2006年6月 4日 (日)

平成18年3月14日 上告審の弁論に弁護人が不出頭 (抜粋再現)

 山口・光市 母子殺害事件 上告審 弁論

 最高裁判所 第三小法廷

 

 【裁判長(主任裁判官)】 濱田邦夫

 【裁判官】 上田豊三

 【裁判官】 藤田宙靖

 【裁判官】 堀籠幸男

 

 ※ 筆記が間に合わなかった個所も多数あります。 せめて、雰囲気だけでも皆様に感じ取っていただければ幸いです。

 
13:05 一般傍聴者が入廷を許可される

13:15 検察官(最高検検事)が、1名入廷

13:30 裁判官が入廷 マスメディア向け撮影許可

13:32 開廷

 

 裁判長 「当法廷に弁護人が出頭しておりません。 本日は、審理を行うことができません」

 検察官(挙手して) 「ひとことだけ申し上げます。 本日は、被害者の遺族の方がご主人を含め7人傍聴席にいらしております。 この弁論期日は、本件で3年数ヶ月ぶりの法廷でありまして、そこに弁護人両名が出頭しないということは、訴訟遅延の目的も考えられ、きわめて遺憾であります。 遺族に成り代わって申し上げます」

 検察官 「平成14年3月27日に、(検察側の)上告が申し立てられ、本日まで反論の機会が十二分にあったにもかかわらず、平成18年3月6日に新弁護人2名が就任し、翌7日には、自己の都合を理由に期日の延期を申し立て、却下されております」

 同 「本件のような必要的弁護事件における弁護人の欠席は、審理を空転させ、判決を可及的に遅らせる目的が明白であることが合理的に推認できるものであります。 弁護人の責めに帰すべき理由によって、必要的弁護事件を正当な理由なく欠席しております」

 同 「他方で、迅速裁判の要請があり、法廷の威信にもかかわる問題であります。国民から付託された裁判権を行使していただき、必要な限度で刑事訴訟法第289条の例外を認め、同341条を類推し、弁護人不在のまま弁論を予定通り進め、結審すべきと考えます」

 

13:37 合議のため、いったん裁判官全員が退廷

13:40 裁判官らが再入廷。 審理が再開

 

 裁判長 「本日の弁論は…… せず、弁論を延期することとします」

 同 「当裁判所の見解を申し上げます。 弁護人両名からは、3月7日に『準備になお時間が必要』という理由で、期日の延期が申し立てられました。 しかし、昨年12月6日に、当裁判所は本日を弁論の期日として指定し、通知をしており、弁護人両名も、それを前提に弁護人を引き受けたはずです」

 同 「本件は、弁護側からの上告はされておらず、また、弁護側はすでに、検察側からの上告に対応した詳細な答弁書も提出されていることから、3月8日付で、当裁判所は申し立てを却下した経緯があります」

 同 「したがって、当法廷に出頭すべき職責を負っているにもかかわらず、なお、正当な理由なく出頭しないという、このような態度は極めて遺憾であります。当裁判所の見解は、以上のとおりです」

 同 「次回期日を、4月18日火曜日 午後3時と指定します。 次回期日には、ぜひとも弁護人らが出頭するよう望みます。 閉廷します」

 

◆ 刑事訴訟法 第289条(必要的弁護事件)
1 死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。

◆ 刑事訴訟法 第341条
 被告人が陳述をせず、許可を受けないで退廷し、又は秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたときは、その陳述を聴かないで判決をすることができる。

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2006年3月17日 (金)

待てど暮らせど来ぬ人を……

 メールマガジンには書きましたが、私、14日の最高裁口頭弁論に行ってまいりました。あの「山口・光市 母子殺害事件」の上告審です。しかし、皆さんご存知の通りの顛末です。

 弁護側ドタキャン……裁判員模擬裁判のリハーサルが理由?

 せっかく寒い中待って傍聴券を当てたのになぁ……。 来月、弁論がやり直されますが、こうして変な注目のされ方をしてしまったので、今回みたいな61名という傍聴希望者の数じゃ済まないかもしれません。だとしたら、また運よく中に入れるとは限らないし。

 弁護士稼業を一生やっていても、1度あるかないかの貴重な機会だという最高裁の弁論。それを平気ですっぽかしてみせた、安田好弘、足立修一の両弁護人。 言っときますけど、裁判官の心証だけでなく、私の心証も悪くなってますからね。(笑) どんだけ多忙だと思われたいのかね。

 あのですねぇ、私が法廷を傍聴するときの気持ちって、たとえば、元 野球少年がプロ野球の選手を応援しに球場へ通い詰めるのと似てるんじゃないかと思ってるんです。 志半ばに夢を断念した者たちは、晴れの舞台で輝くヒーローを憧れのまなざしで見つめています。 それが、このていたらくですか。

 死刑廃止という高尚な持論も結構です。 しかし、書面審理がポリシーである最高裁が、わざわざ時間や手間をかけて口頭弁論を開くというのは、暗黙の「逆転判決メッセージ」なわけです。 このままでは被告人に逆転死刑判決が出てしまいますよ。 よろしいんですか? 言動不一致な状態のままで。 弁護士って、そういう商売でしたっけ?

