裁判員制度を輝かす 100の改善案 〔No.21-25〕
日経ビジネスオンライン
【日刊新書レビュー】
絶対にホームから移動してはいけない
『「この人、痴漢!」と言われたら』(中公新書ラクレ)
粟野 仁雄 著
(評者 : 長嶺 超輝)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090804/201706/
↑ 本日付けで一般公開です! よろしくお願いします。
今朝の東京地裁、
裁判員裁判3日目になりますが、私と友人も含め、裁判所の脇に傍聴希望者1310人が並んでいたそうです。
きのうよりも減りましたが、あんまり変わっていないともいえます。
で、今日の結果も例のごとく、ふたりともドボンですね……。
こういう過熱気味の雰囲気は、そう長く続くはずがないので、じっとガマンすることにします。
そのうち、裁判員裁判が珍しくなくなる時期が来るでしょうから。
明日の午後から判決公判。
いつもの裁判官3名の横に、裁判員が6名座っている違いはあるものの、やっぱり判決ですからね。
コレばかりは今までどおり、裁判長の独壇場な気がします。
もしかしたら、判決公判で意外なハプニングが起きるかもしれませんけどね。
……って、ハプニング待ちかよ。
明日は、書きモノの仕事に専念したい気持ちがありますので、パスして、来週の「裁判員裁判第2号」に、くじ運を賭けようと思います。
それでは、今日も裁判員制度にツッコミを入れ続けるマラソン企画をお送りします。
今回は21~25個目です。
◇◆◇◆◇
【 21 】
連続開廷での審理は、考え直してほしいです。
今朝、裁判員を務めていた方が1人、3日目にして体調不良を訴えて途中辞退することになり、補充裁判員と交替になりました。
裁判審理の過酷さとの因果関係はわかりません。
ただ、裁判所に通って審理にあたるという、慣れない営みが「毎日」続くことは、心身に負担をきたすのは避けられないでしょう。
また、過酷さは別に置いても、連続開廷は、決してメリットは大きくないと思います。
職種によるでしょうが、仕事の穴を連続3日空けるより、3週にわたって週1日ずつ空けるほうが助かる社会人は多いと思うのです。
それに、今回の第1号裁判員裁判を例にとっても、「月曜に初公判で、木曜に判決」というのは、「結論を出すのを急ぎすぎ」だと見られても仕方がないところです。
司法のイメージがダウンこそすれ、アップするとは思えません。
審理の間隔をギリギリまで詰めて「家族や友人に相談させず、裁判員本人の考えで決めてほしい」という意図もあるのでしょう。
それでも、裁判員が周囲の人に意見を求めるのは、司法への市民参加制度において、あらかじめ想定の範囲内でしょう。
守秘義務違反のペナルティも科していますから、裁判員だって何でもかんでもペラペラしゃべろうとはせず、自重します。
それに、守秘義務違反で直ちに実害が発生するようなケースは少ないと考えられますし、プライベートのしゃべりをあまり縛るのはよろしくない。 ちょっとは裁判員の皆さんを信頼してほしいものです。
相談する相手も「市民」なわけですし、その市民から受けたアドバイスのうち、裁判員本人がどれを拾い上げるかも、その本人の判断に含めて尊重すべきだと思います。
【 22 】
だから、「週末開廷」を真剣に考えてほしいです
これから毎年11月ごろに行われるという、「裁判員候補者名簿への登録」の際、
「もし、あなたが裁判員として召集されたら、土曜や日曜の参加を希望しますか? それとも、平日での参加でも構いませんか?」と、アンケートをとっておいて、その希望に叶うような選任をするほうが、世間の理解を得やすいと考えます。
それで、あえて平日参加を受け入れた裁判員へは、支払う日当を上乗せすればいいでしょう。
休日参加の場合は、サラリーマンやOLを中心に、比較的参加しやすいでしょうから、日当は据え置きにします。
そのぶん、裁判官に休日出勤の手当てを支給すればいいと思います。
【 23 】
まず、裁判員だけで話し合って、その後で裁判官と話し合うようにしてください。
いくら、食事時間や休廷時間などで、プロ裁判官と一般裁判員が世間話などをして、互いに打ち解けたとしても、やはり評議の場では、法律知識や裁判経験の面で、力関係が違いすぎるでしょう。
せめて、評議の前半は、立場が対等な裁判員6人だけで話し合って、どんなに初歩的な疑問でも遠慮なく意見を言い合い、勘違いや思い込みなどを修正し合いながら、裁判員だけで意見をある程度固められるように配慮してほしいです。
そのあとで、プロ裁判官と討論を戦わせれば、より有意義な話し合いになると考えます。
いきなり裁判官と話し合うのでは、裁判員の意見がプロに誘導される可能性が拭いきれないと危惧します。
