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2010年10月20日 (水)

京都弁護士会が生んだ、「地デジカ」の対抗キャラ

 昨晩、とあるシンポジウムに行ってきました。

Photo

 

 各界の著名な方々が、ステージ上にも観客席にも勢揃い。

 今回の「凛の会事件」無罪判決の裏話や、オーストラリアにおける「取り調べの可視化(録音録画)」の現状など、とても興味深い話をたくさん聞けたんですが……

 そんな難しい話はともかく、

 

Photo_2

 

 出たsign01 カシカシカsign03

 

 地デジカは、目的を達成する2011年7月に「お役御免」で「サヨウナラ」となるでしょうけど、

 カシカシカが目的を達成してお役御免となる日など、果たして来るんだろうか……?

 
 

 ん? なんだい、カシカシカくん?

 
 カシカシカ 「まずは『自分で可視化』してみることから始めてみよう! ちょっと前に話題になったよね。 大阪府警の警官が取調べ室で、被疑者に暴言吐いたり頭叩いたり脅迫したりしてた音声が、ボイスレコーダーに残ってたやつ。 あれ、カシカシカもニュースで聞いてて、す~んげぇ怖かったんだ。 だけど、警察や検察には結構なプレッシャーになった。 だからさ、逮捕された後だと難しいけど、もし、重要参考人としてとか任意同行とかで取り調べを受けるときは、ダメモトでボイスレコーダーを持って行ってみようね。 動かぬデジタル記録が、君をきっと助けてくれるよ」

 

 

 ちなみに、カシカシカの独り言 「ないな、可視化しかないな」は、逆さから読んでも同じだそうです。なるほど。

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2010年10月13日 (水)

旅行者や転居者は注意!? 意外な行動を罰する「地方ルール」

○群馬県みなかみ町 猿の餌付け禁止条例

 野生のニホンザルにエサをやった者に『最高1万円の過料』、さらに町長が悪質と認めた者の『氏名を公表』

 

○大阪府箕面市 サル餌やり禁止条例

 野生のニホンザルにエサをやり、市から改善命令が出たのに従わない者へ『最高1万円の過料』

 

○東京都荒川区 良好な生活環境の確保に関する条例

 野生動物全般(カラスやハトなども含む)にエサをやり、周辺環境に騒音や汚物飛散などの悪影響を与え、区から勧告や改善命令を受けても従わない者に『最高5万円の過料』

 自分の家を散らかし「ゴミ屋敷」と化して、周辺環境に悪影響を与え、区から勧告や改善命令を受けても従わない者に『最高5万円の過料』

 

○神奈川県横浜市 廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例

 横浜市が定めたゴミ分別の方法などに従わずに家庭ゴミを捨て、市から改善命令を受けたのに、それから1年以内に分別せず家庭ゴミを捨てた者に、『最高2000円の過料』 (※この種の罰則を科すのは、政令指定都市では初だそうです。しかも、威嚇効果を狙うだけでなく、実際の罰則適用もあります)

 

>>>全国初、ごみ分別違犯で過料/横浜市

ごみの分別回収に協力しない市民や事業者への罰則を条例で定めている横浜市は19日、戸塚区のアパートに住む一人暮らしの男性に2千円の過料を科すことを決めた。ごみの分別違犯者への罰則を 規定した条例は群馬県富岡市にもあるが運用実績はなく、分別ルールに従わなかったことを理由に 「一罰百戒」が適用されるケースは、今回が全国初とみられる。
 

市によると、男性は今年2月、燃やすごみの収集日に、再利用が可能なペットボトルなどの資源ごみと 家庭ごみなどを分別せずに出していたことが市のごみ袋開封調査で判明。市は2月以降、「市廃棄物等の 減量化、資源化及び適正処理等に関する条例」に基づき、男性に対して計3回にわたって分別のルールに 従うよう「指導」「勧告」「命令」の順に改善を求めた。
 

しかし、今年7月の命令後の9月にも同様のルール違反が確認されたため、市では「命令後1年以内に 分別をしないでごみを出した場合は過料徴収する」との規定に該当すると判断し、過料処分を決めた。 決定に先立ち、男性には書面による弁明の機会があることが市側から説明されたが、男性から弁明はなかったという。 (2009年10月19日・神奈川新聞)
 
 

 

○山梨県 富士五湖水上安全条例

 富士五湖でモーターボートなどを操縦していて、衝突事故を起こし、いわゆる『ひき逃げ』をした者に『最高3カ月の懲役』、この場合、他の乗務員も『最高2カ月の懲役』

 富士五湖でモーターボートなどを酒に酔った状態で操縦した者、航行禁止区域へ侵入した者に『最高2カ月の懲役』

 

○岐阜県飛騨市 ギフチョウ保護条例

 保護区域内でギフチョウを採取した者は、1羽~4羽なら『最高1万円の過料』、5~10羽なら『最高2万5千円の過料』、10羽以上、または卵・幼虫・さなぎ・幼虫の食料となるカンアオイを採取した者は『最高5万円の過料』

 

