2009年5月16日 (土)

ありがとう、愛読者カード

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 「罪と罰の事典」(非公式通称:ツミダス)を手がけてくださった、小学館の辞典編集部の編集長さんと会食。

 ビジネス的には、かなり手堅い動きの「ツミダス」ですが、編集部あてに愛読者カードが続々と返ってきているようです。

 皆さんの感想欄のほとんどに、「わかりやすい」という一言が共通して書かれていました。

 小難しい法律の解説書としては、最高の褒め言葉です。

 よかった~! どうもありがとうございます。

 さらに「こんな本を待っていた」と書いてくださった、57歳男性の方! 恐縮です! 泣いちゃいそうです!

 「民法編を出してほしい」とのご要望を書いてくださった方! もろもろの条件さえ許されれば、挑戦してみたいです!

 

 「ツミダス」の中身はおちゃらけていますが、編集長さんが魂を刻み込みながら膨大な量の微調整を重ね、私がテンションをあげまくって足かけ3年で書き上げた一冊です。

 店頭で手にとってパラパラめくってもらえれば、新しいジャンルの事典であることは実感してもらえると思うんですが、なにぶん「法律書」のコーナーに置かれている場合がほとんどなので、まず手にとってもらえるまでが至難の道のりです。

 それでも、日本図書館協会の選定図書に指定していただいて、全国の各図書館にはおおむね所蔵してもらえたりと、着実に好評の広がりを積み重ねています。

 皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 冒頭の写真は、小学館の辞典編集部の、別の編集者の旦那さんが、某書店で目撃してくださったという、手書きPOPだそうです。

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2009年3月16日 (月)

確定申告を終えて

 お金の細かい計算が苦手だからと、後回し(政治家的に言うと「先送り」)にしていたら、本日、受け付け最終日の確定申告になってしまいました。 今年は消費税も納めなきゃいけません。

 去年の領収書を1枚1枚整理していると、当時のことをいろいろ懐かしく思い出しました。 「人情お言葉集」の傍聴取材で、全国各地の裁判所を巡りましたからねぇ。

 ああいうふうに、また自腹で取材旅行できるよう、今年こそガッツリ頑張らなきゃいけません。 去年の所得を確定させて、だいぶ尻に火が付きました。

 
 

 今年は、秋までに必ず衆議院の総選挙があって、国民審査もあります。

 そこで、こないだの土曜日をまるまる使って、国民審査の判断資料サイト「忘れられた一票 2009」を立ち上げました。

 とりあえず、最高裁の裁判官に、少しでも親近感を持てるような「おまけコーナー」から先に充実させてみました。 いかがでしょう。

 完成へ向けての進捗度は、まだ5%ぐらいですね。

 ただ、まだバイトで食いつないでいた時代に、仕事を3日休んで「法Wiki」というものを一気に立ち上げ、「忘れられた一票200X」と名付けたページも作ったんですが……。

 どうも私には、Wikiよりブログ形式のほうが作りやすい。 法Wikiは、そのうち消します。

 

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 「罪と罰の事典」(ツミダス)の発売から、もうすぐ1カ月。 この段階で売れゆきの芳しくない本は、次第に店頭から消えていくという、かなり厳しい時期です。

朝日新聞の一面「サンヤツ広告」

↑ なんでも、これひとつ載せるだけで、100万以上かかるという話ですよ。 ありがたい。

 小学館が出稿してくださった、この広告の効果で、一時期の売り上げが跳ねたんですが、やはり文字だけの広告ではインパクト不足なのか、また元に戻っています。

 受け身じゃダメだと、編集の方と大雨の中、書店に挨拶めぐりをしたり。 また、先週末に大阪へ行く用事があったついでに、ひとりで挨拶めぐりしてきました。

 梅田のブックファーストでは、ありがたいことに書店オリジナルのPOPが! 法律書の担当の方から直接「面白かったです」と言ってもらえたのが、とてもうれしかったです。

 

