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2010年5月15日 (土)

ベテラン裁判長、日替わりの苛立ち

>>> 京都地裁:裁判長怒る 「居眠りする人は出ていって」

 京都地裁で11日にあった点滴水混入事件の裁判員裁判で、難解な医学用語の多用のためか多数の傍聴者らが居眠りを始め、怒った裁判長が“水入り” を宣言した上、「居眠りしたい人は出ていって」とくぎを刺す珍事があった。地裁は再開後、廷内に監視役とみられる職員を配置した。
(※中略)
 昼休みを挟んで午後1時10分に始まった公判で、検察官が死亡した四女の投薬状況や病理鑑定について説明。「β-Dグルカンはいわばカビの残がい」「直接の死因は両側性多発性肺動脈内血栓塞栓(そくせん)症」などの専門用語を連発した。すると約40分後、増田耕兒裁判長が「10分間休廷します」と急に話を遮り、「あちこち居眠りしている」とやや声を荒げた。

 再開後、検察官は「基礎資料の説明でどうしても単調になってしまう。もう少しご容赦を」と釈明。関係者席と傍聴席の間にある扉付近には休廷前までいなかった地裁職員が陣取り、傍聴席の様子に目を光らせた。

 一方、裁判員6人は午後4時半の閉廷まで目をしっかり開けて聞いていた。しかし、四女の主治医への質問はなく、検察側、弁護側、裁判官が病状の変化を詳細に尋ねた。(毎日新聞 2010年5月11日)


 

 入院中の幼い娘3人に打たれた点滴の中に、水道水(スポーツドリンクも混ぜて腐らせたとの見方も)を混入して、1人死亡、2人に傷害を負わせた疑いで起訴された母親の裁判。

 わざと他人を死亡させた「傷害致死」の疑いがある刑事事件であるため、裁判員が召集されるとなりました。

 事件の一部始終を把握するまでのプロセスの中で、医学用語が続出して難解なこともあって、通常は2~3日で終わるところ、本件は9日間という長期日程が組まれ、さらに裁判員にもわかりやすい書き下ろしの医学用語集を配るなどして、特別な対応をしているようです。

 さすがに、平日9日間を裁判に費やせる立場の一般人は多くなく、裁判員候補者のうち、60%以上について辞退が認められたそうです。

 さらに、長丁場の裁判の中で、裁判員への負担が重くなることが予想され、その身に何が起こるかわからないため、補充裁判員(控え)を4人も任命しました。

 ともかく、異例ずくめの裁判員裁判。

 増田裁判長も、集中力を切らさないよう、真剣に審理に臨んでいたのでしょう。裁判長自身も昼下がりで眠く、意識が飛ばないように必死で耐えていたのかもしれません。

 が、遠慮なくグースカ寝ている傍聴人たちをチラホラ眼下にみて、思わずイラッとしたのでしょう。

 私も正直、法廷でメチャクチャ眠くなることはありますが、どうしても我慢できない場合は、自発的に法廷から出て行きます。 傍聴席で寝ていることを裁判長や書記官から注意されるのは恥ずかしいですから。

 洗面台で顔を洗ったり、東京・霞が関の合同庁舎なら、地下にファミリーマートがありますから、そこで眠眠打破を買って飲んで、もう一度エレベーターで法廷に戻ることもあります。

 法廷では眠気覚ましでガムも噛めないので、ちょっと面倒ですね。

 そして、この件に関しては続報が。

 

>>> 裁判員裁判:「首振り」裁判員に予断 裁判長また怒り--京都地裁

 京都地裁で公判が続いている娘3人への点滴水混入事件の裁判員裁判で、前日は傍聴人の居眠りに怒った裁判長が12日、審理中にうなずいたり首を振ったりする傍聴人の態度に苦言を呈し、禁止を命じた。極めて難解な審理の中で、裁判員に予断を与えないよう配慮した措置とみられる。

 裁判関係者によると、検察官や弁護人の言葉に身ぶりで反応を示す傍聴人がおり、午後の公判の冒頭、書記官が「殊更に反応を示さないで」と異例の注意。続いて、増田耕兒裁判長が「首を振ったりうなずいたりしないでください。(裁判員が)気になりますんで」と語気を強めた。(毎日新聞 2010年5月13日)

 

 今度は、傍聴席で知ったかぶりして、しきりに頷く傍聴人にイライラさせられてしまったようです。

 たしかに、たまに見かけますけどね。 法律的な主張が飛び交うたびに、わかったような顔してコクコクと首を縦に揺らす、アピールのうるさいオッサンは傍聴席で珍しくないです。

