2005年7月 8日 (金)

さらば司法修習生

 7日6時25分ごろ、鳥取市川端5のマンション(13階建て)敷地内で、男性(27)が倒れているのをマンションに住む女性(50)が発見。鳥取署員らが通報で駆け付けたが、男性は頭の骨などを折り死亡していた。自殺とみられる。男性は同市内に住む司法修習生で、マンションの13階から飛び降りたらしい。  鳥取地検などによると、男性は6月29日から同地検で司法修習を始め、6日まで休むことなく修習し、事件捜査にはかかわっていないという。同地検は「修習が始まったばかりで残念」とコメントした。(鳥取署調べ)(毎日新聞)

 おいおい、司法試験に7回落ちてあきらめて、日雇いのバイトで食いつないどる私が、こうして生きとるのに……。むちゃくちゃ腹が立つけども、ご冥福をお祈りします。

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2005年6月15日 (水)

信州大学法科大学院の誤算

信州大学大学院法曹法務研究科

>>> 未完成論文を「完成」と申請か 信州大、法科大学院設置で(共同通信)2005/04/03

 信州大(長野県松本市)は、昨年6月に法科大学院設置申請をした際、予定教官の未完成の論文について「完成」と証明する書類を提出した疑いがあると文部科学省に指摘され、調査を始めたと発表した。
 文科省は設置申請以降に投稿予定の論文については、申請書に含めないよう指示していた。

 予定教官で、論文が未完成だった学部長は「申請の時点では完成原稿を出していないが、8月発刊の論文集には掲載されており、問題があるとは考えなかった」と話している。

 
>>> 信州大法科大学院の募集を停止 虚偽申請問題で (朝日新聞)2005/06/15

 信州大学(小宮山淳学長)が法科大学院の設置をめぐり、5人の教員の未完成論文を 「完成済み」として申請した問題で、文部科学省は14日、同大に対して法科大学院の新規学生の募集を停止するよう指導した。再発防止策のほか、この問題で引責辞任する教員の後任を決めるなど教育体制の見直しが実現するまで募集停止を継続する方針。 法科大学院での募集停止措置は初めてとなる。

 信州大学の小宮山学長は「新たな教員の確保ができるまでは来年度の学生募集を自粛する」と話した。

 
 「教員集め」という問題は、とくに地方で法科大学院を設置しようとする組織にとって、悩みの種となります。弁護士などから教員として迎える場合は、今までの高い収入水準を維持することを保障しなければなりません。ボランティア気分ではなかなか来てくれないからですね。
 ただ、法科大学院の教育は少数精鋭ですから、教員の報酬を上げるなら、院生ひとりひとりが負担する学費も引き上げざるをえません。しかし、高い学費を取っておきながら、それにしては司法試験合格者も大して出せていないということであれば、志願者たちは当然離れていくのです。これと似たジレンマ構造はどこかで見たなぁ……と思っていたら、何のことはない。日本の少子化・年金問題でした。

 また、大学教授が教員として就任する場合にも、配置する各科目それぞれについて、文部科学省が要求する数々の条件をクリアしていなければなりません。信州大学は、その条件クリアをねつ造していたわけです。

 有識者でつくる文科省の「大学設置・学校法人審議会」は、設置予定の法科大学院について、施設の状況や、個々の教員が担当科目を受け持つ能力があるかどうかなどの点について審査します。その審査は、法科大学院をつくりたい組織が申請してきた内容をもとに行われます。そして、その申請に関して、文科省が各大学に示した「大学設置申請書類作成手引」では、発行・発表予定の論文や著書につき、申請以降に投稿予定のものは含めないよう指示しています。

 予定教員のデータの中で、何が設置認可のプラス要素で、何がマイナスに作用するのかは、ほとんど知らされていません。たとえば「大学での指導歴が5年以上の者」だとか「教員の年齢構成は、過半数が60歳以下になるように」などは、文部科学省が求めているとされる目安ですが、細かいところは非公表とされています。ただ、「どうやら、過去5年間の論文の内容や数が重要らしい」というのが、暗黙の了解事項になっている模様です。

