本当の意味での「創業」?
録画していた、月曜放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京系列)を、先ほどようやく起き抜けに視聴。
いやぁ、テレビを観て、本気でビックリしたのは久しぶりです。
だって、こんな法律ブログで、経済番組のことを書く必要なんか無いわけですから。 でも、この驚きを、ひとりでも多くの方にお伝えしたい。
こうした類の経済番組では、しばしば「常識破りの」経営者というものが登場しますけれども、そんな常識破りは、カワイク見えてきます。
その会社は、利益が出たら…… 従業員やお客様に還元します。 しかも中途半端な還元ではありません。 従業員は1回のボーナスで500万円以上もらえる場合もあるそうです。 会社で1600万円のプレジャーボートを購入し、従業員で共有して使っています。
メガネの値段自体は、現在の価格破壊の風潮を考えれば、けっこう平凡なので、もしかしたら、お客様より従業員を大切にした会社なのかもしれません。
その会社の従業員の中には、NHKのディレクターとして、この会社を取材し、惚れ込んでしまって転職してきた方もいるそうです。 天下のNHKからですよ。
創業者は、従業員の中で最高額となった報酬と同額を来年もらうそうなので、従業員の給与より低い報酬となることもしばしばあって、税務署に怪しまれて査察に入られたこともあるそう。
その会社には、経営危機に備えて財産を蓄える「内部留保」という発想がありません。 100億近い売り上げを出しながら、経常利益がせいぜい数千万円の範囲でプラスとマイナスを行ったり来たり。 「黒字5万円」なんて年もあるようです。
その会社は、大きな損失が出たら…… 従業員の給与を平気で下げると予告しています。 平均をはるかに超えた給与をもらっているわけですから、いざというときは貯蓄でしのげるだろうと。
内部留保を会社に蓄えず、従業員各自で蓄えるという、やはり普通には聞かない発想です。
それでも、「ノルマがない」「働きやすい」「待遇がいい」ということで、従業員がいつも満足しているため、いざというときは協力してくれるんでしょうね。 実際に給与を引き下げるほどピンチになったことは、最近は無いようですが。
その会社は、いざ資金繰りが厳しくなったら…… お金は銀行から借りずに、各チェーン店や従業員から借ります。 数万円ずつの出資で、あっという間に数千万円集まってしまうんだそうです。 いつも従業員に恩を売っているからこそできる、離れワザです。
また、従業員出資制度という独自の投資システムを使えば、平均で年10%程度の利息が付いて還ってくるとのこと。 これも「利息が高すぎる」と、税務署ににらまれたそうです。
その会社は、管理職がいません。 人事部もないようで、若い女性の事務員さんが新入社員の面接をやっているようです。
「社長」という肩書きすら、ベテラン従業員が代わりばんこで名乗る名誉職のようなもので、いわゆる社長業という仕事はしておらず、皆さん現場の最前線で働いてらっしゃいます。
その会社の名前は、広島の眼鏡チェーン店 「メガネ21」
創業者の平本清さんには、別のメガネ会社からリストラされた過去が。
その会社にいたころ、ふとしたキッカケで、その会社が高価な不動産を買いあさり、巨額の内部留保をしていることを知っていたので、「従業員が喜ぶ会社を創ろう」と決意されたそうです。
今では、かつて在籍していたメガネ会社の業績をあっさり抜き、地域トップ企業へと成長しました。
6月29日(月)は、その「メガネ21」特集の後編が放送されます。
あまりにも常識破りすぎて、いろいろと難癖をつけ、足を引っぱりたくなる既存の経営者の方もいらっしゃるでしょう。
私としても、頭の中が“?”だらけ。 「そんなバカな、なにか裏があるんじゃないか?」と、いつもの勘ぐりグセが止まらなくなってしまいますが、次回の放送で少しでもナゾが解明されますようにと願います。
「従業員のため」「お客様のため」「ウィンウィンの関係」なんてことを、自分をよく見せる呪文かお題目のように唱えている経営者の皆さんは、目を見開き、耳の穴をかっぽじって視聴してください。
そういえば、別のメガネ店ですが、顧客サービスを徹底して、「親子3代で常連です」なんて、筋金入りのリピーターが多数いる会社を、やはりテレビで特集してました。 メガネ店という業態には、大胆なことをしたくなる雰囲気というか、魅力があるんでしょうか。
まだまだ、テレビ番組は捨てたモンじゃないですね。 先週と次週の「カンブリア宮殿」は、DVDに焼いて永久保存版にするつもりです。
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