もちろん、裁判員制度の趣旨を理解して、意識の高い裁判官は、裁判員の意見を誘導しそうになる自分を戒めながら、うまく多様な意見を受け入れて評議を進めるでしょう。
しかし、最終判断に至るまでの、素人のムダな思考回路や脱線など(のように見えてしまう話し合い)にガマンならない裁判官は、話し合いが面倒になって、さっさとケリをつけようと、自らの考える結論へ誘導するおそれがあります。 残念ですが。
法廷ですら、客観性を欠いて、検察側に有利な立場を前提に質問するなど、流れを誘導する裁判官が散見されます。
ましてや、非公開の評議室をや。 ……ということなのです。
【 24 】
「裁判員+裁判官」の意見と、「裁判官のみ」の意見を、両方公開してください
先ほど、「裁判員のみでの評議を前半に」と申し上げました。
その間に、裁判官3名でも従来どおりの合議を行い、従来の基準で結論を導き出しておくのです。
そして、判決では、裁判員と裁判官が話し合った結果と、裁判官のみの合議結果を、両方示してほしいと思います。
「主文 被告人を懲役15年に処す。 (なお、職業裁判官3名の合議の結果は、懲役18年でした) 以下、理由を述べます……」
……というような、判決言い渡しイメージです。
「導入前」「導入後」を比較する材料がないと、裁判員制度が本当に正しいものなのかどうか検証することが困難になります。
本当に、現在の裁判員制度システムに自信があるなら、この程度の情報公開はできるはずですし、「なぜ、私たちが裁判員として参加しなければならないか」世間の理解も得やすくなると考えます。
「導入前」「導入後」の判決内容を比較するのは、裁判員制度推進派にとってもメリットがあるといえるでしょう。
【 25 】
被告人による「選択制」にしてもいいかも?
【24】の意見を前提にして、
判決言い渡しの前に、被告人に、「裁判員裁判で導いた主文を受け入れるか? それとも、裁判官のみで導いた主文を呑むか?」を選ばせ、被告人が選んだほうの主文に、正式な法的強制力を持たせる……という方法も考えてみました。
裁判員制度への反対論者にも、ある程度配慮する折衷案といえるかもしれません。
被告人の気持ちとしても、「仕方がない」と、判決を受け入れやすくなりそうです。
ただし、この「選択制」だと、裁判員裁判がムダになるおそれがあります。
この選択を初公判の前にさせればば、裁判官のみの裁判を被告人が選択した場合、裁判員候補者を集める必要はなくなって、ムダも解消されます。
しかし、今度は裁判員裁判と従来の裁判での、量刑比較ができなくなり、【24】のメリットが失われます。
難しいですね。
また、「裁判がゲームっぽくなって、厳粛さが削がれる」という違和感から、このアイデアに反対する立場もありえます。
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コメント
第9回万里の長城マラソンへようこそ!
はじめまして!
コース:5km/10km/ハーフ/10kmウオーキング/フルマラソン
開催地:中国北京
開催日:2010年5月1日(土・GW中)
参加費用:8,888円 ~
(北京五輪開催1週年記念キャンペーン実施中)
2009年5月1日万里の長城マラソン開催報告:
http://www.beijingglobalmarathon.com/greatwallmarathon/jp/houkoku2009.htm
(日本人参加者を含む写真と動画 満載!)
よろしくお願いいたします!
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朱 貴華
万里の長城マラソン責任者
FAX:06-42567983(大阪)
メール:greatwallmarathon_japan@yahoo.co.jp
日本語協力WEBサイト:http://www.greatwallmarathon.jp
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投稿: 万里の長城マラソン | 2009年8月 5日 (水) 17:12
いらっしゃいませ。
裁判員制度ツッコミ「マラソン」というつながりで、いらしてくださったのでしょうね。ありがとうございます。
頂戴したコメントが、エントリの内容と懸け離れているので、ちょっとビックリしましたが、露骨な迷惑コメントとは違って、色気がありますし、興味深いので削除は忍びないです。そのままにさせていただきます。
万里の長城は「グレート・ウォール」っていうんですね。へぇ~。
たしかに、石壁の上を何十キロも走り続けるなんて、マラソンコースとしては他に2つとない光景でしょうし、素晴らしい企画だと思います。
ひとりでも多くの方が、ぜひ、日中の友好を深めていただきたいと思いますね。
投稿: みそしる | 2009年8月 5日 (水) 22:05