 「直近5年間の論文実績」と聞いて、ここ十数年ほど論文を書いていない信州大学の教授たちは、あわてて論文を執筆しにかかったのだろうと考えられます。新しく発足する大学院の設置に向けて、つじつまを合わせる目的での学術論文だったのかもしれません。しかし、大学院の申請期日までに書き上がらなかったと。
 そこで、やむなく現在進行形で執筆中の論文を「完成」として申請したのでしょう。「いくらワシが遅筆でも、大学院が始動する頃にゃあ論文は出来上がっとるんだから、文句無いじゃん。 だいたいさぁ、文科省もそこまで厳格にチェックせんだろう。 しょせんお役所だし。うちらみたいな国立大学法人は甘く見てくれるだろう」と踏んでいたのでしょう。残念ながら、そうは問屋が下ろしませんでした。

 「大学設置・学校法人審議会」のやり方は、決してぬるくないぞ、あなどれんぞ、ということは、すでに世間に了解済みだったはずです。信州大学は、なぜそれを忘れてしまったのでしょう。

 2003年に、北は北海道大から南は琉球大まで、全国で72校が、法科大学院の第1次設置に名乗りを上げました。そのころから既に、文部科学省はうるさく各校に文句を付けていたことから、「ひょっとしたら、このうち半数ぐらいは認可されないんじゃないか」として、先行きを危ぶむ声もありました。でも、審査は形式的なもので、どうせ全部認可されてシャンシャンだろ? オレたちにはわかってんだぜ? という予定調和の空気が支配的だったのも確かです。

 しかし、文部科学省はマジでした。関係者たちを震撼させた、同年の「11・21事件」。72校中4校に「設置不認可」を、2校に「設置保留」を言い渡したのです。

 青森山田学園が設置しようとしていた「東京法科大学院」は、某司法試験予備校との提携が嫌がられ、ボツになりました。全般的に新司法試験の受験対応に偏っており、「鋭い人権感覚を持った弁護士の育成」という教育理念が形だけのものだと指摘されてしまったのです。同学園は、募集定員を100名と比較的多めに設定し、社会人挑戦者向けの夜間指導を計画していました。仕事を終えた彼らが夕方から大学院に通いやすいよう、年間1億円以上のテナント料をかけて、渋谷駅前の一等地に校舎とキャンパスを確保していたのです。
 ただ、今年か来年あたりに再申請のウワサもありますので、今後の動向に注目です。

 京都の龍谷大学法科大学院も、某司法試験塾と提携し、東京の施設を借りて運用することになっていました。こちらは6月の段階で、申請書に提携の事実を記載しておらず、しかも、文科省が正式に説明を受けたのは、設置答申(11・21事件)の1ヶ月前だったということで、その不意打ち行為が逆鱗に触れ、マイナス要因になったらしいです。そのおかげで「自ら創造的に思考する法曹を育てる、という理念にかなった教育が実現可能であると判定することは困難」と言われてしまいました。

 残りの不認可2校(愛知学院大学・北陸大学)と、保留2校(大阪大学・専修大学)については、今回の信州大学事件と似たような、教員体制の不備に関する物言いでした。特に国立、しかも旧帝大である阪大がクレームを受けてしまったことは、誇りを傷つけられショックだったようですね。

 1年半前に起こったばかりの、このようなゴタゴタを、ついつい信州大学は「対岸の火事」として捉えてしまったんじゃないでしょうか。そこに、「ウソ申請問題」を生じさせてしまった最大の原因があるように思えてならないのです。

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2005年6月 5日 (日)

日本の医療ミス訴訟 初の1000件超え

 全国の地裁に昨年起こされた医療訴訟が初めて1000件を超えたことが、最高裁のまとめでわかった。訴訟件数はここ10年で2.3倍に増えた。最高裁は(1)医療を受ける側の意識が「専門家にお任せ」ではなくなってきた(2)審理の迅速化で訴訟という手段が使いやすくなった――などが原因ではないかとみている。

