2007年12月 3日 (月)

本来の「ビジネス弁護士」?

 昨日の続きです。

 社会的に追い詰められた人に手を差し伸べて、自分を犠牲にし、すべてを投げ捨てたはいいが、大きなストレスを抱え、それでもかろうじて精神的な支えになってるのが、弁護士としてのプライドだけ…… という人たちは、ハッキリ言ってうっとうしいです。

 それは「自らが努力したり苦悩している姿を、あちこち平気で見せびらかす作家やクリエイター」にも通ずるうっとうしさですね。 そんな人の作品は、純粋に楽しめないでしょ。

 ただ単に好みの問題かもしれませんが、同じ「人権活動」なら、優しさと逞しさを両方兼ね備えるかたちで継続させているほうが、個人的にずっと尊敬できますね。

 大企業を相手にビジネスローヤーとして腹いっぱい稼いで、他方で、稼いだぶんを採算が合わせにくい業態(刑事弁護や行政・労働事件など?)にもまわすという手もあります。 ……わりとオーソドックスでしょうか。

 でも、「人権活動」そのもので採算が合うようにして、むしろ拡大路線にすら乗せてしまうほうに魅力を感じます。 そういう驚異的な弁護士さんこそ、本来は「ビジネスローヤー」の名に値するのではないでしょうか。

 そんな法律事務所があったら、ぜひご一報ください。 「すげぇすげぇ」と言いながら、24時間追いかけまわしたいですねぇ。

 これから弁護士業界で競争が激化していくにつれ、今まで清貧的・自己犠牲的・孤高の感じでやってきた分野にこそ、きっちりチームを組み、クールに黒字を出していく弁護士法人は求められるべきだと思います。

 具体的なアイデアについては、私もこれから勉強したいですが、偉い人が決めた答えに向けて、即興で寄り添ってみせる司法試験とは、違うアタマを使って考える必要があります。

 ひとりの依頼人からガッポリお金を取ることもできないでしょうし、今の段階で思いつくとすれば、全国各地を細かくネットワークでつないで、その種の事件に巻き込まれた大勢の依頼人を集約させることで、一人あたりにかかる経費を削減する「薄利多売」にも似たビジネスモデルでしょうか。

 ただ、ケータイ料金じゃあるまいし、安けりゃいいってもんじゃありません。 いくらなんでもマズいですよね。

 それぞれの依頼人としっかり向き合い、「しっかり働いてもらった」と納得してもらえる態度も必要です。 そのへんの「顧客満足」要素との両立という、きわめて難しい課題を突きつけられることになります。

 まぁ、経営学に詳しかったり、企業経営の実践に長けた人も含めて、年間3000人合格させてるうちに、さすがに1人ぐらいは混じってそうですけど。 そうした問題を解決してみせる「完全体弁護士」の卵が。

 こんなこと書いていると、「オマエがまた司法試験受けろよ」とか言われそうですが…… カンベンしてください。 もう、あの試験に振り回されるのはコリゴリです。

 私に弁護士の適性はありません。 その事実を、すでに心身ともに痛感させられております。 しっかりした適性を持つ人々に、願いを託すしかないのです。

 外野から勝手なことを書いているのは重々承知しております。

 弁護士の個性に依存する「人権活動」なんて…… もちろん全く無いよりはましですし、見る人が見れば美しいんでしょうが、行き着く先は無責任だと思いますね。 弁護士という業界全体の将来を考えるうえでは。

 たぶん、自分に「正義」があると信じこめる人たちでしょうし、その正義に対して反対意見を言う者を、無条件に不正義とみなして、黙殺か逆ギレでもしてきたんでしょうが、一度、どう落とし前をつける気なのか尋ねてみたいものです。

 困っている人のために私財を投げ打つ、どんなに優しさあふれる弁護士だって、いつかはお亡くなりになるのですから。 そしたらどうするんですか? その後は。 素朴な疑問です。

 お金は、物事を継続させていくための基本要素だということを、前回に強調した真意は、そこにあります。

 以前に載せていた、私の妄想らくがきである「巣鴨とげぬき法律事務所」の図を再アップすることにしましたけど、「庶民の味方」を本気で名乗りたいなら、まず商店街の中、それも1階に事務所を構えてみてはと。
 

Lawfirm_2

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2007年12月 2日 (日)

私が、裁判官よりもツッコミ入れたい人たち

 昨日は、「日本裁判官ネットワーク」の会合に招かれ、「『裁判官の爆笑お言葉集』をめぐって」というテーマで話をさせていただきましたが、途中で何を話せばいいのかわからなくなり、設定時間を大幅に残しての「ギブアップ」となってしまいました。

 そのぶんだけ、会場からの質疑をたっぷり頂戴したのですが、事前に覚悟していたほど、意外とキツいことは言われませんでした。(単に鈍感なだけかもしれませんが)

 それどころか「一貫して温かい」「よく勉強している」なんて、お褒めのお言葉をいただいてしまいましたよ。 ありがとうございます。

 いずれも、お言葉集のなかで発言を紹介させていただいた裁判官の方からのコメントです。

 また、日本裁判官ネットワークの刑事裁判官は、法廷での説諭に、それほど重きを置いていないという、興味深い事実もわかりました。 判決後のお言葉一発で感銘を与えるのでなく、もっと裁判全体をもって配慮しようということのようです。

 「気持ち」が大事なのだと。 そのご主旨はわかりますが、どんなに温かい気持ちを持っていても、他者からは「発言」や「態度」からしか、裁判官のお気持ちを感じ取ったり推測したりすることはできないのです。 そのへんの事情はおそらく、被告人にとっても同じでしょう。

 「採りあげているのは刑事裁判ばかりで、民事裁判での『お言葉』が少なすぎる」というご指摘や、「もっと印象的なお言葉を発しつづける裁判官は別にいる」というツッコミも。

……うーむ、次はどうしよう。 第2弾の方針に関して、修正の検討が必要かもしれません。

 「裁判官の言葉を脚色したりしてないのか」というご質問もありましたが、私が意図的に手を加えなければ興味が湧かないような言葉なら、初めから載せません。 ほかにも候補はたくさんあったのですから。

 書名にある「爆笑」の2文字には違和感がある、という感想は大勢を占めていましたね。 そりゃそうでしょう。 私自身が未だに納得できてませんし。 どうにか納得しようと努めてはいるつもりですが。

 幻冬舎社長の見城さんがおっしゃるには「顰蹙は買ってでもしろ」ということのようですから、世間から顰蹙を買う書名を付ける行為というのは、そのお言葉にかなうわけです。

 ただ、幻冬舎以外の人々まで巻き込んで、しかも何も釈明しないまま「名付けっぱなし」というのは止めてもらえないですかね。

……なるほど、これこそが顰蹙を買うということなのか。 なんだかメタな感じだ。

 会場には、弁護士さんも参加してらっしゃいましたが、その一部からの質問が気になりましたね。

 

