2007年6月 6日 (水)

満員電車は「違法」なんですか

 黄色い表紙でおなじみ「裁判官の爆笑お言葉集」(幻冬舎新書) ……勢い止まらず、各方面よりご好評をいただいております。 どうもありがとうございます。

 もちろん、この世は盛者必衰。 今週発売の新潮新書 「とてつもない日本」(麻生太郎外務大臣 著)に、売り上げにおいてアッサリ抜き去られることも想定済みでございます。

 ま、ベストセラー列強の中に書名を連ねさせていただきさえすれば、ポジション的には何位だって構やせんのですが。

 

 来週は、大阪へ行ってきます。 関西テレビ「痛快!エブリデイ」の水曜日に、「裁判特集」を企画しているので生出演してください、とのご依頼があったからです。

 再現ドラマなど、いろいろと関テレさんは用意してくださっている模様ですから。 その想いには応える必要がありますね。

 13日の「痛快!エブリデイ」では、イケメン八代弁護士・浅草キッドから水道橋博士・高学歴芸人コンビ「ロザン」・小室ファミリー「SAM」さんと共演いたします。

 違う世界を体感できるのはいいけども、ただ、こんなスターの皆さん方を前に、どのツラさげて出るのよ。 本当はキッパリお断りしたいくらい恥ずかしいです。 オレのせいで視聴率下がったらどうしよう。

 つまんなかったからといって、帰り道に道頓堀へ突き落とされたらどうしよう。 着替えを多めに持っていこうか。 九州の笑いなど関西に劣るに決まってますので、大阪の皆さん、どうぞお手柔らかに。

 

 ナガミネは、つまんない男。 これが合言葉です。

 自分がつまんないことぐらい、自身が痛いほど思い知っています。 だから、見苦しくあがいているんです。

 でも、本職においては「つまんない」は決して許されませんけどね。 近いうちに単行本を相次いで出版し、立て続けに世に問いますこと、ここにお約束いたします。

 ……あーあ、面白くなりたいなぁー。

 

 

◆ 鉄道営業法 第15条

2 乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ限リ乗車スルコトヲ得

 

 ハイ、 いきなり本題へ移ります。 相変わらずの脱線ブログです。

 知ってました? 座席が空いてなければ電車に乗っちゃいけないんですよ。 ……じゃあ、なんで吊り革があるのよ、って話ですが。 

 帰省ラッシュの季節によく聞く「新幹線乗車率150%」というのは、ありゃ何なんでしょう。 JRみずから鉄道営業法違反を公言しているのでしょうか。

 お年寄りや身体の不自由な人、妊婦さんには席を譲りましょう。

 だったら、席を譲った人は、その後どうすればいいんでしょう。 座席が空いてなければ乗車できないということは、強制退場ですか。 そんな世の中じゃ、道徳や人倫もロクに育まれまい。

 鉄道営業法15条に罰則がないのをいいことに、鉄道会社は、この規定を見て見ぬフリしてるんでしょうかね。

 鉄道営業法の制定は、明治33(1900)年。 電車というのは当時、セレブな乗り物ですから、さすがに現代日本の「満員電車文化」を想定してはなさそうです。

 

◆ 鉄道営業法 第26条

 鉄道係員旅客ヲ強ヒテ定員ヲ超エ車中ニ乗込マシメタルトキハ三十円以下(※罰金等臨時措置法により、現在は2万円以下)ノ罰金又ハ科料ニ処ス

 

 この26条は、何を言いたいのでしょうね。 朝の埼京線やら小田急線とかを利用しようとすると、外から鉄道員の方がギュウギュウ詰めの車内へ、情け容赦なく押し込んでくることがありますけど。 ……アレはOKなんですか?