 来月、ちゃんと姿を現して、目の前でプロの技を見せてくださいよ。お待ちしてます。 だいたい、濱田裁判長は再来月で定年なんですから。 たぶん最後の大仕事ですよ。

 そういえば、傍聴席。 私の隣にはなんと、あの佐木隆三先生が座ってこられて、少しビビりました。 この世界の第一人者は、どういうノートを取るのかなぁと、ちょびっと覗き見しちゃいましたけど。えへ。

 最高裁って、驚くほど頻繁に有名人に会えますね。 会えますね、というか、見れますね。

 

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 話題を集める重大事件だけでなく、意外に細かい裁判も積極的に傍聴されておられる、このお方。

 法廷メモが解禁された「レペタ訴訟 最高裁判決」の前時代、確信犯的に高性能の小型テープレコーダーを法廷内へ持ちこんだという、なんとも大胆なエピソードも明かされています。

 第1章 : 少年犯罪という社会的病理
 第2章 : あなたが犯罪者になったら
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 第4章 : 判決を受ける背中が語る
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2006年1月23日 (月)

明日、メルマガ復刊です!

 ただいま休刊中のメルマガですが、それでも私宛てに「相互紹介(相互広告)をしましょう」という、メルマガ発行者の方からの申し出を、しばしばメールでいただきます。そのたびに「そろそろメルマガを復刊させたいなぁ。でも、面白いモノを仕上げようとすると、どうしても時間が足りないし……」と、悶々とするわけです。

 どうすれば、ネタに困らないかを考えた末に、思いついたのが……!

 今までやってきたように、マスコミから流れるニュースについて、手を替え品を替えで解説を加えるのもいいけれども、30歳で偉そうに「高みの見物」もないもんですよね。やはり自分の目で耳で確かめたことを率直に書くのが、物書きの基本。なにより、そのほうが面白いし、楽しい。

 ということで、復刊に際して、内容を完全リニューアルさせることに決めました。今後は【裁判傍聴メルマガ】として方向性を切り替えてお送りします。近いうちに、タイトルを「東京地裁つまみぐい」に変更するよう、まぐまぐさんに申請しようかなと。

 さぁ、明日は早起きだ。9時に霞ヶ関の東京地裁! 間に合うか? 9時40分から、ある損害賠償訴訟の傍聴券をめぐり、さっそくパソコン抽選が行われます。 地球のみんな! オラにクジ運をわけてくれ!(2回目)

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 ワイドショーの裁判ニュースでのチョイ解説でおなじみ、板倉教授による刑法の解説本です。2色刷・イラストつきで親しみやすい見た目。ひとつの項目が見開き2ページで揃えられているので、文章も端的で、検索のしやすさもバツグンです。

 ただ、ポップなイラストに似つかわしくなく、刑法学の難解な専門用語が、そのまんま使われていることから、あまり一般向けではないような……。学者先生という立場上、おそらく、わかりやすさよりも正確さを優先させてのことでしょう。
 ご専門が法律以外で、かつ、抽象概念に強い方が、「刑法や犯罪について、体系的にザックリ知りたい」という場合ならば、真っ先に推薦したい良書です。

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2005年7月14日 (木)

著書廃棄訴訟 「つくる会」側の逆転勝訴の見通し

>>> 「つくる会」関係者著作の図書館蔵書処分は違法 最高裁

 市立図書館の司書が、「新しい歴史教科書をつくる会」や関係者の著作などを処分したことが違法かどうかが争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は14日、「公立図書館は住民のほか著者にとっても公的な場で、著者には思想や意見を伝えるという法的に保護される利益がある」との初判断を示した。「職員の独断的な評価や個人的な好みで著書を廃棄することは、著者の利益を不当に損なうものだ」として、つくる会側の主張を退けた二審・東京高裁判決を破棄。審理を同高裁に差し戻した。

 第一小法廷は、著者の思想の自由や表現の自由が憲法で保障された基本的人権であることを重視。「著者が意見などを伝える利益は、法的保護に値する人格的利益だ」と位置づけ、「図書の廃棄は著者の人格的利益を侵害し、違法」と結論づけた。 (朝日新聞)


 千葉・船橋市立西図書館による「つくる会」著書 集中廃棄問題


 【 事実関係 】

 2001年8月、船橋市立西図書館が、「新しい歴史教科書をつくる会」が扶桑社から出版した教科書執筆者の著書を廃棄処分していたことが、翌年4月に一部新聞で報じられた。
 同市教育委員会の調査では、同図書館はこの評論家らの著書を45冊所蔵していたが、このうち44冊を廃棄した。同図書館は毎年9月、蔵書の虫干しをするのに合わせて破損した本や貸し出し回数の少ない本を処分しているという。原告の著書以外で廃棄されたのは、西部邁氏(評論家)の著書43冊と渡部昇一氏(上智大学名誉教授)の著書25冊など。

 

(図書館 臨時記者発表)2002/05/10
 平成13年8月に除籍された541冊(内訳 一般図書170冊、児童図書17冊、雑誌354冊)の除籍理由については、職員からの事情聴取の中で判断しましたが、一般図書170冊のうち63冊、児童図書17冊、雑誌354冊は、船橋市図書館資料除籍基準に基づき除籍したものでありました。

