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2010年9月26日 (日)

隣国の「ゴネ得」をあっさり許す、よわよわ法治国家 ― 尖閣諸島問題

>>> 中国人船長釈放:「独自の決定」強調 那覇地検会見

 拘置期限まで5日間も残る中、供述拒否に転じた被疑者を釈放するという異例の措置を取った那覇地検。鈴木亨次席検事は会見で「福岡高検および最高検と協議の上で決定した」としたが、日中関係への影響に言及するなど、検察当局を超えた政治判断が色濃くにじむ。

 会見では「今後の日中関係を考慮」との釈放理由について、記者から「政治的判断もあるように読める」「日中関係とはどういうことを想定しているのか」などと質問が相次いだ。

 鈴木次席検事は資料をめくりながら言葉を選ぶように説明。「今回の決定は日中両国の外交その他の関係に与える影響について、あくまで本件に関する諸事情の一つとして考慮した」などと終始政治判断を否定。検察独自の判断であることを強調した。

 拘置満期前の釈放も「必要な捜査がほぼ終結する見込みとなった」と捜査上の判断とした。

(琉球新報 2010/09/25)


 
 

◆ 刑事訴訟法 第248条(起訴便宜主義)
 犯人性格年齢及び境遇犯罪軽重及び情状並びに犯罪後情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

 

 

 えーと、もう一度お願いします。 どの事情で起訴猶予にしたんですって?

 犯人の「境遇」ですか?

 ……って、さすがにムリがある。

 「外交その他の関係に与える影響」で訴追を必要としないとき、検察は被疑者を起訴しないことにできるって、何法の何条に書かれてるんでしょう?

 それとも、法律上の根拠が無いから「独自の決定」なんでしょうか?

 

 起訴するかしないかを、担当検察官の専権で決められる起訴便宜主義は、刑事政策、つまり犯罪を防ぐという目的の限度で、ある程度の政治的な判断も許す概念です。

 もちろん、だからといって、検察官が外交官を兼務しないことは言うまでもありません。

 

 そういえば、今回の件について、政治家たち(特に閣僚や与党議員)は、「司法当局の判断を尊重」みたいなことを、及び腰で口々に言ってますね。

 まるで三権分立うんぬんを根拠にして、裁判所の出した判決にノーコメントを貫くように。

 

 司法とは、あくまで裁判所機構のことを指します。

 そりゃ、「司法当局」という特殊表現を使ったなら、そこには裁判所に加えて、警察・検察・海上保安庁・麻薬Gメンなどの捜査機関まで含む意図もあるものです。

 しかし、三権分立での一般的な分類上、検察の判断は「行政」の判断でしょう。

 だったら、行政府の長である内閣の皆さんは、検察の不起訴(起訴猶予)判断について感想を述べてもバチは当たりません。

 だから、「司法当局」という便利な言葉を隠れ蓑にして、検察の判断にコメントしないのは、なかなかズルい。

 

 残る頼みの綱は、沖縄の検察審査会ですね。

 ただ、仮に検察審査会が「不起訴不当」や「起訴相当」の議決を出したところで、中国サイドが律儀に被疑者を日本へ返してくれるとはとても思えませんし、もどかしいところです。

 尖閣諸島が日本固有の領土とされている歴史的背景などは、あいにく伝聞でしか知らず、史料などを実際に調べたことはありませんが、尖閣諸島に「領土問題は存在しない」とする日本政府の立場上、ここは領海内での海上保安庁船舶に対する妨害行為“以上でも以下でもない”刑事事件として扱い、手続き形式にのっとって粛々と裁くべきでした。

 

 幸か不幸か、日本人は島国に住んでいますので、国境や領土というものをシビアに意識しないで生活していられます。

 その半面、中国や韓国、そしてロシアは、周辺諸国との領土問題に慣れているとはいわずとも、意識は高いのかもしれません。 ですから、尖閣諸島や竹島、北方四島などのそばに引かれているはずの国境線が狡猾にグダグダにされ、いつの間にか彼の国に絡め取られつつあるんです。

 いや、国境線付近だけでなく、沖縄の米軍基地問題だって、領土問題そのものだといえます。

 

 今回の検察の不起訴処分を「司法当局」の問題ということにして、国民に向けてのノーコメントを正当化する、前述したような政府の狡猾さを、ぜひ外交にも活かしていただきたいなぁと。

 

 「領土問題はない」の一点張りで、強気なフリした見て見ぬフリをするのはやめて、いっそのこと尖閣諸島問題を、国際紛争仲介機関である「国際司法裁判所(ICJ)」に訴え出て、客観的な証拠や証言に基づき、白黒ハッキリ付けるという手もあります。

 ICJが、どのようにして領土問題を裁くのか、私は不勉強ゆえ知りませんが、今回の不起訴の件で「本気で尖閣諸島を守ろうとしてないんじゃないか?」と思われ、日本にとって不利な情状として考慮されていく可能性もあります。

 それに比べて、中国(や韓国)は、自国の島として地図に書き入れ、独自に命名し、しれっと既成事実化を図るなど、極東アジア以外へ向けた世界的なアピールに余念がありません。

 国際法というジャンルは、まだまだ整備されておらず、国家間の問題は、まだまだ弱肉強食、なだめスカシ脅しといった理不尽がまかり通ってしまう「野生の王国」です。

 ときに、目に見えない法の理屈よりも、目に見える事実としての実際的占拠のほうが、重たい価値を持ちうるのです。

 ICJも、「裁判所」というネーミングながら、国連の一機関ですし、国際政治的な動向は無視できない、いや、むしろ敏感であろうかと思います。

 ヘタに一国のみの全面勝訴を言い渡せば、新たな戦争が起こってしまう危険がありますから、普通の裁判所よりも「落としどころ」を必死に探しそうなイメージですね。 なんとなく。

