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2009年2月 7日 (土)

【マイナー罰則(1)】 臓器売買罪

 今月20日発売の「罪と罰の事典」(小学館)は386ページあり、けっこうボリュームのある本なのですが、それでも収録しきれず、泣く泣く削ろうと決めた罰則たちを、ここでひっそりと紹介してみます。


臓器売買罪(臓器の移植に関する法律11条、20条)

<緊急逮捕が可能>
<時効5年>
<国外犯:日本国民による犯行なら、この法律で処罰>

■どんな犯罪?

 移植手術に使われる人間の臓器(心臓・肺・肝臓などの内臓、および眼球)を、勝手に他人へ譲り渡したり、他人から譲り受けたり、またはその間を取りもったり、これらの対価や謝礼などとしてお金などを授受したり(その約束や要求も含む)すること。

■どんな罰則?

 1カ月~5年(懲役)
 1万円~500万円(罰金) [併科あり]

 ※[両罰規定あり] 法人に500万円以下の罰金。

 ※授受されたお金は没収される。



 

 植物状態と違って「脳死」は、人工呼吸器が実用化されたことによって初めて生じた状態であり、新しい問題です。

 現代医学による回復は無理だけれども、心臓が動き、呼吸もある人を、はたして「死者」として扱うべきか、生き死にに関わる価値観は人それぞれで、一概に処理するのは難しいところです。

 10年前にできたこの法律に基づき、脳死者からの臓器移植手術が、今までに80例ほど実施されているとのこと。

 日本国内では、昭和40年代に起こった衝撃的な「和田心臓移植事件」の後遺症をまだ引きずっているともいわれ、臓器移植手術の実施は低調です。

 心停止後の腎臓移植の場合は別として、脳死臓器移植に至るまでに「脳死者が15歳以上」「脳死者が記入済みのドナーカードを所持」「脳死者の親族の同意」など、さまざまな条件が課されています。

 

 なお、移植用というわけでない臓器が売買される可能性もあります。 物騒な話ですが、多額の借金をかかえ、返せなくなって、取り立て人から「カラダで返せ。お前の腎臓売るぞ」と脅される場面ですかね。

 この場合は、そうした臓器を取り出す目的で、人をさらったり売り買いした時点で、加害目的の略取誘拐罪(刑法225条)や、加害目的の人身売買罪(刑法226条の2)が成立するようです。

 これらの最高刑は懲役10年。 臓器売買罪よりも重い法定刑が設定されています。

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