東日本大震災の不安に付け込んだリフォーム詐欺(さいたま地裁)
昨年3月11日、日本だけでなく世界を震撼させた大震災の爪痕は、人々の不安感に付け込む犯罪という形で、まだまだ尾を引いているようです。
今日は、埼玉県南部一帯で発生し、リフォーム詐欺を行った男2人組に関する裁き(審理)が行われました。
過去にリフォーム工事を行ったことがあるご年配家族が住む一軒家リストを握っている主犯格と、実際に各家庭へ「飛び込み営業」をかけて、面と向かって騙しをする実行犯との2人組。
すでに懲役の実刑が確定し、主犯格に先立って服役しちゃっている実行犯(子分?)の側が、証人として呼ばれ、2時間以上にわたるノンストップの尋問が行われました。
ご年配の方は我が家の床下まで潜れないことを良いことに、「この間の地震で、床下の配水管が壊れちゃってますよ」「このままでは水漏れがひどくて、家も傾いてしまうかもしれません」などと、ありもしない適当なことを説明しつつ……
「修繕する場合、本来の相場は50万ぐらいなのですが……」と、勿体をつけて、主犯格に電話で連絡を取り「お客様は特別に30万で修理いたします」とサービスしたふりをし、床下でリフォームを行ったふりをして時間をつぶし、お金を騙し取るという手口です。
未遂に終わったケースを含めて、50軒以上のお宅に乗り込み、約15件から計300万円近くをせしめたといいます。
この件で被害に遭ったお年寄りの中には「床下で傷みが進んでいるという箇所を、写真に撮って見せてほしい」と求めた方もいたようです。かなりいいところまで彼らを追い詰めたわけですが、最終的には30万円程度を騙し取られてしまったようです。……惜しい。
とはいえ、主犯格と実行犯(親分と子分)は、拘置所の中で知り合った当時の「先輩・後輩」の関係を引きずり、事実上の力の差が生じていたようで、分け前はおよそ「9:1」。
それにしても、差が大きすぎるため、弁護人や検察官から実情を相当突っ込まれていました。たとえ親分の「リスト」に基づいて訪問をかけているとはいえ、子分は自分の手足や口を動かしているわけですから、対等でもいいんじゃないか? というわけです。
でも、子分である実行犯は、出所直後で職を探している状況であり、ある程度の「収入」が得られただけでも満足で、その分け前にいちおう納得していた模様でした。
再来週の次回、主犯格の被告人質問が行われます。 東日本大震災、まだまだ水面下で尾を引いています。
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