環
> あいにく趣味の要素はありません。
大変失礼致しました。
それと誤解を生じさせてしまっているようですので、少々釈明させて下さい。
私が裁判傍聴をするのは、ある種の社会勉強的な意味もあります。
今後、自分でも民事訴訟を提起する予定があり、そのやり取りや弁護士や検察官の尋問を勉強すると言う意味もあるのです。
「趣味」という言葉を遣ってしまったことは撤回して謝罪申し上げますが、私の場合はそういう要素も含まれていることをご承知おき下さいますようお願い申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。

投稿: 無職のくず | 2008年6月15日 (日) 13:21

はい、承知しました。(^^)

こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。

投稿: みそしる | 2008年6月16日 (月) 21:29

お久しぶりです。

「公に」を満たさないから著作権法違反ではないように思いますが。バーのように不特定多数に聴かせたんじゃなくて、特定少数に聴かせたわけでしょう。

投稿: 匿名 | 2008年6月26日 (木) 03:32

こんにちは。あの匿名さんですね。

貸金業法に違反する取り立てであることを前提に、借り入れに関する事実が「債務者以外の者に明らかに」なるような、着メロの流し方であれば、「公に」の要件も満たすのではないかとイメージしました。

少なくとも「不特定」の近隣住民に向けられているものとはいえそうですね。

ただ、手元にある中山信弘「著作権法」には、「公に」の要件について、「不特定かつ多数」を意味するのか「不特定または多数」を意味するのか、何も書いてありませんでしたので、悩みどころです。

ただ、要件を広げなければならない必要性もなさそうですし、たぶん「不特定かつ多数」を指すのでしょうね。となると、匿名さんのおっしゃるとおり、私の書いたことは間違いということになるでしょう。

とはいえ、私秘的なエリアでない限りは、営利目的における公の場での演奏、ということで構わないと思うのですが、いかがなものなんでしょう。範囲が広すぎるでしょうか。

コメントどうもありがとうございます。

投稿: みそしる | 2008年6月27日 (金) 05:52

よほど大きな音量で流していれば不特定人に聞かせていることにもなりましょうが、携帯電話程度の音量であれば問題ない気もいたします。ただ、確かにおっしゃるとおり争うことはできそうですね。

「公に」は、不特定または多数を指すので正しいです(著作権法2条5項参照)。

投稿: 匿名 | 2008年7月 3日 (木) 03:41

問題となった取り立て状況がよくわからないものの、私の書いた文章は、もしかしたら前提が違えているかもしれない、という気がしてきました。

貸金業法違反とはいっても、21条1項5号ではなく、同1項本文の「人を威迫し、」に該当するのではないかと。

金融庁のガイドラインには、
1、暴力的な態度をとること
2、大声をあげたり乱暴な言葉を使うこと
3、多人数で債務者や保証人の居宅等に押し掛けること

とあるので、「借金大王」の着メロを家の前で鳴らすのが、威迫行為にあたるのかは不明ですが、ドアを叩いたりは、「暴力的な態度」→「人を威迫し」にあたるのかなと。

あくまで債務者に向けられたものなら、「公に」演奏されたものとはいえないということでしょうか。

他の近隣住民や通行人の誰かに「借金大王」を聞かせる意図さえあれば、たとえ結果的に誰も聞いていなくても「公に」になりますよね。でも、着メロを鳴らす程度なら営業目的でも、さしものJASRACさんも、立件しないだろうということですね。

どうもありがとうございます。

投稿: みそしる | 2008年7月 4日 (金) 23:58

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