○奈良県 子どもを犯罪の被害から守る条例

 「公共の場所又は公共の乗物において、保護監督者が直ちに危害を排除できない状態にある子どもに対し、正当な理由なく、言い掛かりをつけ、すごみ、又は卑わいな事項を告げ」または「身体又は衣服等を捕らえ、進路に立ちふさがり、又はつきまとう」者に『最高30万円の罰金』

 「正当な理由なく、子どもポルノ(その種の電磁的記録を含む)を所持した者に『最高30万円の罰金』

 

○兵庫県芦屋市 清潔で安全・快適な生活環境の確保に関する条例

 「タバコの投げ捨て」「空き缶のポイ捨て」「犬の放し飼い」「犬のフンの放置」「夜間の花火(午後9時~午前6時)」「花火禁止区域内・禁止時間帯での花火」「落書き」をして、市の改善命令になおも従わない者に『最高10万円の罰金』

 「喫煙禁止区域内での路上喫煙」には、市の意気込みを見せるため『最高5万円の過料』  (※実際は、別に施行規則があり、一律2000円の過料というノーマルな罰則)

 

○鳥取県 日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例

 みだりに、鳥取砂丘の砂の上に、表面積10平方メートルを超える大規模な落書きをし、消すように命令を受けたのに従わない者に『最高5万円の過料』

 

○山口県下関市豊田町 ほたる保護条例

 保護区域での「ホタルの捕獲」「ホタルの幼虫の捕獲」「カワニナの捕獲」について、『最高5万円の過料』

(※営利目的だけでなく、一般人の捕獲まで罰則で規制するのは珍しいようです。しかし、下関市全体で統一されたほたる保護条例を近く制定するらしく、ここまで厳しい罰則は消える可能性も)

 

○宮崎県 ウナギ稚魚の取り扱いに関する条例

 県の許可なく、25センチ以下のウナギ稚魚を所持・譲り受け・譲り渡しをした者に『最高1年の懲役』

 

○沖縄県多良間村 ヤシガニ(マクガン)保護条例

 絶滅危惧種であるヤシガニを「保護区内で採取した者」、たとえ保護区外でも「産卵時期である7月1日~8月31日に採取した者」、それ以外の時期でも「甲羅の大きさが8センチ以下の個体を採取した者」、8センチ以上でも「卵を抱えたメスを採取した者」に、『最高10万円の罰金』
 (※この種の規制は日本初とみられます)

 

○沖縄県宮古島市 観賞用樹木及び草花等並びに文化的物品等の市外移出(持ち出し)禁止に関する規則

 市内の保護区域に生えた琉球コクタン・ソテツ・テンノウメ・ハマシタンなどの観賞植物、自然の岩石、文化財的な価値のある物品を許可なく、市外(宮古島の外)に持ち出した者に『最高で2000円の過料』

 
 

■ 今後、規制が予定されているもの

 
○福岡県芦屋町 芦屋橋等魚釣り禁止に関する条例

 町内の遠賀川とその支流にかかる「芦屋橋」「なみかけ大橋」「西祇園橋」の上からの、あらゆる釣り行為を禁止。 中止命令に従わない場合は『最高2万円の罰金』
(※11月1日から施行)

 

○長野県野沢温泉村 スキーヤー条例案

 スキー禁止区域で事故を起こしたとき、救助や捜索にかかった費用を、そのスキーヤーの全額自己負担とする。 (※これから議会に条例案を提出予定)

 

○大阪府箕面市 カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例案

 カラスに継続的に餌をやって周辺に被害を与え、市の是正命令に従わない者に『最高5万円の罰金』、市の調査を拒んだ者に『最高10万円の罰金』 (※これから議会に条例案を提出予定)

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2010年10月12日 (火)

日本に近い刑事裁判システムの米フロリダ州で、冤罪が次々に発覚!?

 「冤罪なんか他人事だ。 怪しまれるような生活を送ってるから捕まるんだ」

 「100%完璧なシステムなんてありえない。 安全な社会を最低限成り立たせるため、誰かが一種の犠牲、人柱を引き受けなければならない」

 

 ……ところで、皆さんは、社会の犠牲となって死ぬ覚悟はあるでしょうか。

 もし、誰かから、

 「ナガミネくん、一肌脱いで、この世界の人柱になって死んでくれたまえ」

 と命じられたなら、当然ギリギリまで拒み続けますし、自分の代わりに誰かいないか調査を求めると思いますが、

 どうしても私以外にはいないのなら、最終的には、ひとつだけ条件を付けるかもしれません。

 

 「代わりに、ナガミネを“伝説の大英雄”としてめちゃくちゃ祭り上げて、崇めたてまつって、皆の衆に永遠にナガミネを尊敬してほしい!!」と。

 

 必死さのあまり、かなり痛々しいことを口走るでしょう。

 同じ理不尽でも、人殺しだと世間に勘違いされたままの残酷な人柱になるのは、絶対に御免です。

 

 

 裁判員制度の下で、初めて死刑判決が示されるのも、そろそろ時間の問題となってきています。

 