 「民事裁判では、法廷より、和解の場での裁判官の言葉が、当事者にとって効果あるのだ」と、某弁護士。 その後に、革新系の政党がどうのこうのと付け加えてましたが。

 ただ、それで私にどうしろと? 和解室は非公開で、一般人の傍聴は許されませんよね。 単に「オマエが見られない場を、私は見られるのだよ、フフフ」といった、特権意識に基づく、マト外れな自慢話にしか聞こえません。

 それに、企業法務部に勤める友人の話によると、和解の場で妙なことを言い出したり、あからさまに面倒くさがったりする裁判官も、ちゃんと存在するとのこと。 だったら、和解だけが特別じゃないでしょう。

 別の方は、のらりくらりと同じコトを繰り返し述べる堂々めぐりで、何をおっしゃいたかったのか見えなかったんですけど、その断片を総合すると、おそらくは「ナガミネさんは裁判官をネタにして本を売っているが、いずれナガミネさんがネタにされるかもしれませんね」と、私に警告したかったようです。

 どうぞどうぞ。 そんな原稿を面白く書けるもんなら、そんな本の出版企画が通るんなら、いくらでも世に出していただけば結構です。 きっとガッポリ稼げますね。

 ただ、妙な意趣返しなど、そういうつまらない意図や発想は、読む側にも必ず伝わります。 あんまり世間を軽く見るのは、やめたほうがいいですよ。

 しかも、いずれの弁護士も、「あなたの本を買ってませんし、読んでません」と前置きしてのお言葉です。 それ、わざわざ言う必要あります?

 どうにか私に対して突き刺さることを言ってやりたいと、いろいろ涙ぐましく考えをめぐらしておられたのでしょうが……。

 いくら「30万部のベストセラー」と周りが持ち上げたところで、裏を返せば、日本の400人に1人がお買い上げくださった計算です。 買っても読んでもいない人が圧倒的多数なんですから。

 こないだも、ある弁護士さんから「こんな本が、なんで売れるんですかねぇ」という感想メールをもらったりしましたが、どうも私に対して突っかかってくる弁護士さんが散見されます。

 司法試験の競争で蹴落とした人間を、今まで能無しだとナメ続けてきたことの反動でしょう。 きっと。

 たまに「世間知らずの裁判官が多い」と主張するメディアはありますが、もしかしたら、バランスを喪失した「世間知らず」は、むしろ弁護士の方に多いのかもしれません。

 具体的な切り口は思いつきませんが、いつかは弁護士について書かなければならないようです。

 ただ、弁護士業界は一枚岩ではないので、まとめてネタにしたら無理が生じるでしょうね。 たとえば刑事弁護人と渉外弁護士では、やってる仕事がまるで別の業種といえるぐらい懸け離れてますし。

 半年前にテレビで共演させていただいた八代英輝弁護士は、私のおぼつかない発言を逐一フォローしてくださったり、本当に気配りのできる温かい賢者でした。

 「絵に描いたようなエリート肌で、イケすかねぇなぁ、渉外弁護士さんはよぉ」という漠然としたイメージを、完全にブチ壊されましたね。 今年の6月13日は。

 八代さんは「お言葉集」を2冊買ってくださったそうですが、だから褒めてるわけでは決してなく、ビジネスの論理で動ける人のほうが、モノの見方が客観的だし、決めつけた口調で独善的な物言いをしないし、話は噛み合う気がします。

 ビジネスに限らず、お金は、物事を継続していくための基本的な道具。 お金にばかり執着する人生も可哀想ですが、国家資格にあぐらをかいて金儲けを平気で軽んじる人も気の毒ですね。

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2007年9月 3日 (月)

“就職できなかった弁護士”に、期待を寄せたい!

 先日、某出版社から「『弁護士お言葉集』を書きませんか」という打診があったのですが、丁重にお断りして、別の企画で進めさせてもらうことにいたしました。

 だって、現代の弁護士の言葉を取り上げて、面白いと思います?

 誰かが与えてくれたメニューから人生の進路をチョイスし、何年か先の転職のことを考えながら就職し、ちょっとした困難にぶち当たったときは、まずコネ(他人の頭脳)を使って乗り切ろうと発想する連中をインタビューしたところで、「人々の心を響かせるお言葉が返ってくるはず」と期待するほうが無茶です。

 そのうえ裁判官と違って、すでにテレビ番組や注目の法廷などで活発にあれこれ発言しておられる方も多いですし、いまさら弁護士が「犬のウンコ」とか「ど変態」とか言ってみたとしても、たいしてインパクトないでしょ。

 

>>>「司法試験合格者3千人、多すぎる」 法相が「私見」

 司法制度改革の柱として司法試験合格者を年に3000人程度に増やす政府の基本方針について、鳩山法相は31日、報道各社によるインタビューで「ちょっと多すぎるのではないか」との見解を示した。法科大学院の現状についても「質的低下を招く可能性がある」と述べ、現在の政府の計画に疑問を呈した。

(※中略)

 法曹人口を増やすために新設された法科大学院についても「法科大学院の発想は(修了者の)半分か、半分以上が法曹になるというもの。検事や裁判官も含め、格別に難しい試験を通った人だから信用しようという考えが、我が国にはある」との考えを述べた。 2007年08月31日 (朝日新聞)


 なるほど……。 だったら、法務大臣になるのも「格別に難しい試験」を課してからにしましょうか。

 あ、どなたかと思えば、第2次安倍内閣、新法相の鳩山邦夫さんじゃないですか。 はじめまして。 今後の動向によっては、ついついツッコミを入れてしまう場面があるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 

 これから弁護士になるのは、ますますお金がかかって仕方がないみたいですね。 まぁ、旧司法試験を受け続けるのも、かなりの経済的な負担がありました。

 まずは予備校の基礎講座受けて、年中行事の答案練習会やら模試やら、あるいは苦手科目や改正法の特殊講義などをそのつど受講してたら、びっくりするぐらいお金が飛んでいきます。

 司法試験予備校も、かつらや美容整形、ダイエットなどと同じく、一種のコンプレックス産業ですから、そのへんは抜け目ありません。

 あまりにお金がかかるので、母校にある「松法会」という司法試験の自主勉強会の門をたたいてみたことがあります。 たしかに答練も模試もゼミもやっとるし、受験生の同志もたくさんいて楽しかったのですが、やはり人員もお金も潤沢にある司法試験予備校と比べたら、さまざまな面でクオリティが劣ってしまうのは、致し方ないところでしょう。