 しかし、一般図書107冊については、利用が低下しているものや、受入れ年月日の古いものなどがありましたが、除籍理由を明確にすることは出来ませんでした。

(除籍の内訳)  (除籍数)  (基準に基づいた除籍) (不 明)
 一般図書     170冊       63冊         107冊
 児童図書      17冊       17冊           0冊
 雑  誌      354冊      354冊           0冊

廃棄書籍リスト (「正論」2002/06)

【 司法判断 】

●2002/08/13 提訴
  原 告 : 著者ら8名 新しい歴史教科書をつくる会
  被 告 : 図書館 担当司書
  請求額 : 一人当たり300万円
  根 拠 : 憲法違反、名誉毀損、著作者人格権の侵害

●2003/09/09 第一審判決 東京地裁

 司書による廃棄について、「決して一時の偶発的行為ではなく、周到な準備をした上で計画的に実行された行為であることが明らか」、「市が定めた除籍基準を無視し、個人的な好き嫌いの判断によって大量の図書館の蔵書を除籍し廃棄して船橋市の公的財産を不当に損壊したもの」であると認定し、船橋市に対しても「責任の所在を曖昧
にしたまま幕を引こうとしており、このような被告船橋市の姿勢に原告らが強く反発するのも理解し得ないではない」との見解を示した。

 しかし、損害賠償請求については、「司書によって除籍等がなされた図書は、すべて船橋市が購入して所有し管理していたものであって、原告らの所有・管理に属するものではなく、これらの蔵書をどのように取り扱うかは、原則として被告船橋市の自由裁量にまかされているところであり、仮に、これを除籍するなどした
としても、それが直ちにその著者との関係で違法になることはないと考えられる」として、原告側の訴えを退けている。


●2004/03/03 控訴審判決 東京高裁

 本控訴審判決は、事実認定および原審にて既に争われた論点については原審判決を採用した上で、追加の控訴趣意に対して、
 (1) 検閲とは行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、発表前にその審査をした上、不適当と認めるものの発表を禁止することをいうものと解されるから、本件除籍等はこれに該当しない。
 (2) 不合理な差別的取扱いを受けたとしても、それについて不法行為が成立するためには、控訴人らに侵害されるべき法的権利ないし法的保護に値する利益が存することが前提となるから、取扱いが不合理であることにより直ちに損害賠償請求権が発生するとは解されず、控訴人らの主張は採用できない。
 (3) 公貸権は、控訴人らの主張によれば、書籍が図書館に所蔵され閲覧に供されることにより著作者らが被る経済的不利益に関する議論であり、本件で侵害されたとする控訴人らの利益が法的権利ないし法的に保護されるべきものであることを直接根拠づけるような内容にまでその議論が及んでいるとは理解し難い。
 との判断を下し、控訴棄却を言い渡した。

 (「つくる会」HPより)


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

2005/06/02  上告審 口頭弁論 
          (最高裁第一小法廷 横尾和子裁判長)


 13:20 入廷して傍聴席の2列目中央に着席。原告(上告人)席には、すでに西尾幹二氏と井沢元彦氏の姿があった。被上告人席にも、弁護人などの関係者が5名ほどスタンバイしている。

 きょろきょろ見回すと、傍聴席には若い学生さんらしき人も混じっている。最高裁の入り口で金属探知器を通るとき、「今日は、大学生の人も傍聴に来てらっしゃいますけど、授業か何かですか」と警備員さんに聞かれてしまったのを思い出した。「いえ、私ひとりです」と答えたのだが、今年三十路を迎える私が、学生に見られている場合ではない。おそらく、ラフすぎる服装のせいだろう。

 13:30 5人の最高裁判事が入廷し、全員が起立して一礼。裁判長が両当事者に対して、上告趣意書と答弁書の陳述を確認した後、他に陳述することは無いかと促した。

 まずは西尾氏が起立して口を開く。3つの点について述べたいと前置きして弁論を開始。

 
■ 判決についての個人的印象

 日本国の公立図書館から、著書を処分されるというのは計り知れない屈辱。公的機関から差別されたという屈辱である。

■ 歴史的・公的意見として

 廃棄された私の著書9冊のうち7冊は、「つくる会」発足以前のもので、人生論について書いたような内容である。それらを無差別に廃棄されたというのでは、なんらかの組織に属していることが悪いことのようにされる。これは集団の罪や全体主義と質的に同じ。
 

■ 焚書とはなにか

 歴史の抹殺である。一国の人々を抹殺するには、その人々の記憶を消し去り、新しい記憶を植え付ければいい、といわれる。それが本を消す、歴史を消すということにつながっていく。
 少し大げさな話になるが、スペインは「闇の歴史」を背負ってしまったがために、先進国としてなかなか表に出て来られない。スペイン軍によるインディオの侵略については「インディアスの破壊についての簡潔な報告」(岩波書店)に詳しい。イギリスやオランダは、そのことについて世界に広めていったが、スペインは反論の書を書かなかったために、最大級の自虐国家となってしまった。

