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2010年11月18日 (木)

柳田サンの舌禍にちなんで… 歴代法務大臣お言葉集!

>>> 法相?えーっ何で俺が… 柳田法相の発言要旨

 柳田法相が14日に広島市で開かれた法相就任を祝う会合での発言要旨は次の通り。

 「9月17日(の内閣改造の際)新幹線の中に電話があって、『おい、やれ』と。何をやるんですかといったら、法相といって、『えーっ』ていったんですが、何で俺がと。皆さんも、『何で柳田さんが法相』と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、一番理解できなかったのは私です。私は、この20年近い間、実は法務関係は1回も触れたことはない。触れたことがない私が法相なので多くのみなさんから激励と心配をいただいた」

 「法相とはいいですね。二つ覚えておけばいいんですから。『個別の事案についてはお答えを差し控えます』と。これはいい文句ですよ。これを使う。これがいいんです。分からなかったらこれを言う。これで、だいぶ切り抜けて参りましたけど、実際の問題なんですよ。しゃべれない。『法と証拠に基づいて、適切にやっております』。この二つなんですよ。まあ、何回使ったことか。使うたびに、野党からは責められ。政治家としての答えじゃないとさんざん怒られている。ただ、法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話。法を守って私は答弁している」 (2010年11月18日10時43分  読売新聞)


 

 きっと、良くも悪くもサービス精神の強い方なんでしょうね。

 せっかく集まってくださった地元の支援者を退屈させないようなスピーチを志向し、何か面白い冗談を交えられないかとネタを練り、「そうだ!」と思い至ったのでしょう。

 ただ、過去には『個別の事案についてはお答えを差し控えます』『法と証拠に基づいて、適切にやっております』という切り札を、実際に40回近くも使っちゃったという柳田さん。

 これらの切り札を一度も切らずに、「法務大臣はふたつ覚えておけばいいんです」発言が出ていれば、ある意味かっこよかったのですが(歴代法相に対しては、結構な侮辱でしょうけど)、残念ながら冗談が冗談になっていませんでした。

 野党からグイグイ責められ、ただいま辞任を迫られるほどのプレッシャーをかけられています。

 

 ここで、私がこれまで、秘密のネタ帳にシコシコ書き留めてきた、歴代法務大臣の失言・珍言をまとめてお送りします。

 このネタが日の目を見るべき絶好のタイミングが、ようやくやってきて、よかったよかった……??


 
 

「国会審議はお祭りみたいなもの。 予算は形式的にお祭り的に国会にかけなければならない」

 (1971年2月 小林武治氏) 自民党の演説会にて

 これも「国会軽視発言」の一種ですね。小林元法相は間もなく辞任に追い込まれますが「せいせいした。前から辞めたかったんだ。法務大臣じゃ選挙運動もロクにやれんからな」なんて、ホンネとも強がりともとれるコメントを残しています。

 

「現行憲法には欠陥が多い」

 (1975年5月 稲葉修氏) 参議院決算委員会にて

 この稲葉元法相は、柳田さんと違って、中央大学法学部の教授から政界に進出したという、プロ中のプロ。 やがて、この発言を取り消す旨を宣言しますが、野党議員から「法相は学者としての理念まで取り消すのか」とツッコまれ、「そうではない。取り消すというのは不適当な言葉であり、誤解を生じるので。できれば改正したい点もある憲法でございます、とか、他に言いようがあったんじゃないかと思う」と弁明しています。 まぁ、憲法改正こそ自民党の存在目的そのものだと聞きますし、そのポリシーが法務大臣の口から出た形のようです。

 

「刑事責任の追及段階では、捜査当局が主役であり、国会は脇役ではないのか」

 (1976年7月 稲葉修氏) 参議院ロッキード問題特別委員会

 これも国会軽視系ですけど、まぁ、正論のような気がしないでもないですね……? ともかく、国権の最高機関として証人喚問を含む国政調査権を掌握する国会のプライドを、うっかり傷つけてしまったようです。

 

「(歌舞伎町周辺は)悪貨が良貨を駆逐するというか、アメリカにクロが入ってシロが追い出されるというように、混住地になっている」

 (1990年9月 梶山静六氏) 閣議後の記者会見にて

 黒人を「悪貨」に例えてしまった人種差別発言です。 4日後に、発言の取り消しと陳謝をしていますが、そんなことでは決着が付かず、国際問題に発展。
 アメリカ黒人議員連盟の会長に、陳謝を述べる書簡を送るも、間もなく下院外交委員会にて、梶山元法相の発言を遺憾とする決議が賛成多数で採択されました。 それにしても、なんでこんなこと言っちゃうんでしょうか。

 

「南京大虐殺というのは、でっち上げだ」

 (1994年5月 永野茂門氏) 毎日新聞に掲載

 この発言により、就任わずか10日で一気に辞任に追い込まれました。 「30万人を虐殺した」という犠牲者数を問題にしているのか。 それとも、日本軍による大量殺害行為そのものを否定しているのか。 「大虐殺」の定義や史実の検証が問題になるのでしょうが、いずれにせよ、デリケートな近代史問題だけに、触れる場合は覚悟して、細心の注意が払われるべきです。

 