 今のところ、世界各国のマスメディア報道では「中国側のやり口がひどい」という論調が大勢を占めているようですが、

 それは「日本は臆病で弱腰」という認識と、「ホントにニンジャとサムライの国デスか?」という素朴な懐疑が前提にありますから、決して日本に対して同情的ではない。

 おっとりした態度の日本を、ICJすらも救ってくれない可能性だって、予め覚悟しておく必要があるんじゃないですかね。

 歴史的背景や証拠史料はともかく、「この島は、ウチのもんだ!」という、美味しそうなモノにツバをつけるがごとき既成事実化が苦手な日本は、ICJで有利にコトが進む見込みが少ないことを、政府も薄々感づいているのでしょうか。

 それで尖閣諸島に「領土問題はない」と言っておいて、むしろICJでの解決を避けようとしているんですかね (そもそも、捕鯨の問題で今、日本がオーストラリアに訴えられてるって把握している人、少ないんでしょうか……)

 

 尖閣諸島あたりの海底には、天然ガスが大量に埋まっていると聞きます。 

 ガス田という素敵な彼女がすぐそばにいるのに、好きな気持ちをごまかして、駆け引きでもするつもりで、付かず離れずのプラトニックな関係を続けていたら、いつの間にかガタイの良い男に、半ば強引に奪われて泣きを見る……ってことにもなりかねません。 (もう奪われつつあるかも)

 

 そう考えると、今回の不起訴処分は、ますます解せませんね。

 ただ、記者会見に出てこられた、あの那覇地検の方の、渋い表情……。

 ご本人は起訴したいと願っても、その背後で、何か強大な力が作用したに違いありませんね。

 最悪のシナリオは中国との戦争勃発、米国の黙殺ってことになりますから、百歩譲って、緊急避難的な超法規的措置にて、今回の中国籍被疑者を起訴猶予処分として釈放するのを、仮に許容するにしても、です。

 勾留期限はまだ5日も残っていたわけだし……、どれほど良心的に解釈しても、「拙速な釈放」との批判は免れないでしょう。

 

 国際司法裁判所(ICJ) 現役判事一覧 (※英語です)

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2010年9月25日 (土)

そうだ! 今度は、弁護人が無罪証拠をギゾーしましょっか!

 

 このままでは、無罪判決が出て負けてしまう!

 ピンチ!

 
 …そこで、

 客観的な物証をイジって、不利な形勢を一発逆転。

 被告人を有罪にねじこもうとする悪辣検察官。

 

 ……もし、そんな小説や戯曲を誰かが書いたなら、

 

「さすがにありえない設定」
 「いくら何でも都合よすぎ」
  「そんなに検察が嫌いかよ」
   と、腹いっぱい批判されるでしょう。

 ただし、先週まではね。

 

 今週からは、そんな乱暴なキャラ設定も、俄然リアリティを帯びるようになってしまいました。


>>> 【検事逮捕】 「ひどい」「正義が感じられない」と足利事件の菅家さん

 栃木県足利市で平成2年、女児が殺害された足利事件で再審無罪となった菅家利和さん(63)は22日午前、大阪地検特捜部の主任検事による証拠品改竄(かいざん)事件について「(大阪地検検事は)ちょっとひどい。足利事件でDNA鑑定が偽造されていたら、私は完全にアウトだった。検事からは正義とか、そういうものが感じられない」と批判した。 (2010年9月22日 MSN産経


 

 警察が証拠を捏造したとみられる事件は、近年では高知白バイ事件など、チラホラ見られるわけですけど、

 検察が証拠を捏造することなど前代未聞です(被告人の供述を捏造した調書を作ることは…… まぁともかく)

 

 それでも、偽造証拠が法廷で採用されて有罪判決が出されなかっただけでも、不幸中の幸いですかね。

 というより、そんな事態が仮に起これば、不幸を通り越して、ニッポン司法が吹き飛び散らかる不祥事ですが。

 

 古今東西、自らの力を誇示したい者たちは、その立ち振る舞いをなるべく隠そうとしました。 人々に対しての権威づけとして使えるだけでなく、他人が知りえないものは、後々になって「無いもの」として工作することができます。

 「情報公開」「可視化」なんて、そうした権威づけや偽装工作に逆行する流れなので、彼らにとっては冗談じゃないわけです。

 

 自分の過去をかばいたくなるのは、人間の本性みたいなもの。 捜査・取り調べをしていれば、平気でウソをつく被告人にはいくらでも出くわすでしょう。

 そうなると、
「真面目にやっているのがバカバカしい」
「こっちだって、多少のウソや手心、お目こぼし、出任せにでっちあげに粉飾サジ加減を加えてもいいんじゃないか」
「大丈夫、被告人と違って、俺たちの『ウソ』は社会正義に基づいている」

 などという考えが頭をもたげてしまう捜査官も、一部にいておかしくありません。

 そうなると、せっかく誠実に仕事をしている貴重な検察官まで「真面目にするのがバカバカしい」と思ってしまうモラルハザードを生みかねませんよね。

 「見えないものは無いものとできる」便利さに慣れてしまうと、自分を厳しく律することが苦手になる人がいても、仕方ありません。

 でも、自分の仕事に対する誇りを失った人物なんか、警察や検察に限らず、どこにでもいるでしょ。

 そう、私たちは弱い生き物なのです。

 問題は、そういう自分自身で心にブレーキをかけられない人間に対して、なんらかの形で「外圧」が加えられてこなかったことです。

 むしろ、そうした外圧は、検察自身も徹底して拒んできたともいえます。 検察にとって都合の悪い報道をしたマスメディア関係者を出入り禁止にするような対応なんて、その格好の例ですよね。