● 来週の水曜日に東京地裁で初公判を控える、秋葉原「耳かきエステ」店の人気従業員と、その祖母の殺害事件。

 こちらは、店の常連客だった男の犯行で、罪を認めています。精神鑑定の結果がまだ公表されていませんが、これから法廷で明らかにされるのでしょう。判決は11月1日。

● 横浜地裁では来月、強盗殺人と覚せい剤密輸を犯した被告人の裁判が始まります。こちらも検察によって死刑が求刑されるのはほぼ確実でしょう。判決は11月16日。

● そして、鹿児島地裁では、資産家のお年寄り2人を殺害した70歳の男が、強盗殺人の罪で起訴されています。

 私はこの裁判を取材するため、鹿児島に2週間以上滞在する予定ですが、こちらの被告人は「やっていない」と無罪を主張し続けています。裁判員は「死刑か無罪か」という究極の選択を迫られることになりますね。初公判は11月2日、判決は12月10日です。

 さらに、この被告人は7年前に千葉で犯した強盗致傷の前科があるので、非常に難しい判断が求められます。

 もちろん「怪しい」のは確かですが、強盗の前科があるからといって、今回の強盗殺人をやったと結びつけられるほど、真相の解明は簡単ではありません。

 
 

 死刑囚の冤罪が後で判明して、無罪釈放された例は、国内では過去に4人います。

 言うまでもありませんが、裁判で濡れ衣を着せられた死刑囚の刑が執行されたら、もはや取り返しが付きません。「飯塚事件」の死刑囚は冤罪だったとの指摘もあります。

 だから、特に無罪を主張している被告人に死刑が求刑された場合、裁判員は、慎重に慎重を期して判断しなければなりません。

 話し合いの結果、有罪が多数派を占めたのなら、「無罪」だという意見を出した裁判員も、刑罰の内容を決める量刑判断に参加しなければならない、という理不尽もあります。

 こと、凶悪事件の裁判員裁判に関しては、「審理を分かりやすくして一般人の感覚で判断」なんて、生やさしい問題ではなくなると思います。

 

 先日、国会の議事録サイトを検索して読んでいましたら、気になる議論を見つけました。

  

>>> 参議院 - 法務委員会 - 平成21年04月16日

○近藤正道君 それでは、残りの時間は裁判員制度のことについてちょっとお聞きをしたいというふうに思っています。
 前の委員会で、私は、裁判員はその量刑についても判断を下さなければならないと。ところで、世界の国々を見たときに、国民が刑事司法に参加をしていて、そして死刑制度があって、そして量刑で多数決を採っているところ、これはアメリカのフロリダ州しかないんではないかと、こういうふうに質問をいたしました。そうしたら、大野刑事局長、フロリダ州とアラバマ州、この二つがそうではないかと、こういう答弁がございました。
 そこで私、その後、またいろいろこれ調べてみましたら、アラバマ州は多数決なんだけれども、単純多数決ではなくて特別多数決なんですね。ですから、刑事司法への国民参加があって、そして死刑という制度があって、そしてその死刑の量刑について単純多数決を採っているところ、特別じゃなくて単純多数決を採っているところはアメリカのフロリダ州だけ、このことに間違いはない。そこへ今、今度は日本も加わろうとしている、こういう現状だと思うんですが、間違いないでしょうか。

○政府参考人(大野恒太郎君) アラバマ州については、委員御指摘のとおりでございます。多数決ということであれば多数決でありますけれども、単純多数決ではございません。単純多数決ということで私どもが把握しておりますのはフロリダ州だけであります。
 ただ、何分にも外国の制度を網羅的に、完璧に把握しているわけではございませんので、それ以外に全くないかと言われると、それは分かりませんけれども、取りあえず私どもが把握しているのはフロリダ州ということになります。

○近藤正道君 私も余り勉強はしていないんですが、国会図書館とかいろんなところに、調べてみましたら、刑事司法への国民参加があって、死刑制度があって、単純多数決で死刑の量刑を決めている、この3点セットのそろっているのはフロリダ州ただ一つ、これはどうも間違いないようでございます。そこに日本が参加をこれからしていくということであります。
 ところで、アメリカのNGOが死刑情報センターというのをつくっておりまして、ここで死刑と冤罪の関係をいろいろ調べているんですが、実はアメリカでDNA鑑定によって1973年から今年の4月8日まで、実に131人の死刑囚が無罪と判明したと。これは、伊藤和子さんという弁護士がいろいろ詳しく紹介をしているんですが、アメリカでDNA鑑定を入れたら大変な死刑囚、無罪と判明したという驚くべき事実が出ておるわけでございます。
 その中で、実にフロリダが最も多いんですよ。22名だというんです。非常に突出してフロリダが多い。このように、冤罪が多発するという状況が分かって、同じ3点セットを取るフロリダがそうなら日本でもこういう事態は起きないのかなと俄然不安になったわけでございますが、法務大臣、裁判員制度の設計に当たって、日本と全く同じ制度を取っているフロリダの実態について調査はされたんでしょうか。

○国務大臣(森英介君) フロリダ州の死刑制度については、例えば死刑又は無期懲役となる事件について、先ほどお話がありましたように、陪審は過半数の一致により量刑の意見を決定すること、また、2007年の年末時点で死刑囚は389人であること、さらに、死刑は注射又は電気処刑で執行されることなどは承知しておりますが、それ以上の運用実態の詳細や、制度をめぐりどのような議論が行われているかについては承知をいたしておりません。すなわち、調査を行っておりません。


