« 元最高裁判事! 福田博弁護士の講演を聴きに渋谷へ | トップページ | 京都地裁どすえ »

2010年5月24日 (月)

松本零士『銀河鉄道999』作中の、架空法律

 漫画・ゲームや小説の中に登場する“架空の法律”を分析して、

 現実の法と比較したり、

 法制度を間接的に学べたり、

 あるいは“架空の法律”の全貌を勝手に想像する本

  という、ざっくりした企画を先日、某出版社の編集者にご相談したところ……

 「その企画は、ウチでは難しいですけど、そういう法律、『銀河鉄道999』でも出てきますよね?」と、ひとこと。

 すみません、あんまり存じ上げない、との返答をすると、

 「今度、コピーをお送りします」

 とのこと。

 仕事に繋がらないのに、ホントかね?

 あんまり期待しないで待っていましたら、なんと、その発言にウソはありませんでした。

 その編集の方、『銀河鉄道999』劇画の写しをたくさん、宅配便で送ってきてくださいましたよ。

 素晴らしいですねぇ。 ありがとうございます。

 いつか、仕事をご一緒してみたいもんです。(ボソッ)

 
 

■ 宇宙鉄道運行規則(銀河鉄道規則)

 

 『銀河鉄道999』の作中では、「宇宙鉄道の運行規則」というものが存在します。

 その第17条で、

 いったん宇宙鉄道に乗った者は、途中下車できない。

 また、列車が引き返すことも許されない。

 と定められているそうです。 (『出発(たびだち)のバラード』より)

 

 また、銀河超特急999号が盗賊に乗っ取られ、その盗賊が軌道を変えるよう求めたのですが、

 機関車の制御コンピュータは、「軌道ノヘンコウハデキマセン!! 銀河鉄道キソク第27条デ!」と返答し、拒否しました。(『大盗賊アンタレス』より)

 なぜ途中下車できないのか、どうして引き返せないのか、その立法趣旨は不明ですし、「銀河鉄道キソク」と「宇宙鉄道運行規則」が同じものなのかどうかも作中からは確認できませんが、

 物語世界に緊張感を与えるのに、架空のルール設定が一役買っているといえそうです。

 

 

■ 完全睡眠法

 

 銀河鉄道が停車した「夜のない街」という駅。

 その街では、夜間に外出してうろつきまわると、「完全睡眠法違反」として取り締まりを受けます。

 夜7時ごろに、人気のない道を歩いていたメーテルを見つけて、警察は「抵抗すれば射殺する!! 指示に従わない場合も射殺する!!」と、かなりムチャで物騒な警告をしています。

 なぜ夜間外出が許されないのか。

 それは街の郊外にある、光り輝く湖に棲む巨大飛行生物「ヘローン」を守るため。

 ヘローンは、人間に危害を加えない、とても恥ずかしがり屋の生物だそうで、真夜中にだけ空を飛び、朝方にまた湖に戻るのです。

 「人間とヘローンが、昼と夜を分け合う」という立法趣旨により、夜間はヘローンの行動が優先される模様です。

 ちなみに、メーテルの発言によると「ヘローン飛行妨害罪」というのもあるそう。

 まぁ、いくら飛行中のヘローンが、人間に姿を見られたくないといっても、夜間外出しただけで警察に射殺されてしまうとは極端ですけど、

 一方で、人間の都合だけを優先しない「環境法」の理念を先取りしている話といえそうです。 完全睡眠法。

  

■ 楽国法

 

  『銀河鉄道999』作中世界において、土星の衛星タイタンでは、個人の自由が最優先され、反対に個人の自由を妨げると罪になるという「楽国法」が定められています。 (『タイタンの眠れる戦士』より)

 もともとは、勇気と誠実さにあふれる人々がタイタンに移住し、この星を理想郷として作り上げたようなのですが、いまや人殺しも自由。

 「楽園に住む人間の心は、だんだんすさんで、あれはてていくみたいだね」と、鉄郎は悟ります。

 
 

■ 「花の都」の法律

 

 到着する前から、花だらけの素敵な星だと、鉄郎が喜んだ「花の都」駅。

 この惑星を覆っている花は、その昔、誰かが持ちこんだ外来植物であり、見た目はキレイだが、毒の花粉を持っているというのです。

 星の住人によると「人口が100年間で80%も減った」といいます。

 しかし、この星の法律で「花に手をかけたりしたら死刑」、「もっと強い天敵になる花を持ちこむことも禁止」。

 ある家族は苦渋の決断をし、大量の毒花に一斉に火を放ち、星の住人たちの犠牲として、みずから命を絶ちます。

 「宇宙の人柱ね……」とつぶやくメーテル。

 

 外来生物による環境危機の問題だけでなく、「悪法も法として遵守すべきか?」という哲学的な問題まで突きつける。

 表現者としての松本零士先生、あなどれません。

 でも、提訴はお手柔らかに。

|

« 元最高裁判事! 福田博弁護士の講演を聴きに渋谷へ | トップページ | 京都地裁どすえ »

フィクション(架空)世界の法」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰しています。
今見てもメーテルは美しいですね。

ところで、大手ゼネコンが実際に銀河鉄道を作ったら建設費用はどの位かかるのかを積算していたのをご存知でしたか?

以前はHPで見れたのですが、今は本を購入しないといけないようです。

http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=101658

投稿: にしざわ | 2010年5月28日 (金) 23:02

>にしざわさん

これは興味深いですね。だいぶ前に『空想法律読本』というのが話題になりましたが、これはさしずめ『空想土建読本』??

なかなかやるなぁ、幻冬舎。

投稿: みそしる | 2010年5月29日 (土) 01:30

架空の法律というと、沼正三『家畜人ヤプー』に出てくる「黒奴刑法」が思い出されます。これのために、某判事が沼正三(ペンネーム)との正体だと週刊誌に報じられた事件まで起きています。

投稿: 通りすがり | 2010年6月 2日 (水) 02:33

>通りすがりさま

コメントありがとうございます。
その週刊誌の記事、だいぶ前に大宅壮一文庫で見つけてコピーを持っています。しかし、『家畜人ヤプー』は未読ですので、紹介してくださった『黒奴刑法』についても確認してみます。

投稿: みそしる | 2010年6月 3日 (木) 01:27

うぃーっす!
松本零士って、東町中学校に来たよな?
なんか、記憶があるっちゃけど~。
記憶違いか?

投稿: SH | 2010年6月 4日 (金) 20:18

あの中学に、松本零士が何しにくるんや。
講演?

投稿: みそしる | 2010年6月 5日 (土) 16:27

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 松本零士『銀河鉄道999』作中の、架空法律:

« 元最高裁判事! 福田博弁護士の講演を聴きに渋谷へ | トップページ | 京都地裁どすえ »