 検察は昔から、事件のシナリオを組み立てる才能に長けているようですが、そもそもシナリオとは、人々が楽しむために書かれるべきものでしょう。

 自分たちの都合で好きなようにシナリオを書くライターなど、三流以下だと、あえて断言します。

 

 これから懸念されるのは、今度は弁護士のほうが無罪証拠を偽造したりしないか? ……ってことですが、

 せっかくリスクを冒して偽造しても、それを裁判官が黙殺して結局は有罪が出るんなら、ムダですね。証拠を偽造する動機の湧きようがないですかね。

 弁護人って、刑事法廷での立場がバカバカしくなるぐらい弱くて、私も傍聴席で時おり切なくなり、一筋の涙が流れ落ちます。

 かつては私も憧れていた職業なのに。

 
 

◆ 刑法 第104条(証拠隠滅等)
 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
 

◆ 検察庁法 第23条
1 検察官が心身の故障、職務上の非能率その他の事由に因りその職務を執るに適しないときは、検事総長、次長検事及び検事長については、検察官適格審査会の議決及び法務大臣の勧告を経て、検事及び副検事については、検察官適格審査会の議決を経て、その官を免ずることができる。
2 検察官は、左の場合に、その適格に関し、検察官適格審査会の審査に付される。
  一 すべての検察官について3年ごとに定時審査を行う場合
  二 法務大臣の請求により各検察官について随時審査を行う場合
  三 職権で各検察官について随時審査を行う場合
 

◆ 検察官適格審査会令 第1条
1 検察官適格審査会(以下「審査会」という。)の委員のうち、衆議院議員又は参議院議員たる委員以外の者は、次に掲げる者につき、法務大臣がこれを任命する。
  一 最高裁判所判事 1人
  二 日本弁護士連合会の会長
  三 日本学士院会員 1人
  四 司法制度に関し学識経験を有する者 2人
2 前項第一号及び第三号の委員は、それぞれ最高裁判所判事及び日本学士院会員の互選による。

◆ 検察官適格審査会令 第6条
 審査会は、審査のため必要があるときは、法務大臣又は検察庁の長に対し書類の提出を求め、又は必要な事項の報告を徴することができる。但し、捜査中の犯罪事件については、この限りでない。

◆ 検察官適格審査会令 第7条
 審査会は、審査に付された検察官及びその者の属する検察庁の長をして会議に出席して意見を述べさせることができる。
2 審査会は、審査に付された検察官に不適格の疑があるときは、当該検察官に対し、あらかじめ相当な期間を置いて会議の理由を通告した上、会議に出席して弁解し、且つ、有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

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2010年9月21日 (火)

9月14日『押尾学に懲役6年を求刑』…を、テレビはどう報じたか?

 もうすでに判決出ちゃってますし、ずいぶん時間が経っての番組チェックになってしまい、どうも失礼しました。

 「押尾裁判」におけるテレビの報じ方ですが、「意外と慎重にやっておいでだなぁ」というのが第一印象です。

 私のほうこそ、テレビ報道に対する先入観や予断・偏見があったようです。 どうもすみませんでした。 お詫びいたします。

 それでも、判決が出る前にもかかわらず、報道姿勢の偏りや不要と思われる演出等がj若干ながらみられ、ややもすると判断者に予断を生じさせかねない箇所が散見されましたね。

 作り手は無意識でやっているのかもしれません。 ですが、もしも無意識の偏りだとすれば、今後も修正されない可能性があるので、かえってタチが悪いわけです。
 

 なお、当日は、民主党代表選の結果が出るという大ニュースがありましたので、各番組とも、政治ニュースに大幅に時間をさいていたという、全体的な傾向があります。

 

 
 

NEWS FINE (テレビ東京17時台)

扱い:速報ニュースコーナー
時間:1分ほど
内容:客観的情報のみ
BGM:速報コーナーで共通一貫して使われているもの
押尾被告人の発言ナレーション:なし
コメンテーター:なし

 

スーパーJチャンネル (テレビ朝日17時台)

扱い:トップニュース
時間:8分ほど
内容:法廷の様子や押尾被告人の一挙手一投足を、詳細にレポート。法廷画とCGを組み合わせる工夫も。
BGM:ミステリアスで静かな曲 弁護人の無罪弁論シーンで、若干盛り上がるような曲調へ。
押尾被告人の発言ナレーション:若手アナウンサー風・誠実そうな印象
コメンテーター:VTR中に元検察官の若狭弁護士の話。
スタジオコメント:大谷昭宏氏 「求刑は8年ぐらいかと思っていたが6年。刑罰は軽くてもいいから『致死』を認定してほしいという、検察のメッセージだと受け取れる。裁判員がどう判断するか注目したい」

 

FNNスーパーニュース (フジテレビ18時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:6分ほど
内容:法廷画や写真などを交え、オーソドックスなレポート調
BGM:サスペンスドラマのような謎めいた感じを演出するもの
押尾被告人の発言ナレーション:野太く男っぽいナレーターが読み上げ
コメンテーター:VTR中にヤメ検の若狭弁護士の話。スタジオコメントなし

 

news every. (日本テレビ18時台)
扱い:トップニュース (17時台は扱い無し)
時間:3分ほど
内容:法廷画が中心のレポート
BGM:全体的に静かでミステリアスな曲調
押尾被告人の発言ナレーション:若手アナウンサー風
コメンテーター:なし

 

NHKニュース9 (NHK総合21時台)
扱い:速報ニュースコーナー
時間:1分ほど
内容:アナウンサーが事実関係のみ述べる
BGM:なし
押尾被告人の発言ナレーション:なし
コメンテーター:なし