 そうそう、現在発売中の「週刊文春」の書籍コーナーでも紹介してくださっています。

 また、木曜日発売の「女性セブン」では、“罪と罰”特集が、4ページにわたって掲載される予定です。これはデカイ。

 金曜日には、県内ローカルですが、福島テレビの裁判員制度の特番にVTR出演します。

 東京地裁前と、うちの事務所(兼自宅)で、都合3時間近く収録していただいたのですが、完成VTRになるのは3分程度とのこと。 テレビも大変な仕事です。 

 

 丹念に作った自信作が、なかなか世の中に知られない状況は、ショックといいますか、ちょっと悔しくはあるけれども、各メディアの皆さんからのお力添えは、少しずつ確実に頂戴できています。

 まったくあきらめていません。 5年前、弁護士になるのをあきらめて、もうあきらめるのはそれで十分だと。

 ひとりでも多くの方に「ツミダス」(罪と罰の事典)を広める活動。 手を替え品を替え、じつは今日もまた、次の一手を打っています。

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2009年2月25日 (水)

訪問者の皆さんにお尋ね

 発売1週目の「罪と罰の事典」(小学館)が、おかげさまで、ジンワリとした感じで売れています。

 

 構想から1年半を超える制作期間をムダにしたくない一心で、私は発売1カ月前から、自腹を切って、雑誌や新聞などのマスメディア約600社に向けて、FAXでリリースを送付するなどのプロモーションをかけていました。

 しかし、そんな著者の気合いが空回り。 本の魅力がなかなか先方さまへ伝わらず、ほろ苦い結果に。

 こんなことは格好悪いので、あんまり書きたくないですが、あえて反省点として記録しておきます。

 それでも唯一、TBSラジオの番組「アクセス」が、公共の電波で、書名と発売日を告知してくださいました。 ありがたかったです。

 

 明日からいよいよ、朝日新聞と毎日新聞と週刊ポストに広告が載る予定です。 ドキドキするな~。

 とにかく、世間さまに広く認知してもらえれば、それなりにご支持を頂戴できる本に仕上げたつもりです。 どうぞよろしくお願いいたします。

 

 何も役に立つことを書いていない当ブログに、いつも訪問してくださっている皆さんにも、あらためまして感謝の意を表します。

 ところで、皆さんに質問です。

 書店で、以下のタイトルが書かれた装丁(表紙)を目にしたとして、どの本をまっさきに手にとって読んでみたくなるような気がしますか?

 選択肢は5つ用意してみました。

 

「正義の法律用語辞典」
(↑ タテマエばかりの法律用語に、良い意味で喝を入れる本であることを示します)

「悪魔の法律用語辞典」
(↑ アンブローズ・ビアス著の名パロディ「悪魔の辞典」のパロディであることが、一番わかりやすい書名でしょうか)

「正しすぎる法律用語辞典」

(↑ 法律用語について、身もフタもないホンネの解釈をしていることを示します)

「笑ぅ法律用語辞典」
(↑ マンガ「笑ゥせぇるすまん」の、プチパクリ)

「おかしな法律用語辞典」
(↑ 「おかしな」という修飾語は、「変な」と「笑える」という、ふたつの意味で使ってみました)

 

 インパクト勝負なら、前の3つ。 わかりやすさ優先なら、後の2つでしょうかね。

 

 そのタイトルを選んだ根拠については、書いても書かなくても、どちらでも構いません。 

 オリジナル案のご提示も大歓迎です。

 もちろん、多数決で決めるわけではないのですが、自分の出した案に対してどういう反応をいただけるのか、見届けたいとも思っているのです。

 

 ちなみに、本の中身は、このページから、特におもしろそうな項目を50個ほど厳選して採り上げて、それぞれの項目に、法律に詳しくない一般の方でも入りやすいような前置きの解説文を付けるようなものだとします。

 

 アンケート期間は…… そうですねぇ、5月の連休明けぐらいまで?