 もちろん、一般庶民のみで裁くアメリカの陪審制と、プロ裁判官と一緒になって裁く日本の裁判員裁判とを、単純に比較することはできません。

 死刑情報センターなるNGOが、DNA鑑定を駆使してどのような手法で過去の冤罪を暴いていくのかも、よくわかりません。

 足利事件の例や、最近では検察のデータ偽造事件もありますから、今やDNA鑑定すら完全に鵜呑みにはできません。 困ったものです。

 

 ただ、

 日本の裁判員裁判システムと同様に「単純多数決で死刑の量刑を決めている」フロリダ州で、冤罪の死刑囚が多く生まれているのではないか、との指摘は決して無視できませんね。

 せめて、死刑判決を出すときには、裁判員6名と裁判官3名の「全員一致」で意見が揃わなければならないことを慣習化するなど、冤罪を防ぐために考えうる最大限の
歯止めをかける工夫が求められると思います。

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2010年10月 5日 (火)

どうして今日になって、検察審査会が批判を浴びているのか

 ホントは、もっと肩の力が抜けた楽しいネタを採り上げたいのですが、法律系の時事が続いていますので、思うところを書かせていただきます。

 

>>> 「とどめ刺されたのに近い」漫画家の倉田真由美さん

 東京第5検察審査会の議決公表により、民主党の小沢一郎元幹事長(68)は資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で嫌疑不十分で不起訴処分となった平成16、17年分の虚偽記載容疑について、「起訴すべき」(起訴議決)と判断された。小沢氏は、「裁判の場で無罪を明らかに」とコメントを発表したが、これに対し漫画家の倉田真由美さんは、「裁判で無罪になったとしても『一度、被告になった』というイメージはぬぐえない。小沢一郎氏は今回、とどめを刺されたのに近い」と話した。
 (MSN産経 2010/10/05※このほか、元最高裁判事の濱田邦夫弁護士と、日本大学の岩井奉信教授のコメントあり


 

 くらたまさんのおっしゃる話もわかるのですが、今回の強制起訴によって、小沢さんの政治生命にとどめが刺されるようなことは、決してあってはなりません。

 起訴は起訴です。 それ以上でも以下でもありません。 裁判手続きに乗せる「スタート」を宣言しているだけなのです。

 今後、裁判所が有罪判決を言い渡し、それが確定することのない限り、小沢被告人は無罪と推定するルールです。 無罪の推定です。 同じことを私は過去に何度書いたかわかりませんし、別に面白い話でも何でもありませんが、飽きずに何度でも書かせてもらいます。

 もともと小沢さんは、裏で手を引く「政界の陰のドン」などと呼ばれていて、様々な後ろ暗いイメージがあります。 そこに「強制起訴」「被告人」という言葉の響きが加われば、事実上さらなるダーティーさを上塗りするかもしれません。

 それでも、このたび強制起訴されたことを引き金に、小沢さんの政治生命に終止符が打たれちゃいけないのです。

 私たち有権者は、まだ小沢さんを「政治資金規正法違反の罪」と結びつける色メガネで見ちゃいけません。 まだ早すぎます。

 将来、まぁ有罪が確定すれば別ですけど、もし裁判所が小沢さんに無罪判決を言い渡し、それが確定したならば、私たち有権者は、この陸山会の件を頭から差し引いたうえで、今後の投票行動に及ばなければなりません。 仮に差し引いて、それでも「政治家としてふさわしくない」かどうかです。

 でなければ、「何が法治国家だ」って話です。 言い渡した判決に社会的影響力のない裁判所など、維持するだけ税金のムダですから、廃止されてしかるべきだということになります。

 「推定無罪」という概念は、抽象的に語られるだけでは、ただひたすら説教くさくて耳にタコができるだけですから、今回の件が、実践のいいキッカケになろうかと思います。

 たとえ密室政治が大好きでも、都合の悪い問題にダンマリを決めこんでも、たとえ面構えがチョウチンアンコウみたいでも、小沢さんは、まだ罪人ではありません。

 

 検察審査会の2度の「起訴相当」議決⇒強制起訴が、ここにきて新聞やテレビなど各方面のメディアから批判されていますが、どうして批判されているのでしょうか。

 検察審査会の方々は、与えられた務めを粛々と果たしたにすぎないだろうと思います。

 むしろ問題は、小沢さんが「公判」へ向けての手続きに乗せられた、との報道が、非常に強烈なインパクトをもって広まって、とても重く受け止めている方が少なくない点でしょう。


 

◆ 検察審査会法 第1条(目的)
 公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため、政令で定める地方裁判所及び地方裁判所支部の所在地に検察審査会を置く。(以下略)

 
 
 

 検察審査会は、国民の中から抽籤で決められた、11人の一般メンバーのみで構成されています。 サポート役で弁護士も同席してますけど、審査会の構成員ではありません。

 つまり、裁判官も一緒に議論をする裁判員裁判とは異なり、一般国民だけで議論して決するわけですから、より陪審制に近い形態だといえます。

 「特捜部は検討が不十分だったんじゃないか」「弁解は不合理なんじゃないか」という指摘が、政治家・小沢一郎の元来のイメージもあいまって、さらに何人かいたかもしれない(いなかったかもしれない)「小沢さんは不起訴でOK」派もここは空気を読んで意見を変えて、このたび2度目の起訴相当議決となったわけです。

