無断駐車に、驚きのペナルティ! ……法律的には?
引き続きまして、山形・鶴岡市で見かけた、わが目を疑う看板をご紹介しますね。
ある焼き鳥屋さんの駐車場わきに掲げられていた、「怒り」の警告文。
罰金1万円プラス「車の上でトランポリン」
こんなもん、自分の敷地で実際に無断駐車をされた人でなければ、決して出てこない発想でしょう。
しかも、罰金の警告をしているにもかかわらず、なおもヌケヌケと駐めている輩を見かけてしまい、「こんなクルマ、上に飛び乗ってボコボコにして、何か問題あるんか……?」という衝動に駆られたものと推察できます。
でも、「車の上でトランポリン」と、かわいらしい丸ゴシック体で書かれても、そのようなまがまがしい破壊衝動を直接感じさせないわけで、「怒り」と「マイルド感」の間隙を突くバランス感覚も秀逸だなと思いました。
ちなみに、「罰金」という刑罰は、国や都道府県・市町村が、法律や条例の条文に書いて、しかも裁判所の手続きを経て初めて適用されるものです。
だから、駐車場の持ち主が、一方的に決めて徴収するような性質のものじゃないんですね。
かといって「罰金1万円」が ウソの警告なのかというと、そうでもありません。
立ち入る資格のない他人の敷地に無断で立ち入ると、軽犯罪法に引っかかるかもしれません。そうなると、無断駐車が犯罪になり、科料(最高9999円を、お国が徴収)という刑罰が適用される可能性があるんです。
◆ 軽犯罪法 第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者
また、焼き鳥屋さんの権利(駐車場の管理権限)を、無断駐車によって侵害したことにもなりますから、駐車代金相当額+αを、損害賠償として、焼き鳥屋さんに直接支払う義務を負うかもしれません。
もっとも、焼き鳥屋さんの「1万円」という要求がそのまま通るわけではなく、基本的には話し合いで解決し、それで決まらなければ、最終的には裁判所の判決などで金額が定められることになります。
では、「車の上でトランポリン」というペナルティは、認められるのかというと……。
一見すると、焼き鳥屋さんの正当防衛かな? というふうにも思えますね。
ただ、
無断駐車を止めるために「やむを得ず」認められる行為かどうかは、かなりの疑問です。
なんとなく、焼き鳥店主の溜まり溜まったストレスを一気に解消したいだけの行為かと思われるフシもありますんで。
正当防衛という特別扱いが認められないのなら、焼き鳥屋さんが「車の上でトランポリン」の刑を執行しても、ただ普通に、焼き鳥屋さんの器物損壊罪が成立することになります。
無断駐車の被害者である焼き鳥屋さんには気の毒な結論ですけど、被害の不満をそのまんまぶつける復讐(専門用語で「自力救済」といいます)を、法律で正当化するわけにはいかないんですよね。残念ながら。
恨みを晴らす自力救済をどんどん認めてしまうと、世の中の秩序がムチャクチャになってしまうと考えられているからなんです。
でも、
もしここに車を駐めて帰ってくると、屋根やボンネットが焼き鳥屋さんの足型でボコボコにさせられてしまうかもしれない……
……という、法律を超越した心理的プレッシャーを皆に味わわせて、気軽に無断駐車できなくさせるという意味では、なかなか優れた警告文だといえます。
皆さんも、無断駐車に立ち向かう、驚きの警告文をご存知でしたら、コメント欄に情報をお寄せください! お待ちしてます。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント