« 2011年10月 | トップページ | 2012年6月 »

2011年11月23日 (水)

無断駐車に、驚きのペナルティ! ……法律的には?

 

 

 引き続きまして、山形・鶴岡市で見かけた、わが目を疑う看板をご紹介しますね。

 

 ある焼き鳥屋さんの駐車場わきに掲げられていた、「怒り」の警告文。

 

 
 

Photo

 

 罰金1万円プラス「車の上でトランポリン」

 

 こんなもん、自分の敷地で実際に無断駐車をされた人でなければ、決して出てこない発想でしょう。

 しかも、罰金の警告をしているにもかかわらず、なおもヌケヌケと駐めている輩を見かけてしまい、「こんなクルマ、上に飛び乗ってボコボコにして、何か問題あるんか……?」という衝動に駆られたものと推察できます。

 でも、「車の上でトランポリン」と、かわいらしい丸ゴシック体で書かれても、そのようなまがまがしい破壊衝動を直接感じさせないわけで、「怒り」と「マイルド感」の間隙を突くバランス感覚も秀逸だなと思いました。

 

 ちなみに、「罰金」という刑罰は、国や都道府県・市町村が、法律や条例の条文に書いて、しかも裁判所の手続きを経て初めて適用されるものです。

 だから、駐車場の持ち主が、一方的に決めて徴収するような性質のものじゃないんですね。

 

 かといって「罰金1万円」が ウソの警告なのかというと、そうでもありません。

 立ち入る資格のない他人の敷地に無断で立ち入ると、軽犯罪法に引っかかるかもしれません。そうなると、無断駐車が犯罪になり、科料(最高9999円を、お国が徴収)という刑罰が適用される可能性があるんです。
 

 
◆ 軽犯罪法 第1条
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
 三十二  入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

 

 また、焼き鳥屋さんの権利(駐車場の管理権限)を、無断駐車によって侵害したことにもなりますから、駐車代金相当額+αを、損害賠償として、焼き鳥屋さんに直接支払う義務を負うかもしれません。

 
 

 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 
 もっとも、焼き鳥屋さんの「1万円」という要求がそのまま通るわけではなく、基本的には話し合いで解決し、それで決まらなければ、最終的には裁判所の判決などで金額が定められることになります。

 

 では、「車の上でトランポリン」というペナルティは、認められるのかというと……。

 一見すると、焼き鳥屋さんの正当防衛かな? というふうにも思えますね。

 ただ、

 無断駐車を止めるために「やむを得ず」認められる行為かどうかは、かなりの疑問です。

 なんとなく、焼き鳥店主の溜まり溜まったストレスを一気に解消したいだけの行為かと思われるフシもありますんで。

 
 

◆ 刑法 第36条(正当防衛) 
 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

 

 正当防衛という特別扱いが認められないのなら、焼き鳥屋さんが「車の上でトランポリン」の刑を執行しても、ただ普通に、焼き鳥屋さんの器物損壊罪が成立することになります。

 無断駐車の被害者である焼き鳥屋さんには気の毒な結論ですけど、被害の不満をそのまんまぶつける復讐(専門用語で「自力救済」といいます)を、法律で正当化するわけにはいかないんですよね。残念ながら。

 恨みを晴らす自力救済をどんどん認めてしまうと、世の中の秩序がムチャクチャになってしまうと考えられているからなんです。

 

 でも、

 もしここに車を駐めて帰ってくると、屋根やボンネットが焼き鳥屋さんの足型でボコボコにさせられてしまうかもしれない……

 ……という、法律を超越した心理的プレッシャーを皆に味わわせて、気軽に無断駐車できなくさせるという意味では、なかなか優れた警告文だといえます。

 

 皆さんも、無断駐車に立ち向かう、驚きの警告文をご存知でしたら、コメント欄に情報をお寄せください! お待ちしてます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年11月 9日 (水)

セブンイレブンまで……

 

 最近、ふと思い出した。

 

 裁判取材のため、今年7月に行った山形県鶴岡市での風景。

 

 

20110728134714

 

 セブンイレブンまで、あと711メートル。

 

 ホンマかいな?

 

 誰も実測して検証したりしないだろうとタカをくくって、適当なことを書いてるんじゃないか。

 

 そして、

 この矢印の方向にたまたま用事があったので、少し歩いていくと、今度はこういう看板が立っていた。

 

 

20110728142322

 

 うむ。 こっちの数字は、なんだかリアル。

 

 わざわざ「377M」なんて、こんなに細かく計測しなくても、誰も求めちゃおらんのに……。

 だいたいでいいのだよ。だいたいで。
 

 
 設置者(店長さん?)の性格が垣間見えた一幕。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2011年11月 5日 (土)

あの“カレログ”が可愛く見えちゃう、戦慄の遠隔監視アプリ!