 昨年の提訴は1107件。95年には488件だったが、毎年増え続け、03年は998件に達していた。04年末現在審理中の事件は2138件で、同じく過去最高。

 判決や和解などで終了したのは1004件と前年からほぼ横ばいだった。原告側の請求が一部でも認められたのは39.5%。ここ10年、4割前後を推移しており、民事訴訟全体だと8割以上、証人調べをしたものに限っても7割前後なのと比べるとかなり低めになっている。 (朝日新聞)2005/06/03


 

 勝訴率4割前後というと、意外と低いなという感じも受けます。私たちが新聞等で目にするのは、患者側勝訴の判決ニュースがほとんどですからね。
 今から35年前、昭和45年の統計で、医療訴訟における原告側勝訴率は約11%にすぎませんでした。それが、5年後の昭和50年に一気に30%超えを果たしています。逆に言えば、ここ30年間、原告の請求が認容された率は、ほぼ横ばい状態なんですよね。
 医療訴訟の専門弁護士も増えて、訴訟追行のノウハウも相当に蓄積されているはずなのに、裁判所がなかなか勝たせてくれないのは、どこに原因があるのか。関連して、日本の弁護士が訴えられる「弁護ミス訴訟」は、どうなっているのか。私はそっちのほうに興味があります。

 本当は「勝訴率」という言い方はおかしいんですけどね。医療ミスで大切な人を失ったり障害を負ったりさせられた、それぞれの原告にとっては、抱えているその1件が全てなんですから。

 しかし、あえて司法統計としての「勝訴率」を問題にすれば、国や地方自治体が被告となる行政訴訟なんて、いまだに住民側の勝訴率は1桁台という有りさまです。もちろん、いろいろ理由はあります。ちょっと政治色の濃い団体による、提訴のための提訴というのも混じってますから。

 にしてもです。そんな事情を差し引いても、結論が明らかに偏りすぎています。

 私は「正義の法律用語辞典」の中で、行政訴訟のことを「出来レースの別称」と書きました。ここまで露骨に行政の肩を持ち、あらかじめ結論が見えるような裁判しかできないのはなぜか。「肥大化した行政に、司法権が取り込まれている」といった抽象的な批判もできるでしょうけど、そもそも、住民側の勝たせ方を裁判官たちがご存じないからではないか……と、私は勘ぐってしまうのです。失礼ながら。
 一昔前の司法試験には、選択必修として「行政法」科目が用意されてましたけれども、かなりマイナーな存在でした。ましてや、ここ数年は選択科目そのものが廃止されています。それもあって、挫折者の私(1999年まで破産法を選択)も含めて、行政法をほとんど勉強していない法曹が大多数なんですよね。

 今、法科大学院時代の法曹志願者たちは、なにかにつけ「質が低い」「粗製濫造」と叩かれたりしています。しかし、院で医療訴訟について考察し、新司法試験の必修科目として、集中して行政法を学習している彼らに、私は熱い期待を寄せておるのです。勝手ながら。

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2005年5月27日 (金)

司法試験問題に疑問の声 「誤字」か「引っかけ」か

 問題になっているのは憲法の19問目。予算や決算に関する説明を二つずつ組み合わせた、五つの選択肢から正しいものを選ぶ。このうちの説明Dに「決算とは国家の収入・支出の実績を示す確定的係数を内容とする国家行為」とあった。主要な司法試験予備校はすべて、Dを含む選択肢を正解と解説している。

 しかし予備校の一つ、辰巳法律研究所が受験生の指摘を受け、憲法学者の解説書のうち代表的な5冊を調べたところ、確定的「計数」とするものばかりで、「係数」としたものはなかった。 (朝日新聞)

 さすがに「引っかけ」ということは無かろうと思います。「誤字」なんでしょうけど。

 なんや、「係数」って……。大の苦手だった数学や物理を連想するわ。私が解いていても、10秒ぐらい止まりそうです。でも、そんなことを気にせず、「満点を取らなくても受かるんだ」と意識してドンドン先に進める、ずぶとい神経の持ち主が合格できます。頑張ってください。

 たしか去年かおととしだったか、点字の司法試験問題でも出題ミスがあったらしいですよね。……いやはや、短答問題が公開されるようになってから、ボロが出始めてます。でも、大丈夫ですよ。受験生と同様、出題者にも完璧は求められてないんですから。    うふふ、ちょっぴりイヤミかしら。