 

報道ステーション (テレビ朝日22時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:1分ほど
内容:法廷の様子を淡々と説明。
BGM:静かでミステリアスな曲調。弁護人の無罪主張で少し盛り上がる曲調へ。
押尾被告人の発言ナレーション:野太い声のナレーション
コメンテーター:なし

 

NEWS23クロス (TBS23時台)
 扱い無し。

 

ワールドビジネスサテライト (テレビ東京23時台)
 私がオンタイムで確認した限りでは、扱い無し。

 

NEWS JAPAN (フジテレビ24時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:1分ほど
内容:法廷画を交えながら、過不足のないレポート
BGM:静かで若干おどろおどろしい曲調
押尾被告人の発言ナレーション:若手アナウンサー風
コメンテーター:なし

 

おはよん (日本テレビ4時~5時半)
扱い無し。

 

めざにゅ~ (フジテレビ4時台)
扱い:速報ニュースコーナー
時間:1分ほど
内容:法廷画を交えながら、過不足のないレポート
BGM:速報コーナーで使われる共通一貫したもの
押尾被告人の発言ナレーション:なし
コメンテーター:なし

 

やじうまプラス (テレビ朝日5時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:2分ほど
内容:法廷画などを交えながら、過不足のないもの
BGM:サスペンスドラマで使われるようなミステリアスな曲調
押尾被告人の発言ナレーション:野太く低い声
コメンテーター:なし (ただし、6時台の新聞読みコーナーで、大谷氏が前日夕方と同趣旨のコメント)

 

みのもんたの朝ズバッ (TBS6時台)
扱い:新聞読み
時間:2分+2分ほど (2回に分けて)
内容:デイリースポーツなどの記事を読み上げ
BGM:新聞読みコーナーの一貫したもの
押尾被告人の発言ナレーション:なし
コメンテーター:なし
スタジオコメント:みのもんた氏 「救命措置はしたんだよね。6年が妥当かどうか注目したいですね。薬物は再犯率が高い。薬物が簡単に手に入る世の中は何とかしなければ怖いね」
※7時台にも、オーソドックスなニュースの形で1分ほど紹介。

 

とくダネ (フジテレビ9時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:5分ほど
内容:法廷の様子を法廷画などを交えてレポート
BGM:アクション映画のような煽る曲調
押尾被告人の発言ナレーション:ベテランアナウンサーが読み上げ
コメンテーター:若狭弁護士の「懲役6年は軽い」というコメントを紹介。
スタジオコメント:
小倉智昭氏 「この懲役6年という求刑に、この裁判の難しさが出てるんじゃないかという、うがった見方をしてしまうけどね」
高木美保氏 「被害者の遺族が最高に重い刑をって涙ながらに希望してるじゃないですか。それが非常に印象に残っていて。このぐらいの求刑にしとくから、あとはよろしく、っていう検察の考えをちょっと感じるんですけど」

 

スッキリ! (日本テレビ8時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:15分ほど
内容:役者が実際に登場して、検察の論告求刑や弁護人の弁論を再現。さらにさかのぼって、過去の公判の様子も役者達が再現。スタジオでも解説。
BGM:ミステリアスなドラマのような曲調
押尾被告人の発言ナレーション:長髪のイケメン役者が、舌っ足らずな口調で再現
コメンテーター:
若狭弁護士「被告人自身が持ってきたMDMAを飲ませたということなら、保護責任がさらに強く認められる」
アメリカ陪審裁判を経験した国際弁護士「裁判員は科学者や専門家でないが、その常識や世界観で判断する」
スタジオコメント:
おおたわ史絵氏「致死の立証は医学的には本当は難しい。しかし、たとえ心臓が止まっていても救急車を呼んだのなら、裁判員の心証もだいぶ違った」
ロバート・キャンベル氏「井戸に落ちた子どもは理屈抜きで助ける。孟子の言葉ですが、日本人の基本的な良識でもある。本件は法律の理屈の問題だが、押尾被告人の自己保身を裁判員がどう見るか」
テリー伊藤氏「田中さんがMDMAを自ら飲んでいる。致死を認めるのは難しいかもしれない

 

ひるおび (TBS12時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:25分ほど
内容:論告弁論のニュースは最低限。むしろ、傍聴したリポーターらによる押尾被告人の一挙手一投足をリポートする話題や、裁判員が休日返上で評議を行うニュースを中心に大きく特集。
BGM:VTR中では、ドキュメンタリー番組のような曲調
押尾被告人の発言ナレーション:なし
コメンテーター:なし
スタジオコメント:麻木久仁子氏 「もし自分が裁判員になったら、法的責任と道義的責任とをどう線引きして考えればいいか、難しいと思う。法廷は人格を裁くところでなく、行為を裁くところ」

 

ワイド!スクランブル (テレビ朝日11時台)
扱い:新聞読み
時間:2分ほど
内容:スポーツ報知などの記事を読み上げ。板倉宏教授の「求刑が軽い」とのコメントを紹介
BGM:新聞読みコーナー共通一貫のもの
押尾被告人の発言ナレーション:なし
コメンテーター:なし

 

