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2010年6月23日 (水)

いま、コメディ台本を書いてます

 おかげさまで、この職業で糊口をしのげるようになって3年余り、

 いよいよ「次のステップ」へ進んでみようと考えています。

 もちろん、国内で唯一(?)の法律ネタ専門ライターとして、3歩進んで2歩下がりながらも、着々と仕事を頂戴していますし、決して限界を感じているわけではないのですが、

 思えば、法や裁判について、一般の方々向けにわかりやすく説明することなんて、

 じつは弁護士さんたちが、本業の片手間にチョチョイのチョイとこなせてしまう雑務でもあります。

 弁護士人口は、まもなく3万人時代を迎えます。

 しかも、法律問題という限られたパイを必死に奪い合う3万人です。

 懸命に生き残ろうとする賢明な3万の頭脳に、私ひとりで立ち向かう。

 とすれば、ただ単に「法律ネタをわかりやすく」というスタンスの一本軸だけでは、今までは多少通用したとしても、近いうちに行き詰まってしまうだろうと自己分析します。

 ふつうの弁護士さんではそう簡単に参入できない領域へ足を踏み入れるべき時期に来ているのです。

 

 ……ずいぶんな大風呂敷を広げたもんだと、自分でもあきれますが、

 先日、新宿の「ルミネ・ザ・よしもと」で、とあるお笑いライブの開演を待つ間、第1回MONO-KAKI大賞のチラシを見かけて手にしました。

 よしもと(クリエイティブエージェンシー)と、小学館(ビッグコミックスピリッツ)と、ニッポン放送(AMラジオ局)の強力タッグで、新時代のコメディ脚本家を募集しているとのこと。

 大賞の受賞作は、よしもと神保町花月にて実際に若手芸人によって舞台化され、しかも受賞者には副賞として200万円が贈られます。 でかい!

 これは狙わにゃいかんでしょう。 いちおう、著述のプロヘッソナルとして。

 

 今回が第1回ということで、受賞作の傾向はわかりませんが、舞台で実演するわけですから、あんまりコロコロと場面転換させちゃいかんでしょうし、派手な爆破やカーチェイスのシーンを入れるのも無理がありますし、よしもと若手芸人 (&外部から若手女優を若干名招聘)が演じるわけですから、配役の年齢もおのずと限定されますよね。

 老け役なら、付けひげや特殊メイクなどのオプションをくっつけりゃ可能ですが、子役を置くのはたぶんNGでしょうね。 せいぜい高校生役ぐらいまでかな?

 当方の(職業上の)命綱でもある法律知識をうまく絡めることができれば、ありきたりでないコメディも生まれそうです。

 どの新人賞でも、二番煎じ三番煎じが嫌われるのは周知の事実。

 でもねぇ……

 お笑いに関しては、DVDやライブも含めて、日々さまざま観ているので、当然に心得ている事実ですが、

 やっぱり人を笑わせる筋書きをつくるのは難しい……!!

 それに原稿用紙30枚ってことですから、あんまり凝った伏線みたいなもんも張りづらい。

 また、物語のパターンって、多くの先人が遺した偉業の数々により、ことごとく出尽くしていることを再確認させられます。

 せっかく斬新な設定を思いついたと喜んでも、よくよく分析してみたら、たとえば「がんばれロボコン」の変形だったり、「デスノート」の亜流だったり、どこからともなく「ラヂオの時間」のニオイがしてくることに気づいたりして……、そのぬか喜びっぷりに愕然としますね。

 美人やイケメンの顔がどこか似ているように、面白い物語には何らかの共通点があるもので、結果として既存の作品と重なる部分が生じてしまうのは仕方がないとしても、「なんとかして新しさを打ち出して、爪痕を残したい」という姿勢や意欲は決して諦めてはならないと考えます。

 慣れないながらも、ストーリーを組んでは捨て、組んでは捨てを繰り返し、こないだ、なんとか筋書きの骨組み(プロット)を絞り出しました。

 それどころか、1つプロットができた副産物として、まったく別のプロットもできちゃいました。

 ぜひ欲しいシーンがいくつかあるも、この流れで載せるのは設定と矛盾、あるいは根拠が薄弱だと気づいて、いったん切り離した傍流が、それはそれで単独で物語としてつながったのです。 これには自分で勝手にビックリしました。

