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2009年6月23日 (火)

裁判員制度を輝かす 100の改善案 〔No.01-05〕

 「100の改善案」と、大胆にぶちあげておきながら、じつは、まだ53個しか思いついていないんですが…… これから裁判員裁判の法廷を実際に傍聴したりしながら、残り47個を考えていきたいと思います。

 

【1】 対象事件を、ほぼ刑事事件全体へ広げてください。

 いま、裁判員が呼ばれる対象事件は、故意に人を死亡させているような事件を中心に、強盗傷害や通貨偽造、覚せい剤密輸など、凶悪事件が並びます。

 日常生活の中で起こった身内の殺人事件などでは、まだ「庶民感覚」も活かされるでしょうが、あんまり特殊な事件が含まれると、裁判員を入れる効き目があまりないような気もします。

 なので、窃盗や暴行、チカンなど、比較的軽い犯罪にも関与させてください。 その代わり、簡略化されたかたち(裁判官1名+裁判員4名、など)でもいいでしょう。

 
 

【2】 その代わり、対象は「否認事件だけ」にしてください。

 被告人や弁護人が、犯行を認めているような事件については、あとは情状酌量など、量刑の問題しか残っていません。

 「同情の余地があるか」「執行猶予をつけるかつけないか」という話なら、まだわかりやすいですが、「では、懲役2年にするか、3年にするか」という数値の設定になると、技術的な問題になり、なかなか一般人にとって根拠を示しづらいです。

 なので、「この人がやったのか? それとも、やったとは疑わしいか?」を問う、もっと具体的な状況判断の場面で、庶民の英知は活かされるべきと考えます。 冤罪の悲劇を少しでも減らすためにも。

 刑事裁判での有罪率99.9%という日本の現状において、裁判員は、「検察官が起訴した以上は有罪じゃないか」という先入観を抱かずに審理に臨める貴重な存在です。

 
 

【3】 候補者100人は呼びすぎ?

 100人も集めておいて、理由を公表せずに8人程度を外し、最終的にはクジで6人+補充裁判員1人だけを選ぶわけです。

 結局、残り90人あまりは、4000円程度の手当てだけ受け取って、選任されなかった理由も告げられず、午前中であっさり帰される。 それは気の毒です。

 たくさん候補者を呼んでおいて、そのなかから6人+αしか選ばないんですから、大半は無駄足になってしまいます。 皆さん、貴重な時間を費やして裁判所くんだりまで来ているわけですから、交通費を支給すれば済む問題じゃありません。

 それに、候補者をたくさん集めると、まるで、そのなかから裁判所に都合のいい人物をえり好みして裁判員に仕立て上げているような印象を与えてしまい、その点でもよろしくないです。

 皆さん忙しいのだし、呼び出す候補者は30人程度でいいのではないでしょうか。 ご検討くださいますようお願いします。

 

 

【4】 法廷に窓をつけてください。

 法廷の空気は乾きすぎていて、裁判の途中で、私はしょっちゅう咳き込んでしまい、すごく気を遣ってしまいます。

 東京地裁の402号法廷、あるいは地方都市の裁判所に出向くと、窓が付いてたりしますが、大半の法廷は、四方を壁に囲まれた異質な空間です。

 裁判所の裁きが、地に足の付いたものであるよう、太陽や風をいっぱいに取り込めるような仕組みになってほしいと願います。

 
 

【5】 法廷に、花のひとつぐらい生けてください。

 ほとんど同じ理由です。 少なくとも大都市圏の裁判所の法廷は、誰かの人生を左右する場所としては、あまりにも殺風景です。

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裁判員制度を輝かす 100の改善案」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
またお邪魔しますね
改善策№04についてですが、私はあの“異質な空間”が逆にらしくて好きです。
そもそも裁判官、被告人とも仰々しく、どこからともなく登場しますし、裁判所の建物自体独特のルービックキ★ーブ型で、官公庁街にあっても非常にわかりやすく、‘あの四角’一つ一つでそれぞれの裁判が行われていると思うといつもドキドキします。
法廷(特に刑事事件)はホントに非日常で、裁判所から出ると、いつもの風景なのに全く別世界な感じがする感じも好きです。
でも、法廷の空調を不快に感じる方は結構いらっしゃるみたいで、特に検察官・弁護人のように長時間話さなくてはならない人は辛そうです。
せめて飲み物はあってしかるべきだと思います。

投稿: ぬのちゃん | 2009年6月23日 (火) 21:32

>ぬのちゃんさま

コメントありがとうございます。

そうですね。私も含めて、裁判傍聴に行く人間って、まじめな顔しつつも、「なにか面白いことが飛び出さないか?」と内心で期待しています。

だから、心のどこかで、法廷をテーマパークとかアトラクションのような感覚で捉えているのかもしれませんね。

ただ、法律や裁判は、日常や常識の延長上に存在してほしいとも、いちおう思ってたりしてます。

ルービックキューブ型の裁判所庁舎ということは…… 名古屋でしょうかね?