情報ライブ ミヤネ屋 (日本テレビ15時台)
扱い:通常ニュース枠
時間:18分ほど
内容:法廷画を交えて、さらにスタジオでも解説。検察側と弁護側の主張を、丁寧に表にまとめて対比している。
BGM:アクション映画っぽい、少し大げさな印象のもの数曲 ときおりBGMなし
押尾被告人の発言ナレーション:若手アナウンサー風・誠実そう・棒読み調
コメンテーター:なし
スタジオコメント:
嵩原安三郎弁護士 「最近の検察は厳罰化の傾向があるので、懲役6年の求刑は率直に言って軽い。しかし、去年の執行猶予が取り消されることなども考え、全体のバランスを取ったのだろう。ただ、被告人と田中さん、どちらが用意したMDMAか“不明”という結論に裁判員が至る可能性もあるが、それでも被告人を保護責任者と認定する可能性はある。一緒に山登りをしていて、ひとりが足を滑らせて崖から落ちたら、もうひとりは保護責任者になる。それと同じこと」
岩田公雄解説委員 「裁判員の方はご苦労されるだろうが、一般人の感覚が求められている」
見城美枝子氏 「法律はともかく、人としてどうか。それが重要なわけでしょう。それが裁判員制度の魅力だと思う」
デーブ・スペクター氏 「薬物使用に対しては、アメリカの陪審は日本ほど大きく、保護責任の認定に影響しないだろう。密室で起こった事件だけに、わからないことが多く、法的に裁くことは難しい」

 

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 録画機材の物理的な問題で、日テレの「NEWS ZERO」や、フジテレビの「めざましテレビ」、テレビ朝日「スーパーモーニング」など、いくつかのニュース情報番組につき、チェックが抜けてしまったのが不覚です。

 この日は各局、政治ニュースに総力を注ぎ込んでいたからかもしれませんが、押尾裁判の報道に対する力の抜け具合が如実に出ていました。

 2~3分ぐらいの尺に抑えておく程度が、ちょうどいい塩梅といえそうですね。

 ヤメ検・若狭弁護士の、思わぬ売れっ子ぶりを目の当たりにするという収穫もありましたが……

 やっぱり各局、ヤメ検さんばかり重用しすぎです。

 弁護士業務一筋のベテランからコメントをあまり取らない(取り忘れている)態度も、テレビの報道姿勢に偏りを生む一要素だと指摘せざるをえません。

 各テレビ番組については、今後も同じようなことを、ちょくちょくやっていこうと思います。

 また、スポーツ紙や週刊誌、ネットメディアなどがどう伝えているかについても、検証したいですが、ひとりでやるのは限界がありそうですな。
 でも、結果が面白くなりそうな見込みがあるなら、やりますけど。

 
 (( 参考 ))

 

「押尾裁判」の報道姿勢に見る、メディアの相変わらずっぷり (9月7日)

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2010年9月16日 (木)

裁判員制度に警鐘! “直感的にわかる証拠”の罠… 『CSI効果』って何だ?

Photo

 

 本日行ってまいりました。

 慶応大学のキャンパスって、たぶん初めて行きましたけど、すごいド都会の中にあるんですなー。

 海外からやってこられた講師は、ニール・ファイゲンソン教授と、ジェイヒュン・パク准教授。

 通訳抜きで全部英語で講演しますと言われ、「これはヤバイ! 慶応義塾恐るべし」と、最初は頭の中で警戒警報が鳴り響いたのですが、配付された資料の中に、お二人のなさる話の日本語訳があらかじめ入ってまして、ホッと一安心。

 それをかろうじて目で追いかけながら聞いておりました。 悲しいかな、英語は断片的にしか聞き取れませんけど。

 

 ニール・ファイゲンソン教授のお話の中では、「CSI効果」というものが印象に残りました。

 これは、アメリカの人気社会派ドラマ「CSI:科学捜査班」にちなんだもの。 日本でも放送しているテレビ局がありますので、ご存知の方も少なくないでしょう。

 犯罪事件の隠れた背景を、劇的に、科学のメスを用いてサクサクと捌いてしまう、ああいう気持ちいいドラマに慣れてしまうと……

 陪審員(日本では裁判員)の任務に就いているときにも、目で見て直感的に認識できるような、インパクトの強い映像証拠を欲しがっちゃいがちなんだと。

 また、パソコンソフトを使って綺麗に整えられたプレゼン資料が示されることを期待してしまうのだと。

 これが「CSI効果」なんだそうです。

 むしろ、そうした映像証拠、あるいはパワーポイントで編集されたビジュアル文書が提出されなければ、そのこと自体が裁判員にとってマイナス査定となり、判断に不利に作用してしまう危険があるそうです。

 

 さらに、証拠提出者の意図する方向へ(それが“わざと”か“うっかり”かはともかく)、裁判員の心理を誘導してしまう可能性も指摘されました。

 たとえば、犯行の証拠である、被害者の身体に付けられた歯形を強調するため、フォトショップのような画像編集ソフトで、立体的に浮かび上がらせたり、ノイズとなるようなシワやシミなどを消してみたり、

 本来はカラー映像なのに、あえてモノクロ映像として提示することにより、好ましくないと思われたデータを見えにくくしてみたり、 (映像の改ざんではないので、不正として異議を唱えるのが難しい)

 あるいは、これも実際にアメリカであったケースで、ある鎮痛薬のメーカーが、その薬に心臓発作を引き起こすリスクを知りながら放置して、製造・販売を続けていた法的責任をめぐり、その責任を追及する側の代理人が、最終弁論の際、そのメーカーのテレビCMを法廷で流して、陪審員の大衆心理に訴えかけたこともあったそうです。

 