 つまり、現時点で、コメディのプロットが手元に2本あるのです。 完成度はともかく。

 「MONO-KAKI大賞」とやらが好む作品の傾向がハッキリ見えませんし、ためしに2本とも送ってみるという手もありますかね。

 ただ、「応募後2年間は応募作品に関する全ての権利は事務局に帰属します」とあるのは、落選した脚本も将来2年間は、別の賞に応募したり、他ルートで出版したりする手が封じられるってコト? だとしたら若干イヤだな。

 〆切りは8月末と、まだ先ですし、これから登場人物のセリフや展開を細かく練っているうちに、また派生してもう1本できちゃったりして……。

 でも、今のレベルでは、大賞をいただくなんて畏れ多い。 100%無理。

 もっともっと容赦なく、物語の質を磨き上げなければ。

 

 今までも十分な辛さだったのですが、これからが、きっと地獄の苦しみです。

 形の無いところから物語を紡ぎ出す、産みの苦しみなのか。

 『お言葉集』『条例集』のような、膨大な資料の中からあてもなくオモシロネタを探し続ける作業とはまったく別種の苦しみでしょう。

 ま、司法試験なんかで自分を追い込むよりは、こっちのほうが100倍楽しいか。

 「あっち」は要領のよさで合格できても、「こっち」は要領で切り抜けようとしたら、ロクでもない結果にしか結びつかなさそうですし。

 でも、私は「こっち」のほうが明らかに向いてます。

 

 最近、ネタ物のエントリばかりお送りしてきましたので、たまにはこういう、書き手の感情が露わになるような、いかにもブログっぽいことを書いてみるのもいいかなと。

  もちろん、法律ライターとしての書き仕事のご用命は、これまで通り大歓迎でございます。 各出版社のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

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2010年6月10日 (木)

公判前整理が長引いて、いまだに裁判が始まらない著名事件リスト

>>> 全国所長会同:「裁判員裁判、迅速に」最高裁長官が要望

 全国の裁判所トップが集まって司法行政の課題を議論する「高裁長官、地・家裁所長会同」が9日、最高裁で始まった。竹崎博允(ひろのぶ)・最高裁長官は、裁判員対象事件の公判が始まるまでに時間がかかりすぎている問題について「被告に迅速な裁判を保障するため、公判前整理手続きの機能を高め、速やかな審理を実現することが望まれる」と述べた。 (2010年6月9日 毎日.jp)



 「刑事裁判のスピードアップ」が狙いのひとつだったはずの裁判員制度。

 最新の統計によると、昨年度(2009年5月21日~2010年3月31日)に起訴された事件のうち、判決が出たのは全体の約28%にとどまるそうです。

 もちろん、1月とか2月とか、年度末まぎわに起訴された事件で、まだ判決が出ていないというのなら理解できますよ。

 そのへんの事情を差し引いて考えてたとしても、決して無視できない「渋滞」っぷりです。

 オウム事件や毒カレー事件なんかの審理がずいぶん長引いたので、「裁判って何十年もかかるんだ」という漠然としたイメージが先行してますが、ああいうのは例外なんです。

 もともと刑事裁判って、平均すると3~4カ月ほどで終了するので、早く済むほうで、むしろ、国や地方自治体を相手取る行政裁判のほうが長びきがちです。

 しかも、現在の行政裁判の結論は、国や自治体サイドの勝訴に偏っている印象がありますし。

 本気で司法判断に民意を反映させたいのなら、公害などの利害調整や税金の使い道など、(強盗殺人や覚せい剤密輸などより)よっぽど住民にとってイメージしやすい問題を審理する行政裁判に、裁判員制度を導入したほうが、はるかに筋が通っています。

 もっとも、行政裁判に一般市民を参加させたとしたら、別の問題がたくさん噴出するでしょうが……。 あくまで「筋を通すなら」という話です。

 

 それはともかく、裁判員制度推進派の竹崎さんも、現状にずいぶん焦っているようですね。

 毎年恒例になった憲法記念日の記者会見でも、竹崎長官は同様に「裁判員裁判の公判前整理が長引きすぎている。裁判が始まってからの審理や評議でツジツマを合わせようったってダメ」と発言しています。

 では、公判前整理が長引いて、未だに初公判が始まっていない事件には、どういうものがあるのか?

