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2010年10月12日 (火)

日本に近い刑事裁判システムの米フロリダ州で、冤罪が次々に発覚!?

 「冤罪なんか他人事だ。 怪しまれるような生活を送ってるから捕まるんだ」

 「100%完璧なシステムなんてありえない。 安全な社会を最低限成り立たせるため、誰かが一種の犠牲、人柱を引き受けなければならない」

 

 ……ところで、皆さんは、社会の犠牲となって死ぬ覚悟はあるでしょうか。

 もし、誰かから、

 「ナガミネくん、一肌脱いで、この世界の人柱になって死んでくれたまえ」

 と命じられたなら、当然ギリギリまで拒み続けますし、自分の代わりに誰かいないか調査を求めると思いますが、

 どうしても私以外にはいないのなら、最終的には、ひとつだけ条件を付けるかもしれません。

 

 「代わりに、ナガミネを“伝説の大英雄”としてめちゃくちゃ祭り上げて、崇めたてまつって、皆の衆に永遠にナガミネを尊敬してほしい!!」と。

 

 必死さのあまり、かなり痛々しいことを口走るでしょう。

 同じ理不尽でも、人殺しだと世間に勘違いされたままの残酷な人柱になるのは、絶対に御免です。

 

 

 裁判員制度の下で、初めて死刑判決が示されるのも、そろそろ時間の問題となってきています。

 

● 来週の水曜日に東京地裁で初公判を控える、秋葉原「耳かきエステ」店の人気従業員と、その祖母の殺害事件。

 こちらは、店の常連客だった男の犯行で、罪を認めています。精神鑑定の結果がまだ公表されていませんが、これから法廷で明らかにされるのでしょう。判決は11月1日。

● 横浜地裁では来月、強盗殺人と覚せい剤密輸を犯した被告人の裁判が始まります。こちらも検察によって死刑が求刑されるのはほぼ確実でしょう。判決は11月16日。

● そして、鹿児島地裁では、資産家のお年寄り2人を殺害した70歳の男が、強盗殺人の罪で起訴されています。

 私はこの裁判を取材するため、鹿児島に2週間以上滞在する予定ですが、こちらの被告人は「やっていない」と無罪を主張し続けています。裁判員は「死刑か無罪か」という究極の選択を迫られることになりますね。初公判は11月2日、判決は12月10日です。

 さらに、この被告人は7年前に千葉で犯した強盗致傷の前科があるので、非常に難しい判断が求められます。

 もちろん「怪しい」のは確かですが、強盗の前科があるからといって、今回の強盗殺人をやったと結びつけられるほど、真相の解明は簡単ではありません。

 
 

 死刑囚の冤罪が後で判明して、無罪釈放された例は、国内では過去に4人います。

 言うまでもありませんが、裁判で濡れ衣を着せられた死刑囚の刑が執行されたら、もはや取り返しが付きません。「飯塚事件」の死刑囚は冤罪だったとの指摘もあります。

 だから、特に無罪を主張している被告人に死刑が求刑された場合、裁判員は、慎重に慎重を期して判断しなければなりません。

 話し合いの結果、有罪が多数派を占めたのなら、「無罪」だという意見を出した裁判員も、刑罰の内容を決める量刑判断に参加しなければならない、という理不尽もあります。

 こと、凶悪事件の裁判員裁判に関しては、「審理を分かりやすくして一般人の感覚で判断」なんて、生やさしい問題ではなくなると思います。

 

 先日、国会の議事録サイトを検索して読んでいましたら、気になる議論を見つけました。

  

>>> 参議院 - 法務委員会 - 平成21年04月16日

○近藤正道君 それでは、残りの時間は裁判員制度のことについてちょっとお聞きをしたいというふうに思っています。
 前の委員会で、私は、裁判員はその量刑についても判断を下さなければならないと。ところで、世界の国々を見たときに、国民が刑事司法に参加をしていて、そして死刑制度があって、そして量刑で多数決を採っているところ、これはアメリカのフロリダ州しかないんではないかと、こういうふうに質問をいたしました。そうしたら、大野刑事局長、フロリダ州とアラバマ州、この二つがそうではないかと、こういう答弁がございました。
 そこで私、その後、またいろいろこれ調べてみましたら、アラバマ州は多数決なんだけれども、単純多数決ではなくて特別多数決なんですね。ですから、刑事司法への国民参加があって、そして死刑という制度があって、そしてその死刑の量刑について単純多数決を採っているところ、特別じゃなくて単純多数決を採っているところはアメリカのフロリダ州だけ、このことに間違いはない。そこへ今、今度は日本も加わろうとしている、こういう現状だと思うんですが、間違いないでしょうか。