 今年の短答の合格発表は6月1日だそうですね。思い出すなぁ。予備校の自習室に向かっている途中、胃が痛み出して、街中の雑踏でうずくまっていた、あのころ。でも、あのころがあったからこそ、まがりなりにも法律知識を武器に文章を書いていける今がある。

 好きなことを思いっきりやれるって、ステキなことです。でも、誰かのやり方に徹底的に自分を合わせていく訓練も、良い経験になると思いますよ。




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2005年2月11日 (金)

バスに乗るのは「受講」なのか

司法試験合格者水増し、LECに排除命令(読売新聞)

株式会社東京リーガルマインドに対する排除命令等について(公正取引委員会)[PDF]
 
 

 同社が受講生とした人数には、同社の提供する本試験会場への送迎バスに乗ったり、解答を請求したりしただけの人も含まれていた。

 いやぁ~、まさかここまでとは思いもよりませんでした。LEC東京リーガルマインドさんのハッタリが。お見それいたしました。

【参考過去記事】
 司法試験予備校のリーガルマインドは(2005/02/01)

 書籍を買った人を「受講生」と呼んで、その受講生が合格したら「LECが輩出した最終合格者」とするぶんには、百歩譲ってまだわかるじゃないですか。予備校が出す書籍には、司法試験受験指導のノウハウがたくさん詰め込まれているんですから。なんで、リーガルマインドさんの送迎バスに乗った人を「受講生」としてカウントできるんでしょう。

 たぶん、その送迎バスとは、司法試験の論文試験を勝ちぬいた選ばれし受験生たちを、口述試験(最終面接)が行われる会場まで連れていってくれるバスのことを指しているのでしょう。
 それは別に構いませんよ。司法試験の事実上の第一関門である短答試験(マークシート)の受験生まで、いちいち送迎してたらキリがないですもんね。彼らは11,500円を国に納めて願書を出しただけの、単なる雑魚キャラですから。そんなどこの馬の骨とも知れん連中に貴重なガソリン代を費やすぐらいなら、最終合格一歩手前で、近い将来に「合格体験記」で、わが校を宣伝してくれる計算が立つ、日本屈指の受験エリートたちに投資したほうが効率的です。その特別扱いを責めるつもりは毛頭ございません。

 ただ、その送迎バスが、どうしてリーガルマインドさんの「講義」に含まれなきゃならんのですか?…ってことです。

050211lec 【←左図】 LEC講義バス本校

 じゃあ、何ですか。その送迎バスの本数を臨時に増やしたら、その増やした分の送迎バスは「補講」なんでしょうか。送迎バスが来ない日は「休講」なんですか。そもそも、送迎バスという「講義」を担当なさる講師の方は、どなたなんですか。いつから、リーガルマインドさんの専任講師は、講義中にアクセルを踏んだり、ハンドルをきったりするようになったのでしょう。おかしな話ですね。

 私は、質の高い資格試験対策を講じてくださいさえすれば、儲け主義だろうが何だろうが問題は無いと考えています。でも、「ズル」は、順法精神に反しますよね。

 リーガルマインドさんは「排除命令は受け入れます。お客様など皆様に多大なご迷惑をおかけしたことをおわびします」と、殊勝なコメント。なんだよぉ…、公正取引委員会で徹底抗戦していただきたかったのに。その審判手続を傍聴したいという願いが断たれ、残念でなりません。

 私は福岡で司法試験受験生をやっていた去年まで、何を隠そう、リーガルマインドさんの自習室を使っておりました。本当は、伊藤塾という別の予備校の在宅生だったんですが、九州に伊藤塾の校舎は無いからです。また、自習室を使っていた縁で、リーガルさんの模試を受けたことも何度かございます。

 自習室を利用するには、リーガルさんの会員になって、会員カードを作らなければなりません。なので、仮に私がリーガルさん主催の模試を受けなかったとしても、自習室でお勉強していたという事実それだけで「LEC会員」とされて、合格者占有率という分数の分子に加算される可能性が大だったんですね。まぁ、挫折者の私が気にするこっちゃないですが。
 リーガルさんのほうだって、「LECが輩出した不合格者・最終挫折者」なんて、水増しどころか、モノの数にすら入れたくないでしょうから。
 