 敗戦直後の日本で、検閲があったのは知られているが、焚書もされたことはあまり知られていない。なぜ、日本が戦争に突入していかなければならなかったのか、その自己弁護すらできなかったのである。どこか強くつながる問題ではないか。

 本件は、左翼イデオロギーによる、相当犯意の濃い、個人でなく団体の罪である。


 
 次に、西尾氏とは少し主張根拠が違うということで、井沢氏も弁論。
 

 これは、民主主義に対する挑戦である。相手が自分と違う意見を述べても、それを認めるのがルールであり、出版された内容を自由に読めなければ意味がない。
 歴史上、数多くの焚書がなされてきて、ナチスドイツによるそれが最後かと思っていたが、今回の事件である。

 私は船橋市在住で、10年以上住民税を払っている市民である。まさか、そんな身近で焚書が行われるとは思わなかった。市からの謝罪もない。ただ、これは個人的憤懣についてであり、大した問題ではないが。

 これを認めれば、たとえば訴訟の相手方を支持する判決文が気に入らなければ処分することも可能ということになってしまう。この野蛮な行為に対して、厳しく処断されることを望む。右とか左とかではなく、民主主義に基づく最低限のルールを問題としているのだ。

 最後に弁護人から。


 本件は船橋市民の知る権利を侵害しかねない問題。なにも、図書館に対して、ある著書を購入せよと求めているわけではない。もともと図書館員によって広く閲覧に供されていた蔵書を、司書が単なる好き嫌いで処分したことを指摘したい。

 図書館利用者からの「最近、あの本が無いね」という素朴な申し出を不当に無視した。単なる司書一個人の問題ではなく、広く、公立図書館の健全な運営の問題である。また、一公務員の意図で、言論が不当に妨げられてはならないという、民主主義の問題でもある。

 地裁や高裁が、旧来からの意識にとらわれすぎ、高い見識を見せてこなかったのはまことに遺憾である。こうして最高裁が弁論を開いてくださったことに、深く敬意を表するものである。


 被上告人からは、「答弁書の通り」とのことで、特に口頭で述べられることはなかった。

 判決期日は、7月14日午前10時30分と指定され、13:50に閉廷した。

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2005年7月13日 (水)

大法廷を傍聴してきました … 【在外邦人選挙権訴訟 最高裁口頭弁論】

>>> 在外投票権、初の憲法判断へ 最高裁大法廷で双方が弁論

 「海外に住む日本人の国政選挙での投票が制限されているのは参政権を保障した憲法や国際条約に違反する」として、在外邦人らが国を相手に、違法確認と損害賠償を求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・町田顕最高裁長官)は13日、双方から意見を聴く弁論を開いた。原告の1人、若尾龍彦さん(64)は「大勢の国民が海外に住むようになった現状に適切な法改正を行ってこなかった国会は怠慢だったといえるのではないか」と主張。国側代理人の大竹たかし・法務省訟務総括審議官は「海外の有権者が当分の間、選挙区選挙について選挙権を行使できないことは、必要かつやむを得ない制約であり、立法府の裁量の範囲内にある」と反論した。

 大法廷は秋にも判決を言い渡し、在外邦人の選挙権を巡る初の憲法判断を示す見通しだ。

 在外邦人の選挙権行使については長年、衆院選と参院選のすべてで認められていなかった。98年の公選法改正で衆院と参院の比例区についてだけ認められたが、選挙区については認められていない。

 一審・東京地裁は99年、違法確認の訴えについては「法律上の争いに当たらない」として却下。賠償請求も棄却した。二審・東京高裁も00年、原告側の控訴を棄却した。 (朝日新聞)

 書いても特に問題がないと思われますので書きますけれども、私の隣の傍聴席に、偶然、辻元清美衆議院議員が座ってらっしゃいました。とはいえ、閉廷して間もなくしてから、中年男性が「辻元さん!」と声を掛けるまで、私はまったく気づかなかったのですが。

 奇しくも今日、2003年の衆院選に関する議員定数不均衡訴訟の審理が、大法廷へ回付されたと発表されました。この選挙も、鈴木宗男元議員が立候補したり、福岡2区で山拓と古賀氏が激戦を繰り広げたりと話題になりました。
 また、翌年7月の参院選に関する不均衡訴訟についても、「そのうち必ず(最高裁へ)上がってくる」と町田長官は憲法記念日の会見でおっしゃってます。執行猶予中の辻元候補が『おわび選挙戦』を繰り広げた大阪選挙区で71万票を獲得したものの落選し、別の鳥取か島根の候補者が15万票あまりで当選した選挙。記憶にも新しいところです。

 昨年は1回しか判決が出されなかった大法廷ですが、にわかにヒートアップしてきましたね。

 【傍聴録】
 14時に最高裁判事14名が勢揃いし、厳粛な雰囲気の中で審理開始。新任の堀籠判事など、私が初めて拝見する裁判官もいらっしゃいます。
 まずは、お決まりの手続きとして、両当事者から提出された書面を陳述するかの確認をする町田裁判長。途中、セリフを少しとちり気味でした。大法廷以外では裁判現場にタッチしない長官ですので、ひさびさの舞台に緊張しておられるご様子、などと書いては失礼か。