 客のほうも、その電車に乗っていくのを望んでるわけだから、26条の文言にいう「強ヒテ」にはあたらない、ってことですか?? よーわからん。

 満員電車なんて、乗客にメリットは特になく、むしろデメリットだらけ。 考えてみれば、旅客輸送の効率が上がることによって、ただ鉄道会社がウハウハ儲かるだけなんですよね。 そりゃ効率はいいでしょうけども、そこには「お客様満足度」のカケラも見当たりません。

 外国人が被告人になっている「痴漢」裁判を傍聴していると、決まって「ワタシの母国では、満員電車なんてありえない」「車内で女性と密着させられるのはクレイジー」みたいな話が彼らの弁解として出てきます。

 日本の都市部にいると感覚が麻痺しがちですが、国際的に見れば、やはり車両の中に乗客がスキマ無く詰めこまれているというのは、異常な状態というべきかもしれません。 鉄道営業法は、そのようなグローバル視点に忠実な立場から規定されているのでしょうか。
 

 法の明文に反して現実が動いているような例は、憲法の中にチラホラありますけどね。 9条2項とか、89条(私学助成金)とか。

 皆さん、他にもご存知でしたら、いろいろと私に教えてやってください。 今日からコメント欄の凍結を解除しますので。 どうぞよろしくお願いいたします。

 

◆ 鉄道営業法 第34条
 制止ヲ肯セスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ十円以下(※罰金等臨時措置法により、現在は1000円以上1万円以下)ノ科料ニ処ス

二 婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ

 

 こ、これは!! もしや「女性専用車両」を想定した規定なのでは?

 電車の車両は、土地に定着した工作物ではありませんから、刑法上の「建造物」に該当しないのです。 だから、スケベ野郎が女性専用車両に乗り込んだからといって「建造物侵入罪」で処罰するわけにはいきません。

 そこで、この34条の出番となるわけですな。

 すごいですね。 鉄道営業法の法案をつくった人って。 これだけ本質を見通したり未来を先取りしたりできるとは。 ビジネス本を書けばいいのに。

 

>>>>> おすすめサイト

 私は、さんざん司法浪人したあげくに断念した元受験生たちの、興味深い「その後」を取材して……

 いつの日か「司法試験Zファイル(仮)」という本を書きたいと、密かに野望を抱いています。

 もちろん、このZファイルの「Z」とは、挫折者(Zasetsu-sha)の頭文字です。

 他方で、迷える元受験生たちの「その後」を、ビジネスとして支援するベンチャー企業があらわれました。

 この「モア・セレクションズ」さんの、目の付け所は鋭いものがあります。

 司法制度改革は、司法試験のシステムを腹いっぱい変えるだけ変えて、旧試験受験組の後始末なんか一切せずにほったらかしですからね。 旧試験から新試験に乗りかえるにしても、法科大学院の修了を経由しなければなりませんので、法曹になるためには、さらに数年費やす必要があります。

 これまで旧試験に対して、経済的にも時間的にもさんざん投資を続けてきた浪人にとっては、キツい現実ですよ。

 要するに、司法試験は「みんなの憧れ」「高嶺の花」。 男どもにモテモテのぴちぴちギャルみたいなもんですから、「あたしが何やったって、だーれも怒らなーい」と、わがまま言いたい放題。 完全に調子こいとるんですわ。

 「もう、いい加減にせんかーい!」と、司法試験に見切りをつける受験生たちは、これからさらに増えるでしょうね。

 サイトには、近日中に私のインタビュー記事も掲載していただく予定です。「司法浪人から別分野へと、どうにかこうにか転身を遂げた先輩」として……。

 

■ 司法試験経験者のための就職情報サイト
 『Legal Map』

 http://www.more-selections.com/legalmap/

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2006年4月 3日 (月)

JAROって何ジャロぉ?

>>> 美容外科9割、健康食品7割…折り込み広告に問題
 社団法人・日本広告審査機構(JARO)は、新聞の折り込み広告についてのモニター調査結果を公表した。
 それによると、美容外科広告の9割、健康食品広告の7割に、「法違反や説明不足、誤認の恐れがある表示」が見つかった。
 調査は昨年10月から3か月間、東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県の新聞の折り込み広告計7453枚を対象に、同機構から委嘱された一般消費者が実施。美容外科広告(計32枚)の90・6%、健康食品の広告(計239枚)の72・8%に、「革新的若返り術」「副作用はなく、非常に安全」「体内の老化に働きかけます」などの表示があった。(読売新聞) - 2006年4月3日

 このエントリのタイトルに食いついた方は、ひょっとして三十路以上ですか? こんにちは。

 私がガキの頃、「JAROって何じゃろぉ?」という自問自答CMで一世を風靡したJAROは、昭和49(1974)年10月生まれなんですね。 なるほど、「兄貴」と呼ばせていただきます。