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2009年2月22日 (日)

「罪と罰の事典」(初版1刷)一部誤りの訂正とお詫び、ほか

 現在発売中の「罪と罰の事典」ですが、289ページ『飲酒運転の罪(車両などに同乗した者)の 表・グラフに付した、「※3」「※4」の注釈は誤っています。

 

 「※3:運転者の酒酔い状態を認識していた場合のみ。」

 「※4:運転者の酒酔い状態を見て、それを酒気帯び状態だと認識していた場合も含む。」

 と、それぞれ訂正させてください。

 本当に申し訳ありません。

 

 なお、この箇所は、監修者である落合洋司弁護士のチェックが済んだ後に、私の判断で書き換えております。よって、落合先生に校閲責任はございません。

 

 間違いの修正に関しては、できるかぎりの万全の態勢をとっておりました。

 担当編集の方も、本書の校正が進んでいくにつれ、法律の条文を完璧に読み取って、微に入り細に入り、間違いを指摘してくださっていました。

 内容の正確性には妥協を許さないその姿勢から、「小学館から辞典を出す」ということの意味を痛感した私も、その熱気に応え、誤りの発見・訂正に全力を注いできています。


 
 

 「罪と罰の事典」のなかでは、「どうしてこのような罰則が誕生したのか」というキッカケや経緯も説明しています。 また、判決の実例や具体例も充実させました。

 これらは担当編集の方が提案してくださったコンテンツなんです。

 へたをすると法律上の理屈だけ並べて、上っ滑りした内容になりそうな本なのですが、これら現実社会での動向の説明も加わったおかげで、法の現実と理論が交わり、ずいぶんと幅や奥行きが生まれました。

 説明文は、読みやすさと正確さの両立を追求しながら、何度となく書き直し、磨きをかけてきました。 「書いた」というよりは、「作った」という感覚です。

 どうしても「法律書」の棚に置かれてしまいがちな、この最新作ですが、一般の方でも十分に「読み物」として楽しんでいただけます。

 

◆ 「○○罪」「○○法違反」の犯罪が、どういうものなのか、どれだけ重い刑罰が科される可能性があるのか、時効は何年なのか、ニュースで報道されたときに、すぐに知りたい方へ。

◆ 雑談やブログなどで、いろんな事件や社会現象について、正確な知識をもとに意見を述べたい方へ。

◆ この春、大学の法学部や法科大学院へ進学する新入生の方へ。

◆ 今年5月から、どの犯罪で裁判員が招集されるのか知りたい方へ。

◆ 日常生活で、うっかり犯罪をおかしていないか心配な方へ。

◆ 裁判所での法廷傍聴のおともに。

◆ 「政治経済」「科学技術」等とは別の視点から、世の中を俯瞰してみたい方へ。

◆ 今までに読んだ経験のないタイプの本を読んでみたい方へ。

 

……著者の私が自信を持ってお勧めします。 どうぞよろしくお願いいたします。

 

 
罪と罰の事典-「裁判員時代」の法律ガイド
罪と罰の事典-「裁判員時代」の法律ガイド 長嶺 超輝 
落合 洋司

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2009年2月17日 (火)

【マイナー罰則(6)】 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律

 いよいよ今週末に発売の「罪と罰の事典」(小学館)に、残念ながら紹介できなかった罰則たちを、ここでひっそりと紹介しております。

 なお、早くも公式サイトにて、「罪と罰の事典」が、ちょっとだけ立ち読みできるようになっていますので、わずかでも興味のある方はのぞいてみてくださいね。

  


公害罪 (人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律)

<緊急逮捕が可能>※過失公害を除く
<時効7年>※公害致死傷のみ
<時効3年>※その他

■どんな犯罪?

 工場や事業場の事業活動によって、人の健康を害する物質(身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質を含む)を排出し、公衆の生命や身体に危険を生じさせること。

■どんな刑罰?

