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2012年6月27日 (水)

「特別傍聴券」って、知ってますか?

 いま、被告人が犯行を否認している下関女児殺害事件の裁判員裁判が山口地裁で行われています。判決が出るのが7月下旬で、38日間にも及ぶ審理期間を経る、かなりの長期裁判となります。

 初公判は、傍聴券が抽選となるほどの注目度を集めていたそうです。

 そこへ、ジャーナリストの片岡健さんが取材に行っているのですが、興味深い報告を得ました。

 その法廷の傍聴席に、6人の検察事務官がズラリと座っていたらしいのです。みんな名札をぶら下げていたらしいので、山口地検の者だということはわかったのですが……。

 いったい何の用なのでしょう。彼らが傍聴席を占拠したことで、6人の傍聴希望者が帰らされているはずなのです。


 一般傍聴席を減らす目的、裁判の公開原則に反する目的を疑われても仕方ないでしょう。裁判の進行上、何か知られると都合が悪いことでもあるのか。
 
 ここからが片岡さんのジャーナリスト魂の真骨頂なのですが、休廷中に、何の目的で座っているのか、6人の検察事務官に尋ねたらしいんですね。

 すると、「特別傍聴券」なる紙を見せて、「裁判所から認められてるんだ」「法廷の検事をサポートする目的で待機している」という答えが返ってきたそうなのです。

 普通の傍聴券とは別に、特別傍聴券なるものが存在することを、私は初めて知ったのですが、なんでも、本来は犯罪被害者等の事件関係者が、法廷を優先的に傍聴できるよう、裁判所が気をきかせて配布するものだとのことです。

 もちろん、事件関係者が優先的に審理を傍聴できることは知っていましたが、その身元は身分証などで確認すれば済む問題で、わざわざ「特別傍聴券」という無記名のチケットを配布する必要はないわけです。
 
 そんなことをするから、検察庁から検察事務官へ、まるでダフ屋のように傍聴券が流れるような真似を許してしまうのです。
 
 そもそも、法廷の事務官に検事をサポートする目的が仮にあったとしても、1人で十分でしょう。6人も必要ありますか? タンスか何か運ぶんですか?
 
 もしかすると、犯罪被害者等の事件関係者に配るために、山口地検が特別傍聴券を6枚確保したものの、何かの都合で6人全員来られなくなったのかもしれません。

 でも、途中で急きょ駆け付ける場合も考えられるから、事務官が傍聴席を温めておいてあげた…… のかい?
 
 公正な裁判が行われているかどうかを、主権者である国民が監視することが建前である裁判公開制度ですが、結果的に一般傍聴人の入廷が制限されているとしたら、これは問題ですよ。
 
 しかも、検察事務官6人だと思われていた傍聴席占拠組の1人が、山口地検の次席検事(ナンバー2)だったとのことです。
 
 地検にどういう事情があるのか知りませんが、少なくとも、事実を公表せずにコソコソやることではない。何が「公益の代表者」だ。

 片岡さんは、法廷の取材と並行して、検察庁への抗議も行っているとのこと。お疲れ様です。気を付けて取材を続けていただきたいです。

 
 
 個人的には、そういった注目裁判の模様は、くじ引きを外してしまった傍聴希望者に向けて、特別に裁判所のロビーにあるモニターに映し出してサテライト生中継すべきだと考えています。 そうすれば傍聴席の数を気にする必要がないので。

 
 
 

※追記※ 2012/07/02

この投稿に一部不正確な面がございました。

片岡さんによると、「特別傍聴券」と書いてあるのを横から確認して、傍聴席を6席も占拠している目的を質しましたところ、「裁判所の訴訟指揮にかかわることなので、回答できない」という答えしか返ってこなかったのだそうです。

片岡さんが公判中に彼らの様子を観察していて、「法廷の検事をサポート」する目的で待機しているような印象を受けたとのことですので、その目的を検察から説明されたわけではないそうです。

現在の片岡さんは、傍聴取材と並行し、この問題について報じようとしない記者クラブに対し、取材を申し込んでいる最中だそうです。

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