 ただ、結果として挫折するんなら、どっちでもかまいません。

 受験生によって個人差は大きいでしょうが、私の場合、出費はわりと抑えたほうだと思います。 それでも、司法浪人中の7年間でトータル200万円弱は注ぎ込んだでしょうか。

 大半は両親に負担させてしまったので、今後の親孝行は大変ですけど、本が売れたので幸いにも助かっています。

 

 

 新しい制度では、法科大学院を修了して法務博士号を取らなければ、司法試験の受験資格はありません。 法律家が全員ドクターという、いよいよ身もフタもない時代の到来です。 ちなみに、医師(ドクター)は、医学部を卒業しただけで博士号(ドクター)をもらえるわけではありませんけどね。

 ドクターはドクターでないのに、法科大学院を出たらドクターという…… しかも法科大学院を出た法務博士は、博士論文を書いた法学博士とは扱いが区別されるといいます。 じゃあ、最初から「博士」と名づけなきゃいいのに。 なんだか難しすぎる仕組みです。

 これから弁護士になりたい人は、まず適性試験というのを受けるにあたって予備校に通い、法科大学院の入試に受かるまで予備校へ通いつめ、法科大学院に合格したら2年から3年通って、年間100~200万円ほどの授業料を上納するそうですね。

 もちろん、司法試験の受験準備のため、大学院の放課後は相変わらず予備校に通うわけです。 並のポテンシャルでは、カラダもサイフももたないことでしょう。

 あとは、司法試験を受けるにあたって、出題・採点する考査委員の皆さんにも、いくらか包まないといけませんよね。 便宜を図っていただくんですから、先方さまにもそれ相応のメリットが要ります。

 そうですねぇ…… 考査委員のジィさんバァさんたちが、ちゃんと老後を健やかに過ごせるよう保証すべく、一人あたま5千万~1億は握らせる必要があるでしょう。 あとは、自分の答案だと判別できるよう、なにか答案用紙に印を付けておけばOKです。

 もちろん、人一倍お歳を召されている委員については、残された人生が少ない関係で、渡す額も少なめでよかろうと思いますが、今、考査委員って何人ぐらいいますかね? だいたい200人ぐらいですか?

 とすれば、確実に弁護士になるには、ざっと100億ぐらいの出費を覚悟しなければなりません。 「弁護士業が、ボンボンやお嬢様の道楽になってしまう」といわれるゆえんです。

 もちろん、出費を抑える方法はあります。 法科大学院によっては、合格者輩出の実績をつくらんがため、模擬試験の問題を通して、本試験問題をタダで漏らしてくださる先生がいらっしゃいます。 なので、そういう先生方が揃っている法科大学院に通えば、ワイロをいくらか節約できますよね。

 ただ、そんな手っ取りばやく合格させてくれる法科大学院は、要領のいい法曹志願者からの人気を集めてますから、受験競争も激しいですし、本試験情報リークの付加価値があるぶん、授業料が吊りあがってしまうことも予想されます。 ただ、これも市場原理のあらわれですから仕方のないところです。

 

>>> 司法修習生、就職先未定が100人超す 日弁連の調査

 来月から年末にかけて修習を終える司法修習生約2500人のうち、現時点で少なくとも100人以上の就職先が決まっていないとみられることが日本弁護士連合会の調査で分かった。例年なら行き先が固まっている時期だが、今年は、司法制度改革で司法試験合格者が増えている影響で、当初から「就職難」が予想されていた。調査結果は懸念を裏付けた形だ。 (朝日新聞)2007/08/26

 このニュースは朗報だと思いますね。 一筋の光が見えてきましたよ。

 「順当エスカレーター」に乗り遅れてしまい、取り残された100人超の「就職先未定」となった皆さんに対して、私はひそかな期待を寄せています。

 なぜなら、史上はじめて、しょーもないエリート意識を削ぎ落とした弁護士が、この国に誕生する可能性が出てきたからです。 私は、彼ら彼女らを勝手に「オルタナティブ弁護士」と呼ぶことに決めました。

 従来のオーソドックスな弁護士さんも頭脳明晰な方々ですから、社会的に立場の弱い人たちのことも、いちおう想像力で把握しようとなさるのでしょう。

 しかし、オルタナ弁護士の皆さんは一味違います。 想像力なんか持ち出すまでもなく、現に自分たちが弱い立場へと放り出されているからです。 リアルに。

 とすれば、人生に行き詰まった依頼人の気持ちも、その身体と気持ちで丸ごと理解することが可能でしょうね。

 

* 「むしゃくしゃして、ついやってしまったんです。 申し訳ありません! これでも反省してるんです!」

* 「オトコって、なんでいつもこうなの? どうして私だけ幸せを掴めないんだろう」

* 「明朝までに150万用意できないと、手形が不渡りになるんです! 先生、なんとか従業員を救ってください! なんでもしますから!」

 

……といった、せっぱ詰まった民衆からの悩みを大きく包み込み、自らの体験をもとにアドバイスできるだけの、度量や強靭さを身につけています。 オルタナさんは。

 人間、追い込まれないと本領を発揮できませんし、試行錯誤の工夫もしたがりません。 その点、既存の受け入れ先から見放され、完全に金づるを絶たれたオルタナ弁護士は強いですよ。 「窮鼠猫を噛む」思いでしょうから。

 もはや、イチから法律事務所をつくって、各方面へアグレッシブに営業を仕掛けるぐらいしか道はありません。

 「どうせ作るなら、考えうる最高の法律事務所を立ち上げよう」という、その無謀きわまりない試みは、退屈きわまりない法曹界の中でも異彩を放ちます。 きっと「依頼人本位」を意識した施策を次々と打ち出し、なんとか経営を維持しようとすることでしょう。

 「依頼人本位、顧客満足という市場原理に基づく発想は、弁護士業界を過当競争に巻き込み、従来の『良心的』な弁護士を駆逐するおそれあり」と考える人もいるかもしれませんが、それはそれで程度問題ですよね。

 今までの弁護士業界が長い間、受け身の殿様経営でお茶を濁してきたために、あくまで反作用としてオルタナ弁護士が新たな動きを見せるにすぎません。

 

 弁護士という職業の持つ醍醐味のひとつに「契約さえ結べば、誰の味方にだってなれる」という要素がありますよね。 権力者から大企業、各種有名人、犯罪者に至るまで、いろんな立場で知恵を絞れる仕事は楽しかろうと思います。

 とはいえ、周囲から話を聞くと、特に現在の弁護士志望者たちは「勝ち馬に乗ろう」「長いものに巻かれよう」という発想で凝り固まっておいでの方が、明らかに増えているそうですね。 とりあえず「力を持ってる人が大好き」という、わかりやすい傾向が見られます。

