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2013年2月22日 (金)

「公然わいせつ罪」についての補足説明…… 『R25』の記事をお読みになった方へ

 本日、ネット版『R25』に、私がコメントを寄せました記事が掲載されると、ライティングご担当の石原たきびさんから伺っております。

 その記事をご覧になって、当ブログへお越しになった方も、きっと多くいらっしゃることでしょう。

 そこで、惜しくも記事に収まり切れなかったコメントを、ここに掲載して、皆さんに『公然わいせつ罪』に対する理解を深めていただき、飲み会での格好のネタにしていただきたいと願っております。

 飲み会で盛り上がって深酒しすぎ、記憶を失ったあなた自身に、いつの間にか公然わいせつ罪が適用されませんように、とも切に願っております。

 

 じつは……

 他の用事にかまけて、恥ずかしながら、今年初のブログ更新でございます。 新年、明けましておめでとうございます。

 

■「公然わいせつ罪」に問われた代表的な過去事例

 おおまかにいえば3パターンに分かれます。
 ○「組織型」 (ストリップ小屋・乱交パーティ・屋外AV撮影など)
  行き過ぎると警察に検挙される例もある。
 【例】2004年・六本木のハプニングバーで、AV男優のチョコボール向井が公の場で性交をして検挙。
 
 ○単独で露出する人 (組織型に対比して、私は勝手に「インディーズ型」と呼んでいる)
  いわゆる一般的な下半身露出。ストリーキング。
 【例】2012年・学会出席のため来日したエジプト国籍の大学教授が、全裸で神戸市内の公園を歩いていて検挙。「日光浴がしていた」と供述。

 ○「ネット型」
  これから本格的な検挙が始まるかもしれない。不特定多数のネットユーザーに向けて、動画中継を使って露出する例

 

■「露出」の場合、どこまでがOKで、どこからがNGか?

 公然わいせつ罪に問われるかどうかは、まず
 (1)「公然」とは何か?
 (2)「わいせつ」とは何か?

 ……を明らかにする必要があります。
 
 残念ながら「どこからOK」「どこからNG」という明確な線引きがあるわけではございません。

 どんな行動が法律による取り締まりを受けるのか、ハッキリした基準を設けておくこと(罪刑法定主義)によって、裏を返せば人々の自由な行動が確保できます。

 ただし、わいせつ罪が保護するのは、人々の性的羞恥心などの「感情」なので、取り締まり基準にある程度の柔軟性を持たせておくのも仕方なく、不明確な基準も「必要悪」だといえそうです。ハッキリと一律の線引きをすればしたで、事案によって不都合な法的処理になってしまうリスクがあります。

 わいせつ概念は、国柄や時代背景によっても変化します。もちろん、いちおうの客観的基準は設けられているものの、究極的な判断はケースバイケースとならざるをえません。

 
 
 (1)「公然」とは、単に人前で、という意味を超えて「不特定の人々、または多数の人々に対して」という意味。

 屋外でも、誰も住んでいない無人島で露出したのなら、「公然」にならずOKの可能性高い。周囲で2~3人見ていても、あくまで「特定少数人」にすぎない。(AVあおかん撮影)

 屋内であっても、不特定または多数の人が出入りできる可能性がある状況なら「公然」、つまりNGとなりうる。(乱交パーティ)

 車内で露出した場合も、特に昼間で車外から丸見えなら、「公然」となりNGとなる危険あり。(カーセックス)

 自宅の窓越しに、外から見える状態で露出した場合、家の前の通りに向けて、不特定または多数の通行人に見える状態であれば「公然」といえてNG。お隣さんに見える程度なら、相手が特定少数なので「公然」ではなく、OKとなりうる。

 

 公衆浴場… 確かに不特定または多数人に見られうるが、全裸になることが社会的に認められている場なので、そもそも違法性がないと考えられる。

 

 (2)「わいせつ」とは、最高裁判所の判例でややこしい定義があるが、公然わいせつ罪で意味するところは、ズバリ「性器の露出」である。
 
 全部露出…当然NG
 
 一部露出…他人から見える状態であれば、NGになりうると考えられる。

 キスを見せつける…日本ではOK。なお、世界にはイスラム圏などNGの国もあるので海外旅行では注意。

 乳房・尻など … 「性器」ではないので、露出しても公然わいせつ罪にはならずOKだが、より軽い「軽犯罪法違反」に問われる危険性がある。

 軽犯罪法1条20号「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」は、拘留刑(最高で29日間の身柄拘束)または科料刑(最高で9999円の金銭徴収)に処せられるかも。
 現実には逮捕されることはほとんどないだろうが、警察官から職務質問を受けるぐらいは仕方がない。
 ただし、少し尻が見える程度のローライズパンツや、太ももが見えるホットパンツなどは、現代ではファッションのひとつとして、賛否両論はありながらも社会的に受け入れられつつある。これらを穿いて街を歩いたとしても、やはり軽犯罪に問うほどの違法性はないと考えられる。
 芸人がテレビの前で尻を見せるのも、笑いを取る仕事の一環として実行していれば、「みだりに露出」とはいえないだろうし、仮に「みだり」だとしても、正当業務行為の範囲内として、違法性が無いと判断され、軽犯罪法違反の罪には問われないだろう。

 

■酔っていることによる減刑や情状酌量

 泥酔して判断能力が著しく低下した状態での下半身露出は、特に日本では大目に見られて、減刑・情状酌量の以前に、そもそも裁判にならない(起訴猶予や微罪処分)傾向があります。
 ただ、常習犯だったり、最初から露出しようと思って、勢い付けの目的で酒を飲んでいたのなら、話は別かもしれません。

 

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