 ジェイヒュン・パク准教授は、ある興味深い心理実験の成果を紹介してくださいました。

 複雑な数式が出てきて、文系の私は途端に萎えてしまいましたが(心理学もいちおう文系だけど…)、要するに、

 ○ パワーポイントを使って、数枚の単純なスライドを見せただけで、陪審員役の被験者は、その当事者に有利な判断に傾いた。

 ○ パワーポイントを使って作成した証拠の効果が、最も顕著に出るのは、そうした類の証拠を、片方の当事者だけが提出した場合であった。

 ○ ビジュアル証拠を用いない代理人は、準備不足で説得力に欠ける印象を、陪審員役の被験者に与えてしまいがち。

 ○ ビジュアル証拠として、片方がアニメーション(動画)を用い、もう片方が静止画像を用いた場合、アニメーションのほうが判断に有利に作用する傾向がある。

 私は質問をしてみました。

 「いっそのこと、ビジュアル的な証拠を裁判所が採用しない、提出を禁止する、あるいは大幅に制限することはできないのでしょうか?」と。 (もちろん日本語です。 英語の通訳が入りました)

 ファイゲンソン教授は、「イッツ・エクセレント・クエスチョン」と、気遣ってくださった上で、

 「現在のところ、どのような映像証拠を制限すべきなのか、明確なルールは整備されていません。 映像証拠にも大きなメリットがあるので、すべて禁止するのでなく、危険性とトレードオフの関係にあることを意識して扱っていくことが大切。 また、反対側の法律家が、疑わしい映像証拠に、異議を唱えて反論できる機会を保証することが重要です」と答えてくださいました。

 そして、

 さきほどの、歯形の写真をフォトショップで編集された画像をもとに、逆質問されちゃいました。

 「では、逆にあなたに尋ねます。 この映像が証拠として提出された場合、どのような影響があるでしょうか」

 わたしは突然のことに動揺しながら、ありきたりのことを答えました。

 「証拠の提出者や、一般人の判断者にとっては有用かもしれませんが、裁かれる側にとっては必ずしも良いこととはいえないのではないでしょうか」

 それを聞いて、ファイゲンソン教授は、ビミョーな表情をしていましたが、大きく外してはいなかった模様です。

 

 今日知ったことを、いろんなメディアを通じて、書いたり話したりして、皆さんにお伝えしたいと願っています。

 最近、ようやく時間に余裕ができてますので……

 ズバリ、仕事をください。(笑)

 

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2010年9月14日 (火)

畑中鐵丸弁護士の著書に、なんと推薦コメントを!

 

Photo_2 

 

 私なんぞが推薦文を書いてしまって、本当に大丈夫なのか?

 むしろ足を引っぱっちゃうのではないかと心配だったのですが、なんとか微力を尽くして売り上げに貢献させていただきたいと願い、ひねってみました。

 月刊『会社法務A2Z』では、連載コーナーのページがおトナリ同士というご縁もありますし。

 
  

 最初は、キャッチコピーっぽく

「イマドキの漢方薬は、飲みやすくて即効性だってあるんです。テツマル先生の調合した“明快答”は、疲れきった経済大国にヨク効きます」

 という案を出したんですが、

 編集の方から「もう少しシンプルな感じで……」とのお返事。
 

 じつは、私自身、若干ピンと来ないなーと、薄々は感じていたので、即座に納得。

 漢方薬だから、「明快」とかにしときゃよかったんかなー?

 ……って、ますます意味不明な推薦文になりますけどね。
 

 さらに「“経済大国”ってのが、大風呂敷ひろげすぎ」という趣旨の、的確なアドバイスを頂戴しまして、それを受けてバシッと修正いたしました。

 

 この鐵丸弁護士の最新著、ありきたりな法務指南本とは一線を画してますよ。

 個性豊かすぎる数々の相談者(架空ですけど)の抱える問題に対し、法律的な建て前とともに、ベテラン法律家ならではのホンネアドバイスも打ち出し、一刀両断しておられます。

 

『鐵丸先生の こんな法務じゃ会社がつぶれる』
最新ビジネスロー問題を5分で解決 book

(畑中鐵丸 著 / 定価1000円 / 9月30日発売)

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2010年9月12日 (日)

くじ付き個人献金、1等賞は「豊胸手術」

>>> 選挙資金集めのため豊胸手術を賞品に ベネズエラの政治家

[カラカス(ベネズエラ) 2010年8月27日 AP] ベネズエラの政治家が一風変わった方法で選挙資金を集めている。一枚約6ドルのチケットを有権者に購入してもらい、抽選を行って一等当選者に豊胸手術をプレゼントするという方法だ。

 外見を重視する傾向にあるベネズエラでは、豊胸手術は広く知られており人気も高い。同国ではここ数年、毎年3万人近くの女性が豊胸手術を受けているという。

 このアイデアを思いついたGustavo Rojas氏は9月26日に行われる議会選挙に出馬しており、「豊胸手術の需要はものすごく高いはずだ」とコメント。さらに「確かに変わった方法だけど、テレビや電話を商品にするのと一緒ですよ」と話している。



 

 1等の賞品というのは、なるべくみんなに喜ばれるであろう、いわば最大公約数を狙って決めるものでしょうから、「大型テレビ」とか「温泉旅行」とかになりがちですね。

 もちろん、そういったオーソドックスな賞品も当たれば嬉しいわけですが、主催者側が無難に置きに行くことが多く、パターンが固定されているのは確かです。

 それを考えると、1等の賞品が豊胸手術というのは、なかなか攻めますねえ。

 インパクト勝負というか、エッヂが効いているというか。

 この候補者は後先のことを考えているんでしょうか。

 彼女がいない独身男性に当たったら、どうするのか。 権利を母親に譲るってのも気持ち悪いし。

 彼女や奥さんがいても、「いいや、私はむしろペッタンコのほうが好みです」「どっちかというと尻フェチです」という趣味嗜好がある当選者にとっては、ありがた迷惑な賞品になってしまいます。

 そもそも、豊胸手術は結構な費用がかかるモノでしょうから、もし、個人献金が予想よりも集まらなかった場合、豊胸手術費用は、この候補者が負担するハメになるのでは? リスキーですねぇ。

 このニュース、後日談が気になりますな。

 選挙は26日ですか。

 こういうファンキーなことを平気で思いつくのは素晴らしいですが、そんな候補者が、果たして、多数のベネズエラ有権者の支持を集めて当選できるのかどうか?