 

 知らないうちに奇妙なアプリをインストールされ、仕事中も遊び中も、外出中は常にGPSで大まかな位置をいちいち追いかけられる……。

 何もやましいことをしていなくても神経がすり減らされそうでウンザリです。

 ガラケー持ちの私ですら、想像するだけでウンザリします。

 つまり、「相手への“疑い”が前提の付き合い」という関係そのものが、心に無用な疲労感をおぼえさせているのかもしれません。
 
 
 ……が!

 世の中ってなあ広いもんで、ウエにはウエがあるようですなあ。

 
 

 盗難しても大丈夫!Androidを遠隔操作!悪用厳禁盗難対策特集 まとめ (あんどろいどスマート)

 
 
 ここでは2つの「盗難対策アプリ」が紹介されています。あくまで、自分がスマホをなくしたり盗まれたりしたときに、そのありかを発見する目的で使うものだと。

 そういう説明がなされています。

 もちろん、GPS位置情報を離れた場所で確認できる機能がある以上は、カレログと同じ使い方ができるわけですが、開発者サイドは「あくまで盗難対策アプリです」と言い張ることで、アリバイ作りをしているようにも見えます。

 その点でカレログって、真ッ正直すぎたんでしょうかね。

 良い意味でも何の意味でも。

 カレログの主な機能は、GPS位置情報がわかることと、電池残量情報がわかること(電池が切れたとの弁解で、スマホの電源をオフにされないための「機能」…?)ぐらいですよね。

 1つ目のアプリ『Pray』は、わりと穏当な立ち位置です。

 遠隔操作で、個人情報が漏れないようキーロックできるなど、本気で紛失時に使える機能を搭載していますね。
 また、位置情報を把握するほかにも、アラームを鳴らしたりできるので、散らかった部屋の中など、比較的近くにあるはずの失くし方でも、一定の効果を発揮できそうです。

 ただ、2つ目の『Cerberus(サーベラス)』が、なかなかの曲者のようですね。
 なんと、これだけのリモート操作機能が……。

 

・通話履歴の閲覧
・GPSの取得
・カメラの遠隔撮影
・こっそり音声録音
・端末のロック
・警告メッセージの表示
・登録済みのSIMカード以外が挿入された際に警告
・内蔵メモリ/SDカードのデータの削除
・アプリケーションの秘匿化(アンインストール防止)

 

 彼氏がいつ、誰に電話したのかを覗き見!

 それにも飽き足らず、話の内容をこっそり録音っ!

 GPSに飽き足らず、勝手にカメラのシャッターを押して、写真で位置を把握!

 たとえ存在に気づかれてもアンインストールされないっっ!
 

 

 ふええぇえ~~………! (力なく声にもならない声を発するのみ)
 

 
 スマホが盗まれたときには、犯人に対する強力な牽制になることは確かですね。ただ……
 
 味方につけると頼もしいけど、敵に回すとこれだけ厄介な代物もない、という印象をぬぐえません。

 本当に悪用厳禁です。

 何度も書いていますとおり、日本でも、他人のスマホへの「カレログ無断インストール」は、最高で懲役3年の罪になりますので、持ち主に黙って勝手に使うのは絶対にやめてくださいね。

 

 あと、こちらの記事も興味深いです。

 

 恋人監視アプリは韓流だった! 海外では逮捕の前例あり (ガジェット通信)

 

 カレログのような機能を持つアプリは、すでにお隣韓国では何種類かあるようですね。
 
 でも、アプリ配布者が検挙されている例があるようじゃあ、やっぱりブラックな扱いなんだろうな。

 
 

 大事なのは、好きな人に、こんなアプリを導入したくなるような心情にさせないよう、気をつけることでしょうか。
 でも、どれだけ不安な心理状態になっても「一線は越えないように」踏みとどまることができる人もいれば、付き合いはじめから「別れの不安」を抱いてしまい、その不安感に耐えることに我慢できない人もいる。

 その差は、ハッキリ言って男女関係ないでしょうね。

 
 もっとも、どっちが良くて、どっちが悪いという話ではありません。 生来的な気質や生育環境も含めた属人的な個性なんでしょう。
 
 ただ、私は後者のような資質の方とは、なるべく近づかないか、やむをえず近づかざるをえなければ、ものすごく薄い関係性になるよう微調整に気をつけるでしょうけどね。 カルピスだったら、コップの向こうが透けて見えるぐらい薄く薄く希釈して。
 
 『恋の六法全書』にも書きましたが、どうしても手放したくない人ほど、いつでも手放せるぐらいの心持ちでいたほうが、結局は長く付き合っていけることが多いんじゃないかな、と考えています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2011年10月 | トップページ | 2012年6月 »