 調べるのが意外と大変なので、とりあえず、故意に人を死亡させた事件だけに絞ってみました。

 

※ 「ほかにもあるよ」「この事件は、もう判決出てるよ」などの追加情報もお待ちしています。



 

■ 京都・舞鶴市 女子高校生殺害・死体遺棄事件

2008年5月7日(事件発覚)
2009年4月7日(逮捕)
2009年4月29日(起訴)
 ⇒ 被告人は犯行否認中
 起訴のタイミングが裁判員法施行前なので、裁判員裁判の対象ではないが、公判前整理の回数は12回(今年5月現在)を数える。
(被告人名:中勝美)

 

■ タイ・バンコク内 岐阜県出身の日本人監禁・強盗殺人事件

2008年8月21日(事件発覚)
2009年8月4日(逮捕)
2009年8月24日(起訴)
 ⇒ 被告人らは犯行を一部否認
(被告人名:浦上剛志、森宏年)

 

■ 東京・中央大学教授殺害事件

2009年1月14日(事件)
2009年5月21日(逮捕)
 被告人を簡易精神鑑定するため、約3カ月半の留置
2009年10月2日(起訴)
(被告人名:山本竜太)

 

■ 大阪・枚方市 家族3人(妻・長女・次女)殺害事件

2009年4月17日(事件)
2009年5月8日(逮捕)
 被告人を簡易精神鑑定するため、約1カ月半の留置
2009年7月23日(起訴)
(被告人名:岡田浩幸)

 

■ 滋賀・米原市 同僚女性殺害・汚泥タンク内への遺棄事件

2009年6月12日(事件発覚)
2009年6月19日(逮捕)
2009年7月9日(起訴)
 ⇒ 被告人は犯行否認
(被告人名:森田繁成)

 

■ 東京・秋葉原 耳かき専門店女性従業員とその祖母の殺害事件

2009年8月3日(事件・逮捕)
2009年8月24日(起訴)
 ⇒ 2010年5月6日 被告人の精神鑑定実施が決定
 ⇒ 「関係者によると、初公判は早くても今年秋以降になる見通し」(読売新聞報道)
(被告人名:林貢二)

 
 
 

 起訴から初公判までのスパンが長期化している理由には、どうやら、おもに「公訴事実の否認」と「精神鑑定の実施」の2つがあるようですね。

 また、ほのかに覚えていらっしゃる方も多いでしょうが、2006年に発生した「シンドラーエレベーター」の死亡事故。

 あれも、シンドラー社やエレベーター保守会社の幹部社員らが、業務上過失致死の疑いで、昨年になって起訴され、目下、公判前整理中のようです。 知らんかった……。

 
 

■ お知らせ ■

 警視庁捜査2課は9日、振り込め詐欺の現金引き出し役「出し子」として画像を公開していた東京都小金井市東町、無職の長嶺修介容疑者(52)ら2人を詐欺容疑で逮捕した。(日本経済新聞 - 2009年6月9日)

 

 とっ……父さんがっ!! (うそ)

 

 それにしても、振り込め詐欺の「業界」も、分業化・システム化が進んでいるようですね。 ふざけたもんです。

 監視カメラに面が割れるリスクを覚悟で、だまし取った現金をATMで引き出す専門メンバーが「出し子」。

 偽造(あるいは他人名義)の身分証を使って身元を隠し、携帯電話を契約する「道具屋」。

 電話口で相手と顔を合わせずにだます、卑怯な詐欺実行犯のことは、たしか「ナキコ(鳴き子?)」とか言うらしいですね。 こないだ傍聴した振り込め詐欺の公判で、被告人が言ってました。

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2010年6月 7日 (月)

世の中には2種類の人間しかいない

「世の中には、2種類の人間しかいない。覚せい剤の味を知っている人間と、知らない人間。いったん覚せい剤の味を知ると、一生意識から消えないの」

 
 覚せい剤・大麻の所持などの罪に問われた20代の男の裁判。 その母親が情状証人として出廷して話をするも、息子に厳しく注意したのか説明があいまいで、ほとんど警察任せにしている様子が見て取れて。
 (大阪地裁 伊藤寛樹裁判官) 2010/06/04

 

 

 要は「覚せい剤は依存性のある薬物である」という事実を言い換えたわけですが、なかなかインパクトがあるお言葉。

 私は初めて聞きましたが、この伊藤裁判官なら、薬物事犯を担当するたびに言っていそうではあります。

 見たところ、痩せ型でメガネを掛けていて、いかにも賢そうな風貌。

 さっき「全裁判官経歴総覧」で調べたところ、1971年12月生まれの、38歳だそうですが、それでも伊藤裁判官は、被告人の母親にも臆せずにタメ口で質問を投げかけ、厳しく覚悟を求めています。

 手続きの進行も、淡々とドライに。

 かといって偉そうとか威圧的だとかいう印象を与えないのは、人徳みたいなもんでしょうか?