 たぶん、政治家以外の仕事のほうが向いている気もしますけどね。 

 

 豊胸はともかく、こういうふうに、くじ付きでの個人献金を、日本国内でも募集し出せば、盛り上がるかもしれませんね。

 日本では、個人献金がほとんど普及していません。 私もそんなもん、やったことがないですし。

 政治資金規正法では、くじ付きで献金を募ることにつき、禁止や規制は特にないようですが……。

 刑法187条の「富くじ発売罪」に該当しないのかな、と?

 

◆ 刑法 第187条(富くじ発売等)
1 富くじを発売した者は、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。
2 富くじ発売の取次ぎをした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3 前2項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、20万円以下の罰金又は科料に処する。

 

 富くじとは、あらかじめ番号札を発売して購買者から金銭その他の財物を集め、その後抽せんその他の偶然的方法によって、当せん者だけが利益を得るというような形で、購買者の間に不平等な利益を分配する仕組みにおけるくじ札を云うそうです。(山口厚『刑法各論』より)

 ……こいつに当てはまりそうな気もしますね。

 だけど、あくまで個人献金を募るのが第一の目的だとすれば、はたして、富くじの「発売」といえるのかどうか?

 いえそうでもあるし、いえなさそうでもあるし。

 もし、くだんのベネズエラ政治家と似たような「賞品付きの献金」というのを日本で候補者が募って、仮に富くじ販売罪で捕まったとすれば、弁護人としての反論としては、そういう物言いも考えられそうです。

 あとは、そうですねぇ。 景品表示法とかに引っかからないかどうか……かな?

 

◆ 不当景品類及び不当表示防止法 第2条(定義)
3 この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

 

 あ、政治家は「事業者」に該当しないのかもしれないです。

 うーむ、ナゾは深まるばかりである。

 

 一度、試しに日本の誰かがやってみたらいいですよね。

 あいにく私は、責任を一切負いかねますけど。

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2010年9月10日 (金)

板倉教授のコメントの意味がわからない

>>> 板倉氏バッサリ「推定で話しているだけ」

 日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏(76)は、初公判での押尾被告側の主張について「全体的に予想された通りの内容で、検察側の主張を覆すだけの証拠は何も提示できなかった。現時点では(保護責任者遺棄致死罪の)無罪を証明するのは厳しい」と指摘した。

 [中略]

 押尾被告は「救急車を呼ぶことは考えつかなかった」と述べたが、「あまりにも不自然」と板倉氏。「弁護側は救命可能性を低いと言っているがゼロとは証明できていない」とし、可能性がある以上は同罪が成立するとの見解を示した。裁判員裁判だったことで「モニターなどを使って裁判員の情に訴えたかったのだろう」と話していた。(2010.9.4 サンケイスポーツ


 

 司法試験を受けるような人なら、誰でも知っている、刑法上の基本的な論点なのですが……

 保護責任者遺棄致死というのは、仮に、「保護責任者」とされる人が、もし「遺棄」せずに対処していた場合、その被害者の命を「十中八九」救えたであろうとされた場合に成立する、というのが最高裁の判例です。

 だとしたら、弁護人は救命可能性がゼロだったということまで証明する必要はないのでは?

 救命可能性が「十中八九」とまではいえない低い水準だった、ということさえ証明できれば、理論的には十分、保護責任者遺棄致死を突き崩す立証として足りるはずです(それが本件で現実的に可能かどうかはともかく)。

 

 板倉教授は、いったい何を言いたかったのか?

 あるいは、サンスポの記者が板倉教授の談話を誤解して載せてしまったのか?

 それとも、誤解をしているのは私なのか?

 どなたか刑法に詳しい方、教えていただきたいと思います。

 
 

 明日は、布川事件再審の第3回公判で、朝から土浦へ向かわなきゃいけないのですが、この記事を見つけてしまったせいで、気になって眠れません。

 もう深夜1時過ぎちゃいました。 ぐ…… グンナイ!night

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2010年9月 7日 (火)

「押尾裁判」の報道姿勢に見る、メディアの相変わらずっぷり

 裁判員制度がスタートする夜明け前の段階で、民放連は、裁判員裁判の報道姿勢について、自戒を込めてガイドラインを策定しています。

 

 ■ 2008年01月17日 (報道発表)裁判員制度下における事件報道について … (社)日本民間放送連盟

   

(1) 事件報道にあたっては、被疑者・被告人の主張に耳を傾ける。

   

(2) 一方的に社会的制裁を加えるような報道は避ける。

   

(3) 事件の本質や背景を理解するうえで欠かせないと判断される情報を報じる際は、当事者の名誉・プライバシーを尊重する。

   

(4) 多様な意見を考慮し、多角的な報道を心掛ける。

   

(5) 予断を排し、その時々の事実をありのまま伝え、情報源秘匿の原則に反しない範囲で、情報の発信元を明らかにする。また、未確認の情報はその旨を明示する。

   

(6) 裁判員については、裁判員法の趣旨を踏まえて取材・報道にあたる。検討すべき課題が生じた場合は裁判所と十分に協議する。

   

(7) 国民が刑事裁判への理解を深めるために、刑事手続の原則について報道することに努める。

   

(8) 公正で開かれた裁判であるかどうかの視点を常に意識し、取材・報道にあたる。


 民放連は、これだけ立派なことを言っていますが、さて、先週金曜日から始まった、今回の押尾学裁判員裁判の報道姿勢は、果たして、これらのガイドラインを守れているのでしょうか。

