疑似恋愛で乗り切る受験
この時代、出版業界が未曾有の大不況に陥っていることを承知のうえで、私は昨年、モノ書きになるために上京してまいりました。なぜなら、「今、自分の温めている企画は、必ず日の目を見るはずだ」という、手ごたえという名の勘違いがあったからです。
私がまだ司法試験をチンタラ惰性で受けていた2年前、ふと頭をよぎった『もしかして、受験勉強と恋愛は似ているんじゃないか』という思いつき。その着想からしばらくは、受験と恋愛の共通点に気づくたびに、ひとつひとつメモに書き留めていく日々が続きました。
そして、昨年1月、「まぐまぐプレミアム」にて、知る人ぞ知る有料メルマガ「疑似恋愛で乗り切る受験」がスタート。週刊で、月180円という破格値だったにもかかわらず、読者は最高2名。その貴重な2名の読者に惜しまれつつ(たぶん惜しまれてた)6月いっぱいで廃刊。
その節は、どうもありがとうございました、2名の方。
それでも、メルマガに大幅な加筆修正をして、8月から東京の出版社に出版企画書を郵送。6社に送ったかと思いますが、結果はいわずもがなです。
敗因は分かっていました。説得力を持たせよう持たせようと頑張ったあげく、めちゃくちゃ理屈っぽい文体になっていたんです。恋愛をテーマの一角に据えていたにもかかわらず、エンターテインメントになり切れてなかったんですね。
そこで、人気進学塾「疑似恋愛合格塾」塾頭・横枕寝造というキャラを構想。彼へのインタビューを試みるという形を取ることに決めて、もう一度、一から全面的に書き直すことにしました。また、並行して、挿し絵とするためのイラストも40枚ほど描きためていきました。
新生「疑似恋愛」は、上京後、去年の11月末に完成したんです。ただ、恋愛論でも受験攻略本でも漫才の台本でもない、そんなジャンル分け不能の企画を、どの出版社に売り込むべきかに悩みましたね。結局、アポの取れた2社に出向き、企画書を郵送してくれと電話で言われた5社には、そのとおりに郵送することにしました。でも、郵送のほうは、返事などまったくなしのつぶて。
紙っぺら2枚や3枚で、この企画の面白さを伝えられるだけの文章力を、残念ながら私は持ち合わせていませんでした。本当は、イラストを含めた完成原稿を全部読んでから判断していただきたいんですが、先方も多忙な身。それは叶わぬ願いです。
出版企画 『疑似恋愛で乗り切る受験』
「疑似恋愛合格塾」塾頭 横枕寝造
聞き手 : 平成16年度 司法試験挫折者 長嶺超輝
- もくじ -
◆ごあいさつ
◆問1 【受験勉強とは何か】
・合格したけりゃ、恋をしろ!?
・「勉強」と「受験勉強」は、似て非なるもの
・出題者が受験生に求めているものとは
・人が人を選ぶということ
・退屈さに耐える
・多様性というキャッチコピー
・「退屈系」という生き方
・エコロジカル・ニッチ
・イナゴを見習え!
◆問2 【疑似恋愛で乗り切る受験】
・受験も恋愛も、思いこみから始まる
・受験はコミュニケーションである
・「傾向と対策」を疑え
・出題者が夢見る「理想の王子様」
・過去問の友達をご紹介します
・合格体験記の読み方
◆問3(1) 【理解と会話 / 探り合い編】
・イケメンとスポーツマンとミュージシャン
・ようこそ、なんとなく非日常の世界へ
・さんま師匠いわく
・自己アピールは捨てろ
・「共通の趣味」が、ふたりを遠ざける
・次のデートを取り付けたい
◆問3(2) 【理解と会話 / お熱い二人編】
・「体系理解」と上下関係
・「濃淡理解」と主従関係
・「関連理解」でさらに深めて
・相手を否定しないコツ
・楽しさの追体験
・はじめまして、キョウコさん
◆問4 【アンダーライン論】
・オレ色に染まれ
・ミニマム・アンダーライン
・ミニマム・アンダーライン(実践編)
・女性は褒めちぎれば落とせるか
◆問5 【論理と主導権】
・論理は架け橋
・キーワード・リンク
・理由という論理
・接続詞という論理
・消去法という論理
・「原則」「例外」という論理
・男はなぜ、チラリズムに興奮するか
◆問6 【暗記と抱擁】
・暗記をしないと…
・「戻る勇気」と「削る勇気」
・「受験は暗記じゃない」わけないじゃない
・「よろしく哀愁」暗記法
◆問7 【直前期と全身かわいがり】
・「エスカレーター駆け上がり」説
・受験上手は床上手
・模試の思わせぶりな態度
・模試とAV
・弱点の共有
◆問8 【本試験と不純異性交遊】
◆あとがき
◆巻末ふろく 「特集・これが司法試験だ!」
(※短答試験・論文試験のパロディ)
じかに会ってくださった、ある大手出版社の編集者の方は、「こういう本をうちから出すのは難しいけど、思い切って漫画にすると面白いんじゃないか」とアドバイスをしてくださいました。貴重なご意見でしたが、たぶん漫画を描くことの大変さや面倒くささをご存じない方のセリフでしょう。
でも、「この方は信用してもいいかもしれない」と思った私は、もうひとつ用意していた「法律用語裏辞典」の出版企画書も見ていただくことにしました。
「もっと説明を短くして、ページ見開きの右側に辞書の1項目、左側にその見出し語に関する司法の問題点を解説するような形式にすれば、読みやすくて面白い本になるかもね。」
…はぁ、なるほど。さすがプロのご意見。だがしかし、その出版を手伝うことはやはりできないとのこと。母ちゃん、やっぱり東京は厳しいよ。ちなみに、うちの母ちゃんは上京に猛反対しておりました。いまだに「帰ってこい」と言われてます。「夢追って東京に出ていくような歳じゃないだろう」と。
温めすぎて、すでに我が子のように可愛くなってしまっている「疑似恋愛」の原稿。我が子なんて産んだ経験ないけど。
それはともかく、どうしても、この原稿を本にして世に問うてみたいな、と思っていましたら、最近、こういうサイトを見つけたんです。
その原稿に商業出版の見込みがあるかどうかを、3万円で見てもらえるのだそうです。そこで見込みありという診断が下されますと、その出版エージェントの誇るコネクションを駆使して、出版社と掛け合ってくださるとのこと。そうして、見事出版まで漕ぎ着けた暁には、印税の2割を支払う、というシステムのようです。
出版エージェントに依頼して本を出すことは、すでにアメリカなどでは当たり前になっているんだそうな。この際、ぼくちゃんもアメリカナイズされちゃおっかな~。でも、3人組の諭吉さんなんか、この部屋のどこを引っかき回したって出てこんぜ…。著者デビューどころの話じゃありません。バイト生活はまだまだ続きそうです。
派遣のフリーター稼業も、それはそれで気楽でよかとばってん…。 今年で30… 知っとるけのけ。(古っ)
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