 

 やっぱり霞が関とは違う味がありますねぇ。大阪地裁。

 だからといって、大阪に住むわけにはいきませんけど、必ずまた、近いうちに傍聴しに来ます。

 

20100604144911  

■ お知らせ ■

 たった今、連絡をもらったのですが、幻冬舎新書が電子書籍に参入するそうです。

 私が書いたうちでは、『裁判官の“爆笑”“人情”両お言葉集』と、『47都道府県 これマジ!?条例集』の3冊ですね。book

 こちらがケータイで読めてしまうと。phoneto

 片手の恋人、電子書籍。(← いま浮かんだキャッチフレーズ)

 通勤電車での暇つぶしにどうぞ。trainsign04

 秋からは、ちまたで話題のアップルiPhone、iPad、アマゾンKindleでも!

 皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 まぁ、原稿を書く側としては、やるべきことは従来と何ら変わらんと思いますが。 pc

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2010年6月 3日 (木)

京都地裁どすえ

20100603121240

 

 久々にやって来ました。 たぶん3年ぶりです。

 午後からとても興味深い裁判を偶然にも傍聴することができましたよ。

 これで、わざわざ京都まで来た元をとった感じですね。

 去年の夏休み、昼間っから爺さんが局部を女子中学生2人へ見せつけたとされる公然わいせつの事件です。

 起訴状では、別々の日に計2回見せつけたとされています。最初に間近で見せられた中学生が、2回目にも、犯行を遠くで目撃していて、「以前と同一人物が、また公然わいせつしている!」と110番通報しているのです。

 が、被告人と弁護人は、「そのうち、後の1回は別の人間の犯行」「目撃者の誤解か見間違え」として、一部を否認しているのです。

 そこで、法心理学を研究する若手の学者さん(浜田寿美男教授と共同鑑定したこともあるらしいですが)が、目撃者の記憶の再現がどれだけ信頼できるか(できないか)、あるいは被告人の供述調書がどれだけ信頼できるか(できないか)、4時間近くにわたって証言してくださいました。

 詳しくはメールマガジンで紹介しようと思っています。

 私としては、非常に見応えのある証人尋問でした。

 こうした学術的な話を延々と聞いていると、納得できたとき、思わず傍聴席で「ウンウン」とうなずいてしまいますね。

 お目当ての増田裁判長については、出廷予定が「毎週水・木・金曜日」となっているものの、不定期みたいです。 残念ながらお目にかかれませんでした。

 
 

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 京都地裁1階ロビーの一角には、明治時代の期日呼び出し状の原版(むかしは版画で刷られていたんですね)、さらには庁舎の建て替えで発掘された縄文土器とか、中世の壷とかが展示されていて、さながらミニ博物館の様相。

 しかも、ネットを覗くと、こんなものまであります。

 ⇒ 京都地裁検定


 ちなみに、京都地裁における宣誓文ですが、

「良心に従い、本当のことを申しあげます。知っていることを隠したり、無いことを申したりなど決して致しません。以上の通り誓います」

 でした。

……京都地裁の宣誓文は、名古屋地裁のそれと同じ?

 かと思えば、東京と大阪は同じですし。

 全国的に一体どんな分布になっているのか、ますます謎は深まります。

 各地で微妙に異なる証人宣誓文の分布全体像…… これを独自に淡々と研究すれば、学問の新ジャンル、「法民俗学」が立ち上げられそうです。 (無理)

 

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■ お知らせ ■

 6月15日(火)22:00~

 民間衛星放送のBS11による、報道トーク番組『INside OUT』に生出演します。

 裁判員制度の施行(スタート)から1年が経過したことを受け、その実情や問題点などについて話してきます。

 政治家やジャーナリストなどが出演する、とてもお堅い番組ですが、私なんぞが入り込んだとき、果たしてどういう結果になるものか。あるいは番組の雰囲気に私のほうが呑み込まれちゃうのか。 まったく予想できません。

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