 【意見陳述】
■上告代理人・北村氏
 まず、最高裁判事に向けて、大法廷弁論の機会を与えていただき感謝する旨を述べて始まりました。
 相手方の国が主張する「在外日本人の把握の困難」については、実務上特に問題はないことを詳細に述べておられました。その詳細部分については、私のメモが付いていけませんでしたが(恥)
 また、「在外日本人の、選挙に関する情報不足」という主張に対して、衛星テレビやインターネットなどで、日本に居ながらに得られるものと同等の水準の情報が入手可能であると反論。
 さらに、在外邦人に十全な選挙権を認めないのには「選挙権行使の公正を確保し、投票の混乱を回避する」という目的があるという主張に対しては、このような抽象的な理由で、憲法が認めた選挙権をすべて制約することはできないとしました。

 そして、憲法15条1項では、公務員の選定罷免権が認められているが、司法的救済が与えられなければ、それを「権利」と呼ぶことはできない、としました。続けて、原審や第一審が、本件の提訴を「却下」したことについて、立法措置の違法確認の訴えも、行訴法上の実質的当事者訴訟に含まれると主張していました。

 次に、在外邦人の選挙権剥奪は、重大な人権侵害であるだけでなく、社会的に大きな損失であると、以下の統計データを提示。

 敗戦直後の在外邦人      約24万人
 1996年(当訴訟の提起当時)  約76万人 (うち有権者 約61万人)
 2003年(最新統計)        約91万人 (うち有権者 約72万人)

 これは最小選挙区で換算すれば、衆議院議員3人を選びうるだけの人数であると付け加えておられました。

 「ふるさとは とおきにありて おもうもの」 この想いは、現代においても決して変わるものではなく、彼らが外国で働き学びしたことを持ち帰ってきたからこそ、今の日本の発展があるのだと。現代では日本に戻らない場合も多いかもしれないが、彼らにも選挙権を認める道を模索することが最高裁の崇高な理念であると締めくくりました。

 
■上告代理人・二関氏
 若手弁護士らしき方。まず憲法15条や43条といった選挙権の一般論や、数々の判例について言及。国民の選挙権は、表現の自由と並んで民主政プロセスの中核を成すもので、その制約については、いわゆる厳格な基準によるべきと、最高裁判事に向けて、判例・通説をあらためて説明。

 次に本件の選挙権制約の特徴について。たとえば、定数不均衡訴訟では、「一票の価値」の格差はあるが、選挙権がまったく奪われているわけではない。しかし、在外邦人はたとえ投票所へ行っても投票できないのであって、いわば「定数不均衡の極限的状態」であると主張しておられました。
 それだけに選挙権制約が重大であり、定数不均衡より救済の必要性が高い、ということでした。

 
■上告代理人・近藤氏
 この方はおもに「法の下の平等」の観点から主張を展開してらっしゃいました。
 本件は、有権者に日本国籍があるのに、彼・彼女がどこに住んでいるかで差別されるという点で、定数不均衡の問題と基本的に同様の構造だと指摘。
 しかし、日本に住んでいるかどうかで選挙権の取り扱いを区別する目的が存在せず、自治体による住民票管理の便宜のために差別されるのは不当であると主張していました。

 最高裁の判例では、おおよそ、衆院選では1対3、参院選では1対6の格差までが許容範囲とされているが、本件は、いわば「1対無限大」の格差だと説明。さらに、憲法は「信条」などの後天的要素による差別も許さず、その区別的取り扱いには違憲性の推定が働くが、「住所地」での差別も同様だとしました。

■上告代理人・林氏
 この女性弁護士は、国際人権規約25条や、国際人権委員会の一般的勧告・選挙権保障措置について、いろいろ話されていました。これらは「すべての市民に選挙権を与えろ」と言っているらしく、その「市民」には、ホームレスですら除外されていないということでした。いわんや在外邦人をや、という主張なのでしょう。

 あとは、条約と法律の関係について、一般論を述べていました。

■上告代理人・古田氏
 丸顔にメガネ、蝶ネクタイで、うちわで扇ぎながら開廷を待つ姿から、どんな興味深い理論構成を展開なさるのかと期待しておりましたが、風貌に似合わぬ爽やかな弁舌で、至極まっとうな主張をしておられたので、少し拍子抜けしました。まぁ、弁護士は主張内容で個性を出しても金にはなりませんから、それで結構なのですが。

 この方は国家賠償法について重点的に絞って相手方を攻撃。まず、著名な1985年判決(在宅投票制度)での基準について(※国会議員の立法行為であっても、立法内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うような、容易に想定し難いような例外的な場合には国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受ける)、

 「では、本件は『例外的な場合』に該当するのでありましょうか。答えはYesであります」

 すかさず、選挙権侵害は、『憲法の一義的な文言に違反』しているのが明らかで、公選法に不備、つまり、国会の立法行為に不備があった、はなはだしい憲法違反の状態だと主張。
 1984年4月に、在外邦人の投票を認める公選法改正案が提出されたが、86年の衆院解散により廃案となって、その後10年間放置されたという事実関係を指摘しておられました。