○政府参考人(大野恒太郎君) アラバマ州については、委員御指摘のとおりでございます。多数決ということであれば多数決でありますけれども、単純多数決ではございません。単純多数決ということで私どもが把握しておりますのはフロリダ州だけであります。
 ただ、何分にも外国の制度を網羅的に、完璧に把握しているわけではございませんので、それ以外に全くないかと言われると、それは分かりませんけれども、取りあえず私どもが把握しているのはフロリダ州ということになります。

○近藤正道君 私も余り勉強はしていないんですが、国会図書館とかいろんなところに、調べてみましたら、刑事司法への国民参加があって、死刑制度があって、単純多数決で死刑の量刑を決めている、この3点セットのそろっているのはフロリダ州ただ一つ、これはどうも間違いないようでございます。そこに日本が参加をこれからしていくということであります。
 ところで、アメリカのNGOが死刑情報センターというのをつくっておりまして、ここで死刑と冤罪の関係をいろいろ調べているんですが、実はアメリカでDNA鑑定によって1973年から今年の4月8日まで、実に131人の死刑囚が無罪と判明したと。これは、伊藤和子さんという弁護士がいろいろ詳しく紹介をしているんですが、アメリカでDNA鑑定を入れたら大変な死刑囚、無罪と判明したという驚くべき事実が出ておるわけでございます。
 その中で、実にフロリダが最も多いんですよ。22名だというんです。非常に突出してフロリダが多い。このように、冤罪が多発するという状況が分かって、同じ3点セットを取るフロリダがそうなら日本でもこういう事態は起きないのかなと俄然不安になったわけでございますが、法務大臣、裁判員制度の設計に当たって、日本と全く同じ制度を取っているフロリダの実態について調査はされたんでしょうか。

○国務大臣(森英介君) フロリダ州の死刑制度については、例えば死刑又は無期懲役となる事件について、先ほどお話がありましたように、陪審は過半数の一致により量刑の意見を決定すること、また、2007年の年末時点で死刑囚は389人であること、さらに、死刑は注射又は電気処刑で執行されることなどは承知しておりますが、それ以上の運用実態の詳細や、制度をめぐりどのような議論が行われているかについては承知をいたしておりません。すなわち、調査を行っておりません。


 もちろん、一般庶民のみで裁くアメリカの陪審制と、プロ裁判官と一緒になって裁く日本の裁判員裁判とを、単純に比較することはできません。

 死刑情報センターなるNGOが、DNA鑑定を駆使してどのような手法で過去の冤罪を暴いていくのかも、よくわかりません。

 足利事件の例や、最近では検察のデータ偽造事件もありますから、今やDNA鑑定すら完全に鵜呑みにはできません。 困ったものです。

 

 ただ、

 日本の裁判員裁判システムと同様に「単純多数決で死刑の量刑を決めている」フロリダ州で、冤罪の死刑囚が多く生まれているのではないか、との指摘は決して無視できませんね。

 せめて、死刑判決を出すときには、裁判員6名と裁判官3名の「全員一致」で意見が揃わなければならないことを慣習化するなど、冤罪を防ぐために考えうる最大限の
歯止めをかける工夫が求められると思います。

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コメント

>冤罪なんか他人事だ。
>怪しまれるような生活を送ってるから捕まるんだ
・川端町事件で強盗先の店の店員にハンマーで殴った尾田信夫
・首都圏女性連続殺人事件で婦女暴行や窃盗の常習者だった小野悦男
・山中事件で金銭トラブルで小刀で刺した霜山則男
・鶴見事件で1000万円盗んだ高橋和利
とかは死刑になるか否かは別にして、この人たちは善人じゃないと思いますね。

投稿: xxx | 2010年10月17日 (日) 20:51

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