 「民意の反映」という、検察審査会の目的に沿っているじゃありませんか。

 もっと言うなら、検察審査会の「(小沢さんの言い分は)著しく不合理であり到底信用することができない」などという議決理由が、根拠薄弱だと批判されているようですが、似たような言い回しは、プロ裁判官の判決理由でもみられますよね。

 もっとも、裁判官の場合は、「被告人の供述は著しく不合理で信用できない」と言う前に「供述に再三の変遷がみられる(言うことがコロコロ変わる)」などの根拠(注意則)を付け加える場合があります。 とはいえ、より一歩踏み込んで、いかに供述が変遷しているのか、具体性をもって述べる方はほとんどいらっしゃいません。 検察審査会の議決書と大差ないと言われても仕方ないでしょう。

 

 ただし、今回の2度目の起訴相当議決には、問題点もあるようです。 告発状や1度目の議決書では触れられていない被疑事実まで扱っていて、このやり方は検察審査会に与えられた権限から逸脱しているのではないか、という批判もあります。 私もそうした批判には合理的な理由があると思いますし、また、こんな話も出てきていますね。

 さらに、「絶対権力者である被疑者」「これこそが善良な市民の感覚である」など、議決書の言葉づかいとしては独善的な箇所も垣間見えます。

 これらの点は、検察審査会の制度上の改善や見直しの可能性を含めたうえで、厳しく検証されなければなりません。

 が、このたび起訴されたことは確かです。

 私は裁判員制度に懐疑的な立場ですが、それは庶民感覚そのものを疑っているというより、庶民感覚を活かすと謳いながら、そうした庶民感覚の反映が法システムをもって担保されていないこと(裁判員の庶民感覚を活かすも殺すも、それぞれの担当裁判官の心がけ次第になっている現状)、そうした芯の通ってない制度設計に対する懐疑が大きいのです。

 そして、わざわざ忙しい国民を呼び付けずとも、庶民感覚は裁判官それぞれの学習能力、あるいは庶民との実際の交流などによって身につけていただきたいと申し上げています。

 「疑わしきは罰せず」という法原理まで持ち出して批判している記事も見受けられますが、的外れでしょう。 検察審査会は小沢さんを罰したわけではありません。 ただ、起訴しただけです。

 いや、「起訴しただけ」という言い回しは語弊があるかもしれませんね。 ある人を起訴して裁判に持ちこむことは、精神的にも時間的にも、あるいは社会的な意味でも、相当な負担を強いることになりますから。

 それでも、起訴は起訴です。 「これから裁判を始めるために動き出す」、それ以上でも以下でもありません。

 

 日本の刑事司法の現状「有罪率99.9%」とは、どういうことでしょうか。

 要するに、裁判官が法廷でやるべき仕事を、代わりに、検察官が法廷の外でやってしまっている、ということに他なりません。

 検察官が起訴すれば、99.9%有罪。 しかし、起訴しないと決めれば放免される。

 こうした現状は、実質的に検察官が、有罪の被疑者と無罪の被疑者とを振り分けちゃっているようなものといえます。

 「無罪が出たら沽券に関わる」という検察官の意識が、いつの間にか、まるで「裁判官の代わりに有罪の被告人だけを抽出する」がごとき実情を生み出してしまったのでしょう。

 起訴されたけれども、「被告人は無罪」。 仮にそうなったとしても、問題ありません。

 もし起訴された者は、ことごとく有罪判決へ導かねばならないのなら、裁判という手続きは巨大なムダです。 真っ先に事業仕分けの対象とされてしかるべきですね。

 検察官と裁判官とで、捉え方が異なるケースがあって至極当然なのです。 本当に司法権が独立しているのなら。

 有罪証拠が不十分だから起訴しないということがあってもいいし、有罪証拠が不十分だから無罪だと認定してもいいじゃないですか。

 問題は、判断の種別が“前者”に著しく偏っている現状にあります。

 そして、今回のような検察審査会の「強制起訴」は、検察官と裁判官の役割を、あらためて分断する、いいきっかけにできるのではないかと思います。 法律家の皆さんが、その気になれば、という前提つきですけど。

 

 世間で「悪いことをしたら警察に捕まるよ!」と、親が子供に注意することはありますが、「裁判官に怒られて、有罪判決がくだるよ!」なんてややこしい注意は、まずしないでしょう。

 「牢屋に入れられるよ!」と言う親もいますが、牢屋は刑務所だけではありません。 警察でも牢屋(留置場)には入れてくれるし、留置場生活だけで懲りて反省する被告人も多いです。

 やはり、警察に捕まって、世間から犯罪者として見られること、留置場で身柄を拘束されること、小沢さんの場合は特捜部に目を付けられることこそが、現実には相当痛いペナルティになっているのです。 