 「そもそも、昭和60年判決の規範は適切なのでありましょうか。答えはNoであります」

 憲法41条は、国会が何の制約もなく活動できることを保障しているものではなく、同98条や99条の制約で、憲法を遵守しなければならない。最高裁が今回も昭和60年判決のような極めて狭い基準を採用するのであれば、立法府の怠慢を追認することになり、最高裁の役割を忘れたものといわざるをえない。三権分立の存在を否定し、「憲法の番人」としての役割を自ら抹殺することであると訴えてらっしゃいました。

■上告人代表・若尾氏

 米ロサンゼルスに在住の方。外国に駐在する日本人が急増し、われわれの現地での評価が日本という国の評価につながるような存在である。「日本という国は、外から見たらこう見えるよ」ということを、日本の人たち、また国政にも伝えたいと思っている。

 1996年の総選挙に際して、在外邦人が投票できないという事実を確認するための運動をしてきた。
 (1)投票用紙を配布するよう要求したが、「選挙人名簿に載っていない」との理由で断られた。
 (2)総領事館に出向き、投票用紙の発行を求めたが「そのような事務はしていない」との理由で断られた。
 (3)投票日当日に、浦和市の選挙区で直接交渉したが、やはり断られた。

 私は法には疎いが、法律は完全無垢なものより、現実に即して移り変わるものがいいと思う。それが「自分の社会は自分で創る」という、民主主義社会にあるべき姿であると思う、と話しておられました。


===================

■被上告人・大竹氏
 基本的には答弁書に書いたとおりだが、2点だけ付け加えたい。

・ 平成10年改正前の公選法は、憲法に違反していない。
   一定の期間(3ヶ月間)、一定の住所に居住することを条件とすることは、不正な投票を防止し、混乱をなくすために必要やむを得ない制度である。
   選挙人の調査については職権で行えるが、海外に住む者については、わが国の調査が十分に及ばず、かえって不平等な結果を引き起こすことになる。
   また、在外邦人の投票を認めようとする場合、郵便投票の是非や、二重投票の回避など、さまざまな問題点が生じる。これは国会の裁量事項である。


・ 改正後の現行公選法は、憲法に違反していない。
   選挙区選挙については、候補者の政党や政策などを有権者に十分に周知させる必要がある。選挙運動期間という短い間に、世界中へ散らばる邦人へこれらの情報を知らせるのは難しい。


 

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2005年4月16日 (土)

薬害エイズ報道をめぐる櫻井よしこさん名誉毀損民事(4/14最高裁第一小法廷)

 「憲法の番人」最高裁判所は、けっこう親切だ。意外といたれりつくせり。

 電話で問い合わせてみても、聞いたことを丁寧に教えてくれるし、当日、南門前(一般傍聴入口)に行くと、警備の方から敬礼される。一瞬「びくっ」となるが、話してみると案外きさくな人。「12時半から入場できますので」という説明があったので、それまで適当に時間をつぶすことにする。
 だが、なにせ日本国の中枢地帯だ。気軽に入れそうな店はあまり無く、たぶん近辺で唯一であろうマクドナルドも、昼時と重なってものすごい行列ができている。仕方なく、自民党本部の裏にあるコンビニで、立ち読みしながら12時半を待つことにした。

 傍聴バッヂを受け取って、石造りの階段を上がり、石造りの建物の中へ。東京地裁・高裁だと、バッグは金属探知器に通した上で持ち込めるのだが、最高裁は、筆記具以外の持ち込みは原則NGのようだ。ロッカーも用意されていた。

 警備員の方が、待合場所の階まで誘導してくださって、ひきつづき、もうひとりの係の方が、待合場所まで案内してくれた。
 1時15分。第一小法廷に入廷できます、とのことなので、40人ほどの傍聴希望者が、さらに階段を上がって、ゾロゾロと法廷へ。その途中、あの川田龍平くんの姿を発見。上京して初めて有名人を目撃した私。あんまり有名人と言っていいのかわからないけども。

 他の下級裁判所の法廷は、いかにも蛍光灯まる出しの照明だが、最高裁は違う。いかにもドラマに出てきそうな間接照明の第一小法廷。小法廷というが、東京地裁の101法廷か、それ以上の広さがありそう。
 すでに報道カメラはスタンバイしている。私はほぼ中央の傍聴席をゲットすることに成功。左ひとつ飛ばして隣の席に、川田龍平くんが座っている。

 開廷数分前に、訴訟当事者が入廷。上告人席に櫻井よしこさん、さらにテレビでおなじみの河上和雄弁護士。いっぺんに有名人を見ることができ、すでにお腹いっぱいのところに、すかさず中央の門から最高裁判事が入廷。全員が起立して一礼。

 裁判長は「最高裁 忘れたころの 棄却判決」の名句でおなじみ、弁護士出身の才口千晴判事。その両脇を固めるのは、島田仁郎判事と、最高裁にいらしてから急にリベラル寄りになったと噂の泉徳治判事。

 真ん中の傍聴席をとれたはいいが、真ん中だと、中央にお座りの才口裁判長の顔を見づらいことにまもなく気づく。とにかく、前に座っているオッサンの頭がジャマなのだ。各裁判官の表情を見たいのだが。

 ほぼ静止画に近いであろう、2分間のVTR収録タイムを終え、才口さんから「お待たせしました。開廷します」の声。いよいよ1時32分に審理開始。


刑法 第230条(名誉毀損)
1 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(※以下略)

刑法 第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
1 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
(※以下略)


最高裁1969(S44)/06/25大法廷判決
 刑法第230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実だと誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、故意がなく、名誉毀損罪は成立しない。


 名誉毀損罪は、相手の社会的評価を下げるに足りる言動であれば、その内容がウソだろうとホントだろうと罪になります。それが原則なんですが、ホントのことを言った場合には例外がありまして、「真実性」「公共の利害に関わる事実」「公益目的」という3要素を証明することに成功すれば、違法性が無くなり、不可罰となるわけです。

 しかし、「真実性」を証明するのが、かなり困難な場合があります。あるいは虚偽の事実を真実だと勘ちがいして伝える場合もあるでしょう。そんなときは、確実な資料や根拠に照らして、その勘ちがいに「相当の理由」があれば、やはり免責されるというのが判例です。

 そして、この法理は、民事の損害賠償にもほぼあてはまるようでして、真実性ほかの3要素を証明できれば、原告の請求は棄却されますし、誤信の「相当性」が認定されても、やはり棄却されることになっている模様です。

 被告・櫻井よしこさんは、ジャーナリストとして、原告・安部英(この人は、刑事訴訟では被告人なので、ややこしいですが)氏の『不正』を暴こうとしました。ご存じのとおり、安部氏は、帝京大学医学部長・副学長まで登り詰めた、わが国での血液学の権威。問題となっている1983(S58)年6月から1984(S59)年3月までは、当時の厚生省に設置された『エイズ研究班』の班長を務めていました。

 そのころ、エイズという奇病が報告されるようになり、世間でも騒がれました。このウイルスは、血液などの体液を介して感染するというわけで、人間の血液を原料に作られた血液製剤を血友病などの患者に投与すれば、当然感染のリスクがあります。
 それで、製剤をあらかじめ熱処理してウイルスを死滅させる『加熱製剤』に、できるだけ早く切り替える必要があったわけです。

 しかし、この加熱製剤については、ミドリ十字という製薬会社だけ、開発に遅れをとっていたといわれています。当時、ミドリ十字の製品は、国内シェアのかなりを占めていたようで、加熱製剤の販売で出遅れると、会社としても手痛いダメージとなります。

 そこで、ミドリ十字は、『エイズ研究班』班長という立場の安部氏に、その権限で各製薬会社の加熱製剤の出来具合をチェックする『治験』という手続きを遅らせてほしいと頼み込んだとされています。しかし、『治験』をミドリ十字に合わせて遅らせれば、加熱製剤が世に出回るのも遅れるわけで、その間にも、非加熱製剤を投与された、血友病等の患者の間にエイズウイルス感染者が増えていくことになります。

=======【被告著作中より】
 「ミドリはうんと遅れてたんだ。トラベノール(※外資系製薬会社)はもうずうっと前からやっていたんだ。だから差がつくわけだ」「治験をやるのは僕らだからね。向こうが急いでやってこられたから、僕がちょっと調整する意味もあった」
=======

 そして、治験の時期、安部氏は財団法人「血友病総合治療普及会」設立の資金として、各メーカーから寄付を募っていたとされています。

=======【被告著作中より】
 一体いかほどの資金提供を受けたのか。通帳を確認する姿が幾度となく目撃されたのは、継続的に資金を受け取っていたということだろう。
 …資金提供を受けていたから、どの社も落ちこぼれないように治験を遅らせた安部氏は、一体いかほどの金に染まって医師の心を売り渡したのか。
=======

 この著作の内容が原告の名誉毀損だとして1000万円の損害賠償を求めて訴えを起こされているわけです。一審は請求を棄却したのですが、二審で逆転。400万円の賠償を命じられています。

 

 

 上告代理人は、原審(東京高裁)の判断について、相当性の判断について認定が厳しすぎ、実質的に無過失責任とするもので、しかも、真実性・相当性について書いた側に立証責任を負わせるのでは、言論を萎縮させるものと批判。ある情報が社会的に重要なものであれば、その注意義務は軽減されてしかるべきと主張した。
 もうひとりの代理人は、原判決は、一ジャーナリストに検察官なみの証拠収集能力を求めるものだと批判。証拠の証明力にはそれぞれ差があるのだから、原判決には不合理な決めつけがあり、膨大な資料のこまごました細部に目を奪われたもので、木を見て森を見ずと言わざるを得ない。論理的思考の基本を忘れていると主張。さらに具体的に踏み込んで、上告人は「エイズ」という言葉じたいが忌み嫌われていた時代に、エイズ患者や製薬会社と対面して取材している、と「相当性」の要件を満たすことを強調した。
 最後に、本件をただちに収束させてほしいと裁判長に訴え、審理差し戻しの無いよう、クギを刺した。

 横に目を向けると、川田龍平くんが、懸命にメモにペンを走らせている。よーし、オラだって負けねぇぞー。

 そして、櫻井よしこさんが口を開く。
 当時は薬害エイズに関する取材が困難で、厚生省は「資料がない」といい、多くの取材対象は逃げていった。これを名誉毀損とするなら、真実をえぐりだす、他にどんな道があるというのか。社会の暗部に斬り込む者たちを封じ込めようとする、いかなる国家も健全ではありえない。それは「言論の死」を意味するもの。
 これは私個人の問題ではなく、ジャーナリストの未来、情報を共有するこの国の未来がかかっている。

 安部氏は刑事裁判の最中であり、裁判にかけられる者の気持ち、その負担の大きさは分かるだろう。記者も同じなのだ。

 被上告人の弁護団たちは、名誉毀損訴訟を乱発しており、このような態度を憎むものである。最高裁の裁判官の皆さんには、差し戻しのないようお願いしたい。


 最後に、被上告人の代理人による弁論。
 上告人の著書の、普通の読者であれば、ミドリ十字が金銭を譲り渡したとして受け取るだろう。そして、治験を遅らせた理由が安部氏の権力欲にあると。しかし、そこに真実性の証明はなく、論評としても書いてはならないものだ。
 相当性についても、十分に高度なものが求められるべきで、客観的に一定であるべき。フリージャーナリストであることは理由にならない。検察官でもしないような表現を使って被上告人を追及し、それで名誉と収入を得た。一方で、被上告人はそれで職を追われることになった。

 これで40分ほどの弁論は終了。才口裁判長は、判決期日を6月16日の10時30分と指定し、閉廷した。

 あぁ、メモの字が汚い…。自分で書いておきながら解読不能な文字がかなりあったことを付け加えつつ、これを初めての最高裁傍聴録といたします。
 これから、メモの練習でもしようかいな…。



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2005年1月29日 (土)

二兎を追う者、傍聴できず

 去る水曜日は、例の最高裁大法廷と、桶川ストーカー殺人事件の捜査怠慢国家賠償請求訴訟の控訴審という、大きな判決が重なった日でもありました。前者が3時から、後者が東京高裁で1時半から。こんな社会的に影響ある判決を傍聴しようとするのは初めての田舎者で、勝手が分からず、10時前に東京高裁に到着したんですが、傍聴券の配布はすでに締め切られていた模様。午前中は通常の刑事公判を4件ほど傍聴してました。それで、12時半頃から、裁判所の正門前に突っ立っていました。寒かったんですけどね。

 すでに早くから到着していたのはテレビ朝日のクルー。早くも正門の脇に小さな脚立を組み立て始めています。そして、「君が代不当解雇裁判」の運動の方々が、のぼりを立ててビラを配っておられる風景が。その後、日テレ、テレビ埼玉と続々到着します。気のせいか、NHKは取材クルーたちの背後で遠慮がちにしていました感じ。
 フジテレビもいつの間にか到着。1時に読売新聞の取材陣の姿が見え、これらのメディア・スクラムが、ちょっと物々しいムードを醸し出しています。

 1時10分ごろ、国家賠償を請求して闘争中である遺族の方々が、被害者の女子大生の遺影を胸に裁判所に入る様子を撮影することに。そこで、マスコミの方から「ちょっと道を空けてください。のぼりも下げてください」という声が、「君が代不当解雇裁判」のメンバーたちにかかります。

 それを受けて、メンバーの代表の方(「不当解雇」されたという元高校教諭)が、その通りに指示されたんですが、その方、冗談交じりの感じではあったものの「せっかくなら、のぼりも映るように撮ってくれればいいのによぉ」「後ろから一緒に、のぼりを持って歩いてこようか」などと談笑していました。その横で私は失笑。桶川では、ひどい中傷を受けつづけた中で、人がひとり殺されているというのに、そのデリカシーの無さは何だ、と思いましたけどね。本当は、失笑することも不謹慎です。

 そんなこともあった後、徒歩で最高裁へ向かいました。路上に見える行列に並ぼうとしたんですが、これはすでに傍聴くじに当選された人たちの列だと警備員に説明されて、思わず傷心する私がそこに。そばにあった「当選発表」の掲示を見ると、ざっと1.5倍から2倍くらいの倍率だったようで、もし間に合っていればあわよくば、という感じでした。
 しょうがないので、最高裁の向かいにある国会図書館で調べものをすることに。そこで、今回の外国人管理職登用拒否訴訟の2審判決全文をゲットしましたので、それを踏まえつつ、今回の大法廷判決について考えたことを次回アップしてみようと考えています。
 やっぱり、判決全文を読んでみると、受ける印象が少し違いますね。前回は、手元のアンチョコ本で解説を済ませてしまい、どうも申し訳ございませんでした。(反省)

 それとですね、近日中にメールマガジンを発行することにしました。題して「裁判3分クッキング」。お代はいただきませんので、ぜひ皆様、購読予約などしてみてくださいませ。
 この私、司法試験の浪人時代にもメールマガジンを発行していたんですが、当時はとにかく時間がないのと、内容の完成度が低いのとでですね…。結局メルマガを3つ潰してます(笑)。今回こそは軌道に乗せたいものです。

 


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