 推定無罪という、抽象的なお題目の話だけでなく、曲がりなりにも、被告人が現に無罪を主張している否認事件である以上、この「押尾裁判」は非常にデリケートな事案なのです。

 が、番組制作サイドに、そのあたりの配慮がどれだけあるのか、心配に思います。

 もちろん、押尾被告人の印象は、率直に言って悪い。 これまで思想性も哲学もカラッポなイケメン俳優が、粋がって背伸びして、ひたすら針小棒大のハッタリを言い並べてきたように見えます。

 その自信満々っぷりを、殿方の魅力として感じてしまった女性たちが近寄ってきて、大いにモテにモテた色男、遊び人のイメージもあります。

 しかし、それがいくら気にくわないからと言って、それは法廷で裁かれるべき事柄でないことは言うまでもありません。 もちろんマスメディア報道によってリンチを加えられるべき筋合いもない。

 押尾さんは女にモテる。 われわれはモテない。 これは、いくら藻掻いても、どうしようもない現実なのです。

 どうぞ広い心で受け容れてください。 野郎のジェラシーはカッコ悪いっすよ。

 今回、東京地裁104号法廷で裁かれるべきは、あくまで「保護責任者遺棄致死が成立するような行為(不作為)が、その日のその時刻の被告人にみられたかどうか」 ……この公訴事実ただ一点です。

 一部の良心的なコメンテーターの方は、「押尾被告人は、芸能人時代のイメージが強いため、なおのこと、有罪無罪の判断に先入観や偏見が入らないようにしなければいけない」といった趣旨の指摘を付け加え、必死にバランスを取ろうと、涙ぐましい努力をしています。 おつかれさまです。

 問題は、裁判の一部始終を報道するVTRの中身ですよね。

 おどろおどろしいBGMを付けてみたり、全体的な色合いで黒を基調にしてみたり、センセーショナルな証言だけを強調して採り上げたり。

 VTRの編集担当者が匿名であることをいいことに、面白がって好き勝手なことをしていないでしょうか。

 ただ、こうして私の印象論だけを書き並べても仕方がありませんよね。

 今度、各局のニュース番組を全部録画して、しっかり検証してみようと思います。 この心のモヤモヤに決着を付けたいと願いますね。

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2010年9月 2日 (木)

法廷の証言台、34万円で好評発売中!

 皆さま、大変ご無沙汰しておりました。

 先月、無料メールマガジン『ウィークリーさいばん』を新創刊して毎週書いておりましたら、今度はブログの更新がおろそかになってしまいました……。 すみません。

 

 

Photo

 

 こういうのって、売ってるもんなんですねぇ。

 しかし、大量生産品でないだけあって、かなりご立派なお値段です。

 彼女にウッカリ浮気がバレちゃった、そこのアナタ!

 この証言台に立って、涙ながらに「申し訳ありません」「もう二度としません」「反省しております」と、決まり文句を並べれば、別れ話にも執行猶予が付くかも? フフフ。

 一家に一台、証言台!

 という時代が来たなら、ドンキホーテかニトリあたりで、6800円ぐらいで売り出していただきたいものです。

 オシャレなイケア製のモノトーン調証言台とか、素材感を活かした無印良品のスチールワイヤー証言台なんかもいいですね。

 下のほうに引き出しを付けたら便利でしょう。 「良心に従って真実を述べ…」の宣誓文などを収納できそうです。

 

 

 

Photo_2

 

 法の世界と俗世(傍聴席)とを区切る柵も、1ユニットだけでパソコンの良いヤツが買えちゃう価格設定です。

 これをいくつか買って並べなければ、サマになりませんよね。

 この証言台や法廷柵、本来は、法科大学院(ロースクール)の模擬法廷用に売り出された「家具」なのです。

 買うのに特に資格が問われるわけではないので、カネさえ出せば一般人でも購入できます。

 ちなみに、法廷のメイン要素である、裁判官が着席する「法壇」ですが、6つのユニットに分けられていて、さらに壇上へ上がるためのステップ(階段)を左右両サイドに2つ付けるとすれば、なんと一式250万円以上しますよ。

 模擬法廷をこしらえるのも、なかなか大変ですね。

 裁判沙汰もカネ次第ってか!?

 

 

■ 岡村製作所(オカムラ)製品カタログ

   【2009電子カタログB】

    ⇒ 14.公共・文化施設用家具

     ⇒ 法廷用家具 (803ページ) ……より引用


 そういえば、

 このブログ『法治国家つまみぐい』の開設日は、私が司法試験に挫折したてホヤホヤの、2004年9月1日。 まだ博多の実家にいた頃です。

 今日からなんと7年目に突入です。 この6年間、いろんなコトがあったなぁ~。

 毎日更新したり、最近みたいに1カ月以上更新できなかったり、無責任なスタイルを一貫して保ちつつ、法治国家の各方面を節操なくつまみぐいしてまいりました。

 今回みたいな小ネタもチョコチョコ挟みますが、今後ともよろしくお願いいたします。

 
 

    お知らせ 

 拙著『裁判官の爆笑お言葉集』のオーディオブック版が完成しました。
 アノ問題作の内容を、プロの朗読人によって音声収録してくださいました。

 また、私の声で収録した「後日談」も併せて聴いていただけます。
 ナガミネの滑舌の悪さ(特にサ行)をご堪能ください。

 辛い満員電車でも、立ったままで「読書」を楽しんでいただけますし、種々の理由で文字を読みづらい方にもお勧めします。 どうぞよろしくお願いいたします。

■ 通常版

■ 倍速版

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