 あまり聞き慣れない医学的な議論をしっかり把握しようと、増田裁判長も一語一句聞き漏らさず、頭もフル回転状態で対処していたのでしょうね。

 そんな中で傍聴人がお気楽に頷いてたら、「ホントにわかってんだろうな?」と言いたくなってしまいそうです。

 でも、検察官や弁護人など、説明を行っている当の本人たちからすれば、傍聴席からの反応は少し嬉しいものなのかもなぁ……とも思います。

 かつて学習塾講師をやっていた時代のことですが、授業で会心の解説を果たしても無反応・無関心の連中が多い中、最前列でいちいち頷く一部の生徒が、私はかわいくて仕方ありませんでした。

 ま、それとこれとは別ですけどね。

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コメント

傍聴人に対しあれこれ注文をつける神経質な裁判官という印象を受けてしまう新聞記事ですね。居眠りは駄目、反対にうなずいてはもいけないなんて無茶苦茶です。声を発したり、拍手をしたわけでもないのですから。ながみねさん今後の増田裁判官の法廷内の言動をきびしくチェックしてここで紹介してください。

投稿: きたひろさとう | 2010年5月16日 (日) 05:26

どうもありがとうございます。

傍聴席の居眠りは注意されても仕方がありませんし、珍しくありません。ただし、居眠りを注意できる法的根拠はわかりませんけれども(法廷秩序維持権?)。

有名裁判で優先的に傍聴席が割り当てられている記者がグースカ寝ているときは、後頭部をグーで殴ってやりたくなります。

一方で「傍聴席でうなずかないでください」という注意は、たしかに珍しいですし、法廷の秩序維持が目的だとすれば行き過ぎな印象すらあります。

知ったかぶりのうなずきを見て、イライラ感じるのはわかるのですが、具体的に止めるよう注意することは普通ありませんよね。

増田裁判官がどういう人なのか気になりますねぇ。京都地裁なので気軽に行ける場所でないのが残念ですが。

投稿: みそしる | 2010年5月16日 (日) 16:00

はじめまして。
過去京都地裁に行ったことのある身としてはこの増田裁判官の対応は妥当と感じました。
この「うなづき」を注意された傍聴人の方はおそらく毎日いらっしゃっている方かと思いますが、よく結構大きなリアクションを示されていました。
そのリアクションというのも、検事のするどい被告人質問にはうなづいたり小さなガッツポーズをしたり、反対に弁護士の無理やり(と思えるよう)な被告人への弁護は鼻で笑ったりと、かなり検察官よりでした。
なので今回のような裁判員裁判では、裁判員への影響を考えると注意するのも仕方ないように思います。
しかしこのような内情も記事になると削られてしまうため、裁判官が過剰に神経質な印象になってしまうのは仕方ないとはいえ残念ですね。

投稿: 匿名 | 2010年5月28日 (金) 19:05

どうもありがとうございます。
やたら訳知り顔でうなずいている常連の傍聴人がいて、普段は見て見ぬフリしているんですかね。

しかし、その日は裁判員が法廷にいるので、目障りになってはいけないと配慮した、ということなら、おっしゃるとおり、増田裁判長の注意も理解できる部分があります。

来週は取材で関西方面に出張します。そして、1日だけですが京都地裁へお邪魔する計画でいます。

投稿: みそしる | 2010年5月29日 (土) 01:24

昨日、ある地方裁判所に傍聴に行きましたら、裁判官が、傍聴席で頷いている方を注意していました。「傍聴人、頷いたりしないように、今度頷いたら退廷を命じます。」と裁判官は傍聴席で頷いていた方に言いました。傍聴席の方は何が起こったか、鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていました。私は傍聴席で頷いたら退廷を命じられるようなことなのかとびっくりしました。
私も数多く傍聴に行き、時々頷いたりはしましたが、裁判官から注意を受けたことはありません。何か頷くことにより具体的に審理が妨げられるのか、行き過ぎではないか、と疑問に思いました。仮に頷くことにより、裁判官に心象形成に影響与えるというならば、その裁判官が神経質過ぎて、個人的に気が散って集中出来ないだけでしょ。通常頷いたからと言って審理が妨げられることはないと思います。

投稿: 傍聴マニア | 2011年11月 2日 (水) 06:08

おっしゃるとおりですよね。

私も、うなずくぐらいのことは たまにします。

うなずき方が露骨で目障りなときは、裁判官に注意されるかもしれませんけどね。それでも退廷命令をもらうほどではないと思いますが。

投稿: みそしる | 2011年11月 6日 (日) 09:21

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