 裁判の前にペナルティが科されているのですから、つくづく、裁判所の存在感が薄っぺらい世の中だなと思います。

 「司法手続きを身近で分かりやすく」するために、裁判員制度を導入しておきながら、この期におよんでもなお、です。

 身柄を拘束された被告人に、たとえ有罪判決が出されても、執行猶予つきなら「釈放された!」と捉えられるのが一般的でしょうしね。

 司法の存在感の薄さは、「起訴されたら99.9%有罪」「行政訴訟でも国が9割方勝訴」「選挙での一票の価値の格差を追認し続ける」など、ひたすら政治部門の3歩後ろに下がって「事なかれ主義」をOKとしてきた裁判所自身にも責任があるかもしれません。

 そして、法律ライターを名乗りながら、この世の中で、司法権の存在感をボトムアップさせるような企画をなかなか通せずに悶々としている私自身も、不徳の致すところです。
 率直に言って歯がゆさがありますが、まだまだ私の精進が足りないだけです。 もっともっと頑張ります。

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2010年10月 1日 (金)

JASRACは独占禁止法違反? 音楽著作権の管理をめぐる闘い イーライセンス社長とNHK職員が証言

 

【まずは、おさらい】

 
2009年7月27日(月) 14:00 
中央合同庁舎6号館B棟19階
公正取引委員会審判廷

 JASRACの独占禁止法違反(排除命令)事件
 <第1回審判>

  

JASRACの排除命令に対する公取委審判が開始、JASRACが意見陳述 (日経WinPCオンライン)


 公取委は、JASRACがテレビ・ラジオなどの放送局と締結し運用している包括許諾契約について、イーライセンスなどほかの音楽著作権管理事業者と JASRACとのシェア変動を反映していないなど、使用料の算定方式に問題があると判断、独占禁止法に違反するとして排除措置命令を発した。

 

 

 まずは、報道陣による3分間の写真撮影から始まった。
 廷吏から「30秒前です」との声がかかると同時に、みんな撮影をやめ、カメラマンらは審判廷をあとにした。

 JASRACサイドから提出された準備書面の内容につき、審判長から、「『JASRACのみが音楽著作権を管理している、というのは正確性に欠ける』という部分が、よくわからないので、具体的な内容について釈明を求めたいのですが」と、確認する言葉が出た。

 JASRACサイドからは「ほかに『アジア著作権協会もある』という意味」との回答がなされた。

 また、JASRACから、公取委審査官サイドへの求釈明(確認事項)がいくつかあるようだが、審判官サイドからは、「あと2カ月ぐらいほしい」との回答。

 そして、JASRACサイドの代理人(弁護士)による、意見陳述が行われた。

 

 放送事業者が制作する番組の中に使われる音楽につき著作権使用料を得る事業を独占的に行っているのは、ほかの団体による関与を排除するものとして、独占禁止法違反に問うものであるが、不当である。

 JASRACは、公益的観点から、使用料の変更がある場合は文化庁への届出が必要。

 民放連ほか、各放送事業者との協議で、音楽の使用状況や、諸外国での状況など、すべての事情を基礎として、使用料の額につき合意に至ったもの。

 自由な交渉を前提に、事情変更の原則の適用がある場面など、ごく例外的な場面を除いては、使用料の額に事後的な変更はなされない。

 包括徴収というシステムについては、多くの国で採用されており、音楽使用の数量を詳細に把握するのが事実上困難な状況があることから、合理的な方法として実施されている。

 本排除措置命令は、こうしたグローバルスタンダードの流れを否定するものである。

 JASRACが、不当な契約によって使用料を吊り上げている事実もない。私的自治・契約自由に基づく正当な交渉の結果、決められた使用料に対する介入であり、知的財産の適切な運用に対する脅威でもある。

 本件命令は「木を見て森を見ない」結果として出されたとしか言いようがない。 イーライセンスの管理楽曲を使うかどうかは、各放送事業者の判断に基づく。

 最後に、本件命令主文の違法性について。

 音楽著作物が放送において使用される頻度の算定は、JASRACのみでは不可能で、放送事業者の協力がないとできないし、具体的にどのような協力があれば算定が可能か本命令では明かされていない。 命令の名宛人以外の関与が必要な措置について、名宛人のみに責任を負わせるのは不当である。

 


 

2009年9月14日(月) 14:00 

公取委第2回審判

 

 公取委側 : すでに提出済みの陳述書を、そのとおり陳述する旨を宣言。

 JASRAC側 : 審判官側の求釈明をふまえて、次回提出する。

 審判長 「その認否も踏まえて、全体的な主張をするということですか」

 J 「はい。先方から十分な回答を得られていないということもあり、主張とともに別の求釈明を出す予定もあります」

 公取委側「特にこれ以上、書面で反論することもない」

 審判長 「採否は留保させていただきます」

 14:08に終了

 


 

 以降の期日も、法技術的なやりとりが続く。

 書面を見ることができない傍聴人の私には、やりとりの具体的な内容がさっぱりわからないため、しばらく審判廷から足が遠のくようになっていた。

 しかし、1年ぶりに……。

 



2010年9月30日(木)13時30分

公正取引委員会・審判廷 (第10回審判)

 

 双方から提出された書証に関する同意の手続きに続いて、

 JASRAC側の代理人 「審判長からの文章提出命令に対して、釈明権を行使したい(説明を求めたい)。イーライセンスの放送分野での著作権管理で、放送局と交わしたはずの覚え書きの存在すら『知らない』というのが驚き。公取委も、JASRACが悪者だと決めつけての審査をしているのではないか」