 そんな、30年以上にわたって「ウソ」「大げさ」「まぎらわしい」を粛々と取り締まってきたJARO兄貴、今回もやってくれました。

 「どうして『ビフォーアフター』の『ビフォー』の写真は、『アフター』に比べてライトが当たってなくて、心なし暗いんだろう?」 「なんで『ビフォー』のモデルは、いつも伏目がちで、への字口で、髪に寝ぐせがついたままで、服装はTシャツなんだろう?」 ……みんながうすうす感づいていた疑問に、兄貴は正面から斬り込んでくださったのです。

 ただですねぇ、32枚の美容外科広告を調査したうち、「90.6%」に問題ありということですが、そこはもう「29枚」って言ったほうが早いんじゃないですかねぇ、兄貴ぃ。
 

 特に美容形成外科は、その性質上「評判が口コミで広まりにくい」という弱点があります。 なので「宣伝」「イメージ戦略」が頼みの綱になってしまい、良心的な業者が埋もれてしまう可能性があります。
 反面、「ミスがあっても、手術の依頼者は泣き寝入り」という側面もあるでしょう。ある美容外科に「だまされた」と感づいても、自分も周囲に対してルックスを大なり小なり「だまそうとした」負い目があるからです。 その負い目を知りつくしているからこそ、業者はさらに弱みに付けこんでくるわけですよね。

 私だって、美容整形する女性はイヤです。 最近、ある女性タレントが、露骨に鼻筋を通してしまい、話題になってますよね。 ……ちょっと好きだったのに。

 身内で整形する者がいたら責め立てるでしょうし、惚れた女の子が整形美人なら、最後まで徹底してだましとおしていただきたい。 彼女にジッと見つめられたり、ステキな笑顔を見せられたりして、それに反応してドキドキしたとしても、「その目は、どっか知らん美容外科のオッサンによる作品やろ?」 「オレは、そのオッサンの策略に、まんまとハマっとるということか?」と思ったら、一瞬で冷めるでしょうが。

 でも、私自身、正直、女性に対して少し面食いなところがあるので、「そんなに顔かたちをキレイに整えたいんか? えぇ?」と、あんまり強く出られない部分もあるんですけど……。まぁ、私も身のほどを知れば済む話ですが。

 今じゃ、運動能力だって、ドーピングでごまかせるわけですよね。 「海馬 ─ 脳は疲れない」の著者 池谷裕二さんによると、どうやら「頭の良くなる薬・悪くなる薬」まで存在するらしい。 ただ、これらの薬が世に出ることを、倫理的な障壁がかろうじて防いでいるだけのことで。

 もう、この世の中に「聖域」は無いんでしょうか。 困った時代やぜ。

 んー、いつの間にか、全然違う話になってしまいました。 いよいよ「司法脱線ブログ」の本領発揮です。

 

◆ 特定商取引に関する法律 第12条(誇大広告等の禁止)
 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の指定商品若しくは指定権利の販売条件又は指定役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容、当該商品の引渡し又は当該権利の移転後におけるその引取り又はその返還についての特約その他の経済産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

◆ 特定商取引に関する法律 第41条(定義)
1 この章において「特定継続的役務提供」とは、次に掲げるものをいう。
  1.役務提供事業者が、特定継続的役務をそれぞれの特定継続的役務ごとに政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し、相手方がこれに応じて政令で定める金額を超える金銭を支払うことを約する契約(以下この章において「特定継続的役務提供契約」という。)を締結して行う特定継続的役務の提供
  2.販売業者が、特定継続的役務の提供(前号の政令で定める期間を超える期間にわたり提供するものに限る。)を受ける権利を前号の政令で定める金額を超える金銭を受け取つて販売する契約(以下この章において「特定権利販売契約」という。)を締結して行う特定継続的役務の提供を受ける権利の販売
2 この章及び第67条第1項において「特定継続的役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償で継続的に提供される役務であつて、次の各号のいずれにも該当するものとして、政令で定めるものをいう。
  1.役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの
  2.役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの

◆ 特定商取引に関する法律 第43条(誇大広告等の禁止)
 役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供をする場合の特定継続的役務の提供条件又は特定継続的役務の提供を受ける権利の販売条件について広告をするときは、当該特定継続的役務の内容又は効果その他の経済産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

◆ 特定商取引に関する法律 第72条(罰則)
 次の各号のいずれかに該当する者は、100万円以下の罰金に処する。
  3.第12条、第36条、第43条又は第54条の規定に違反して、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をした者

◆ JAROの定款 第3条(目的)
 この法人は、公正な広告活動の推進を通じて広告、表示の質的向上を図り、もって事業活動の適正化並びに消費者利益の保護を期し、社会、経済の健全な発展と、国民生活の向上に寄与することを目的とする。

◆ JAROの定款 第4条(事業)
 この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
 (1)広告・表示に関する指導、相談
 (2)広告・表示に関する審査
 (3)広告・表示に関する基準の作成
 (4)広告主、媒体、広告業者が組織する自主規制機関との連携、協力
 (5)消費者団体、関係行政機関等との連絡、協調
 (6)消費生活における広告、表示等の知識の普及
 (7)広告、表示等に関する情報センターとしての資料の収集、整備
 (8)その他、この法人の目的を達成するために必要な事業

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2005年11月 4日 (金)

サインしません

 杉浦法相が31日の初登庁後の会見で、死刑執行命令書に「サインしない」といったん明言し、1時間後に撤回した問題で、同法相は1日の閣議後会見で「舌足らずというか、もう少し説明すべきだった」と改めて釈明した。また、一連の経緯を小泉首相に説明したところ、首相から「気を付けて下さい」と、閣僚として発言に注意するよう指示されたことも明らかにした。
 法務省によると、法相が就任時に死刑執行命令拒否を明言したのは異例で、「おそらく初めて」という。(読売新聞)2005/11/02

杉浦正健 公式サイト

杉浦法相 画像(時事通信)

【参考過去ログ】
 刑事訴訟法475条(2005/06/09)

 

◆ 刑事訴訟法 第475条
1 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。(※以下略)
 
 
 
 
 もう、皆さんすでにご存じのニュースでしょう。単に、私が乗り遅れてしまっただけです。
 死刑執行を巡っては、1990~91年に法務大臣を務めた左藤恵氏が、宗教上の理由で拒み、この期間を含む89年11月~93年3月には執行がなされなかったことがあります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「サインしない。私の宗教、哲学の問題」「(死刑制度は)廃止の方向に向かうのでは」

 ↓1時間後

「私個人の心情を吐露したもので、法相の職務執行について述べたものではない」

 ↓1日後

「法相の職務にはあらゆる要素を加味して、厳正に対処しなければいけない。個人の心情で動かされるべき問題じゃない」「職務執行に当たっては個々の事案、千差万別なので、そういうものを十分、大臣としての職責を検討したうえで判断する」

 ↓だけど

「他人の命を奪うということは、理由を問わず『許すべからざることだ』という気持ちが根底にある」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 悩みに悩んでいる様子は、人間らしくて結構なんですけれども、「結局どないやねん」と言いたくなるのも確かです。死刑執行命令書に「サインしない」というのが「法相の職務執行について述べたものではない」という発言が特に意味不明ですし。命令書へのサインは、法務大臣にしか許されていない特命なのですよ。

 
 昨年5月30日、官房副長官だった杉浦氏は、曽我ひとみさんと面会したことがありました。北朝鮮に残る夫のジェンキンスさんと娘2人との再会実現について、話し合うためです。杉浦氏は、金正日総書記が提案した北京での再会を望んでいたんですが、曽我さんはかねてから「中国で面会したら、私も一緒に北朝鮮へ連れ戻されてしまう」と拒絶しており、すれ違いが予想されていました。
 しかし、杉浦氏は面会後、報道陣に向けて、曽我さんが北京での面会を容認したと発表したのです。「意向は十分聞き、信頼関係ができた」とも強調していました。翌日、杉浦氏の発言に驚いた曽我さんは、佐渡市を通じ「私の真意について」とする声明を発表。その中には遠回しながら「できれば北京以外で再会したいと思います」との願いが込められていたといいます。