「聞いているか聞いていないかということも、申し上げられません」

 (2004年10月 南野知恵子氏) 衆議院予算委員会にて

 日本歯科医師連盟による自民党旧橋本派へのヤミ献金事件について、野党議員から「事件について、どう把握しているか」と尋ねられてのアンサー。 さらにしつこく聞かれて「聞いていません」「報告できません」「言えません」と、クルクル変わる苦し紛れの空虚な答弁に、このときも法務大臣としての資質を問う声が噴出しましたね。

 

「法務省でも、『らい』の問題について啓発が必要なので予算をお願いしました」

 (2005年1月 南野知恵子氏) 自民党の島根県議「新春の集い」にて

 「らい」という言葉そのものが差別用語だというより、ハンセン病が「らい」と呼ばれていた時代に、患者に対する壮絶な差別待遇が行われていたという事実の比重のほうが大きいのでしょう。ベテラン看護師出身の法務大臣ですから、かつての呼称のクセが抜けていないかもしれません。ですが、少なくとも、法律の条文上、らいという病名は1996年でハンセン病と統一されているのですから、配慮されるべきでした。

 

「男児誕生を期待しています」

 (2006年9月 杉浦正健氏) 

 秋篠宮紀子妃殿下ご出産の前日の発言。実際に親王がお生まれになりましたが、男系天皇の「お世継ぎ」を生むという妃殿下のプレッシャーに微塵も配慮していないだけでなく、端的に女性蔑視とも受け取られかねない失言です。男女平等を謳っている憲法の下の法務大臣ですから、もうチョイ慎重に。

 

「私の友人の友人が、アル・カーイダなんです。 『バリ島の中心部は爆破するから近づかないように』というアドバイスは受けてました」

 (2007年10月 鳩山邦夫氏) 日本外国特派員協会での記者会見にて

 かなりユニークな人脈をお持ちのようですが、この発言の数時間後に「(友人の友人がアル・カーイダだと)断定的に言える状況ではなかった」と修正し、さらにバリ島のディスコ爆破テロを前もって知っていたというわけでない、と釈明しています。 ようわからんです。

 

「判決確定から半年以内に執行するという法の規定が事実上、守られていない。法相が絡まなくても、半年以内に執行することが自動的、客観的に進む方法はないだろうか。順番通りにするか、乱数表なのか分からないが、自動的に進んでいけば『次は誰』という話にならない」

 (2007年10月 鳩山邦夫氏)

 死刑執行決定の重責から逃げたがるかのような、いわゆる「死刑ベルトコンベア」発言として有名ですが、鳩山さんご本人は「ベルトコンベア」という表現は使ってません。ただ、のちに「乱数表という表現を使ったのは少し反省している」とも述べています。少しかい。 人が人を裁く司法。刑罰も人が人に科すのです。その現実から目を背けてはならないのでしょう。

 死刑執行がらみの消極発言では、杉浦サンの就任会見もあります。


 

「志布志事件は、冤罪と呼ぶべきでない」

 (2008年2月 鳩山邦夫氏) 検察長官会同にて

 罪のない人に罪をかぶせるのが、冤罪という言葉の辞書的な意味ならば、やはり志布志事件も冤罪事件なのですが、「実際に起こった犯罪行為の濡れ衣を着せられた」のではなく、「実際にも存在しない罪をかぶせられた」という点で、志布志事件は、足利事件など一般的な冤罪事件とは一線を画します。 何もないところから罪をでっち上げる。いわば『創罪』とでもいうべきインチキ。『創罪』という響きは、なんだかデリカテッセンみたいですが、志布志事件という冤罪事件の特殊性を考えに入れれば、鳩山発言も納得できる……かも??

 

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 権限が権限だけに、法務大臣のポストに就く人物は、「差別」「基本的人権」「国民主権」「条文に書かれた内容」などの要素に対し、ことのほか敏感に配慮しながら発言することが求められるのでしょう。

 法務大臣お言葉集。 コンテンツは探せば、もっとあると思います。

 親切な皆さん、どうか私に力を貸してください。 よろしくお願いします!

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コメント

 日弁連・会長:宇都宮健児は、「虚偽(詐害行為)は正当な弁護士業務だ」と主張(議決)して、懲戒対象弁護士を擁護し、これを撤回せずに、裁判で争っております。

 弁護士を指導・監督する立場にある宇都宮健児のこの行為は、不法行為を教唆するものであり、国民への背任でありましょう。

 表向きは、社会正義の実現(弁護士法1条)を強調しながらも、裏陰では、「虚偽(詐害行為)は正当だ」と指導しているのですから.弁護士トラブルが急増するは当然です。
 
 組織的な権力を得ている日弁連・会長:宇都宮健児らのこの裏影での卑劣な行為を国民は知ることができず、それをとがめる手段もない様です。

 国民は、日弁連・会長:宇都宮健児らのこの卑劣な行為・国民をたぶらかし、見下す事実を知るべきです。

 堕落しつくした元凶たる日弁連の存在は、柳田法相の発言からもそれを知り裏付けるものでありましょう。

投稿: 月光 | 2010年11月20日 (土) 17:03

貴重なご意見ありがとうございます。

投稿: みそしる | 2010年11月23日 (火) 16:22

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