 そして、イーライセンス社(音楽著作権管理の新規参入会社)代表取締役、三野明洋氏が参考人として証言台に。

 

 CD会社やミュージシャンの音楽著作権を管理しているJASRACが、テレビやラジオなどの放送で音楽を使用させる際、使用料を個別徴収(ある音楽を1回使うごとの徴収)でなく、包括徴収(月単位や年単位などで定額徴収する)をしているのは、

  ・ どの音楽がどれだけかけられたのか把握する必要がなく、著作権使用料の分配が不明瞭である。

  ・ CD発売に際してのプロモーション(タイアップ)に不便である。 [※CMやテーマソングなどのタイアップでは、著作権使用料が免除となる契約となっているが、使用料を包括徴収しているため、特に2つ同時(3つ同時)タイアップなどの場合にJASRACは対応できておらず、免除されるべき額が免除されていない]

 ……という2つの点で問題を有すると考えると、最初に証言の方針を示した。


 

 【どんな事案なのかをザックリと】

 イーライセンスが放送分野に進出したのは、2006年10月。 文化庁から2月に認可をもらったので、4月から始めたかったが、結局は10月にずれ込んだ。

 9月28日、大手音楽出版会社エイベックスとの協議で、67曲の管理委託契約が成立した。倖田來未、大塚愛、hitomiなど、ビッグアーティストの楽曲の管理を任されることになった。
 もともとは60曲のリストを作成し、各放送局にも配っていたが、5曲を撤回して12曲を追加し、結局は67曲となった。

 その翌月は、大塚愛の新曲(当時)『恋愛写真』の発売が控えており、エイベックスにとってもプロモーションに力を入れる時期で、各テレビ局やラジオ局に楽曲使用を申し入れた。

 後日、「各局で『恋愛写真』の放送使用が自粛されている」との報告を受けて、驚いた。私は首都圏と関西圏の各放送局に挨拶に回ったが、

 各ラジオ局からは「イーライセンスの管理楽曲は使えない」「もともとのJASRACの定額使用料に加えての追加負担になるのが痛い」という説明を受けた。

 埼玉のFM局・NACK5では、大塚愛さんの番組ゲスト出演の予定がキャンセルされるという情報も入ったため、その局へも出向いて担当者と話した。キャンセルはなんとかして食い止めたかった。

 そこで、エイベックス側から、「10月から12月までの3カ月間は、『恋愛写真』の楽曲を無料で使ってもらう」という打開策の提案を受けて、10月中旬以降は無料使用とすることにした。

 そして、エイベックス側から「プロモーションに大きなマイナスとなった」として、契約解除が申し入れられた。著作権管理事業社としての責任を果たせていないと思ったが、仕方ないとも思った。

 現在は、インディーズ系の楽曲を中心に3000曲を管理しているが、放送で流されることが大いに期待できる大手とは契約を結べていない。インディーズ系の楽曲は、放送されるチャンスが少なく、年に20~30万円ほどの使用料収益しかない状況。

 
 

■ JASRAC代理人からの反対尋問 (抜粋)

――――― 放送分野への進出は、どの程度の時間をかけて決断しましたか。

 参考人 「長い間、皆さまの意見を聞き、事前に準備をしてきました」

――――― その程度の答えしかできませんか。

 参考人 「民放連との協議で、各局に『使用曲目報告書』を提出していただくことにしましたが、これは全曲報告(放送された楽曲を全部知らせてもらうこと)を前提としたものです。全曲報告は難しいという意見もありました」

――――― どこから、そういう意見が出ましたか。

 参考人 「特にAMラジオ局ですね。全曲報告のシステム化が遅れているようでした。当社としても、自動的に放送された楽曲を把握するシステムを構築するのは発展途上でした」

――――― 民放連からは、包括許諾・包括徴収を受け入れてもらえましたが、NHKは拒否し、包括許諾・個別徴収となりました。

 参考人 「はい」

――――― なぜ、包括を拒まれたのでしょうか。

 参考人 「覚えてません」

――――― NHK職員の供述調書によると「管理する楽曲も決まってないのに、イーライセンスと包括徴収の契約をするのは難しい。楽曲の数と比べて著しく過大な使用料を払わなければならなくなる」という話がありますが。

 参考人 「覚えてません。この場で考えられることは、まず、十分な楽曲を管理できる状態にするため、権利者からまず楽曲をお預かりするようにしなければならなかったということです」

――――― 民放連と9月中に調印できなかったのは、なぜですか。

 参考人 「調印を遅らせてほしいという申し入れがあったからです」

――――― ラジオについては、10月に入っても交渉が継続していたようですが。

 参考人 「その認識はありません」

――――― 合意書の7条には、「覚え書」の存在が書かれていますが、10月の時点でできていましたか。

 参考人 「10月31日よりは遅れたと思います」

――――― 実際には2007年2月ではないですか。

 参考人 「ハッキリ覚えてませんが、そこまでではないと思います」

――――― 『使用曲目報告書』については、統一のフォーマットを送ると、各局に知らせていたようですが、各放送局の供述では『フォーマットの提案はなかったし、問い合わせてもイーライセンスから返事は返ってこなかった』『(2006年)12月になっても暫定版を使っていた』という話が出てきますが。