 ちなみに、リーガルさんの自習室をお使いの各種資格試験受験生の皆さん。自習室を使った後は、会員カードを決して持ち帰り忘れないように気を付けて下さいませ。私がカードを置いて帰ってしまった次の日、受付に尋ねてみたんですが、そこで「カード保管料」として300円を取られてビックリした思い出があるからです。他の予備校でも同じ扱いなんでしょうか。

 


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2005年2月 1日 (火)

司法試験予備校のリーガルマインドは

資格予備校LEC、パンフに不当表示・公取委が排除命令へ(日経新聞)

予備校LEC、パンフの司法試験合格者数を水増し(朝日新聞)

司法試験の大手予備校、合格者数を水増し…公取が審査(読売新聞)

景品表示法トップページ(公正取引委員会)

法律用語“裏”辞典 (ごうかくしゃせんゆうりつ【合格者占有率】の項を参照)


 ほらぁ、もう言わんこっちゃない。こんなふぬけたことをやっとるから、司法試験委員会や、法科大学院を認可する文部科学省にこびりついている、「予備校性悪説」の先入観が、ますます離れなくなっていくのでしょう。

◆ 不当景品類及び不当表示防止法 第4条(不当な表示の禁止)
 (1) 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。
  一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
  二  商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
  三  前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの
 (2) 公正取引委員会は、前項第一号に該当する表示か否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、第六条第一項及び第七条の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。

 今回、LECは「優良誤認の疑い」ということですので、1項の1号に該当する不当表示なのでしょう。
 条文中の「著しく優良」という文言が気になりますが、なにしろ合格者占有率90%超を喧伝していたわけです。何も知らない人が見れば、「なるほど。だとすると、他の予備校から出てる合格者は10%に満たないのか」と、事実に全く反する誤解をしてしまっても責められませんし、LECがその誤解を狙っていたと見られても仕方ありません。ならば、「著しく優良」という文言にもあてはまるおそれは、やはりありそうですね。
 かつて、いわゆるコジマVSヤマダ電機の闘争(「ヤマダさんよりお安くします」の表示)も、景品表示法の問題だということになりましたが、商品の価格の話なので、たぶん2号なんでしょうね。

 そして、同条2項は、2003年11月に施行されたばかりのフレッシュ規定。

  まず、公正取引委員会は、
  【1】期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めます。(4条2項) 景品表示法第4条第2項の運用指針

  【2】そして、不当表示があると認められるときは、その差し止めをしたり、再度の不当表示を防ぐために必要な事項、またはその事項に関連する公示などを命じます。(6条1項・排除命令)
    ※ LEC側は「指摘のあったパンフレットはすでに回収し、現在は内容を改めた」とコメントしています。しかし、同条項が「その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、することができる。」とも定めている以上、そういった反論をもって、排除命令を免れる根拠とすることはできないようです。

  【3】この排除命令に不服があれば、30日以内に公正取引委員会に対し、審判手続を請求できます。(8条1項)


 どうせなら、LECさんには、公取委の審判まで異議を持ち込んでいただきたいですね。そしたら、私は毎回傍聴してでも、今回の問題を追跡していくつもりがございますよ。

 10年前にLECを辞めて、「伊藤真の司法試験塾」(現:伊藤塾)を開講なさった伊藤真塾長は、「合格者占有率」や、短答(マークシート)試験の「合格推定点」というものについて、かねてから「私たちはああいうことはしたくない」と明言されてましたので、LECの裏側について、いろいろと懸念するところがあったのかもしれません。
 ただ、伊藤塾もかつてほどの勢いが無くなってきているようです。「合格後を考える」という理念追求でも、「合格だけを考えろ」という利潤追求でも、どっちみち厳しさを増しつつある司法試験予備校業界。

 まぁ、司法試験以外にも、「法科大学院入試」という対策すべきテストが増えてくれた昨今。その「特需」の恩恵を腹いっぱい受けていることを考えれば、厳しいようにみえているだけなのかもしれませんが。


