「被害者と共に泣く検察」を実践?
ご無沙汰しておりました。
去る10月22日に、「仕事ジャンジャンください!」と書いたからなのか、それとも偶然なのか、ここのところ、原稿執筆のご依頼を続々と頂戴しております。
どうもありがとうございます。 助かります。
ちょっと〆切りがタイトなご依頼もありますが、頑張ってまいります。
コンプライアンス・株価操縦・職場の法律問題・冤罪……。
法律ネタって、マイナーなようで、需要は掘り起こせば意外と埋もれているものかもしれません。
次回作『47都道府県 これマジ!?条例集』(幻冬舎新書)を脱稿したばかりの時期でして、まだ、当方のスケジュールには若干の余裕がございます。
法律・裁判などに関する文章の書き手にお困りの方は、プロフィール欄からお入りになって、メールにてご依頼くださいますようお願いいたします。 どうぞお気軽に。
結局、愛車の板金塗装費用の見積もりは、約18万円。 これは、だいぶ以前に、車体右前方をこすってほっといた箇所につき、自費で修理することにしたぶんです。
こないだ、栃木へ出発するときに、朝っぱらにガソリンを入れようとしたところ、寝ぼけて内輪差を忘れ、後輪を思いっきりこすったぶん(先日の写真参照)の原状回復費については、保険を使わなきゃ恐ろしい金額になるそうで……。
あきらめて、修理屋さんの言うとおりにしました。
ついに手元に届いちゃいました。 台湾版の爆笑お言葉集。
ありがたいことです。 かの国じゃ、まだ日本ブームは続いてるんでしょうか。
もちろん読めやしませんが、『不快的』って……?
けっこう、裁判官批判といいますか、辛口な印象の漢字が並んでいますねぇ。
やっぱり、裁判官は世間知らずだと、ステロタイプに叩いておいたほうが、ウケがいいのかね?
>>> 松江地裁で検察官が涙の求刑 「感極まった」
仮免許中に乗用車を運転し、同乗の男女3人を死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われた女性被告=当時(19)=の公判が5日、松江地裁であり、遺族らの心情を気遣う松江地検の男性検察官が泣きながら求刑する一幕があった。
公判では、結婚間もない夫を亡くした妻が「生きる希望をなくした」と号泣しながら意見陳述。その後の論告求刑で、検察官は「遺族の方々の心中は察するに余りある」と涙を流し、傍聴席からもすすり泣きが漏れた。公判終了後、検察官は記者の問い掛けに「遺族からずっと話を聞いていたので、感極まった。お恥ずかしい」と振り返った。
検察側は禁固6年を求刑、弁護側は寛大な刑を求めた。論告では被告は平成20年8月、松江市の国道で乗用車を時速約100キロで運転、街路灯に激突し後部座席の10~20代の3人を死亡させたとされる。(2009.11.5 22:13 産経ニュース)
「被害者と共に泣く検察」というキャッチコピーがありますけど、ホントに感極まって泣いちゃったみたいですね。
よほど感受性が強い方なのか?
あるいは、
たまたま自らの境遇と重なる部分があるからなのか?
私も先日、足利事件の再審初公判 (オリジナル傍聴記録はこちら) のやりとりを見聞きしながら、菅家利和さんの境遇を思い、傍聴席でメモを取りながらボロボロ涙を流してしまいました。
その一方、周囲のマスメディア記者の皆さんは、変わらぬ様子で淡々と記録を取り続けていましたので、やっぱりその場は「お恥ずかしい」感じがありましたね。
私のメンタリティは、どうやら今回の松江地検の検事さんに近いようです。
常識的に、男の涙は「みっともない」とされています。
まぁ、私が書いたら言い訳になっちゃいますけども、
他人の心情や境遇を思って泣くのであれば、
男の涙だって、“アリ”だと確信しています。
検事が法廷でポロポロ涙を流している場面を、私は実際に目撃したことはないのですが(春先、花粉症の検事が、のどぬーるスプレーを口に噴射しつつ、目を腫らしながら冒頭陳述を朗読しているのなら見たことありますが)、
過去の新聞記事の検索をかけてみると、わりと珍しくない出来事のようです。
2002年8月には神戸地裁(大学院生の殺害事件)で、犠牲者の母親の供述調書を朗読していた検察官が、途中、涙で声をつまらせて読めなくなり、審理が数分間ストップしたことがあるそう。
調書には、「妊娠中毒に苦しみながら、息子を帝王切開で産んだ」こと、「知人から話を聞いて、息子は殺されたのではないかと思った」こと、「息子は親孝行で、私にとって宝物だった」ことなどが、つづられていた模様です。
さらに、2002年11月のさいたま地裁(会社員男性の殺害・死体損壊事件)でも、今回と同様、検察官が論告求刑中に涙を流したと報じられています。
犠牲者が死を前にした心情に思いをはせた箇所で、検事の目に涙がこみ上げてきたといい、さらに、「4歳の娘が『パパがいなくても寂しくない』と母親を励ましている」と読み上げながら、何度も声を詰まらせたそうですね。
拙著『裁判官の爆笑お言葉集』18ページでは、被告人に死刑を言いわたしながら控訴を勧めた裁判長が涙を流した場面を収録しました。
以前、この裁判長ご本人に直接お話を伺ったことがあるのですが、当時はマスコミに相当叩かれたようで、さらに私の本を読んで過去のバッシングを思い出し、心を痛められたそうです。
私へ諭すように「いろいろあるんですよ」と言われました。
「泣いて控訴を勧めるなら、どうして死刑を決めたのだろう?」と、単純に疑問に思っていたのですが、判決公判の裏側には、筆舌に尽くしがたい、さまざまな苦悩が隠されているみたいですよ。
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コメント
今年で判例時報を定期購読して10年が経ちました。読んでいておもわず泣いてしまった判決もありました。反対にそれは違うんじゃないの、という浮世離れした判決も数知れず。
長嶺さんには将来、納得できない判決文の数々をテーマに是非書き下ろしていただきたいと思います。しつこいのですが大ファンです。
投稿: きたひろさとう | 2009年11月 8日 (日) 04:48
毎度ご訪問ありがとうございます。
じつは、「すごい判決文」「楽しげな判決文」「変な判決文」は、水面下で密かに集めています。
別のことを調べていて、たまたま見つけたものをストックしているような、アバウトな感じの集め方ですので、ネタはまだ十数本ぐらいしか集まっていません。
一度時間を作って、判例雑誌をしらみつぶしに読んでみる作業も必要かなと思っています。
100本近く集まれば、書籍の企画になりうるかなと考えます。
その際も、何か一本筋の通ったテーマ性があれば好ましいんですけどね……。
投稿: みそしる | 2009年11月 9日 (月) 21:54