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2010年9月 7日 (火)

「押尾裁判」の報道姿勢に見る、メディアの相変わらずっぷり

 裁判員制度がスタートする夜明け前の段階で、民放連は、裁判員裁判の報道姿勢について、自戒を込めてガイドラインを策定しています。

 

 ■ 2008年01月17日 (報道発表)裁判員制度下における事件報道について … (社)日本民間放送連盟

   

(1) 事件報道にあたっては、被疑者・被告人の主張に耳を傾ける。

   

(2) 一方的に社会的制裁を加えるような報道は避ける。

   

(3) 事件の本質や背景を理解するうえで欠かせないと判断される情報を報じる際は、当事者の名誉・プライバシーを尊重する。

   

(4) 多様な意見を考慮し、多角的な報道を心掛ける。

   

(5) 予断を排し、その時々の事実をありのまま伝え、情報源秘匿の原則に反しない範囲で、情報の発信元を明らかにする。また、未確認の情報はその旨を明示する。

   

(6) 裁判員については、裁判員法の趣旨を踏まえて取材・報道にあたる。検討すべき課題が生じた場合は裁判所と十分に協議する。

   

(7) 国民が刑事裁判への理解を深めるために、刑事手続の原則について報道することに努める。

   

(8) 公正で開かれた裁判であるかどうかの視点を常に意識し、取材・報道にあたる。


 民放連は、これだけ立派なことを言っていますが、さて、先週金曜日から始まった、今回の押尾学裁判員裁判の報道姿勢は、果たして、これらのガイドラインを守れているのでしょうか。

 推定無罪という、抽象的なお題目の話だけでなく、曲がりなりにも、被告人が現に無罪を主張している否認事件である以上、この「押尾裁判」は非常にデリケートな事案なのです。

 が、番組制作サイドに、そのあたりの配慮がどれだけあるのか、心配に思います。

 もちろん、押尾被告人の印象は、率直に言って悪い。 これまで思想性も哲学もカラッポなイケメン俳優が、粋がって背伸びして、ひたすら針小棒大のハッタリを言い並べてきたように見えます。

 その自信満々っぷりを、殿方の魅力として感じてしまった女性たちが近寄ってきて、大いにモテにモテた色男、遊び人のイメージもあります。

 しかし、それがいくら気にくわないからと言って、それは法廷で裁かれるべき事柄でないことは言うまでもありません。 もちろんマスメディア報道によってリンチを加えられるべき筋合いもない。

 押尾さんは女にモテる。 われわれはモテない。 これは、いくら藻掻いても、どうしようもない現実なのです。

 どうぞ広い心で受け容れてください。 野郎のジェラシーはカッコ悪いっすよ。

 今回、東京地裁104号法廷で裁かれるべきは、あくまで「保護責任者遺棄致死が成立するような行為(不作為)が、その日のその時刻の被告人にみられたかどうか」 ……この公訴事実ただ一点です。

 一部の良心的なコメンテーターの方は、「押尾被告人は、芸能人時代のイメージが強いため、なおのこと、有罪無罪の判断に先入観や偏見が入らないようにしなければいけない」といった趣旨の指摘を付け加え、必死にバランスを取ろうと、涙ぐましい努力をしています。 おつかれさまです。

 問題は、裁判の一部始終を報道するVTRの中身ですよね。

 おどろおどろしいBGMを付けてみたり、全体的な色合いで黒を基調にしてみたり、センセーショナルな証言だけを強調して採り上げたり。

 VTRの編集担当者が匿名であることをいいことに、面白がって好き勝手なことをしていないでしょうか。

 ただ、こうして私の印象論だけを書き並べても仕方がありませんよね。

 今度、各局のニュース番組を全部録画して、しっかり検証してみようと思います。 この心のモヤモヤに決着を付けたいと願いますね。

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コメント

うん、確かにモテんな。
なにthink?われわれangry

投稿: SH | 2010年9月 7日 (火) 21:36

>今回、東京地裁104号法廷で裁かれるべきは、
>あくまで「保護責任者遺棄致死が成立するような行為(不作為)が、
>その日のその時刻の被告人にみられたかどうか」>……この公訴事実ただ一点です。
被告人はMDMA譲渡も否定しているので、これも争点になります。
保護責任者遺棄致死の成立が最大の争点とは思うけど。

投稿: ccc | 2010年9月 8日 (水) 17:08

>SH

うむ、確かにモテんな。
要は、人類みな兄弟ってコトやね。

こないだ千葉地裁で、モテない腹いせに、他人のクルマのタイヤをパンクさせまくった男の裁判があったぞ。 恐怖。

 
>cccさま

確かにご指摘のとおりですね。ありがとうございます。
「ただ一点」と書けば、文章全体に勢いが出るかなという思いだけで突っ走り、事実関係の確認が不足していました。失礼いたしました。

投稿: みそしる | 2010年9月 8日 (水) 20:26

民放連のこのガイドラインはあくまで努力目標なんでしょうね。視聴率最優先のキー局も押尾被告にかんしては司法ニュースではなくエンタメのノリなんでしょう。ところで今出来たらいいなと思うのが、スカパーの裁判チャンネル局。24時間裁判漬け。

投稿: きたひろさとう | 2010年9月 8日 (水) 21:04

では、お互いにパンクさせんように気を付けるばい(笑)。

投稿: SH | 2010年9月 8日 (水) 21:39

>きたひろさとう さま

ペイチャンネルでの裁判放映は、前々から“アリ”だと思うんですけどね。

ただ、映像が妙な流通の仕方をするのはマズいので、厳重なコピーガードを入れたほうがいいでしょうけど、今の時代、どんな細工をしても破るやつがいるんだろうなと思います。

>SH

おれを巻き込むなって(笑)

投稿: みそしる | 2010年9月 9日 (木) 00:32

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