 1カ月~3年(懲役)
 1万円~300万円(罰金)
※[両罰規定あり] 法人に300万円以下の罰金。

(公害致死傷罪)

 1カ月~7年(懲役)
 1万円~500万円(罰金)
※[両罰規定あり] 法人に500万円以下の罰金。

 

(過失公害罪) ※うっかり

 1カ月~2年(懲役・禁錮)
 1万円~200万円(罰金)
※[両罰規定あり] 法人に200万円以下の罰金。

(過失公害致死傷罪) ※うっかり

 1カ月~5年(懲役・禁錮)
 1万円~300万円(罰金)
※[両罰規定あり] 法人に300万円以下の罰金。


 

 この法律は、高度経済成長にともなう大気汚染や水質汚濁が大きな社会問題となった1970年代、鳴り物入りで成立しました。

 損害賠償の問題はともかく、公害の発生を犯罪として処罰する法律は、当時世界初だったそうです。

 しかし、この法律が施行されて約40年、適用は非常に低調で、実際に公害罪で処罰された業者は、ほとんどいません。 キッチリ調べてはいませんが、有罪の裁判例は1件か2件ぐらいじゃないでしょうか。

 そのほかは、通常の業務上過失致死傷で有罪になっているようです。 こっちのほうが使いやすいんでしょうかね。

 公害を法的に取り締まる上で、大きな問題は「因果関係」です。

 ある工場で、ある有害物質が排出されていた。 同じ有害物質が原因で、ある人が健康を害した。 この2つの事実があったとして、だからといって、その健康被害の法的責任を、その工場に負わせてよいと断定することは極めて難しいのです。 よっぽど特殊な有害物質でない限りは。

 そうなれば、被告人の有罪を立証しなければならない検察官は、とてもストレスがたまるのですね。

 この「公害罪法」の5条には、 「工場又は事業場における事業活動に伴い、当該排出のみによつても公衆の生命又は身体に危険が生じうる程度に人の健康を害する物質を排出した者がある場合において、その排出によりそのような危険が生じうる地域内に同種の物質による公衆の生命又は身体の危険が生じているときは、その危険は、その者の排出した物質によつて生じたものと推定する」 ……とあります。

 これは、検察側が、因果関係を立証する負担を軽くして、全体のバランスをとるための規定です。 有害物質をかなり出している事実があって、実際に周りの地域で健康被害のリスクが生じているなら、「その工場が悪い」と考えるわけです。

 あとは弁護側が「そんなことはない」と反論・反証する責任を負います。 それができなければ自動的に有罪になります。

 しかし、裁判所(最高裁)が、この法律を極めて限定的に適用するよう、厳格に解釈しているのです。 これはこれで、司法が独自にバランス感覚を発揮している結果なのでしょう。

 いまは、大気汚染・水質汚濁どころか「エコブーム」の時代ですので、この公害罪法が今後適用される可能性だって、ますます下がっているかもしれません。

 とはいえ、せっかく多くの時間的・政治的リソースを費やして制定された法律が、いつの間にか「宝の持ち腐れ」になっている現状も、もったいない話です。

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2009年2月15日 (日)

【マイナー罰則(5)】 生活環境侵害系の罪

 スポーツ報知の裁判員制度特集(第5回)にコメントを寄せております。 スポーツ新聞の社会記事だからと侮るなかれ。 骨太の連載ですので、皆さんにも最初から通読することをオススメさせてもらいます。

 

 さて、いよいよ来週発売の『罪と罰の事典』(小学館)に収録しきれなかった罰則たち、まだまだご紹介しますよ。

 個人的にも、今後どこでネタとして採り上げて書くことになるかわかりませんので、念のため、ここにストックして眠らせておきます。

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工業汚染水の排出罪
 (水質汚濁防止法12条、31条)

<時効3年>

■どんな犯罪?

 工場などが、環境省の定める基準を超えた汚染状態の排水を出すこと

■どんな刑罰?

 【わざとやった場合】
 1カ月~6カ月(懲役)
 1万円~50万円(罰金)

(両罰規定あり)
 会社に1万円~50万円(罰金)

 【うっかりやった場合】
 1カ月~3カ月(禁錮)
 1万円~30万円(罰金)

(両罰規定あり)
 会社に1万円~30万円(罰金)

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港にゴミを捨てる罪 (港則法24条、41条)

<時効3年>

■どんな犯罪?

 港の中、または港の境界の外1万メートル以内の水面へ、みだりに、バラスト(船を安定させるために積む重り)、廃油、石炭から、ゴミなどの廃物を捨てること

■どんな刑罰?
 1カ月~3カ月(懲役)
 1万円~3万円(罰金)

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事業所が、温室効果ガスの排出量を報告しない罪 (地球温暖化対策の推進に関する法律21条の2、50条)

 

■どんな犯罪?
 二酸化炭素などの温室ガスの排出量が多いと認められる大きな事業所が、毎年ごとに国に報告しなければならない「温室効果ガス算定排出量」を報告しないこと

■どんな刑罰?
 1万円~20万円(過料)

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事業所が、温室効果ガス排出量の削減義務を守らない罪 (都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 5条の11[新設]、159条[改正])

<時効3年>

■どんな犯罪?

 二酸化炭素などの温室ガスの排出量が多いと認められる大きな事業所が、都に提出した「温室効果ガス削減対策計画」を守らないこと

■どんな刑罰?

 1万円~50万円(罰金)
 ※東京都のみ、2010年4月から施行

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積雪や凍結のない道路でのスパイクタイヤ使用罪 (スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律7、8条)

<時効3年>

■どんな犯罪?

 住宅が集まっているところなど、環境大臣が指定する地域内の舗装道路で、雪が積もっても凍ってもいない状態において、排気量125ccを超える自動車を走行させるときに、スパイクタイヤを使用すること。大気汚染や健康被害を防止するための罰則。

■どんな刑罰?

 1万円~10万円(罰金)

※ スパイクタイヤの周りには、多くの鋲が取りつけられていて、氷の上でのすべり止めに有効ですが、通常の路面上では、摩擦によって鋲が削られ、金属などの非常に細かい粉が飛び散りやすいのです。なるべく、スタッドレスのタイヤを使ってください。

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遺伝子組み換え生物の乱用罪 (遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律4条、39条)

<時効3年>

■どんな犯罪?

 施設内から自然界へ拡散するのを防止する措置をとらないまま、遺伝子組み換え植物などを育成したり、食用などに製造・加工したり、保管・運搬・廃棄すること

■どんな刑罰?

 1カ月~6カ月(懲役)
 1万円~50万円(罰金)<併科あり>

 (両罰規定あり)
 会社に1万円~50万円(罰金)

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人への感染症を持ちうる動物の無許可輸入罪 (感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律54条、77条)

<時効3年>

■どんな犯罪
 感染症を人にうつすおそれが高いとされる「指定動物」を、感染症が蔓延しているものと厚生労働省や農林水産省が定める地域から、あるいはその地域を経由して、許可なく輸入すること

(「指定動物」の具体例)
イタチアナグマ、コウモリ、サル、タヌキ、ハクビシン、プレーリードッグ、ヤワゲネズミ

■どんな刑罰?

1万円~50万円(罰金)
※[両罰規定あり] 法人に50万円以下の罰金

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極めて危険な病原体の発散罪など (感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律69条など)

<裁判員を召集>※発散のみ
<緊急逮捕が可能>
<未遂と予備を罰する>※発散、輸入
<未遂を罰する>
<時効15年>※発散
<国外犯:すべての犯人を本法で処罰>※発散

■どんな犯罪?

 「一種病原体等」(エボラ出血熱ウイルス、コンゴ出血熱ウイルスなど、国民の生命及び健康に極めて重大な影響を与えるおそれがある病原体等)を、みだりに発散させて公共の危険を生じさせること。

■どんな刑罰?

 (発散)
 2年~20年・無期(懲役)
 1万円~1000万円(罰金)

 (発散目的の輸入)
 1カ月~15年(懲役)
 1万円~700万円(罰金)

 (発散目的の所持・譲り渡し・譲り受け / 単純輸入)
 1カ月~10年(懲役)
 1万円~500万円(罰金)

 (単純所持・譲り渡し・譲り受け)
 1カ月~7年(懲役)
 1万円~300万円(罰金)

 (発散予備罪)
 1カ月~5年(懲役)
 1万円~250万円(罰金)
 ※ただし、予備段階で自首した場合の刑の減免あり。

 (発散目的輸入予備罪/単純輸入予備罪)
 1カ月~3年(懲役)
 1万円~200万円(罰金)

 ※以上、いずれも[両罰規定あり] 法人に各罰金刑。

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2009年2月13日 (金)

【マイナー罰則(4)】 権力の中心で、いろんなことを叫ぶ

 今月20日発売の「罪と罰の事典」(小学館)は386ページあり、この分厚さが、本を読み慣れていない方を遠ざけないか心配なぐらいのボリュームがあるのですが、それでも入らないため、仕方なくお引き取りいただいた罰則たちを、ここでひっそりと紹介してみます。

 

国家機構の中枢エリアで、拡声器を使う罪 (国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律)

<時効3年>

■どんな犯罪?
 国会議事堂等周辺地域(首相官邸・議員会館・外務省・財務省・国土交通省・警視庁あたりを含む)や、外国公館等周辺地域(各地の大使館や総領事館あたり)で、その地域の静穏を害するような方法で、マイクやアンプ、スピーカーなどを使ったため、警察官が命令を出したのに、それに従わないこと。

 ※ ただし、公職選挙運動、災害や事故発生時の緊急呼びかけ、国や地方自治体の業務による場合を除く。

■どんな刑罰?
 1カ月~6カ月(懲役)
 1万円~20万円(罰金)


 1988年に、この法律ができたキッカケとしては、いわゆる右翼団体の街宣車活動について規制するため、ということなのですが、もちろん右翼の人々でなきゃ捕まらないわけではありません。

 国会議事堂や大使館の周辺で拡声器を使って叫び、あるいは録音した音声などを流し、それを警察官に注意されてもやめない場合は、ライトもレフトもノンポリも関係なく検挙の対象となります。

 お気づきの方も多いかと思いますけれども、この罰則は、国民の「表現の自由」と正面からぶつかり合いますよね。

 そのため、同法8条には、「国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」「請願のための集団行進について何らの影響を及ぼすものではない」という注意書きがなされています。

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2009年2月12日 (木)

【マイナー罰則(3)】 麻薬特例法違反の罪

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 今月20日発売の「罪と罰の事典」(小学館)は386ページあり、なかなか分厚い本なのですが、それでも物理的にハミ出してしまうため、やむをえず別れを告げた、だけど忘れられない、嫌いになれない罰則たちを、ここでひっそりと紹介してみます。


依存性薬物をはびこらせようとする罪 (麻薬特例法5条)

<裁判員を召集>
<緊急逮捕が可能>
<減軽1回で執行猶予>
<時効15年>
<国外犯:すべての者をこの法律で罰する>

■どんな犯罪?
 覚せい剤、麻薬、向精神薬、大麻、アヘンなどの依存性薬物を、何度も繰り返して密輸出入、譲り受け、譲り受け(密売買など)すること。

■どんな刑罰?
 5年~20年・無期(懲役)
 1万円~1000万円(罰金) [必ず併科]
 ※[両罰規定あり] 法人に1000万円以下の罰金。


 「麻薬特例法」は略称・通称でして、正式名称は「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」といいます。 じゅげむじゅげむ。

 「罪と罰の事典」p.168~169にかけて、<密売して利益をあげるための輸出入等>という項目を、いくつか設けているんですが、それらは「1回きり」の犯行でも成立します。

 一方で、さきほどの罰則は、さらにワンランク上の悪質さを持つ犯行を示しているんですね。 「何度も繰り返し」という要素が含まれますので。

 この「麻薬取締法違反(業として行う不法輸出入等)」にあたる事件で起訴されたら、裁判員も呼ばれますので注意です。

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2009年2月 9日 (月)

【マイナー罰則(2)】 子どもに飲酒・喫煙させる罪 / 酔っぱらい迷惑行為罪

 今月20日発売の「罪と罰の事典」(小学館)は386ページと、たっぷり読み応えのある本なのですが、それでも物理的に入りきらないので、やむをえず「さようなら」を告げた罰則たちを、ここでひっそりと紹介してみます。

 

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未成年者にタバコや酒を売った業者の罪 (未成年者喫煙禁止法5条、未成年者飲酒禁止法3条)

<時効3年>

■どんな犯罪?
 19歳以下の客が、自分のために酒やタバコを買っていることを知りながら、販売すること。

■どんな刑罰?
 1万円~50万円(罰金)
 ※[両罰規定あり] 法人に50万円以下の罰金。

 

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未成年者に飲酒・喫煙をさせた親たちの罪 (未成年者喫煙禁止法3条、未成年者飲酒禁止法3条)

<時効1年>
<逮捕に制限あり>

■どんな犯罪?
 19歳以下の子どもが飲酒や喫煙をしていることを、保護者(親権者・監護権者・後見人など)が知っていながら、それを止めないこと。

■どんな刑罰?
 (科料)※1000円~9999円の強制徴収

 ※ この場合、子どもが吸っていたタバコやライターなどは、行政処分で没収すると規定(未成年者喫煙禁止法2条)

 

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酔っぱらい迷惑行為罪 (酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律)

<時効1年>
<逮捕に制限あり>

■どんな犯罪?
 酔っぱらいが、公共の場所や乗り物で、みんなに迷惑がかかるような、非常に荒っぽく乱暴な言動をすること。また、そういう言動をするように、酔っぱらいをそそのかしたり、補助したりすること。

■どんな刑罰?
 (拘留)※1日~29日の身柄拘束
 (科料)
 [併科あり]

>>> これが「卑わいな言動」「みだらな言動」だった場合は、酔っぱらいかどうかは関係なしに、各都道府県の迷惑防止条例により、最高で懲役6カ月(東京都の場合)に処せられる可能性があります。

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2009年2月 7日 (土)

【マイナー罰則(1)】 臓器売買罪

 今月20日発売の「罪と罰の事典」(小学館)は386ページあり、けっこうボリュームのある本なのですが、それでも収録しきれず、泣く泣く削ろうと決めた罰則たちを、ここでひっそりと紹介してみます。


臓器売買罪(臓器の移植に関する法律11条、20条)

<緊急逮捕が可能>
<時効5年>
<国外犯:日本国民による犯行なら、この法律で処罰>

■どんな犯罪?

 移植手術に使われる人間の臓器(心臓・肺・肝臓などの内臓、および眼球)を、勝手に他人へ譲り渡したり、他人から譲り受けたり、またはその間を取りもったり、これらの対価や謝礼などとしてお金などを授受したり(その約束や要求も含む)すること。

■どんな罰則?

 1カ月~5年(懲役)
 1万円~500万円(罰金) [併科あり]

 ※[両罰規定あり] 法人に500万円以下の罰金。

 ※授受されたお金は没収される。



 

 植物状態と違って「脳死」は、人工呼吸器が実用化されたことによって初めて生じた状態であり、新しい問題です。

 現代医学による回復は無理だけれども、心臓が動き、呼吸もある人を、はたして「死者」として扱うべきか、生き死にに関わる価値観は人それぞれで、一概に処理するのは難しいところです。

 10年前にできたこの法律に基づき、脳死者からの臓器移植手術が、今までに80例ほど実施されているとのこと。

 日本国内では、昭和40年代に起こった衝撃的な「和田心臓移植事件」の後遺症をまだ引きずっているともいわれ、臓器移植手術の実施は低調です。

 心停止後の腎臓移植の場合は別として、脳死臓器移植に至るまでに「脳死者が15歳以上」「脳死者が記入済みのドナーカードを所持」「脳死者の親族の同意」など、さまざまな条件が課されています。

 

 なお、移植用というわけでない臓器が売買される可能性もあります。 物騒な話ですが、多額の借金をかかえ、返せなくなって、取り立て人から「カラダで返せ。お前の腎臓売るぞ」と脅される場面ですかね。

 この場合は、そうした臓器を取り出す目的で、人をさらったり売り買いした時点で、加害目的の略取誘拐罪(刑法225条)や、加害目的の人身売買罪(刑法226条の2)が成立するようです。

 これらの最高刑は懲役10年。 臓器売買罪よりも重い法定刑が設定されています。

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