 


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2004年11月24日 (水)

ロースクール院生「詐欺だ!」

 今週号(12/5)の「Yomiuri Weekly」の記事(pp.26-27)によります。

 法科大学院卒業生の司法試験合格率を「7-8割」にして、「法曹人口の大幅な増加」を図るはずが、結局は「2-3割」程度の合格率に抑えられかねないことについて、学生たちから「ペテンだ」「話が違う」という声が出て、複数の私立大学の各院生が、合格者増加を求める署名運動を始めたのだそうです。

 しかし、語学力や交渉能力など、多様な能力を持って各方面から集結した優秀な皆さんのことですから、当然そのようなことは先刻承知・覚悟の上で法科大学院に通っておられるものとばかり思っていました。現行司法試験を7回受けて、結局弁護士を諦めた私に言わせてもらえば、「なんで、そんな単純な詐欺にだまされる連中が、法律のプロを目指すのか。この世界をナメとんのか」と思ってしまうんですね。ハッキリ申し上げて、甘ちゃんです。

 現在2%台の合格率で推移しているものが、70とか80%になると信じ込める思考回路が信じられませんし、「最終合格者を3000人に」というのも、2010年までの目標です。目標なんですから、遵守する法的義務なんて無いでしょう。しかも、皆さんが1回目の「ネオ司法試験」を受ける2006-7年には、3000人に遠く及ばない合格枠を、現行の「レトロ司法試験」と二分しなければならないわけです。どんなに多く見積もっても、ネオ司法試験の合格人数は千人台の前半に落ち着くことが容易に予想できるはずです。そして先日、ネオ司法試験の第1回最終合格人数は、結局「800人前後」と発表されてしまったわけですが。
 まぁ、文部科学省が、露骨に予備校と連携しようとしたり、明らかに講師人数が足りなかったりした設置志望大学院を除いて、全国で68校(約6000人分)もの法科大学院が昨年の今ごろ認可された段階で、ちょこっと頭の中で暗算して、「こりゃ70%は無理だ」と即座に気づかなければなりません。さらに暗算して、初回のネオ司法試験に落ちたロー卒生が次年度に受け直すことを思えば、初回の合格率水準がピークだということも読み取るべきです。署名運動も結構ですが、やるんだったら、この時点でやらなければなりませんでした。

 でもねぇ、法務省や司法試験委員会と文科省のすれ違い。よくある縦割り行政ですよ。

 合格枠800名の試験の合格率を80%にするには、受験者は1000人に規制しなければなりません。現在全国に約6000人いらっしゃる法科大学院生のうち、再来年に受験する既習者は1000名まで。それ以外は退学するか未習者枠に編入するかしてもらわなければなりません。もちろん、激しい競争が2007年度へ先延ばしになるだけですが。

 司法改革審議会は、ありもしない「法曹になるべき人材の多様性」「新規参入の開放性」をアピールする象徴として、「合格率7割」という客寄せパンダで皆さん方を釣っただけです。ちょっとキレイごとを言ってみたかっただけで、悪気はなかったんです。許してやってくださいよ。でも、まさか本気で信用した人たちが、こんなに釣れるとはさすがに思わなかったでしょう。おじいちゃん達もビックリしたんじゃないですか。
 しかも、仮に「合格率7割」の枠が実現したとして、その中に、皆さんが入れる保障なんて無いんですよ。皆さん方は、かつて受験競争の勝ち組だったんでしょうけど、司法試験受験生というのは、皆さん方が昔誇っていた偏差値レベルなんて、当然の前提です。その中で争うんですから、大学受験とは母集団が異質なんですよ。そのへんの覚悟がどれだけリアルにできているのか。

 署名運動でお上が動くと信じているのなら、しかも、一度決まった政策が署名運動で覆ると真剣に思いこめるのなら、なにもわざわざ法律屋になる必要なんてないでしょうにね。とにかく、生まれ変わる司法試験に向けて、精一杯頑張ってください。理想を追いながらも、現実は直視し続けてください。硬直しきっている司法に新鮮な風を吹き込んで、思いっきり引っかき回してください。応援しています。

 


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