 もともと司法試験(殊に短答試験)が、「合格経験者の多数派解答」という名の勝ち馬に乗るテストですから、そうした訓練の賜物ではあるのですが。

 もちろん、「つねに弱者の味方たれ」なんて説教する気は最初からありません。 社会的地位が盤石な者のそばにベッタリ、足元が擦り切れるぐらい立ち続けるのも自由でしょうよ。

 ただ、そういった類の弁護士たちの態度は、着実に世の中を「つまんない方向」、ひいては「気持ち悪い方向」へと向かわせていますね。

 勝ち馬から振り落とされる恐怖におののき、必死でしがみついていたいのは結構です。 とはいえ、弁護士もいちおう国家資格ですから、社会全体のバランスやダイナミズムを無視してまでやるこっちゃないでしょ。

 えーと、弁護士バッジの中央に描かれているモノって、何でしたっけ? あいにく私の手元にはありませんので、弁護士さんは各自で確認していただきたいと思います。

 


 法曹界ではかねて「2007年問題」として就職難を危ぶむ声が高まっていた。合格者は10年には3000人に増える見通しで、来年以降はさらに深刻になる恐れがある。
 このため、日弁連は全国の弁護士事務所のほか、企業や自治体などにも雇用を呼びかけ続けている。弁護士業務総合推進センターの副本部長を務める飯田隆弁護士は「昨年末時点では最悪で500人が就職できないとみていた。全国の弁護士会を通じて雇用を働きかけ、最終的に40~60人程度に収めたい」と話している。 (同上)



 「最悪」でも「深刻」でもありません。 もうねぇ、放っときゃいいんです。

 オルタナ弁護士へと変貌するポテンシャルを秘めた人材を、わざわざ減らすこともないでしょ。 よけいなマネすんな。

 法曹、特に弁護士というのは「ズル賢いお人よし」でなければならない、というのが私の持論です。 頭が切れるだけじゃ頼れませんし、優しいだけじゃ使えません。 最低でも、これら両方を兼ね備えているのが「オル弁」だとお考えください。

 もし、このたび就職しそびれた弁護士の中に、「生まれてきた時代が悪かったんだ!」と、世の中を恨んでみたり、「とりあえずカネが要る!」と、やばい道に足を踏み入れたりする輩がいたならば、そりゃ彼らは、その程度の人材でしかなかったということです。

 ただ、年間3000人も合格させてたら、さすがに1人や2人は「オル弁の卵」が混じってるはずでしょう。 もし、いつまで経ってもゼロのまんまなら、それは選抜試験のあり方のほうを疑うべきかもしれません。

 ニッポンのどこかで、逆境から這い上がった掃き溜めのツル…… そう! つまり、真の「オル弁」が出現したなら、私は真っ先にお話を聞かせていただきたいですし、経営などの面でお困りなら、いくらか支援してもいいと思ってます。

 日頃から、冗談やイヤミしか書いてませんので、「ひょっとして、これもナガミネ流の皮肉か?」と捉える向きもあるでしょうが、なにを隠そう、ここだけは本気なんです。 「ここだけは」って何だ。

 

 「オル弁」の活躍を下支えする…… そんな日が来るのを夢見て、私は物書きとしてもっと稼いでいかなきゃなと思いますね。 そして今日も、次回著作の原稿がまるで進まないまま、こうしてブログで現実逃避しております。

 一番「つまんない」のは自分やな。 そう痛いほど感じつつ。

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2006年6月 4日 (日)

最高裁弁論の「ドタキャン」を擁護できるか

((参考過去ログ))

どのツラさげて来るのカナ?(2006/04/17)

最高裁ドタキャン弁護士 安田好弘さんの基礎知識(2006/03/24)

待てど暮らせど来ぬ人を……(2006/03/17)

 

 山口 光市の母子殺害事件 上告審弁論に関連して、マスメディアがあんまり「最高裁ドタキャン弁護士」たちを吊るし上げて叩きまくるので、その反作用を打ち出してバランスを保とうとしてか、「擁護論」がふつふつと湧き上がっているようですね。

 あの件で、安田好弘弁護士と足立修一弁護士をかばう声が噴出してくるとは、正直申し上げまして予想外でした。 このブログでは、そういった声への対応については、手薄のままで放置しておりまして、反省しております。

 この問題を論じるにあたって、たしかに最低限の情報収集は必要となるでしょう。 ただ、関連情報をどれだけたくさん集められたかは、問題の性質上、そう決定的な要素にはならないだろうと考えます。
 最高裁に呼ばれたのに、約束の日に法廷へ出てこなかった。 その事実に間違いは無いわけです。 ならば、不出頭の弁護人らに弁解の可能性があるとしたら、それは何なのか。 むしろ、そこを重点的に掘り下げて検証していくべきではないでしょうか。

 まず、「弁論の準備期間が足りなかったこと」と「期日に出廷しなかったこと」は、別々に考える必要があると考えます。 弁論の準備期間が足りなかった事実が、即「ドタキャン」の正当化に直結するとは思えないからです。

 今回の件は、なにも「弁護人を安田氏と足立氏に交替せよ」と、裁判所が強制的に命令したわけではありません。 弁護側からの申し立てによる交替なんです。 しかも、昨年12月6日の時点で、『翌年3月14日』に弁論の機会を与える、ということが、すでに最高裁から通告されていたのです(この私ですら、昨年の時点でスケジュール帳にメモしておりました。弁護人両名もご存知だったと考えるのが自然です)。

 これが、昨年12月の段階で、たとえば最高裁が『弁論やるぜ!! 正月明けやけど』という指定をしたなら、たとえ弁護人の交替がなかったとしても乱暴ですね。

 通常なら、相手方の言い分を整理したり、有効な反論のために客観的な資料を集めたりするには、10日とか2週間とか、それぐらいの準備期間が与えられるでしょうか。 ただ、この件の場合は、一審で死刑が求刑されたほど社会的に問題視された殺人事件であり、しかも上告審です。 間もなく最終決定に至る、たいへん重要な段階です。

 なのに、仮に「1ヶ月で仕上げろ」と、最高裁が強引に突っぱねていたのとしたら、ひどい話ですよね。 「そんなに急では、防御の策を用意するいとまが無い」との同情を寄せる余地は十分にありそうです。 しかし、実際には3ヶ月以上の準備期間が双方に設けられたわけです。

 3ヶ月あっても「足りない」とは、なかなか言い出せるものではありません。 この国に近代的な司法制度が導入されて以来、弁論を行うことが最高裁に予告されたなら、訴訟当事者は皆、その期日に間に合わせてきたのです。 それでも「時間が足りない」というのは、「自分の能力が足りない」ということの自白に他なりません。 なので、法律家は誰も、口が裂けても「足りない」とは言えやしないのです。

 とはいえ今回は、弁護側が「弁護人交替」を、3月6日に正式に申し出て、その交替の理由として「時間が足りない」と書いて寄こした事案のようです。 もちろん、安田氏と足立氏は、法曹としての能力は人並み以上のものをお持ちでしょう。 それでも「時間が足りない」のだと。 まぁ、あと8日間しかない、ということですからね……。
 ただ、遅くとも弁護人を替わった時点で、ご両名は3月14日という「締め切り」を認識し、その締め切りを覚悟の上で後任を引き受けた、と見るべきです。

 一部には、昨年12月の時点で実質的な弁護人の交替があって、すでに両名は水面下で動いていた(単に届け出が無かっただけ)との指摘もあるようです。 だったら、なおのこと、準備を整える期間は十分にあり、むしろ、「延期」を申し出る口実として、弁論の前週まで交替の申し出を保留したことになります。 その点において、ますます批判は免れないでしょう。
 もし、これで延期が認められるなら、弁論期日が近づくごとに弁護人を次々と交替させていくことで、弁論期日や判決言い渡しを永久的に回避できるようになりませんか。

 整理しますと、今回のドタキャン騒動と、弁護人が途中交替していた話は、いくらか関係がありそうに見えて、じつは関連性など無いんじゃなかろうか、との疑念に至るわけです。

 

■ 弁論の準備期間は不足していたか? それは誰の責任か?

 
(1) もしかすると、前任者のもとでは任務が継続できない、なにか、やむを得ない事情でもあったのか。
  

(2)-1 仮に、やむを得ない事情があったとして、なぜ、それを公開法廷で堂々と弁明しなかったのか。弁護人の交替について、もし、やむを得ない事情があったのなら、その旨の主張がどこかでなされるのだろうが、現時点では見つからない。 (※事情に詳しい方、ぜひ情報をお寄せくださいませ)
 

(2)-2 仮に、交替につき、やむを得ない事情が何もなかったとして、二審判決から3年以上の時間が経過していたにもかかわらず、なぜ交替があの時期だったのか。 上告審の準備期間は、それまでにいくらでもあったのではないか。 それとも、二審判決の「無期懲役」のまま確定するものと、楽観していたのか。

(3) 弁護士さんの業界はどうなのか不明だが、世の中には「引き継ぎ」というものがある。 前任者の担当弁護人が、これまでの裁判経過の蓄積について何らのサポートもせず、後任者に丸投げでもしたというのか。

 

■ なぜ、当日の出廷が、かなわなかったのか?

(4) ドタキャン理由として公表されているのは、「準備期間の不足」ではなく、スケジュールが重なった「裁判員模擬裁判のリハーサル」を優先させたためであった。

(5) 何歩か譲って、「準備期間の不足」を理由に法廷をボイコットすることを認めるとして、それならば、「ただいま裁判資料を検討している」「最高裁の暴挙に抗議する」といったことを(たとえウソでも)欠席理由とするのが筋ではないか。

(5)-2 いや、ひょっとしたら、準備期間の不足は、あえて自分たちが引き受けた「危険」であるから、大っぴらには出さない、というのが、彼らの美学にあったのかもしれない。
 では、「裁判員模擬裁判のリハーサル」は、弁護人両氏が同席していなければ動かなかったのか。 模擬裁判(ましてやリハーサル)の運営は、現に人が2名も犠牲になった必要的弁護事件の弁論とは違い、少なからず人員の替えが利くのではないか。

(6) いずれにせよ、せめて主任弁護人の安田氏だけでも、法廷に出ることはできなかったのか。

(7) ドタキャン前と後とでは、傍聴希望者が倍(61名→119名)に増え、カメラや記者が最高裁前の歩道を塞いでしまわないか心配してしまうほどの盛況ぶりとなった。
 まさか「世間で忘れかけられている事件を、再度マスコミに注目させる目的」で、今回のドタキャンは粛々と執行されたのではなかろうか? ……と、つい早とちりの私は思ってしまうのだが、訴訟引き延ばし以外に、何らかの確信犯的な目的はあったのか。

 

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 「無期懲役か極刑か」という悩みを抱える現実の裁判を、いったん見て見ぬフリして、裁判員の模擬裁判(のリハーサル)に顔を出した両氏。 彼らは、なぜそこまで「裁判員裁判」にこだわりを見せておられるのでしょうか。

 ひょっとしたら、「死刑廃止」という彼らの最終的な目標を実現に向かわせる舞台として、3年後からの裁判員裁判に狙いを定め、そこに重点をシフトさせようとしているのではないか、と勘ぐらずにいられません。

 世論は、死刑制度に賛成なのか、それとも反対派が多数を占めるのか。各団体のアンケートの採り方によって、いろいろ答えがあるようです。 ただ、実際に裁判員になって、「死刑」という一票を呈示していく営みには、やはり一般の方は、少なからぬ抵抗や恐怖を抱くものだと思います。 それは、まさしく「一般の視点」であり、「庶民の感覚」に他ならないものといえましょう。

 もちろん、裁判官だって、何の心理的な葛藤もなく死刑判決を出しているわけではありません。 が、素人の裁判員なら、より、刑の選択に戸惑いを感じて、仮に間違いがあった場合に取り返しのつかない「死刑」という意見を表明しにくくなるのではないか、と。 ひいては死刑という刑罰が日本国でも有名無実になるのではないか、という期待を込めている人も、一部にはいるのではないでしょうか。

 実際に裁判員制度が動き出したとき、本当に一審段階での死刑判決は減るのか、やってみないとわかりません。 それでも、死刑慎重・廃止派の方々は、裁判員を務める一般人の戸惑いに賭けている…… だから、万難を排してでも(※ここでいう「万難」には、最高裁での弁論も含まれることになりますが)、模擬裁判に取り組む。

 そう考えないと、つじつまが合いませんよね。 いかがでしょうか。

 

◆ 刑事訴訟法 第278条の2(出頭在廷命令)
1 裁判所は、必要と認めるときは、検察官又は弁護人に対し、公判準備又は公判期日に出頭し、かつ、これらの手続が行われている間在席し又は在廷することを命ずることができる。
2 裁判長は、急速を要する場合には、前項に規定する命令をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
3 前2項の規定による命令を受けた検察官又は弁護人が正当な理由がなくこれに従わないときは、決定で、10万円以下の過料に処し、かつ、その命令に従わないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
4 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
5 裁判所は、第3項の決定をしたときは、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求しなければならない。
6 前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。

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2006年4月17日 (月)

どのツラさげて来るのカナ?

足立修一(あだち・しゅういち)

昭和33(1958)年8月23日生まれ(47歳)

出身:兵庫県

広島弁護士会 所属
足立法律事務所

昭和58(1983)年 京都大学法学部卒
昭和63(1988)年 司法試験最終合格
平成3(1991)年 司法修習修了(43期)

((参考過去ログ))
最高裁ドタキャン弁護士 安田好弘さんの基礎知識(2006/03/24)

 

 明日は4月18日。 光市の母子殺害事件の上告審で、口頭弁論に弁護人2名が来なかったので、最高裁判所が「口頭弁論やりなおし」の期日として指定した日です。

 でもねぇ。 「準備不足」が理由で、前回出席しなかったそうですので、この1カ月かそこらで、裁判官たちの心証の悪さを逆転させて余りあるほどの準備を整えられるでしょうか。 どうせ来ないんでしょ?

 と思ってましたら、今日の夕方に会見し、「明日やっぱり来ようかな」だそうな。 そうスか。

 明日は、同じ時間帯に東京地裁で「ジャニーズJrストーカー女」の第2回公判が行われますし。 別に傍聴券が取れんでも惜しくは無いかな、というスタンスではおります。

 

◆ 刑事訴訟法 第289条(必要的弁護事件)
1 死刑、無期、もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁固に当たる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することができない。


 こちらが原則規定です。 厳重な法定刑が設定されている犯罪に関して裁判が行われる場合は、弁護人が就いていなければ、判決どころか裁判を始めることすらできないと。そういう手続きです。
 被告人の言い分が適切に聞き入れられないまま、裁判官や検察官といった、力を背景にしている人たちが寄ってたかって死刑などの重大決定をするようなことがあっちゃならん。 なので、被告人を守る専門家である弁護人を必ずつけましょう。 弁護人を雇う経済的余裕が被告人になければ、国で就けましょう、というわけです。

 なるほど、わかりますよね。 一般的・抽象的な議論としては。


◆ 刑事訴訟法 第341条
 被告人が陳述をせず、許可を受けないで退廷し、又は秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたときは、その陳述を聴かないで判決をすることができる。

 しかし、必要的弁護の裁判に弁護人がいなかった前回の口頭弁論。 ひとり孤独に法廷に立った最高検の検事さんは、「約束を守らない弁護人なんかほっといて、私どもの主張だけ聞いて結審してくださいよ」と、この341条の考え方を借りて、さきほど挙げました289条(必要的弁護)の例外を採用するよう主張しました。
 弁護人が欠かせない裁判で弁護人が法廷にいないという状況は、実質的には、被告人がいないのと似たようなものですよ、と。 特に、この上告審の口頭弁論には、もともと被告人は出てこないのだし、というわけです。

 しかし、最高裁の結論はそうではありませんでした。 いったん休廷し、5人の判事による審議の結果、「まぁ、検察の言うこともわかるけど、あと1回だけ待とうや」ということになったのです。

 せめてもの温情かもしれませんし、法の番人としての「余裕」を演出したかったのかもしれませんし。
 

◆ 弁護士職務基本規程 第46条 (刑事弁護の心構え)
 弁護士は、被疑者及び被告人の防御権が保障されていることにかんがみ、その権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努める。

 

 この「弁護人ドタキャン」騒動は、もはや、被告人の防御権がどうとか、弁護士倫理がどうとかいう問題を超えていると思います。

 神聖なる法廷をバカにした行為……? これでも言い足りません。 もっと肉感的なものです。

 被告人「フクダタカユキ」の身もフタもない露骨な私利私欲の毒牙にかかってしまった、本村さんの愛する奥さんとお子さん。 ふたりが最期に残した、傷と涙と無念さを、被告人による犯行の後ろから忍び寄って、再び平気で踏みにじったのです。 弁護士のクセに。

 じゃあ、そんな犠牲者の想いを捨て石にしてでも、クライアントたる被告人を守り抜こうとするのかと思えば、先月は、口頭弁論をすっぽかし、被告人をほったらかす始末。 この弁護人たちは、いったい何がやりたいわけ?  教えて! 偉いひと!

 足立修一センセイ。 どうやら電子工学の分野で同姓同名の学者さんがいらっしゃるようですね。 その方の功績が輝かしすぎて、なんとも調査をつけにくいですが、交通規制や公共事業に関して、法律の専門雑誌に寄稿されてるようです。読んでませんけど。

 山口県の事件ですので、地元の広島から就いたのでしょうが、弁護人として1審や2審を担当していたのかどうかは不明です。 これだけの大事件ですから、弁護人として担当したならもっと名前が出ていてもいいかと思いますけどねぇ。

 奇しくも(?)、同志である安田弁護士と同じ出身地、兵庫県。

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2006年3月24日 (金)

最高裁ドタキャン弁護士 安田好弘さんの基礎知識

((参考過去ログ))
待てど暮らせど来ぬ人を(2006/03/17) 

060324yasuda  安田好弘(やすだ・よしひろ)
 1947(昭和22)年12月4日生(58歳)
 本籍:兵庫県

 第二東京弁護士会 所属
 港合同法律事務所

1975(昭和50)年 一橋大学法学部卒
1977(昭和52)年 司法試験最終合格
1980(昭和55)年 司法修習修了(32期)

 

  •  1980年8月「新宿駅西口バス放火事件」(6人死亡、14人全身やけど)公判の弁護人を務める。 ⇒ 心神耗弱が認定され減刑。 無期懲役が確定。
     
  •  1980年12月「名古屋女子学生殺人事件」の弁護人。 しかし、一審・控訴審・上告審すべてで死刑判決が維持され、1995年に刑執行。
     ただし、このとき開かれた最高裁の口頭弁論が終結した後も、「弁論補充書」と題した書面を、判決が出るときまで、2,3週間に1度のペースで最高裁へ提出しつづけたという。 死刑判決後も、判決訂正の申し立て恩赦の出願など、自らの信念にもとづき、刑の執行阻止に力を尽くす。
     
  •  特に、アイヌ民族問題、山間部の日雇い労働者に関する権利擁護や、精神病院患者の人権問題などに力を入れる。
     
  •  1972年「あさま山荘事件」坂口弘死刑囚につき、再審請求を担当。
     
  •  オウム真理教の「尊師」松本智津夫の主任弁護人

 

■ 著書:「『生きる』という権利 ─ 麻原彰晃主任弁護人の手記」(講談社)より

 「(大学のころは)全共闘運動が高揚していた時代だった。そのころは自分が何になろうかなど、考えてもみなかったが、ただひとつだけ『常に少数派でありつづける』という思いは、ずっと持ちつづけていた」(PP.105-106)

 「公安調査庁は、破防法では負けたものの、団体規制法によって復活した。人員を増やし、定期的に隊列を作って、旧オウム信者の施設に乗り込んでいくという新たな仕事を得たのだ。 どれだけ多くのジャーナリストが、そしてマスメディアが、そして警察と検察と裁判所と弁護士が、オウム事件により職を得、利益を得たのか」(P.41)

  •  1998年12月、顧問を務めていた中国系不動産会社の資産隠しを指南したとする、強制執行妨害容疑で逮捕される。 それにともない、尊師の国選弁護人としての職務も解任される。
     しかし、2003年12月、東京地裁は無罪判決を言い渡す。 現在、控訴審にて審理中で、今年2月にようやく初公判が開かれたばかり。
     
  •  1998年7月「和歌山毒物カレー事件」の上告審主任弁護人。
     
  •  「ヒューザー」社長の提訴する民事訴訟における代理人。

 

■ 「週刊現代」2006/03/11 「ライブドア事件『検察の暴走』」より

 「私は今回の事件は、戦前の二・二六事件と同じような匂いを感じています。 つまり、二・二六事件で青年将校が世直ししようとしたように、今回のホリエモン逮捕は、特捜検事の彼らなりの世直し、国体護持のための運動ではないかと」

 「株価暴落で損をした人たちは、ホリエモンの株価操作で被害を受けたと錯覚しています。この間の検察の情報操作は、実に見事です。 株主は検察に対してではなく、ライブドアに対して損害賠償請求を打とうとしている始末ですからね。 これで株が上がったのは特捜ですし、ヤメ検と言われている弁護士集団の株も上がったんですね。これこそ偽計取引ですよ」

 「ホリエモンの調書がもし本当に作成されていないとしたら、私は逆に、検事がまともに取調べも何もしていないんじゃないかと思う。 むしろ喜んで否認させている。 それによって憎らしくてふてぶてしいホリエモンというイメージを作り上げているわけです」

================ 

 検察という権力組織をお嫌いなのも結構なことですし、近ごろでは最高裁の口頭弁論よりも、週刊誌の座談会のほうを重く見てらっしゃるということも、よくわかりました。 それにしても、「名古屋女子学生殺人事件」を担当なさってた頃の情熱や行動力は、どこへ行ってしまったんでしょうかね。

 次は、事件現場である山口・光市に程近い、広島弁護士会所属の足立修一弁護士について特集してみます。 今日、国会図書館で調べてみたんですが、通り一遍のプロフィールぐらいしか見つかりませんでした。 なにかご存知の方、情報をお寄せください。

 

>>>>>>>> みそしるオススメ本 <<<<<<<<<

 「頭の良くなる薬を、ほんとうに見つけてしまった…… どうしよう?」

 東大薬学博士の著者が、「おいしい生活」という名フレーズを編み出してブレイクした(古っ。いつの話や)コピーライター 糸井重里氏との対談形式で、目からウロコの脳科学を楽しく解説。

 糸井さんの、それとない発言の中から「糸井さんが嫌いなタイプの人」というのも、いくつか見えてきます。 それがわかってどうだ、ってこともないんですが。

 頭は30歳を過ぎてから良くなる? 「頭がいいと思う人=自分の好きな人」? センスも記憶のなせるワザ??

 私たちが気にすべきなのは、脳機能の低下よりも、まわりの世界に慣れずに新鮮な気持ちで見ることができているかどうか、だといいます。 最近「脳年齢ゲーム」がブームですけど、ああいうのを繰り返しこなして、パターン慣れで叩き出した「脳年齢」というハイスコアに一喜一憂しとる場合じゃないかもよ。

海馬 ― 脳は疲れない
海馬―脳は疲れない 池谷 裕二 糸井 重里

おすすめ平均
stars脳の活用の仕方がわかる本
stars軽く読めて、ちょっと明日に希望が持てます
stars「創造」とは「つながりの発見」なんですね、つまり「組み合わせの妙」ってこと!
starsとどのつまり
stars忘れられない名糖ホームランバー・・・

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2006年2月15日 (水)

新しい日弁連会長は、こんな人

 日弁連の会長が、内部選挙のすえに決定したもようです。 元最高裁判事の梶谷玄氏の弟さん、剛氏の後任として、平山正剛氏です。

 んー、偶然にも「剛」つながりだねぇ……と、当たり障りのない字面だけの感想を抱いた後に、平山新会長についての横顔を調べてみました。 しかし、ネット上には意外とめぼしい資料が見あたらないんですよね。平山相太クンとか、平山あやちゃんの情報ならタップリあるんですが。

 デジタルでダメなら、アナログで。 というわけで、図書館に寄って調べてまいりました。 「日弁連 新会長」や「平山正剛 プロフィール」などのキーワードで検索しておられる方の、お役に立てれば幸いです。

 

060215hirayama■ 平山 正剛 (ひらやま・せいごう)

日本弁護士連合会 次期会長
2006年4月1日就任予定

【生年月日】 昭和9年(1934) 4月15日(満71歳)

【本籍地】 熊本県

昭和36(1961) 司法試験合格

昭和37(1962) 早稲田大学大学院修了

昭和39(1964) 弁護士登録(東京弁護士会)

平成4(1992) 日弁連 理事

平成7(1995) 武蔵野簡裁 調停委員

平成8(1996) 法制審議会 民事訴訟法部会委員

平成9(1997) 早大法学部 非常勤講師

平成11(1999) 住宅紛争処理検討協議会 座長
 ※ ADR「住宅紛争審査会」の立ち上げに寄与。

平成12(2000) 日弁連 副会長 / 東京弁護士会 会長

(以上、日本弁護士大観ほか)

  

 新会長は、裁判員制度について「刑事裁判手続きの改革を進め、全力を挙げて成功させなくてはならない」と抱負を語っておられます。 ちなみに、会長選挙の対立候補には、裁判員制度などの司法改革に懐疑的な高山俊吉氏(東京弁護士会)や、ビジネス弁護士として名高く「法化社会」などのキーワードでおなじみ、久保利英明氏(第二東京弁護士会)がいらっしゃいました。 ふーん、みんな東京なんだ。

 以前に、「歴代日弁連会長のまとめページをつくりたい」と書きましたが、誰かが作るだろうと思って放置してました。でも、まだ誰も作ってないみたいですね。需要が無いのかな。

 

<<<<<<< みそしるオススメ本 >>>>>>>>

 前にご紹介した「裁判トリセツ」が、裁判傍聴マニュアルの初級編なら、本書は中~上級編ですね。 20世紀の本なので、記述に少し古い部分がチラホラありますが、傍聴を本腰入れて始めてみたい方にとっては読みごたえが十分にあり、実用にも耐えうると思います。 「本気になったら」こちらです。

 イラストも、少しクセのあるダークな感じで、好みが分かれるでしょうか。 個人的には好きですけど。

 

図解 裁判傍聴マニュアル―裁判の観戦方法からニュースに登場する用語解説まで
図解 裁判傍聴マニュアル―裁判の観戦方法からニュースに登場する用語解説まで 鷺島 鈴香


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2005年7月18日 (月)

弁護士の青田買い

 東京の大規模な法律事務所で、司法試験合格者の青田買いが激しさを増している。企業再生など大型案件が増加し、優秀な若手を多く確保しないとこなせないといい「早く動かないと人材を奪われる」との危機感が採用活動を過熱させている。  弁護士や裁判官、検察官になるため、10月の司法試験の合格発表後、翌年4月から1年6カ月の司法修習が実施される。日弁連は修習開始から半年間は勧誘しないよう要請しているが、現実は修習開始までが採用活動 のピークになっている。  事務所の大規模化や大型事案に対応するため、質量ともに十分な人材確保が欠かせない。約200人の弁護士を抱え高層ビルにオフィスを構える事務所の担当者は「早まったのはここ1、2年。いいとは思わないが、よそが やるならうちも」と打ち明ける。別の事務所も「大量採用しないと回らない」と話し今年約30人を採用するという。  背景には、司法制度改革で法曹人口が増え、就職先探しが困難になりつつある合格者側の事情も。 (共同通信)

 ますます世間一般の就職活動に近づいてきてますね。「身近な法曹」という意味では、きっと良いことなんでしょう。

 もちろん、「青田買い」というのは、弁護士業界でもごく一部の話だと思います。つまり、大量に人材を雇えるだけの潤沢な財力や競争力を有した、都心のビルの何十何階かに事務所を構える弁護士さんたちの問題です。でなければ、法曹増員に反対する弁護士さんがいるわけありませんから。

 そんなに人材が欲しければ、一般的な司法試験と区別して、「渉外弁護士試験」でもつくればいいんじゃないかと思います。あるいは、現行試験は維持したまま、渉外志望者には憲法や刑事訴訟法は免除する代わりにTOEICスコアを提出させるとか。意外と、業界はその方向で法務省へ働きかけていたりして。とっくの昔に。

 ともかく、法曹選別や養成のプロセスが、時代の要請から取り残されていきはじめているのかもしれません。いまやM&Aなど、企業サバイバルの領域にも「正義」は広がりつつあるのでしょう。企業の生き残りが、その企業に雇用される人材の生き残りにつながる側面もあるのだとすれば。

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2005年6月21日 (火)

タクシー運転手を殴る弁護士

>>> タクシー運転手殴る・仙台の弁護士 現行犯逮捕

 きょう未明仙台市内で、タクシーの運転手の顔を殴ってけがをさせた弁護士の男が傷害の現行犯で逮捕されました。逮捕されたのは、仙台弁護士会所属の弁護士で青葉区上杉6丁目の須貝仁志容疑者(42)です。
 調べによりますと須貝容疑者はきょう午前0時過ぎ、青葉区立町の市道で、乗っていたタクシーの運転手に「道が違う」などと言いがかりをつけて口論になった末、運転手の顔を殴って顔に擦り傷を負わせたうえ様子を見にきた別のタクシーの運転手も殴って軽い怪我をさせたものです。須貝容疑者は、青葉区米ヶ袋の事務所から上杉の自宅に帰る途中だったということで調べに対し須貝容疑者は「運転手が道を間違えたことに腹が立った」と供述しているということです。今回の逮捕を受けて所属する仙台弁護士会は記者会見で「極めて遺憾。事実関係を調査して厳正な処置を取りたい。」と話しています。(TBC東北放送)

 あぁ、神様。もしも願いが叶うなら、こいつの弁護士資格を譲ってほしい。

 当然、実名でご紹介いたします。今度図書館に行ったときにでも、経歴をチェックしてきます。

 1999年10月18日、京都地裁の裁判官が、判決公判中、「一般論でいえば、タクシー乗務員には雲助まがいの者や、かけ事などで借財を抱えた者が、まま見受けられる」とし、こうした内容について「顕著な事実と言ってよいかと思われる」と発言したことがありました。
 ここにいう「顕著な事実」とは、証拠で立証する必要がないくらい当然に知られている事実を指します。たとえば、JR福知山線の列車事故ですとか、藤井隆さんが乙葉ちゃんと婚約して、夜な夜なあんなことこんなことやっとるとか、それらと同じぐらいのレベルで、彼は「タクシー運転手は雲助まがい」と強調したかったわけです。

 その民事訴訟は、強盗殺人罪で起訴されているタクシー運転手を相手取って行われていた損害賠償請求事件でした。しかし、いくらその犯行憎しといえ、請求の認否や認容額を検討するにあたって、タクシー業界全体を敵に回して、独自の『一般論』を振りかざす必要などありえません。
 また、今回など、当該タクシー運転手の犯した『罪』は、目的地へ辿り着くまでの道を「間違えた(※あくまで乗客の弁護士談)」ことでした。では、この弁護士ご自身は、今まで弁護ミスをしたことが無いのか、あっても気づいていないのか。

 自由と正義を錦の御旗として掲げているはずの法曹界でも、職業差別の意識はジットリと潜伏しているのかもしれません。もちろん、これらのように差別意識が露骨に表へ出てくる場合は例外事例に属するんでしょうけど。
 
 
◆ 刑法 第204条(傷害)
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

◆ 刑法 第234条(威力業務妨害)
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例(※3年以下の懲役または50万円以下の罰金)による。

◆ 刑事訴訟法 第213条
 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

◆ 民事訴訟法 第179条(証明することを要しない事実)
 裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。



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2005年5月25日 (水)

弁護士200人超の法律事務所 7月に誕生……!

 最高裁第3小法廷の判事でいらっしゃる濱田邦夫先生(元 渉外弁護士)が設立メンバーとなっている、森・濱田松本法律事務所。M&Aや資金調達が得意分野で、現在、191名の弁護士さんが所属しているのだそうです。これは全国2位の規模。

 よく考えたら、日本の弁護士の100人にひとりが、森・濱田松本法律事務所でお世話になっている計算になりますね。狭い世界です。あらためて。

 この事務所ですが、7月に合併するんだそうです。IT関連の業務に特化する、マックス法律事務所と。こちらには13名の弁護士さん。企業相手以外の法律事務所から見たら、それでも大所帯ですけどね。
 「森・濱田松本」と「マックス」を足し算すると、200人を超えて日本新記録となります。合併後は、知的財産分野の法務サービスを強化する方向性だとのこと。

 弁護士204人かぁ。その1人1人が数千万の年収を誇り、他にも秘書や事務担当の方がいらっしゃるでしょうから……。どんだけ売り上げとるんかいな。景気がいいですね。

 でも、これから10年で弁護士登録者が倍以上になるんですから、200人という数字も単なる通過点のはずで、まだまだ膨らんでいくことでしょう。「寄らば大樹の陰」か「清貧の赤ヒゲ」か。法曹業界もますます二極化が進んでいきます。

 世の中は、どんどん単純化されていきますね。

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