 参考人 「そんなことはありません」

――――― あなたの供述調書には『フォーマットと契約書は同時に送った』とありますが、本当に同時に送ったのですか。

 参考人 「同時ではなかったかもしれません。添付はしてなかったです」

――――― 調書のこの部分は違うということで、撤回しますか。

 参考人 「はい」

――――― 静岡朝日放送の方の話では「民放連から『イーライセンスとの契約締結は各局の判断に任せる』と言われたが、イーライセンスからは何の働きかけもなかった」とあります。この局には行かなかったのですか。

 参考人 「行きませんでした」

――――― JASRAC独自の自動集計データベースによると、大塚愛の『恋愛写真』は、2006年10月から12月末まで、少なくとも729回、無料化を始めた10月17日までに限っても、少なくとも128回放送されています。『まったくかかっていない』という認識は間違いではないですか。

 参考人 「その数字については、確認していないので答えられません。

――――― これから確認すると、以前におっしゃってましたが、今でも確認してないですか。

 参考人 「まだです」

――――― 最初に各局に「未定」「予定」と書かれたタイトルも含む60曲リストを送付しておいて、10月末に67曲リストを送るというのは、ビジネスとして信頼できず、契約を躊躇するのも当然じゃないですか。

 

※ 要するに、JASRACの独占状態いかんとは関係なく、イーライセンスの経営判断がマズかったから上手くいかなかったのだ、との証言を引き出したい方針のようだった。

 


 

 4時からは、石井さんという、NHKの契約部門担当の方が、JASRAC側の参考人として出廷した。

 

■ 主尋問の要旨

・ イーライセンスが放送分野への進出するということで、最初にお会いした際、「単に放送で流すだけでなく、番組の海外販売、DVD化など、様々な展開もありうる」と、イーライセンスには説明した。

・ 使用料を包括でなく個別徴収の契約としたのは、イーライセンスの管理楽曲が、JASRACのそれと比べてレパートリーが圧倒的に少なく、包括でお支払いするほどではないと考えたから。

・ だが、使用料の点で、イーライセンスの管理楽曲の使用を避けていたことはない。番組制作サイドに確認したわけではないが、少なくとも私個人はそう把握していない。

・ JASRACに未登録の「ノーメンバー楽曲」と同様に、イーライセンスの管理楽曲も使用できるという認識であった。ノーメンバー楽曲とイーライセンス管理楽曲の数の差についてはわからないが、感覚的には、同数あるいはイーライセンスのほうが少ないか、といった感じ。

・ 全曲報告は、大変と言えば大変だが、放送局としては当然のことだと受け止めていた。用紙に記入するなり、電子的記録なり、何らかの方法で可能。JASRACのほうへも、全曲報告する方向でいた。

・ 2006年10月以降、JASRACに対し、使用料の包括徴収の見直しを要請したことがあるかどうかは記憶にない。

  ⇒ 「イーライセンスなど新規参入会社との関係で、追加負担がないようにしてほしい」とお願いしたと調書にあるが、審査官から『すると、こういうことになりますか』と聞かれて『はい』と答えたので、そう記録されたのだろう。

・ どういう場合に包括徴収を見直すべきか、難しいが、イーライセンスへの支払いがある程度の額に達し、さらには社会状況の変化などがあれば、見直されていいと思う。JASRACとの契約書の中にも「特段の事情がある場合」に内容を見直すと明記されているから。

  ⇒ NHK全体での決定事項ではないが、包括の見直しは、個人的にはまだ必要ないと思う。イーライセンスに対しては誠意を持って対応してきた。


 

■ 公取委審査官からの反対尋問

――――― 放送法7条では、NHKの目的として「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行い」とあり、32条では受信料の徴収も定められています。楽曲の使用についても公共性が確保されなければならないのではないですか。

 参考人 「質問の意味がわかりませんが」

――――― 公共放送として、どの会社・団体の楽曲を使用するか、公共性を考慮し無ければならないと思うのですが、いかがですか。

 参考人 「一般に電波は公共物だとされていますので、民間の放送局も同様に公共性を確保しなければならないと思います」

――――― 電波の公共性とともに、NHKは放送法に定められた公共性も確保し、偏らないということが大切ではないですか。

 参考人 「私は番組制作に携わっていないのでわかりませんが、イーライセンスの管理楽曲も公共性をもって使用していると認識しています」

――――― この楽曲は放送するが、この楽曲は放送しないと、管理団体によって区別することはないですか。

 参考人 「法律や公序良俗に反しない限りは、それ以上の判断はありません。放送基準については、私は責任を持って答えられる立場にはないですが、プロモーション目的で放送することはありえません。広告放送の禁止ということですので」

 

■ 審判官からの補充質問

――――― JASRACの包括徴収には、デメリットと同時にメリットもあると思うのですが、どちらが大きいでしょうか。

 参考人 「現時点では、メリットのほうが大きく上回っていると思います」

 

 

※ 次回の参考人審尋は、今月27日です。 公取委の審判は、もうすぐ廃止されるという話もありますし、今のうちに見ておこうと思います。

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