 うーむ、もともと、人騒がせな方なんでしょうか……。

 「私の宗教、哲学の問題」と語った杉浦大臣。先生は、浄土真宗大谷派の信徒だということですけれども。もうちょっと、突っ込んで調べてみたいものですね。

 一方で、われらが内閣総理大臣。

>>> 死刑制度「あっていい」

 小泉純一郎首相は1日夜、首相官邸で記者団に対し、死刑制度について「うん、あっていいと思いますよ」と肯定した。(時事通信)2005/11/02

 なんだか、軽いなぁ。 まるで「うん、あっていいと思いますよ。黄色いピーマンも」ぐらいの口ぶりです。



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2005年6月 9日 (木)

刑事訴訟法475条2項

◆ 刑事訴訟法 第475条
1 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。
 
 
 
 死刑確定から、わずか半年で法務大臣がハンコを押すという運用は、実際にはされておりません。死刑被執行者のページをご覧いただくとわかりますが、だいたい5,6年、長くて10年以上経過してから、忘れた頃に許可を出す形になっています。
 昨年、大阪の小学校乱入 児童殺傷事件で死刑判決を受けた囚人が処刑されました。死刑確定(控訴取り下げ)から1年が経過していたんですが、それを指して『異例のスピード処刑』と報じられていたほどです。

 なんだか、法務大臣だけが死刑に関して重責を担っているようですが、もちろんそんなことはありません。死刑を言い渡した裁判官、死刑を求刑した検察官、実際に絞首刑を執行する刑務官、法務大臣を任命した内閣総理大臣……。ひいては現在の法制度を享受するわれわれひとりひとりが、その『死』について責任を負っています。

 もちろん、刑が執行されないまま、何十年も拘置所で死刑囚として毎日を過ごす人もいます。これは形式的には違法状態なのですが、中には、再審請求が認められ、裁判のやり直しを行う場合もあります。死刑という刑罰の最大の弱点は、死刑囚がぬれぎぬを着せられていた場合に取り返しが付かないことです。

 私な、死刑という物騒な刑罰は、無いに越したことはなかろうと思っています。しかし、無いに越したことはないから無くすべきかは別の問題です。『死刑は国家による殺人だ』と主張する人は、仮釈放の可能性を断つ「終身刑」を、死刑の代替に据えようとします。では、終身刑は国家による殺人ではないのでしょうか。終身刑って、早い話が『軟禁殺人』ですよね。非人道の度合いに関して、どこかに根本的な違いでもあるのでしょうか。

 身勝手な殺人・死体遺棄事件が横行し、それらを憎み、恐れる気持ちを持っている以上、『国家による殺人』は、われわれ国民が引き受けて、抱えこみ、支えておかなければならない『罪』だと思います。それに、私はもう、『殺人事件もイヤだが、死刑もイヤ』と、無邪気なワガママを言えるような歳じゃありませんし。

 だからこそ、死刑が予告なしに行われたり、情報が隠蔽されたりしてもならないと考えます。死刑制度を支える責務を負う者は、死刑の現実を知る権利も持ててしかるべきです。(※当然ですが、なにも『公開処刑をしろ』と言っているわけではございません。念のため)
 
 
 
■ 南野法務大臣 就任記者会見 2004/09/27
 
 【Q】法務大臣になられると、必ず死刑の問題に直面すると思うんですけれども、その死刑制度に対する基本的なお考えと、その運用についてですが、先日執行された死刑は、確定から1年という短期間で執行になりました。この点について賛否もあったわけですけれども、どのように執行対象を選んでいかれるのか。

 【A】死刑についてどう考えているかということだろうと思いますが、いろいろな方々がいろいろなことをお考えになられると思いますが、大半の国民の方々もやはり死刑というものについてはいまだそのまま賛同している方が多いのではないかと思っております。そういう意味では、現在の法体系ということについて、さらに死刑はだめよということは今の時点では申し上げにくいことではないかなと思っております。
 それから、死刑執行に当たってどのように考えているかというお話でございますが、これは個別にいろいろな課題があろうかというふうに思っております。個別の案件につきましては、少し差し控えさせていただきたいというふうに思っております。この前死刑があったじゃないかというお話でもございましたが、その案件につきましても、これは個別の課題というふうに理解したいと思っておりますので、その件につきましては、どうぞご容赦いただきたいと思っております。

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