ちなみに北九州市役所もキューブっぽいですよ。

投稿: みそしる | 2009年6月24日 (水) 01:09

すみません、返しです。
私が傍聴したことのある裁判所は東京と名古屋のみなので、裁判所とは皆ああいう形をしているのだとばかり思っていましたが、どうやら違うようですね。
失礼しました。
これからこの国の司法もアメリカ並みに大衆化されていくかと思うと少々寂しい面もあります。
でも考えてみれば、「上から下へ裁く」みたいなことは、やっぱりよろしくないのではないかと。
あと全然関係ないのですが、今日雨上がりの中を歩いていて何気に「裁判所の匂い」がする?と思ったら、カビ!の匂いでした。
…。
北九州も訪れてみたいですね~
それでは。

投稿: ぬのちゃん | 2009年6月24日 (水) 21:14

名古屋の裁判所は、廊下の内装や法廷の扉のディテールに工夫がみられて、いいですよね。

たとえば、神戸地裁の庁舎は、前面にレンガ造りの壁が残されていたり、正門のつくりにレトロさがあったり、2階へ続く階段がデカかったりして、わりとユニークかなと思います。

福岡高裁/地裁は、お堀の池を越えた向こう側に鎮座していて、その風景は少しかっこいいです。

でも、日本の裁判所って、どこでもだいたい想像が付くような、似たりよったりの建物だなと思います。

投稿: みそしる | 2009年6月24日 (水) 21:55

100の改善案にぜひ加えてほしい!
それは、裁判員裁判をつぶさに記録する速記官のプロフェッショナルな仕事です。
「見て聞いて分かる」と宣伝されているけれど、今までの専門家だけの裁判でも速記録は待たれています。
裁判員裁判で、さっき何て言ったの、もう一回確かめたい、よく聞こえなかったetc・・こんなことが一杯出てくるのはあたりまえです。
こんなとき、しっかり確かめて、自信をもって評議に臨むために速記録が手もとにあれば心強いことこの上ありません。
今、これができるのは裁判所速記官が今使っている「はやとくん」による速記です。

投稿: 速記花子 | 2009年6月29日 (月) 20:13

>速記花子さま

いらっしゃいませ。貴重なご意見ありがとうございます。

たしかに、私も過去に模擬裁判を傍聴した際、疑問が湧いてきました。

ろくに休憩をとらず、何時間もぶっ続けで審理しているので、裁判員役の一般の方が、法廷で話されている証言などを、長時間、集中力を保って聞いていられるんだろうかと。

メモを取りながら、他人の話を聞き漏らさずに何時間も傾聴していられるのは、記者やジャーナリストなど、特殊な職業の方に限られるはずで、ふつうは慣れていない作業です。

裁判所速記官は、だんだん少なくなっているようですし、法廷で登場する場面は否認事件が大半なので、出番そのものも決して多くありませんよね。

特に裁判員裁判では、速記官の在廷を義務づけてもいいでしょうね。

そうなれば、メモに慣れない裁判員の助けになると同時に、速記官の地位向上にもつながると思います。

投稿: みそしる | 2009年6月30日 (火) 21:47

4、5素晴らしいです!

のどが痛むのを防ぐということであれば、湿度計を取り付ける、という方法があります。

軽く検索してみると、
http://www.health.ne.jp/library/3000/w3000388_2.html

湿度を60~80%に保つことで、ウイルスの活動が弱まり、風邪対策にもなるようです。

裁判員の体調を守るためにも、法廷に湿度計を設置して、湿度を(もちろん温度も)管理することを提案させていただきます。

投稿: 絶坊主 | 2009年8月 9日 (日) 09:59

ごぶさたしてます。

そうですね。法曹にとっても法廷は長期間居座る重要な仕事場ですから、湿度管理は大切だと思います。

裁判所に招かれた裁判員にとっても、健康的な環境で職務をまっとうしたいですよね。 

傍聴人は、非日常空間を楽しみに、勝手に観に来ている私的な側面と同時に、変な裁判が行われないよう厳しく目を光らせて監視する公的な側面もありますので、いちおう気を遣っていただきたいです。

こんなことを私が書くと、まるで我田引水みたいで、ちょっとイヤなのですが(笑

 

仕事が正念場にあり、遊びの用事では、なかなか遠出をすることができない状況になっているのがネックですが、ぜひまたお会いしましょう!ぜつさん!

投稿: みそしる | 2009年8月 9日 (日) 15:26

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